◯11番(杉本 護君) 私は、日本共産党静岡市議会議員団を代表して、上程された17件の議案のうち、議案第113号平成29年度静岡市一般会計補正予算(第1号)と議案第117号静岡市斎場条例の一部改正について、議案第123号工事請負契約の締結について、この3件に対し、反対の討論を行います。
第1の理由は、議案第113号の補正予算には、日本平公園整備事業の増額予算が含まれていること。また、議案第123号は、日本平公園展望回廊設置の工事に関する工事請負契約であるためです。
私たち日本共産党市議団は、計画当初から、日本平公園整備事業に対し、不要不急の大型開発として、その見直しと縮小を求めてきました。
そもそも地方自治法第1条の2で、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本と述べています。当然、公共の施設の整備も福祉の増進に含まれていると思いますが、今の静岡市民にとって何を優先すべきでしょうか。
ことし1月の特養ホームの待機者は1,430人、4月の時点でのこども園待機児童は40人、5月の時点では、児童クラブ待機児童315人、入所、入園を希望しても、入れない市民がこれだけ存在しています。
7人に1人が子供の貧困と言われるもとで、小中学校は義務教育なのに、食育と言われている学校給食は有料です。
さらに、小中学校のトイレの洋式化やエアコンの設置など、全国と比べてもおくれています。子育て日本一、人口減少対策と言うなら、こうしたことへの対策に市民の税金を優先的に使うべきではないでしょうか。
さらに、過去の答弁でも指摘していますが、日本平は1959年に国の名勝として指定され、1980年に日本観光地100選の第1位、2016年には夜景観光コンベンションビューローにおいて、日本夜景遺産に認定されました。
このように、現在においても、日本平は、誰もが認める自然豊かな観光資源となっています。全国的にも認められている風光明媚な自然を破壊するような大型開発は要らないと思います。開発が進めば、当然環境への負荷もかかり、引き継がれてきた自然への影響も懸念されます。
日本平公園整備事業は、平成22年度より事業が着手され、平成27年度までに約20億円が使われ、市の負担は約12億円だと言われています。総事業費が100億円から138億円に膨らむとの話もありましたが、現在は100億円未満を目指すというふうに聞いています。しかし、これでおさまる保証はなく、仮に100億円近くに抑えたとしても、巨額の事業費ではないでしょうか。
私たち日本共産党市議団は、日本平公園の整備が全く必要ないとは思っていません。しかし、今回の補正予算や回廊展望台の請負契約締結など、どこまで事業費がかかるのか、はっきりしためども示さないまま工事を進め、既成事実を着々とつくっていくのはいかがなものでしょうか。市民の理解を得られる最小限の公園整備にとどめるべきであり、事業規模と予算の根本的な見直しを求め、反対いたします。
第2の理由は、議案第117号が静岡市斎場利用料の市民への有料化のための条例改正だからです。
市は、平成25年12月に、公の施設に関する使用料の設定基準を新たに設け、受益者負担の原則に基づいて、市の施設を市場性と必需性の強弱で9つに分類し、斎場は公費75%、受益者25%の位置に分類されています。受益者負担の基本的な考え方として、公の施設の使用料は、その施設を利用する対価として徴収されるべきものとし、施設を利用する者と利用しない者との均衡を考慮しとあります。つまり、市の施設を維持管理するのに市民の税金を使っているから、使わない人も間接的に支払っている。公平を保つために、使う人から相応の使用料をもらわないと不公平になるという考え方です。
それでは、斎場についてはどうでしょうか。必需性を考えた場合、市民生活にとって必ず必要な施設です。使うか使わないかといえば、市民として暮らしていれば、特殊な事態を除けば、いつかは火葬場のお世話になります。これは全ての市民が必ず一生に一度は利用することを意味し、利用するかしないかという点での負担の公平では、利用料を取らなくてもその公平性、公正性は保たれる性格のものです。
また、市場性では、Bにランクされていますが、大変厳しい暮らしを強いられている市民がいる中、お葬式の費用も十分に出せず、費用の面から家族葬など、ふえていると言われています。
そうした生活弱者にとっては、さらなる負担を強いることになります。現時点では、生活弱者に対する減免の措置もないとのこと。市民にとって冷たい市政ではないでしょうか。
市は、健康長寿のまちづくりを進め、多くの市民が住み続けたいと思う静岡市の将来を描いています。そうであるなら、人生を全うした市民に対し、最期のところで負担を求めることは、ふさわしくありません。市民として静岡市の発展に寄与してきた方々に対し、敬意と感謝を持って見送るのが市の努めではないでしょうか。
本市が人口流出に歯どめをかけ、世界水準70万人都市を目指すのなら、他の政令市や全国で有料化が進んでいるからこそ、静岡市は市民の無料化を維持し独自性を示すべきであり、斎場使用料の市民有料化に反対をいたします。
以上で、3つの議案に対する反対討論を終わりとします。