静岡市のごみ問題についての課題と日本共産党の提案

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静岡市のごみ問題についての課題と日本共産党の提案

 

                    2006年6月16日

                    日本共産党静岡市議会議員団

 

はじめに――

ごみ問題を考える場合、地球の限りある石炭、石油、森林、食物、大気、土地、海洋などの資源をどう有効に活用していくかを基本にすえることが不可欠です。資源・環境保護問題抜きのごみ問題の解決はあり得ません。有害ごみの発生、埋め立て、廃棄や、ごみの大量廃棄、大量焼却、大量リサイクルは、資源の枯渇、温暖化ガスの発生など、地球環境に大きな負荷を与えます。

ごみ問題は、人間活動によるオゾン層の破壊や、多量の温暖化ガスの排出による地球の温暖化など、人類につきつけられた待ったなしの緊急課題です。

 

【1】ごみをめぐる政府方針と対応の諸問題

2000年に「循環型社会形成推進基本法」が制定されましたが、出たごみをいかに処理するかが、「焼却中心」に止まっており、ごみを発生源で減らす対策に至っていません。

また、廃棄物の減量化の目標量を2010年までに、一般廃棄物を5%削減(5300万トンを5000万トンに)し、廃棄物処理の広域化及び処理施設の大型化推進の路線を堅持する整備計画を示していますが、ごみを発生源で減らす対策を取らない限り達成は不可能です。

そのうえ2004年には、「併せ産廃」の処理をすすめる方針を出しましたが、過剰施設整備や、運営赤字の自治体にとって〃渡りに船〃と言うことになりかねない大きな問題があります。

 

〔1〕 ダイオキシンの現状と対策

ごみ焼却中心の日本では、塩ビ類の焼却により発生する大気、母乳等のダイオキシン汚染が世界で最悪という状態からは脱却できないでいます。

政府のダイオキシン対策に関する補助金交付の基準では、ごみ処理の広域化や100トン以上の焼却炉建設、などの条件があり、焼却中心に拍車をかける結果となっています。

プラスチック類は、灰溶融処理やRDF化など油化・燃料化対応のみで、生産者責任、発生源で減らす対策、再利用対策が欠けています。

本来、ダイオキシン対策には、

①ごみの分別による発生要素の除去。塩ビ・発砲スチロールを区分し焼却、

②施設改善(財政・技術支援策)、燃焼管理による抑制、

③発生源対策としてメーカーに対する塩ビの引取りや無害化処理の義務づけ、

など政府・自治体の法令による規制措置が必要です。

静岡市においても、吉津地域のダイオキシン問題に象徴されるように行政が責任の回避を続けていますが、大本からその消極的な姿勢を改める必要があります。

 

〔2〕 資源循環型社会のシステムづくりのために

① 拡大生産者責任の導入で廃棄物行政の抜本対策を

容器包装リサイクル法及び家電リサイクル法は、製造事業者等に処理費用の一部の負担を求め、基本的には、拡大生産者責任とは異なる「分担責任」のシステムとなっており、日本の拡大生産者責任は、ドイツのように全責任を製造事業者等に負わせて、廃棄物発生回避を促すのではなく、責任も負担も多くが自治体と住民に残されたままになっています。

 

② 産廃対策の強化を

不法投棄件数の増加など深刻化がつづく産廃問題では、不法投棄の監視体制の強化や、原状回復の支援と行政処分の一層の強化が必要です。国の目標は、排出量をH22年度にはH9年度にたいし増加量を約12%に抑制、再利用量はH22年度には、H9年の約41%を47%に増加、最終処分量はH22には、H9年のおおむね半分に削減、となっていますが、これを実効あるものにするとともに、取り組みを一掃強化するために、今日の大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済構造を転換して循環型社会を構築し、拡大生産者責任を基本として、廃棄物等の発生を極力抑制し、循環資源の適性利用、適正で最小限の処分の確保が求められています。

 

③ 市民参加型のシステムを

ごみ減量や分別、資源循環型社会のシステムの考え方の徹底などのためには、自治体と市民の協力、市民参加のとりくみの推進が不可欠であることはあきらかです。そのためにも、地域のごみの実態を市民に知らせ、市民がごみ問題の解決のために具体的に何をすればよいのかが見えるようにすることが大事です。

自治体が市民の関心を高め自発性を引き出す努力はそのカギとなります。

 

【2】静岡市のごみ行政の現状と問題点

静岡市のごみの排出量(トン)の組成分析(H15静岡地域、清水地域平均)では、紙・布類47%、ビニール・ゴム類25%、木・竹類13%、厨芥類10%、不燃物3%と、紙・布が5割を占め、また事業系一般廃棄物の26%が紙類であることは、分別、資源化を徹底すればごみは大幅に減量可能であることを示しています。

また1市2制度による収集の違いから清水地域は収集プラスチック、直接搬入の古紙収集を実施し、大型ごみはリサイクルに積極的に活用しています。そのため、1日1人あたり平均のごみ排出量は静岡地域1296g、清水地域975gと322gもの差があり、静岡地域が清水地域並みにごみ排出を減量すれば、25%のごみ減量が可能です。

現在の市の方針は、「出たごみをいかに処理するか、燃やしていかにごみ量を減らすか」という国と同じ焼却主義であり、これでは焼却灰処理の最終処分場問題が付きまとい、ごみを元で減らさない限り根本解決とはならず、資源循環型にも逆行します。

さらに、5割を占める紙・布の資源化や積極的な生ごみの分別・堆肥化の推進、事業系ごみ減量の抜本策などが課題となっています。

 

〔1〕 静岡市一般廃棄物処理基本計画の問題点

市は発生・排出抑制の基本目標をH31年度までに、収集ごみ量の10%削減と直接搬入量の20%削減を達成すると設定しています。

その問題点は、①発生・排出抑制、資源化を課題と挙げるが、徹底したごみ減量の具体策がない、②昼夜人口の差と静岡地域の事業所数を理由にごみの排出増加を推定している、③清掃工場整備規模について、「過去10年間のごみ発生量が増加傾向にあり、現状よりごみ発生量減少を想定すると過少な施設整備につながりかねない」また「ごみ発生量をH15年の33万2千トンからH31年には40万7千トンと7万5千トンものごみ発生を推定」し、焼却処理量を過大に設定している、などです。これは国の基本方針であるH22年度に5%減量化目標と、静岡県の循環型社会形成計画のH22年度10%削減目標にも反しています。

また、安全性や効果の面で大きな問題が明らかになった灰溶融施設は、その必要性やデータの公開など市民的な検討が求められていますが、その姿勢が見られません。清掃工場の整備計画についても、広く市民的な検討がされていません。

 

〔2〕 日本共産党議員団の提案

市と市民が協力・共同することで市民参加を推進し、資源循環型社会のシステムを目指して、当面できるところから以下の取り組みをすすめます。

① 「始めに大型焼却炉ありき」のごみ行政の抜本的転換で焼却炉依存から脱却するために、ごみ減量の具体策と減量目標を次のようにします。

イ、分別収集の徹底

一般家庭の古紙回収は、現在の静岡地域2ヶ月に1回、清水地域月1回を月2回定期回収とし、雑紙回収専用袋を普及し、紙類は全量資源化します。また、プラスチックの分別収回収、生ごみ堆肥化を強化します。事業所も一般家庭同様に、古紙資源化の強化と雑紙回収を強化します。

ロ、ごみ減量目標を分別・資源化強化により収集ごみ量30%削減、直接搬入30%削減をH31年度の目標とします。

ハ、住民の理解と協力を得て住民と行政が一体となったごみ減量化にとりくみます。

 

② 清掃工場整備計画を見直します。

清掃工場の建設・整備は、地元・周辺地域の住民との話し合いで理解と合意が得られることが不可欠です。そのなかで、施設規模についても、ごみ減量の目標設定とその達成にむけたとりくみのあり方、などの検討のなかで市民的な合意を得ることが大事です。

ごみ減量の各施策を強化し、分別・資源化を徹底すれば整備規模500トンは必要ありません。ごみ削減目標30%を徹底すれば、市全体の施設規模は770トンに、西ヶ谷清掃工場は170トンに規模縮小が可能となります。

当局は整備規模500トンの根拠をH28年の焼却処理量を810トンと過大なごみ排出を想定し、しかもごみ減量計画に沿ってもいない焼却処理量を想定し、その数値をもとに算定しています。

 

焼却処理量810÷(280÷365)÷0.96=全体施設規模1100

1100-600(沼上清掃工場)=西ヶ谷清掃工場整備規模500

これにたいして、わが党市議団が、収集ごみと直接搬入ごみの30%減量目標により試算すると以下のようになります。

H28年に、ごみ30%削減を徹底すれば市全体の焼却処理量は567トンに、市全体の施設規模は770トンに、西ヶ谷清掃工場は170トンに半減縮小となります。また当局の設定目標(伸び量から収集ごみ10%削減、直接搬入20%削減)に照らして算定しても施設規模は932トンに、整備規模は332トンと現在の400トンより規模縮小が可能となります。

567÷(280÷365)÷0.96=770

770-600=170

 

③ 灰溶融炉の設置は反対します。

市は、灰溶融炉を西ヶ谷清掃工場に併設する方針です。しかし灰溶融については、

イ、04年稼動後3ヶ月で爆発事故を起こし安全性が確保されていない。再稼動しても処理量は計画の37%に過ぎず、設置目的を果たせていない

ロ、重金属類を含むスラグ利用は新たな環境問題を引き起こす

ハ、建設費、運転コスト増に対し、溶融による容積縮小はわずか3分の1に過ぎない

などのことから現時点ではデメリットが多く、沼上灰溶融施設は安全性を優先し、新たな設置に反対します。

 

④ 蒲原の清掃工場は存続します。

災害時の対応の必要性もあり、段階的縮小ではなく存続します。

 

⑤ 吉津地域の不法投棄産廃を撤去するために、行政による代執行を行います。

 

                               以上

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