3次総は問題だらけ

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山本1203-1◯38番(山本明久君) 私は、3次総の問題点について質問します。
 6月議会においては、「世界に輝く静岡」の実現というまちづくりの目標案を批判して、もっと足元を見て、地域の特性を生かした、市民の理解や納得が得られる、わかりやすいものにすべきだと指摘しました。9月議会では、駿府城天守閣建設を目指すことについて、これまで市が長年調査してきた内容や、専門家の協議を経た上で結論づけてきた、史実がはっきりしない天守閣は復元できないという立場を、市長が政治判断で覆したことについて厳しく批判してきました。今回は、3次総議案全体の主な問題点について、ただしていきます。
 基本構想は、市民にわかりやすいものであるべきです。1点目は、基本構想におけるまちづくりの目標、そして新しく入れた目指す都市像、もう1つ、市政の目標について、これらはどのように関係するのか、論理的にどうつながるのか、わかりやすく説明してください。
 2点目は、その中で市政のさらなる展開のために「創造する力」と「つながる力」が重要な位置になっているようなのですが、これらは具体的にどのようなものか、その力の現状はどのような力量になっているのか、わかりやすく説明していただきたい。
 また、これらの2つの力によって、どのようにして「世界水準の都市」の飛躍を目指していけるのか、その道筋や展望についてはどうなっているのか。基本計画案では、その展開がほとんど記載されておりませんから、どのように位置づけられているのかについても、わかりやすく説明して、加えていただきたいと思います。
 3点目は、基本構想において、まちづくりの目標として掲げられている「世界水準の都市」へ飛躍するということについてです。飛躍してその水準、高みに到達するという発想ですから、目指す水準は、いわば頂点型、比較型になっています。一方、基本計画において、2章で強調されている「時代の潮流」で示されている認識では、これからは成長・拡大の社会や時代ではなくて、多様性や持続可能性の時代であり、そこでは、地域の個性を生かして、分散型に移行するという認識になっています。
 つまり、一方で、高い水準を目指す頂点型、一方で、これからは多様性に価値がある時代、いわば水平型だと。これは矛盾していませんか。この点についても、議案である以上、わかりやすく、理解できるように説明していただきたい。
 以上、1回目です。

◯企画局長(加藤正明君) まず、基本構想におけるまちづくりの目標等の関係についてですが、第3次総合計画に掲げたまちづくりの目標は、「世界に輝く静岡」の実現であり、「住む人々が誇りを持ち、訪れる人々が憧れを抱く」世界水準の都市を目指すとしております。
 そして、目指す都市像は、この「世界水準の都市」の実現に向け、どのようなまちづくりを目指すかを示したものであり、本市の強みである歴史文化、健康長寿を生かしたまちづくりを進めていくこととしております。また、市政の目標とは、市政運営における基本的な考え方を示したものであり、「創造する力」による「都市の発展」と、「つながる力」による「暮らしの充実」としております。
 市政の目標を達成することで、目指す都市像を実現させ、まちづくりの目標である、「世界に輝く静岡」の実現へとつなげてまいります。
 次に、「創造する力」、「つながる力」に関する御質問に一括してお答えいたします。
 この「創造する力」とは、本市の持つ地域資源に新しい価値を与え、地域資源を活性化する力であり、「つながる力」とは、市民、事業者、行政が連携して地域課題を解決し、生活の質を高める力を意味しております。どちらの力も、これまでの市政運営によりまして、一定程度養われてきましたが、「世界水準の都市」の実現に向け、今後さらに高めることができるものと考えております。
 「創造する力」を高めることで、本市ならではの歴史、文化などさまざまな地域資源をより一層磨き上げ、それらを効果的に活用することで経済・産業を振興させ、都市の発展へ。また、「つながる力」を高めることで、地域の課題を地域全体が当事者意識を持ち、連携して解決することで安心・安全を確保してまいります。そして、これら2つの力を市政運営の両輪として、基本計画で示した政策・施策を着実に推進することで、「世界水準の都市」の実現を目指してまいります。
 次に、その「世界水準の都市」についてです。3次総では基本構想において、「世界水準の都市」の実現に向け、2つの目指す都市像を示しております。1つ目は、本市ならではの歴史、文化などさまざまな地域資源をより一層磨き上げ、それらを効果的に活用することで、文化力を地域活力へと転換させていく「歴史文化のまち」づくり、2つ目は、本市の日本屈指の生活環境を生かし、誰もが生涯にわたって健康的に暮らし続けることが可能な「健康長寿のまち」づくりでございます。
 このように本市の目指す「世界水準の都市」とは、世界の頂点を目指すというものではなく、本市ならではの強みを磨き上げることで、世界の中で輝きを保ち、存在感を示す都市を目指すということでございます。

