◯13番(西谷博子君) きょう最後の質問者になりました。私は、子ども・子育て支援新制度について質問をします。
昨日の答弁で、市立保育園、幼稚園を全て認定こども園に移行することは、トップランナーの政策であると述べていましたが、今回の静岡市の措置を保育関係者、保護者が納得しているとは思えません。新制度が非常に複雑でわかりにくい上、子供の保育の内容に格差を生み出すことにつながりかねないという懸念があります。
また、一人一人の子供の発達を保障している保育所保育に対する評価が低くなっているのではないかという懸念もあります。
質問です。
児童福祉法第24条第1項の役割について、聞いていきます。
静岡市は、これまで児童福祉法第24条は、保育所における保育の実施義務のみを規定するものではなく、市が地域の実情に応じて、保育所やその他の保育施設、事業を組み合わせ、保育需要に対応する責務を負うことを規定していると認識していると述べていますが、児童福祉法第24条は、第1項と第2項に分けられており、規定内容は市の認識とは明確に違います。
同法第24条第1項は、市町村は、保育所において保育しなければならないとし、市町村には保育所保育を求める子供を保育所に入所させて、保育する責任があることを明確にしています。
第2項は、市町村は、認定こども園または家庭的保育事業などにより、保育を確保するための措置を講じなければならないとあり、市町村の責任は求めていない内容になっています。
1つ目です。静岡市は、公立保育園を解体し、第24条第2項の認定こども園に移行する手続をとりましたが、第24条第1項の保育の実施義務をどのように果たしていくのか、伺います。
公立保育園をなくすことは、保育所として残る私立園のみが保育の実施義務を負うことになるのか、伺います。
2つ目です。必要量の認定と利用調整について伺います。
新制度では、保育の利用に際して、市町村が保護者の就労に応じて保育の必要性と必要量を認定することになっていますが、これまでどおりの保育が受けられるのか。新制度への保護者の中に不安が急速に広がっています。
その1つに、パート勤務でやむなく兄弟が別々の保育園に通っている場合、これまでは11時間の保育所時間内で送り迎えが間に合っていました。別々の園へ送り迎えをするためには、8時間の認定では間に合いません。その場合は送り迎えにかかる時間を加味して、保育標準時間の認定を受けられるようになるのか。
また、兄弟は希望する園に優先して入園できるようになるのかというものです。
質問です。
利用調整は保護者の希望と優先度を考慮して市町村が行うとしていますが、保育の必要性の認定の際、就労時間には親の通勤時間も考慮されるのか。
質問の2は、兄弟が同じ園に通いたいなど、利用者の希望に沿った利用調整が行われるのか、伺います。
次に、利用料についてです。
1つ目に、昨日、配られました当局の資料、評判の悪いほうじゃなくてこの資料ですが、この中に利用者負担のほか、各園によって給食費など実費徴収や上乗せ徴収があることがありますと書いてあります。また、保育料も書いてありますが、現在、保育園での実費徴収や上乗せ徴収はどのようになっているのか、伺います。
2つ目に、新制度で上乗せ徴収の対象になるのは何か、伺います。
1回目の質問は以上です。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子ども・子育て支援新制度についての5点の御質問についてお答えいたします。
保育の実施義務についてですが、改正児童福祉法第24条では、市は児童が保育を必要とする場合、第1項で保育所において保育する義務を負うことと、第2項で保育所以外でも認定こども園や小規模保育などにより保育を確保するための措置を講じなければならないことを規定しています。これらの条項により、市は、地域の実情に応じて保育所やその他の保育施設等を組み合わせ、責任を持って地域の保育需要に対応することになります。
したがって、保育園が私立園のみとなった場合も、市の保育に関する責任が後退することはありません。
次に、保育の必要性の認定における就労時間についてですが、これは通勤時間を含めずに判定します。
一方、1日当たりの利用可能な時間の上限である保育の必要量は、保育短時間認定で8時間、保育標準時間認定で11時間であり、これには就労時間の前後の通勤に要する時間も考慮して設定されているものです。
次に、保護者の希望に沿った利用調整についてですが、利用調整は保育の必要性のより高いお子さんから優先的に決定していくものであるため、保護者が第1希望とする園に入れない場合もあります。
ただし、上のお子さんが在園している園に下のお子さんを申し込む場合や兄弟を同時に同じ園に申し込む場合は、利用調整において考慮することにより入りやすくする予定です。
次に、保育園におけるこれまでの実費、上乗せ徴収の状況についてですが、まず実費調整の例として、通園かばん、帽子、文房具など個人の所有となるものや、園外保育の際のバス代などが挙げられます。
一方、上乗せ徴収を行っている保育園はありません。
最後に、新制度において、上乗せ徴収の対象となるものについてですが、上乗せ徴収は、教育、保育の質の向上を図る上で、特に必要と認められる場合にできるものとされており、その具体例としては、人員配置の充実や、平均的な水準を超えた施設整備に関する経費に充てる場合が想定されます。
◯13番(西谷博子君) まず、児童福祉法第24条第1項の役割についてです。
市は、現在、私立保育園についても認定こども園の移行を進めています。この結果、全ての私立保育園あるいは多くの私立保育園が認定こども園に移行した場合、先ほど第24条第1項の責任を負う私立保育園が残っているわけだから、そのさまざまな保育の組み合わせの責任は市が持つと言っていましたが、こうした場合、保育の実施義務を果たせると考えているのか、伺います。
保育者が保育所だけを希望した場合、市町村は必ず保育所入所を保障しなければならないことになっています。市立認定こども園だから、保育の実施義務は果たせるということも考えているのかもしれませんが、児童福祉法第24条第1項の法的根拠には、認定こども園は該当しないのではないでしょうか。そもそも認定こども園は、事業者と保育者との直接契約によって展開されるもので、市町村の保育実施義務を形骸化するという指摘がされています。改めて伺います。
