平成28年11月定例会 リニア新幹線の建設に関する意見書案

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 リニア事業は、2013年当時のJR東海社長が「絶対にペイしない」と述べたほど、赤字必至の事業である。技 術的な問題、環境への影響、採算性、健康被害などさまざまな問題があるリニア事業は、各地で見直しを求 める多くの意見が寄せられている。 静岡市内ではトンネルを掘った発生土の捨て場所として燕沢に、高さ約60から70メートル、幅300メートル、長さ600メートルの盛土をする計画があるが、この場所は南アルプスユネスコエコパーク内にあり、燕沢に360 万立方メートルの発生土が積み上げられることになる。南海トラフ巨大地震が発生すれば、現状でも崩れて きている山が崩れ、すぐ横を流れる大井川が埋まり大災害になることが想定されている。JR東海は、トンネル掘削により毎秒2トン、大井川の水が減少すると試算しているが、大井川に水を戻す ためのJR東海による新たな導水路トンネル(直径3.5メートル、長さ12キロメートル)建設は、比較的浅い部分 を通ることから水脈を断ち切り、沢枯れを起こし、貴重な動植物が絶滅する可能性が指摘されている。 静岡市は基本的に5月から10月の間、毎月調査を行い、その中で、本年のJR東海の調査では発見できな かったチチブコウモリやヤマトイワナなど12種が発見されている。静岡県は本年2月24日、導水路トンネル建 設に当たりJR東海に要望書を提出し、JR東海との間で「環境保全協定」を結ぶことによって貴重な動植物を 守ろうとしているが、JR東海からは何の返事もない。よって政府においては、JR東海に対して、トンネルを掘った発生土の捨て場所を燕沢にする計画は見直す こと、静岡市が行っているような毎月定期的に「環境影響調査」を行うよう指導を行い、関係自治体と「環境保 全協定」を結ぶように指導すること、中部横断道でトンネルの崩壊・湧水・発生土からの有害な重金属で工事 が遅延しているが、同じ南アルプスのリニアトンネル工事への影響を検討すること、について強く指導するよう 求めるものである。 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。 

 〔提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、国土交通大臣、環境大臣 宛〕