◯4番(鈴木節子君) 通告に従い、最初に生活保護行政について質問します。
昨年秋以降の経済危機のもと、雇用破壊が進み、4月の完全失業率は5.0%にもなっています。派遣切りにより職を失い、あるいは病気や親の介護で失業し、家賃が払えないために住まいまで追い出される人も後を絶ちません。生活保護の申請、保護開始件数は増加をし続けています。生活を守る最後のとりでとしてセーフティーネットの機能を強化させることが求められています。
私は、内田議員と同じように、生活保護行政について、そのうち、特に職も住まいも失い、緊急に支援しなければならない人への対応について質問します。
1点目に、まず実態を伺いますが、解雇、廃業、親の介護など、さまざまな理由で失業し、住まいまで失った人の相談、申請、保護開始の実態と動向はどのような状況か伺います。
2点目に、決定の期日についてです。先ほど、全体の保護申請について七百数十人のうち約200人が14日以内ということでしたが、職も住まいもない人は困窮をしています。そして、保護決定の法定期限は14日です。この期限内に決定がなされているのかどうか、また、これの期限を超過しているとしたら、その理由はなぜか伺います。
次に、子供の医療費助成について質問します。
小嶋市長は、子ども医療費助成について、今、戦われている県知事選の候補者に対し、告示前に要望書を提出され、特に懇談もされていると報道がありました。県下の市長会の長として、全体の長として、どのような趣旨で、どのような要望をされたのか。新聞報道では、今まで要望していたが、なかなか実現しなかったことを特にこの日に要望させていただいたという報道がありましたが、その観点で、どのような趣旨でどのような要望をされたのかを市長にお答えいただきます。お願いします。
2点目に、経済的負担なく受診できることが多くの親の願いです。先ほど、午前中の質問に対して、保健福祉子ども局長が報告されました市民アンケート結果、このことだと思いますが、これによりますと、医療費の負担が特に重いと。特に、小学校に入学してからの子供さんを持つ親からの声が大変強い要望があることがわかりました。
市は、子育て応援策として、この助成制度拡充について、この間、どのような検討をされてきたのかを伺います。
以上、1回目です。
◯市長(小嶋善吉君) 市長会として、今回の知事候補予定者に要望したことについての質問にお答えいたします。
新聞等で報道されているとおりでございます。今回、県知事選挙という重大な時期をとらえ、特に、知事が交代されるという、そういう機会をとらえて、県内の各市町が抱える課題について候補者に知っていただき、今後の県政に反映していただくように、乳幼児医療費助成制度の抜本的見直しと医師確保対策と、建設事業等における市負担金の廃止を求める意見書を6月12日に県市長会から4人の候補者に直接提出をいたしました。
このことについては、石川前知事がおやめになるという後の市長会の席において、ぜひ今回はこういうことをしようという意見になりました。まとめ役を私がやりました。県下の23市の市長からそれぞれ、実はたくさんの要望事項が参りましたけれども、その中で、最大公約数で、しかも、当然、県の責任においてするべき、出すべき事業に絞って、常日ごろ市長会として県に要望していることでなかなか実現しなかったことを、この際、焦点を絞って提言をしよう、そして必ず実現をしていただこう、そういう趣旨で、今まで選挙に当たって、こういうことは初めてだと思いますけども、特に今、分権の話をされていますが、都道府県と市町村との分権の話も、これは大事な話でありまして、そういう観点からいろいろ考えた末、意見を調整して、このような内容を入れさせていただきました。
まず、乳児医療費については、常日ごろ県下の市町村長からは、各市町村、実はばらばらなんです、内容がですね。それと、負担も、政令市は3分の1、他の市町は2分の1とか、いろいろ差があるというのはおかしいと。したがって、県民がひとしく同じサービスが受けられるようにするには、県が直接県民にサービスを行う、県民に直接かかわる制度とするということが一番いいであろうということで、こういうふうになりました。
あわせて、県民が受けている行政サービスが後退しないように、所得制限や自己負担金の撤廃、所得制限も、覚えていらっしゃると思いますが、かつて県は撤廃しておりましたが、3、4年前に所得制限をまた復活させました。それを県内の各市町村は、その所得制限撤廃を、引き続いて自分の責任でやったところとそうでないところと、両方あります。そういうふうに違っているということ。我が市は、所得制限を撤廃して、県から引き継いで負担をしてやっているということが続いておりますが、それが財政事情でできないところも実はあるのは事実であります。そういうことがないように、さらに対象を中学3年生までとするとか、対象経費の拡大、拡充を図る、これを県の責任においてするべきであるということを意見書として提出をいたしました。