◯38番(山本明久君) 2回目です。「世界水準の都市への飛躍」という、いわば中長期的な設定がされているわけですね。目指す都市像は、恐らく8年の間に一定のめどを立てるというところだと思うのです。これは説明をいただいてもやはり結びつかないのですね。
 答弁では、時代の潮流との矛盾というのは、別に頂点を目指さないから矛盾していないという説明ですけれども、表現から言えば、明らかに方向性は逆ですね。恐らくそこは矛盾しているのを意識されなくて、議案になっていると思います。
 目指す都市像について2つ挙げられました。頂点でないという言い方をしていましたけれども、歴史、文化というのは、どの市や町にも、それぞれ独自の特性があるわけですね。多様な個性ですよね。誇るべき価値です。「健康長寿のまち」というのも、言ってみれば基礎自治体が住民の福祉増進という同じ責務があるわけですから、どの自治体も目指すわけですよ。いわば普通で、一般的ですね。それを磨き上げると言うのだけれども、今、2つの力を具体的にどう磨き上げるのかという説明は、されなかったですね。つまりこれら2つの都市像が世界水準への飛躍だという、そこが飛躍しているのですよね。結びつかない。
 それで、具体的に出てきているのは、例えば天守閣を建てれば、それが本当に住民の誇りになるのでしょうか。そんなはずはないわけですね。世界水準でなければ、自分のまちの歴史、文化に誇りが持てないのでしょうか。そんなはずはないわけです。だから、中身の評価は別にして、論理的にもすっきりしていないのです。
 「つながる力」、「創造する力」によりどのように目指すのかという展開についても、はっきりしたものはありませんでした。文化力という話も持ってきましたけれど、現状がどうなっているのかについては、一定程度養われてきているという評価ですね。それがどうやって飛躍できる力にまで持っていけるのかという展開が、基本計画ではないわけですよ。だから、その力量の現状もはっきり分析されていないし、姿が見えないのです。そこはもう議案になっていますから、きっちりと批判して、さらに基本計画の問題に移っていきます。
 3章において、わざわざ「目標人口」を提起して、独立した重要な位置づけを持たせているにもかかわらず、本市の人口減少の特徴であると分析している、全ての世代における女性の転出超過に対する戦略的対策が、重点的プロジェクトを初め、体系的には基本計画で打ち出されておりません。ここでも目標とつながっていないわけです。この点についても、3次総の大きな問題点の1つだと私は思います。
 そこで、まずお聞きしておくことは、本市の人口減少における特徴である、全ての世代の女性の転出超過の要因をどう分析しているのかについてです。これを把握しないと、有効な対策を戦略的に打ち出すことはできないからです。
 さらに、今後のまちづくりの柱として、その要因を解決する取り組みを戦略的に強化して、女性が最も輝く静岡のまちづくりを打ち出し、重点プロジェクトに柱立てる。今は6本ですけれども、7本にしてもいいと思うのですが、されていない。3次総の基本計画である以上、そこは明確に人口目標との関係で打ち出すべきじゃないか、そこが鍵だと私は思います。なぜそうなっていないのか、説明していただきたい。
 確かに、この間言われているように、あちらこちらにワーク・ライフ・バランスとか雇用機会の創出とか、子育てと仕事の両立支援という言葉は出てきますが、それは体系的じゃなくて、答弁では随所にあるという程度です。体系的にまとめて、戦略として打ち出すことが3次総では必要ではないでしょうか。
 今言った表現の中身は2次総と同じです。3次総ではどう違うのかが、明確ではないのです。もっと言えば、3次総で、ボランティアに頼る介護、あるいは自己責任を求める子育て新制度だと飛躍への道どころか逆行になってしまうのですが、どうか。
 以上で2回目を終わります。

◯企画局長(加藤正明君) 女性の転出超過の要因と転出防止策に関する質問について、一括してお答えいたします。
 まず、本市における女性の転出超過の状況ですが、進学に伴う10代後半の転出超過が、卒業後の就職等に伴う20代前半の転入超過を大きく上回っており、このことが女性の市外転出が進んでいる要因の1つであると考えております。この背景には、大学、短大など高校卒業後の受け皿が市内に不足していることや、市内の雇用の規模や職種、特に女性が希望する職種が首都圏と比較すると少ないことがあると考えられます。
 女性の転出超過への対応策につきましては、人口減少対策を進める上で特に重要な要素であると認識しており、3次総におきましては、雇用・就労の場の確保や静岡暮らしの魅力向上など、本市への移住、定住の促進に取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、これから策定します実施計画の中で反映させていきたいと考えております。
 さらには、まち・ひと・しごと創生法に基づき、静岡市版の人口ビジョンと総合戦略を策定し、必要な施策を盛り込んでまいりたいと考えております。
  〔38番山本明久君登壇〕

