所得税法第56条の廃止を求める意見書 中小企業は、地域経済の担い手として、これまで日本経済の発展に大きく貢献してきた。 しかし、所得税法第56条は「事業主と生計を一にする配偶者とその親族が事業に従事した 時、対価の支払いは必要経費に算入しない」と定めている。 事業主の所得から控除される働き分は、配偶者は86万円、家族の場合は50万円で、家族 従業者はこのわずかな控除が収入とみなされるため、社会的にも経済的にも全く自立できない 状況となっている。家業を手伝いたくても手伝えないことが、後継者不足に拍車をかけている。 税法上では青色申告にすれば、給与を経費とすることができるが、2014年1月からは「改 正」国税通則法により白色申告者の記帳が全面義務化されたことにより、同じ労働に対して申 告の種類で差をつける制度自体が矛盾している。先進国の例を見ても、家族の働き分を経費と 認めるのはあたりまえのこととなっている。 昨年度制定された「小規模企業振興基本法」では、主に従業員5人以下の小規模企業の事業 の継続的な発展(維持)を正面から応援することが目的とうたっている。この精神にのっとり、 中小業者の事業継承を円滑に進め、多くが中小業者の手によって継承されている地場産業や伝 統工芸を守りさらに発展させていくためにも、国においては、所得税法第56条を廃止される よう要望する。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
〔提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、経済産業大臣〕