次に、保育の必要量の認定と利用調整についてです。
今、兄弟が別々な園に入っている場合は、できるだけ利用調整を行うと、そういった前向きの答弁をいただきました。パート勤務で8時間の保育短時間の認定を受け、通勤時間の関係で送り迎えが保育短時間8時間に間に合わない場合、時間外保育料を負担しなければならないのか。
また、もし時間外保育料を負担しなければならないとしたら、その際の金額を幾らと考えているのか、伺います。
次に利用料についてです。
これまで3歳児以上の主食や園服などは実費徴収されていましたが、それ以外は実費徴収されてきていないわけです。認可園などの会計監査では、兄弟関係の費用も含めて支出はできるだけ保護者負担を避けることとして、保護者負担は原則禁止という指導が行われてきました。
現在、上乗せ徴収をしているところはないということですが、先ほど施設の整備にどうしても必要な費用や、必要な指導員を置く場合の費用は上乗せをすることができるなどという答弁でしたが、例えば体育教室だとか、英会話教室などを設ける園も、上乗せ徴収はしてもいいという内容にもなっているわけです。そういうことを認めていくと、家庭状況の配慮がされないで、低所得者の負担がより重くなる可能性があるのではないでしょうか。
上乗せ徴収の際は、親の合意を得るということになっていますが、支払えない家庭に対し、所得による保育内容の格差を生み出すことにつながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子ども・子育て支援新制度についての3点の御質問にお答えいたします。
保育の実施責任についてですが、改正児童福祉法第24条各項により、市は地域の実情に応じて保育所やその他の保育施設等を組み合わせ、責任を持って地域の保育需要に対応することとなります。
したがって、全ての保育園が認定こども園になった場合も、市の保育に関する責任が後退することはありません。
次に、時間外保育とその利用料についてですが、保育短時間認定でお迎えが間に合わない場合など、利用可能な時間帯を超える場合は、時間外保育に係る利用料を負担していただくことになります。
時間外保育の利用料は、私立認定こども園については、現在の市立保育園の一部で実施している午後6時から7時までの延長保育にかかる保育料、1回200円との均衡を考慮して定める予定です。
また、私立の保育園、または認定こども園については、各園が利用料を定めることになります。
最後に、実費徴収や上乗せ徴収による負担増への懸念についてですが、実費徴収は個人の所有となるものなどについて実費を負担していただくものであり、その額がこれまでよりも大幅にふえることがないものと考えております。
また、上乗せ徴収に同意した保護者と同意しない保護者との格差が生まれることの懸念についてですが、上乗せ徴収の実施に当たっては、あらかじめ利用者に対してその目的や金額等を書面によって明らかにするとともに、その説明を行い、文書による同意を得なければならないこととしております。
加えて、私立保育所に対しては、当分の間、上乗せ徴収の実施に際して、市の同意を得ることを義務づけております。
以上のことから、これまで以上に負担がふえたり、保護者の意向に沿わない不合理な格差が生じたりすることはないものと考えております。
◯13番(西谷博子君) まず、上乗せ徴収ですが、保護者に対しての合意が必要なので、格差を生み出すことはないということです。しかし実際には支払うことができなくて、保育は受けないよということになれば、それが子供に必ずはね返るわけです。ですので、そうした新たな保育を受ける、受けないという子供に対する負担、格差をもたらすようなこの上乗せ徴収については、認めるべきでないと私は考えます。
時間外保育料について、現在行われている1分でもおくれた場合、1回200円支払っている。それを導入していくということですが、この時間外保育料は、短時間の保育時間内に間に合わなければ毎回200円、負担を求められるということですから、パート労働の低い賃金で月20日間、子供を預けた場合、単純に計算しても4,000円もの時間外保育料が請求されることになります。
これは、きのういただいた表ですが、現在示されている保育短時間と保育標準時間の保育料の差額は、2号、3号の認定とも月400円から最大1,600円です。平均しますとその差額は約800円です。通勤時間などを含めた標準時間、これはある程度認めるということですけれども、時間外保育料の負担額というのは、非常にパート労働の皆さんにとっては負担になるわけです。だったら、通勤時間もしっかりと認めて、標準時間内の11時間内に送り迎えができるようにする。それができないということならば時間外保育料の金額を大幅に引き下げる検討をしていただきたいと思いますが、その辺の考え方をお聞きします。
第24条第1項の役割についてですけれども、今、市立認定こども園が指定管理者などに移譲されるのではないかという心配が、保育関係者や市民から上がっています。その心配はないと言い切れるかどうか、その辺を伺います。
児童福祉法第24条第1項を適用させて、保育所が保育所として存在し、養護及び教育を一体的に行うことを特性とする保育所保育の内容の充実こそが、向上こそが求められています。
以上で、私の質問を終わります。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子ども・子育て支援新制度についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、時間外保育の利用料についてですが、新制度で新たに設定された保育短時間認定は、保護者の就労実態等に応じて、その子供が必要な範囲で利用できるようにするという趣旨で設定されたものです。
このことから、短時間認定とされたお子さんが毎日のように時間外保育を利用した場合、保育標準時間認定の利用料よりも高くなることはやむを得ないものと考えております。
ただし、保護者の送迎の時間が園の設定した保育短時間の時間枠から外れ、恒常的に時間外保育を利用せざるを得ないケースがあることも考えられることから、このようなケースにおける取り扱いについては、今後、国が示す考え方を踏まえて検討していきたいと考えております。
最後に、市立認定こども園を指定管理者による管理とすることにつきましては、現在予定しておりません。