これは、我々が考えて考えて、当然、県の責任においてすべきことであるということでお話をさせていただきましたが、我々としては、各候補者すべて理解をしていただいたというふうに思っております。7月5日、どなたが知事になるかわかりませんけれども、議会の皆さんにおかれましても、それぞれ一番近い候補者に、県の市長会の会長がそう言っていたということをぜひ皆さんの口からも伝えていただきたいというふうに思います。
あと、建設事業費の市負担金も、これも当然のことだというふうに我々は思っております。県の責任で行っている事業に対し市町村の負担を設けるということは、例の国の直轄事業費の負担金と同じことでありまして、これも当然だというふうに思っておりますので、これにつきましても、議会の皆さん、ひとつよろしく御支援いただきたいと思います。
以上であります。
◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護行政及び子ども医療費の助成につきましてお答えいたします。
最初に、経済不況の中で、雇用、廃業等により失業し、住まいを失った人の生活保護の相談や申請の状況ということですが、昨今の経済情勢、とりわけ雇用情勢の悪化に伴い、本市における生活保護の相談、申請ともに増加傾向にございます。失業により職と住まいを同時に失い、生活に困窮して相談に来所するケースは少ないですが、住まいはあるが、失業等により収入が減少して生活に困窮し、相談に訪れるケースはふえております。
次に、職や住まいを失い保護申請した人に対し、法定期限内に保護決定ができているのか、また、期限を超えて決定したのはどういう理由かということでございますが、職や住まいを失い保護申請をした人に対しては、必要な審査を行った上で、法定期限内に保護決定ができるよう努めております。
なお、法定期限を超えて決定したものは、資産調査、扶養義務調査等に日数を要したためでございます。
次に、子ども医療費助成についてですが、通院費の全額補助、助成年齢の引き上げ等、子育て支援としてどう検討しているかということですが、医療費助成制度につきましては、子育て支援策全体の中で検討しており、平成20年4月より、負担の大きい小中学生の入院費について拡充を図ったところでございます。
さらに、通院の助成年齢の引き上げを市単独で拡充した場合、多額な経費が必要なため、国や県に対し財政措置などを要望しているところでございます。
以上でございます。
〔4番鈴木節子君登壇〕
◯4番(鈴木節子君) 市長、まず、答弁ありがとうございました。市長の考えについては大いに共感します。ここの点については、はっきりと同意しておりますので、今後は一緒にやりましょう、頑張りましょう。
では、生活保護のほうを最初に質問いたします。
戦後最悪とも言われる経済不況のもと、まじめに働いても、ある日突然、派遣切りに遭い仕事を失う。また、減産により仕事量を減らされ収入が激減する。ハローワークに通って仕事を探しても、就職できないでいるうちに、アパートの家賃が払えずに住まいを失う。仕事を探して、住所不定のまま転々とするなど、手持ち金もなく住まいもない、そして生活に困窮する人は、今後、増加傾向にあると思われます。
今晩寝る場所がない、住まいがないと差し迫った状況に追い込まれた人に対し、昨年暮れの年越し派遣村での取り組みは全国に貴重な成果を生み出しました。例えば、住所不定でも申請させ保護を適用する。申請から保護開始、保護費支給までを即日もしくは2日から4日で実施する。手持ち金がない人には、保護開始まで、自治体の緊急つなぎ資金の貸し付けを行う。また、働く能力があっても働く場が得られない場合は、生活保護を適用するなどです。
本市の対応も、こうした方たちへの対応、大変前進した面が多々ありますが、住宅確保については、本人が直接物件を探して、本人が契約にこぎつけなければ保護開始となりません。本人の自助努力に任されているのが現状です。しかも、保護開始は、住居が確保されたとき以降に行うことになっているため、住居確保が困難な人は、それがハードルとなって保護に結びつきにくい状況となっています。
厚生労働省は、こうした中で3月、職や住まいを失った方々への支援の徹底についてという通知を出し、取り組みの徹底を呼びかけました。住居確保については、不動産関係団体と連携し、住居を失った人や保証人が得られない人にアパート等をあっせんする不動産業者の情報を収集するなど、必要に応じ、住居に関する情報を提供できるよう仕組みづくりに努められたいと各自治体に通知をしました。
1点目に、この厚生労働省の通知を受け、本市では住宅確保に向けどのような取り組みをされているのか伺います。
