厚生労働省は、社会保障制度審議会の介護保険部会で、介護保険制度見直しの検討を始めた。
社会保障費抑制のため、200万人以上にのぼる要介護1,2の高齢者に対するサービス切り捨てなど、介護保険制度を大幅に後退させる内容を盛り込んでいる。
主な見直し項目は、○要介護度が低い人は家事・掃除、車いす貸与や手すり設置など保険給付から外す ○サービス利用料を1割負担から2割負担に拡大する ○保険料支払い年齢を、現在「40才以上」から引き下げる ○利用料の自己負担上限を引き上げる ○現役世代の保険料負担増をおこなう(総報酬割り導入)というものである。
2015年度の見直しでは、要介護より軽い「要支援」向けの訪問・通所介護が介護保険の対象から外されたが、今度は要介護を対象にするなど、介護保険を更に使えなくし、費用を抑制するシステムを作るものである。
介護保険部会では、「要介護1,2の人を切り捨てることはできない。家族介護が必要となり、介護離職ゼロも達成できなくなる」(日本医師会)、「給付削減は重度化を早め、介護財源を圧迫するだけだ」(認知症の人と家族の会)、
「重度化を防いでいる軽度者の支援を止めるのは本末転倒だ」(全国市長会)、
「制度が維持されても、理念が失われてしまう」(全国老人クラブ連合会)など
の批判が集中した。
高齢化が進むなか、健康で生き生きと暮らすことは国民の願いであり、高齢者の介護の重度化を予防するためには、介護予防の充実を図ることが一層重要になっている。
よって国におかれては、介護保険制度の本旨に立ち返り、介護保険制度が更なるサービスの後退を招き、負担増になる見直しは行わないよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 厚生労働大臣