全国学力・学習状況調査(学力テスト)の廃止を求める意見書 全国学力テストは、かつて 1,960 年代に「全国中学校一斉学力調査」として実施されたが、学校や地域間の 競争が過熱したことにより、1964 年をもって全員調査を中止した経緯がある。それを 2007 年度から「教育に 競争は必要だ」という立場から、全国学力学習状況調査として復活したものである。 文科省は、実施要綱において全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課 題を検証し、その改善を図ることを目的としている。しかし、文科省自身が都道府県ごとの平均正答率を公表し、また今年度から教育委員会による結果公表を 可能にする改変をおこなったことで、序列化・点数競争をあおるような事態が広がっている。静岡県において は、県知事が要綱から逸脱して学校校長名まで公表する事態を生んでいる。これは教育行政への不当な介 入だとの批判が全国から上がっている。 調査・テスト結果を指導の改善に生かすというなら、結果を公表する必要はない。いま、当初から心配されていたこれら弊害が現出し広がろうとしている下で、全国学力・学習状況調査を行う必要もない。 いま教育に求められていることは、テストの点数を上げることに目を奪われることではなく、全ての子どもに 基礎的で豊かな知識を身につける取り組みに努力をそそぐことである。そして教育行政はそのための教育諸 条件を整備し、政府および自治体は必要な教育予算を確保し増額することである。 よって政府においては、本調査(学力テスト)を廃止するよう求めるものである。以上、地方自治法第 99 条の規定により、意見書を提出する。
〔提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣〕