「生活保護に関する意見書」について提案理由の説明

カテゴリー:

DSC_0510◯2番(寺尾 昭君) 発議第12号生活保護に関する意見書について、提案者であります日本共産党議員団5名を代表いたしまして、提案理由の説明を行います。

去る6月26日、通常国会最終盤で、参議院において安倍晋三首相の問責決議案が可決されたわけです。

この影響があって、生活保護法改正案も廃案となりました。この10月から始まる臨時国会に再提出をされるということで聞いております。

この改正案、問題点が少なくありません。改正案の趣旨は、今日の社会情勢に対応した制度とするために、被保護者の社会的自立の助長をより促進し、生活保護の適正化を図る云々というようなことで目的が書かれております。しかし、その内容を見ますと、生活保護費の削減をいかに図っていくか、これが主要な目的になっていると見られるわけであります。

まさに被保護者の実情を無視したと言いましょうか、全くかけ離れた対応策を進めていこうというところに問題があるわけであります。例えば、期間を設定した集中的かつ強力な就労支援制度を進めるとしております。被保護者がこの当該措置に真摯に参加し、事を速やかにできるように努めることを義務づけているわけであります。

働くことは、本人の自主性、自発性が発揮されてこそ、本来の趣旨が生きたものになるわけであります。しかし、強制に当たるようなことがないのか、大変危惧がされるわけであります。

また、扶養義務者の資産及び収入の状況等について、関係者に報告を求めることができるとも書かれております。これは被保護者の実情を無視したものと言えるものではないでしょうか。

また、これに正当な理由なく回答を拒否したということになりますと、過料を科すというようなことにもなっており、まさにこれは強制そのもの、こういうことが問題解決に本当に結びつくのか、疑問であります。

医療費についても、一部負担を課すということであります。これもまた、被保護者の実態を無視したものと言わざるを得ません。

不正受給についての問題、これもさまざまに議論をされているわけでありますけれども、その額を見ますと、全体の1%にも満たないという額でありますし、またその多くは、いわゆる意図的なものとは言えない、うっかりミスというような、そういうものになっているわけでありまして、つまり悪質と言われているこの不正受給というものは、ほんの一部分、一握りとも言えるということ、これもまた、明らかになっているわけであります。それが決していいと言っているわけじゃございませんですけれど。それは悪質なものは悪質なものとしてしっかり対処する、これは当然でございます。

また、いわゆる捕捉率の問題も、これまたこれまで議論をされておりますけれども、我が国の場合は2割程度、ヨーロッパ諸国などが、8、9割というような捕捉率、これに比べますと、日本の場合は、まだまだこれからの対応が必要だということになるわけです。

この法律の改正を待たずして、8月からこの生活保護基準が改悪をされる、そしてこれが既に実施をされたということになっており、支給額が削減をされました。今後3年間で平均6.5%の削減、そして、これに該当する世帯は、保護を受けている世帯の96%に該当するということであります。生活実態を余りにも無視したものじゃないかということで、今、全国から怒りの声が上がっておりまして、行政不服審査請求が起こされている。全国では、今、数万人規模になっているということであります。

生活保護制度は、憲法第25条で保障している生存権、最低限のいわゆる最後のセーフティネット、言うまでもありません。これをさらに引き下げるということは、これはやっぱり軽々にやるべきことではないということではないでしょうか。

また、この生活保護法の改正案、憲法にも抵触するおそれなしとは言えないのではないでしょうか。被保護者のこの実態、実情を考慮しないで、また、今、保護を受けている方々の意向にも反しているということでありますし、そして、この法改正というのが、本来の意味で、本当の意味で生活保護を受けている方々の自立を促す、こういうものに本当に結びつくのか、考えていく必要があるのではないでしょうか。

静岡市議会として、憲法の精神を生活保護行政にしっかりと根づかせるために、これ以上の削減を行わないために、生活保護法の改正は行うべきではないことを意見書として国に提出できるよう、議員諸兄の賛同をお願いして、提案理由の説明といたします。