◯38番(山本明久君) 答弁を聞いていても、戦略的に柱立てされていない。一方では重要だと言いながら、それが3次総の基本計画になぜ明記されていないのでしょうね。弱点ですね。
 転出超過要因は、大学とかが少ないから、職種も少ないということも言っていましたけれども、その要因分析が浅いですね。私はもっと深いところにあるのではないかと思います。静岡市がこれから重点的に対策をとっていく上では、全庁的に取り組む、自然増対策や転出超過対策も含めてとると言いながら、いわば筋金が入っていないですね、3次総は。それがないと人口目標も画餅になってしまいます。
 私は、人口目標を掲げるなら、全ての女性が最も輝く静岡のまちづくりというのをしっかりプロジェクトに打ち出して、横断的でもいいですが、戦略にすべきだと。要因としてはこういうのがあるのではないかと思うのですね。女性の平均賃金が男性の半分であり、女性の6割が非正規雇用という状況や現実には、同一労働、同一賃金からほど遠い状況などの労働条件を改善する問題、本当に安心して産み育てられる社会的条件の整備、さらには雇用機会均等法のもとでも間接差別というのはいっぱいあるわけですよ。それに自治体として先進的に取り組む、全国でやっていないような法に基づく取り組みをやる。企業と行政と市民がつながってこそ、解決につながるのではないか。そういうプロジェクトが必要だと私は思います。
 これも議案にはそうなっていない以上、批判して、別の基本計画の問題に移ります。
 「時代の潮流」では、東日本大震災の経験から、意識の変化を指摘しているにもかかわらず、自治体と地域社会の成り立ちそのものを壊す危機としての原発災害への対応というのが、分野別基本方向にも重点政策にも明記されていないですね。3次総こそ、これを明記すべきじゃないかと思うのですが、説明していただきたい。
 もう1つ、最後に東静岡地区の市有地活用のあり方です。基本計画では、「文化・スポーツの殿堂」の整備を目指すとなっていますけれど、これがもしアリーナやサッカースタジアムなどの箱物建設を指すのなら、現にあるものとの重複施設であり、無駄な施設だと思います。そんな箱物で都市が発展するという考えがあるとしたら、それはもう全く時代おくれです。
 市長は、市民には、ないものねだりをするなと言いますが、そのないものねだりをしているのは市長自身じゃないでしょうか。天守閣が欲しい、他都市にあるような大きなスタジアムや、アリーナが欲しい。これはもう3次総から削除すべきです。この地域は、もともと地域計画や都市開発の地区の基本理念、新都市拠点の機能、都市再生の理念からすれば、道路や公園等の整備で防災機能を強化する、あるいはユニークで魅力ある都市空間をつくるというもので、文化・スポーツの殿堂というのは、市長が突如勝手に持ち出してきたもので、市民多数の要望には全くないのですね。それをなぜ3次総に盛り込もうとするのか。ここは副都心部の貴重な市民の財産ですから、市民全体が有効に活用できる使い方にすべきで、よく市民の意見を聞いて議論する必要があります。
 その議論の材料として、当市議団は箱物の建設ではなくて……

◯38番(山本明久君)(続) イベント広場で十分活用できるじゃないかと。それは防災広場としての機能も持たせて、あるいは市民が憩える副都心の緑地広場という機能も持たせればいいわけです。駅前のいい立地を利用してこそイベント広場というのは、これまでも大きな効果を発揮してきましたから、使い道をもっと工夫していけば、全然問題はありません。
 以上、幾つか見てきたように、それをどう考えるかということですね。基本構想の組み立ても、もつれて道筋が見えないし、振興目標実現の戦略網が打ち出されていないし、天守閣などの要らない箱物、これらが3次総の欠陥です。撤回すべきです。出し直してほしい。私たちは、憲法を暮らしとまちづくりに生かす、安心して住み続けられる福祉と防災のまちづくりを目指します。
 以上です。

◯企画局長(加藤正明君) 3次総における原発災害の位置づけについてですが、原発災害につきましては、東日本大震災を踏まえ、被害が広範囲に及ぶことや、その後の対応の困難さから、本市としても高い危機意識を持っており、地域防災計画一般対策編に原子力災害として位置づけ、災害への対応や、災害を想定した訓練等について明記しております。
 3次総におきましては、重点プロジェクトの防災都市に「様々な危機に備えた減災力が高い安心・安全なまちづくりの推進」を掲げ、また、分野別計画の防災・消防分野で巨大地震に対する減災の推進、さまざまな危機への体制整備の推進を盛り込むなど、原発を初め、あらゆる危機への対応を想定しているところでございます。
 次に、東静岡の市有地利活用につきましては、重点プロジェクトの文化都市において、文化・スポーツの殿堂として整備するという方針を示しております。このため、この方針にふさわしい施設整備に向けて、今後、検討を行ってまいりたいと考えております。