◯39番(山本明久君) 私は、日本共産党市議団を代表いたしまして、議題となりました発議第14号認定こども園の認定権限の移譲を求める意見書案に対する反対討論を行います。
反対理由は、意見書案では、子ども・子育て支援新制度について、質の高い学校教育・保育を総合的に提供するため、幼稚園と保育所のよさをあわせ持つ認定こども園の普及を進めることとしておりますけれど、私たちは、そうした認識ではないということです。
私たちは、新制度とそのもとでの認定こども園につきましては、制度設計を含めさまざまな問題点を持っているという認識であり、意見書案のような評価は受け入れることはできません。施設の認可基準や運営基準、保育の必要性の認定などについては政省令待ちという局面ですけれど、問題点の第一は、この新制度の仕組みが市町村による保育実施責任に基づく保育所保育と、認定こども園などその他の施設における保護者との直接契約制度が併存するという仕組みが前提になっているということです。そうしたもとでは、保育を必要とする全ての子供に、格差を生まずに保育を保障できるかどうかということが明確になっていないことです。大きく後退する危険すらあります。
問題点の2つ目は、今回の補正で上がったシステムも関係してくると思いますが、認定によって保育時間に上限が設定され、子供にとって必要な保育が受けられなくなるおそれが出てくるということです。コンピューターによる判定は、介護保険の一次判定の仕組みのように、例えば親の就労時間によって短時間保育と標準保育の保育時間設定の区別がされていくと思われますが、それらは本当に子供の生活や発達の保障にとって必要な集団保育が成り立つ8時間保育が保障されなくなるおそれが出てきます。
さらに、3つ目の問題点は、新制度において、本市が目指すように幼保連携型認定こども園に私立も含めて全ての施設が移行しないということになれば、市内において施設や事業が多様化するもとで、保育基準や保育条件にどうしても格差が生まれてくるということです。
4点目には、保護者の保育料負担が増加するおそれ、また反対討論でも言いましたように、参入企業へ支給された公費が企業内の保育事業以外の事業に回されるおそれがある仕組み、運営費補助金の制度変更によって従来水準から後退するおそれがあること、また、これも反対討論で述べましたが、待機児解消にも効果があるかどうか不明であるという一連の問題です。
今、示したような解決すべきさまざまな問題を抱えた新制度について、我が党市議団は改善できることは改善していくという問題意識を持って対応すべきだと考えています。その際、多様な施設や事業の併存を前提にした新制度において、権限を県から政令市に移譲すること自体は反対するものではありません。
しかし、残念ながら、提案者がこの新制度の評価についてこだわり、調整しようとしない立場にこだわったわけで、我が党市議団は評価の違いがあるなら、それを脇に置いて、一致する点で意見書をまとめるという立場でした。しかし、結果、新制度についての提案者側の評価が記載されたままの意見書案全体に対しては、今、指摘したような立場から反対をするものです。
以上、反対討論を終わります。