日本共産党静岡市議団(山本明久団長)は27日、川勝県知事が全国学力テストの結果を公表したことに対し、県教育委員会に抗議と要請を行いました。
教育の目標は学力向上だけでなく、子どもたちが人格形成を図っていくことにあり、結果公表は学力テスト実施要領に反しているばかりでなく、学校の序列化・点数主義に結びつき、教育現場にも無用の混乱を持ち込んでいると指摘しています。
応対した輿水まゆみ学校教育課長は、市議団の要請の趣旨にはまったく同感であるとした上で、教委として現場の教師が子どもたちに愛情をもって教育に臨んでいけるよう取り組んでいきたいと表明しました。また教育委員会としては知事が実施要領を順守すると言明したことからデータを手渡したことも明らかにしました。市議団としても一致できる課題は大いに協力していきたい旨表明しました。
◇要請文は以下のとおりです。
2013年9月27日
静岡県教育長 安倍 徹 様
日本共産党静岡市議会議員団
団 長 山 本 明 久
全国学力テスト結果の扱いについて(要請)
本年度実施された全国学力・学習状況調査(いわゆる全国学力テスト)の結果について、川勝静岡県知事は9月20日、本県の小学国語Aの評点が全国最下位だったのは、教員にその責任があるとの理由で、上位から86校の校長名を公表しました。全国でも他に例がないとのことです。
17日には県教育長、教育委員らが県教育委員会の総意として校長名を非公表とするよう要請しましたが、これを拒否したと伝えられています。
学力テスト実施要領では、「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに・・・学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。」とその目的をうたっています。学力テストの結果はこの目的に沿ったものに活かされなければなりません。教育の目標は、学力向上だけでなく、子どもたちがさまざまな機会を通じ人格形成を図っていくことにあります。そのために、教育に携わる方々が協力して進めていくことが求められます。今回の公表は、その責任を教師にのみ負わせる短絡的なものだと言わざるを得ません。また公表すべきではないという県民世論にも反したものになっています。
当初表明していた下位から100校の公表を上位からに変更したとはいえ、公表することはこの目的に沿わないばかりか、学校間の競争を煽ることに繋がらざるを得ず、教育現場にも無用の混乱を持ち込むことになっています。知事は校長名と学校名は違うから実施要領にも違反しないとしていますが、それが通らないことは言うまでもありません。現に静岡新聞は、校長名だけでなく独自の調査として学校名を報道しました。
また公表することによりどのような教育効果が生ずるのか、知事の口からは明らかにされていません。今県民が県行政の最高責任者である知事へ望むことは、さらなる少人数学級の実現や教育環境の整備を進めることです。
川勝県知事が行った今回の公表に対し厳重に抗議するとともに、教育委員会としても学校の序列化・点数競争主義に陥らないよう取り組まれることを要請します。