◯2番(寺尾 昭君) おはようございます。
それでは、3日目になりました。総括質問をさせていただきます。
この議会に放課後児童クラブの条例、「静岡市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例」が上程されております。
私は、ことし6月の議会でも、この問題について質問をいたしました。新たにこの議会に条例が提案されておりますので、その状況のもとで、質問をしたいと思います。
放課後児童クラブは、共働きやひとり親家庭の小学生の放課後の生活を継続的に保障することを通して、親の働く権利と家族の生活を守るという目的、役割を持つ事業、施設です。
児童福祉法第6条の3第2項では、共働き、ひとり親家庭等の小学生に「適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう」と規定されております。
これまで、本市では、放課後児童クラブについては、条例上の規定はありませんでした。言いかえれば法的根拠がないと言ってもいいわけであり、そういう状態で運営されてきた。国が子ども・子育て支援新制度を進めるに当たって、放課後児童クラブについても、新たに設備及び運営の基準を定めたことに伴い、今回この条例を提案したものであると考えております。
提案された条例をごらんになっていただきますと、国の基準をそのまま引き写しということになっており、残念ながら本市の独自性や優位性を、その中に見出すことができない条例になっているわけです。
本市の現在の水準は、国が示している基準よりも上回っている内容もあるわけでありますから、せめてその水準をこの条例に盛り込むことが可能ではなかったかと私は考えるわけです。
今まで指導員と言われておりましたのが、今度は支援員という名前に変わるわけです。支援員に対しては後ほど触れますけれども、非常に高い資質を求めているわけです。しかし、今回の条例では、身分や処遇の改善については、触れていない状況になっております。
私たち共産党市議団は、新制度が発足するときこそ、抜本的改善の機会だと考えまして、認定こども園にかかわる条例の改正案を既に提出しておりますけれども、これとあわせまして、放課後児童クラブにかかわる条例についても、修正案を提案することになっております。
このような趣旨から、当局提案の条例について、以下、質問をしたいと思います。
小学生の1日の生活は、学校と家庭の生活が基本サイクルということになるわけです。放課後は、子供たちは家庭に帰ることになるわけですが、両親の多くが働いていることで昼間は家庭にいないことになります。
放課後児童クラブは、集団生活を過ごしながらも、家庭生活の要素も取り入れて、安心して放課後の生活を過ごすことができる施設として、大きな役割を果たしてきたわけです。同じ学校の施設を使っている施設も少なくないわけですけれども、決して学校生活の延長というわけではないわけです。その役割を果たし、大変苦労をされてきたのが放課後児童クラブの指導員と言うことができるわけであります。
新制度になって大きく変わるものの1つが、対象児童が小学6年生までになるということです。当然のことながら、支援員の大幅増員や施設の拡充など、受け入れ体制の整備が必要になってくるということであります。
そこで、質問をいたします。
まず放課後児童クラブの目的をどのように考えているか、改めて伺います。
そして、小学生全児童を対象にしたことになっておりますが、これはどのような趣旨からか、まずこの2点を伺います。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 放課後児童健全育成事業の目的等についての2点の御質問にお答えいたします。
放課後児童クラブの目的についての御質問ですが、放課後児童クラブは、就労等により、保護者が昼間家庭にいない小学生に、授業終了後、校内や近隣の施設において、遊びや生活の場を提供し、その健全な育成を図ることを目的に実施している事業でございます。
次に、新制度施行により、放課後児童クラブの対象が小学生全児童となる趣旨についてですが、いわゆる小4の壁が指摘されてきた中で、現に4年生以上の児童も利用している状況を踏まえ、全ての小学生が対象となることを法律上明確にしたものと聞いております。
◯2番(寺尾 昭君) それでは、条例案の内容について少し伺っていきたいと思います。
第3条では、市長は、放課後児童健全育成事業者に対し、「最低基準を超えて、その設備及び運営を向上させるように勧告することができる」とうたっております。
第4条では、「事業者は、最低基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させなければならない」とし、同条第2項では、「最低基準を理由として、その設備又は運営を低下させてはならない」としています。
つまり、この条例案で規定しているのは、あくまでも最低基準ですよということなんですね。ですから、この基準のままで、よしとしているわけではないということです。
例えば専用区画の面積は、児童1人につきおおむね1.65平方メートルとしておりますけれども、他市を見てみますと、それ以上にしている例も見られるわけです。したがって、これはさらに広げる必要もあるではないか。
また、放課後児童支援員の数を支援の単位ごと2人として、そのうち1人の補助員は資格が要らないとなっているわけですけれども、これらもやはりしっかりした資格を持った人にしていくべきではないかと。
そこで、お聞きしますけれども、まず、基準条例案に照らし合わせた場合、静岡市の現状はどうなっているのか、お聞きします。
そして、条例の趣旨を生かして、今後、市として最低基準を向上させていく考えはあるのかどうか、この点をお聞きします。
さらに、支援の単位を構成する児童の数を40人以下としておりますけれども、これは基準をよくしていくということで、35人以下ということで私たちは提案しておりますけれども、この点はどうか。
さらに、条例案第7条では、「支援に従事する職員は、健全な心身を有し、豊かな人間性と倫理観を備え、児童福祉事業に熱意のある者であって、できる限り児童福祉事業の理論及び実際について訓練を受けた者」と、この支援員に対して大変高い資質を求めているわけであります。