次に、職も住まいもない人がまず必要としているのは、ゆっくりと体を休めることができる住居です。保護決定までに14日以上かかり、法定期限を過ぎた理由として、資産、預貯金の調査や親、兄弟、親類が扶養できるか、調査に日数を要したためという答弁でした。資産があるかないかについては、所持金数百円で貧困状態に陥った人が、預貯金を隠し持っていることはほとんどあり得ません。親類への扶養調査も、申請者と親族関係にある人に対し、交流関係の有無に関係なく扶養が可能かを求めていますが、親族内での扶養にはもう限界があります。扶養の可否を保護の要件とするため、調査に日数を費やし、困窮状態にある人が何日も待たされています。
また、働く能力があっても、働く場所が得られない場合は保護が開始されていますが、その見きわめに14日以上を費やしています。保護受給要件は、稼働能力を活用していることという行政解釈のもとで、稼働能力を活用していると認められなければ保護は受給できないことになっています。そのため、就労可能な、まだ若いとか、稼働能力があるということだけで、生活困難者の保護開始が制限されてきています。
この問題を解決するためには、就労の場がなかなか得られない今日の雇用情勢のもとで、能力を活用しようにも活用しようがないという状況にあると判断し、生活困窮者をひとまず保護開始し、最低生活保障を開始することを最優先にすべきではないでしょうか。そのためにも、申請、決定、支給までの手続を迅速に行うことが必然でもあります。その見解を伺います。
次に、子ども医療費助成について。
県に対していろいろ同等のサービスを、施策をせよというのは、確かに私も同感です。そして、それについて、それができるまで市の施策について、先ほどから大変多額な予算がかかると言われています。今、親御さんたちからの要望は、小学校に入学してからも通院費は大きな負担となって家計を圧迫している、こういう声が多いし、子供さんを2人、3人産みたくても産めない、その理由として、養育費に経済的な負担がかかり過ぎる、こうした声を上げている方が大多数です。
そこで、それを解消するために予算の使い方をどこに置くかが問われていますが、この通院の助成対象を現在の就学前から拡充し、通院も入院と同じように中学3年生まで助成した場合の必要額、試算額を伺います。
以上、2回目です。
◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護行政の2点の質問と子ども医療費の助成についてお答えいたします。
最初に、住まいを失った人への住まい対策でございますが、福祉事務所の窓口では、住まいを失った人に対しまして、必要に応じて低廉な家賃や保証人不要の賃貸物件を扱う不動産業者などについての情報提供を行っております。
次に、職も住まいもない人に稼働能力の活用を指導するよりも、申請から決定までの手続を早く行い保護を開始すべきではないかということでございますが、保護の申請から決定に当たっては、国の通知に基づき、資産や稼働能力等の調査を含め、迅速かつ適切な処理に努めているところでございます。
また、保護決定までの間、生活に困窮する方につきましては、緊急援護金を支給し、生活の援助を行っているところでございます。
次に、子ども医療費の助成についてですが、通院の助成年齢引き上げで中学卒業まで助成した場合の試算額ということですが、平成21年度の子ども医療費の予算額は約11億円でございますが、現在の医療費助成制度のまま、市単独で通院の対象年齢を中学卒業まで拡大した場合は、さらに約10億円の予算が必要ではないかと試算しております。
以上でございます。
〔4番鈴木節子君登壇〕
◯4番(鈴木節子君) 3回目の質問は、職も住まいも失った方への対応について厚生労働省が通知を出しましたので、それに沿って、本市の取り組みの具体策を伺っていきます。
まず、福祉事務所の体制整備です。
今でもケースワーカーさんの過重、大変な御苦労があるというのは承知をしております。先ほども御答弁がありました。今後も、この生活困窮者や生活保護受給者は増加傾向が予想されますが、これに伴って福祉事務所の事務量も増加をします。現在、ケースワーカー担当、平均でも1人104件です。これはどういう数字かというと、厚生労働省が示している1人当たりの担当上限数は80件です。それが平均でも104件、多い方は130件を超える方もいらっしゃるのではないでしょうか。こういう中で、ケースワーカーさんの担当件数が大変多くて過重負担となっています。
こうしたことに対して、厚生労働省は、人員体制の整備についてこう言っています。面接相談や事務補助のために、非常勤職員による支援で体制を整備するよう呼びかけ、財政的支援も実施をしています。国が財政支援を実施して、自治体に体制整備をせよと示し、職員の過重負担を解消でき、ひいては保護を必要とする人に迅速な対応が可能となるのです。
先ほどの答弁では、非常勤職員で対応するということでしたが、まだまだもう少し積極的な対応が必要ではないでしょうか。この見解をお聞きします。
2点目に、支援を必要とする人たちに、行政が積極的に出向く姿勢についてです。