子供を預ける親にとってみれば、そういう支援員がしっかり指導してくれるというのは、大変うれしいわけですけれども、これまで放課後児童クラブの指導員は全員非正規採用で、給与は決していいとは言えない状況です。子ども・子育て支援法の附則では、支援員の処遇改善についてもきちっと規定されております。
これらの趣旨を生かして、支援員について、ふさわしい処遇にすべきではないかと考えますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
2回目です。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 放課後児童クラブ基準条例案の3点の質問についてお答えいたします。
基準条例案に照らし合わせた場合の静岡市の現状ですが、現在市内にある76の児童クラブについて、おおむね条例案の基準を満たしているものと考えております。
今後、最低基準の向上についての考え方ですが、本市においては、待機児童がいる現状を踏まえ、国の定める基準を最低限守るべき基準とし、待機児童の解消に努めてまいります。
今後も現行の実施内容を低下させることなく、さらにそれを上回る努力をしてまいります。
次に、放課後児童クラブにおける支援の単位を構成する児童の数については、本市の実情に国の基準と異なる基準とすべき事情、特性はないことから、国で示す参酌すべき基準であるおおむね40人を、本市の基準とすることが適当であると考えます。
次に、放課後児童クラブにおいて支援に従事する職員、放課後児童支援員の処遇についてですが、本市としては基準条例案においても、放課後児童支援員に高い資質を求めているところであり、その果たす役割は大きなものであると認識しております。
現在、放課後児童クラブの職員は、各運営受託者が雇用し配置しており、これまでも委託料算定における賃金単価の引き上げや主任手当の創設など、処遇改善につながるよう努めてきたところです。
今後、放課後児童クラブの質、量ともに拡充を図っていく中で、高い資質を持つ放課後児童支援員の確保は必須であり、その確保策について検討していきたいと考えております。
◯2番(寺尾 昭君) お答えいただきましたけれども、ぜひまた具体的に成果を見せてほしいと思います。
3回目であります。今後の事業推進についてお聞きいたします。
市として、2015年度から5年ごとの放課後児童クラブの整備計画を含めた子育て支援策についての数値目標をつくり、それに向けて取り組むことが求められています。
まず、お聞きします。
子ども・子育て支援事業計画での整備計画はどうなるのか。計画の最終年を待たずに、早期に達成を図るべきではないかと考えますが、この点についてどう考えますか。
放課後児童クラブの施設は、多くの場合、学校の空き教室なども使っています。児童クラブと学校は、管轄が違うわけです。これまで聞いたところによりますと、言い方は悪いですけれども、学校側は使うことを余り喜んでいないというような雰囲気があると聞いております。
もちろん、けじめはつけつつも、学校にいても、児童クラブにいても、同じ子供が、授業時間と放課後時間を過ごしているというわけでありますから、子供にとっては対立をしてもらうような問題ではない。今後6年生まで対象になるわけですから、施設の拡充という面から、学校とのかかわりは、さらに必要になってくるんじゃないかと思います。
そこで、今後、学校との連携をどのように進めていくのか、考えをお聞かせください。
放課後児童クラブの利用対象者を6年生まで広げるということであります。当然、施設を拡充し、支援員を増員することになるわけです。この放課後児童支援員の確保対策を具体的にどのように進めていく考えか、この点についてもお聞かせください。
次に、旧静岡市、旧清水市、旧蒲原町など、同じ放課後児童クラブでありますけれども、制度が若干違うんですね。合併12年、政令市10年というような状況を迎える中で、この辺の運営の状況や制度の内容を統一していく必要もあるのではないか。それぞれ経緯があって、今日の水準になると思いますが、合理的な統一方法があると思います。どのように考えますか。
次に、事業運営主体の問題です。放課後児童クラブは、子ども・子育て事業の柱の1つに位置づけられたわけであります。施設の支援員も拡充する必要があります。国が基準を示し、市町村が条例化する、公的な役割が一層求められることになるわけです。
しかし、今、事業運営方式は、委託方式による公設民営という形になっております。支援員は市の職員ではなく、受託者である団体等の職員になっています。
放課後児童クラブは、公的な要素というのが非常に強いわけでありますので、今後、子ども・子育て新支援法の趣旨を十分生かしていくという必要があると思います。委託方式はやめて、やっぱり市が直営する方式を考えていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、保護者の負担金の問題であります。いわゆる、利用料ということになります。保護者の皆さんが心配しているのは、新制度が始まるに当たり、利用料がふえないかということであります。新たな負担を課すようなことはすべきではないと思います。
放課後児童クラブの利用料については、条例、規則を見ても出てきません。言い方は悪いかもしれませんけれども、市が一方的に決めて徴収するという内容になっているわけです。
そして、この内容などについても、これまで余り報告を聞いたことがないわけです。例えば未納の状況や納入状況がどうだというようなことも、チェックされていないと言ってもいいと思います。
保護者負担金について、市制度に伴う負担増があるのかどうなのか。また、先ほど言いましたように、保護者負担金を条例で定める必要があるのではないかと思いますが、その点をどのように考えますか。
最後に、若干の意見・要望ですけれども、やっぱり第3条、第4条の2でしっかり運営、設備は向上させる。市長は勧告もできると出ております。あるいは先ほど局長からも話がありましたように、常に最低基準を向上させなければならない、ぜひ今後、これらの点についても頑張っていただきたい。
以上です。