昨年暮れの年越し派遣村の取り組み以降、各地で民主団体やボランティアの自主的取り組みで街頭相談会や深夜の巡回が始まっています。この取り組みで、本市でも困窮している人が、生活支援課の窓口にたどり着き、支援が開始されたケースは多数あります。行政が実態調査とあわせて巡回相談や健康相談を行っている、これは承知をしていますが、さらに積極的に出向き、個々の実態に応じた相談を受ける姿勢を示すべきではないでしょうか。こうした職も住まいもない方たちは、勇気を奮って、市役所の中に入ってくることさえ1人ではできません。そうした方たちの中に行政がみずから入っていくという姿勢が必要ではないかという提案です。
3点目に、緊急一時宿泊所についてです。
住まいも職もない人が、申請後、行政からチェックされるのが、稼働能力を活用しているかどうか、働く意思があるかどうかです。そのために、毎日ハローワークに通っている証明の提示を求められ、就職活動を真摯に行っているかが見きわめられます。
しかし、住まいも手持ち金もない人が、面接試験を受けようにも、身支度を整えるためのシャワーを浴びたり、衣服を洗濯したり、アイロンをかけたり、荷物を預ける場所もありません。路上で長い夜を過ごし、朝と同時に就職活動に向かいますが、その身支度をする場所もない。しかし、行政からは、まじめに求職活動をしていることだけが厳しく問われる矛盾した指導が繰り返されています。
また、面接会場への交通費やクリーニング代、ネットカフェの出費、これは、先ほど答弁があった緊急援護金、1人2万円ですぐになくなってしまいます。そのために食費を削ってしのいでいます。せめて一時宿泊所があれば、就職活動に専念でき自立への支援につながるのではないでしょうか。厚生労働省も、一時宿泊所など緊急避難所の整備を促していますので、この通知に基づいた本市の方針を伺います。
次に、子供の医療費助成についてです。
先ほどの答弁では、通院も中学3年生まで無料にするためにはあと10億円ということでした。昨日からの答弁では、本市の財政に大きく影響するという後ろ向きの答弁でしたが、財政の使い方は、どこに使うかが基本です。先ほど、保健福祉子ども局長の答弁でも、市民は医療費助成拡充を望んでいると答弁されました。市民要求の高さを認めておられます。アンケートによりますと、通院の対象年齢を引き上げてほしい、これがお母さんたちからの圧倒的な声です。こうした声にこたえることこそが、自治体の役割ではないでしょうか。
◯議長(近藤光男君) 質問は、あと1分で終了してください。
◯4番(鈴木節子君)(続) 財政に大変大きな負担がかかると言いますが、お金の使い方をどこに使うのか、これが今こそ、この静岡に問われております。すぐにとは言いません、通院の助成対象を段階的に引き上げる。当面は小学校卒業まで、そして、中学3年生までのこの助成対象、多くのお母さんたちの願いです。この段階的に引き上げ、子育て支援策を拡充するというこの姿勢については、ぜひとも前向きな御答弁をお願いしまして、質問を終わります。
◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 生活保護行政の3点と子ども医療費の助成についてお答えいたします。
最初に、法定期限内の保護開始やケースワーカーの担当件数の軽減を図るためにも、国の事業を活用して福祉事務所の体制整備を行うべきじゃないかということでございますが、今年度から、各福祉事務所に高齢者世帯を担当する訪問支援員を1人ずつ配置して、ケースワーカーの負担を軽減し、保護世帯に対する細やかな支援が行えるよう体制整備を図ったところでございます。
さらに、昨今の相談申請件数の増加に対応するため、国のセーフティーネット支援対策事業を活用し、今年度中に面接相談や生活保護の調査を行う非常勤嘱託職員5名を新たに配置する予定でございます。
次に、職や住まいを失った人に対して、市がみずから街頭に出向き、その要望、相談に応ずべきじゃないかということですけども、本市では、ホームレスの自立支援を図るため、ホームレスが多く起居する場所を中心に巡回相談を実施しております。この巡回相談の中で、今回の経済不況により職や住まいを失った人から相談があった場合には、福祉事務所への来所を促すなど必要な支援を行っております。
次に、職や住まいを失った人が自立した生活ができるまでの間の一時宿泊所等の整備についてでございますが、職や住まいを失った人のうち、緊急的に一時保護を必要とする人については、静岡市救護所などで対応できるよう検討しているところでありますので、新たな施設を建設するということは、現時点では考えておりません。
最後に、子ども医療費についての段階的引き上げで支援をということですが、先ほども御答弁させていただいたとおり、通院医療費の助成対象の引き上げについては相当の経費がかかりますので、今後も引き続き、国や県に対して財政措置等を要望していきたいと考えております。
以上でございます。