放課後児童クラブについて、国民健康保険の都道府県単位化について

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 通告に従い、初めに国民健康保険について質問いたします。
 来年度から都道府県が国保の保険者となり、市町村の国保行政を統括・監督する国保の都道府県単位化が始まります。
 都道府県単位化の目的は、国保の財政管理と国保行政の指導、医療給付費の総額抑制、基準病床数の認定と管理、介護基盤の整備、これらの機能を全て都道府県に集中させ、国の指導のもとで給付費抑制を一体的に管理させることです。
 国保財政の流れは大きく変わり、県が市町に納付金を割り当て、その額は全額納付が義務づけられます。保険料算定の仕組みは、医療給付費がふえれば保険料負担にはね返る、給付と負担の関係を一層明確にし、保険料負担増を避けたければ、給付費を抑制せよと迫るものとなります。
 質問の1点目に、県と市の役割分担はどのようになるのか、国保財政の流れはどう変わるのか、納付金、標準保険料率算定の仕組みはどうなるのか伺います。
 2点目に、県と市の関係についてです。
 市は、県の指導を一方的に仰ぐという関係ではなく、対等平等であるべきですが、どういう位置づけなのか、また、保険料賦課決定権や予算決定権はこれまでどおり市にあるのか、確認の意味で質問します。
 3点目に、加入世帯の貧困の実態についてです。
 国保加入世帯の特徴は、高齢化、低所得化、貧困化による制度疲労を起こしています。国の制度のもとで低所得世帯に対する軽減対象世帯が、全国では加入世帯の過半数を超えています。
 本市の軽減対象世帯数の割合と動向を伺います。また、所得300万円未満世帯の割合と動向も伺います。
 次に、2つ目のテーマ、放課後児童クラブについて伺います。
 核家族化、共働き世帯の増加により、児童クラブは需要が伸び続けていますが、低学年でも待機や中山間地の未整備校など、待機児童問題は深刻です。
 今回の質問は、希望する全ての児童が利用できるための整備方針と、児童クラブを支える支援員の待遇の抜本的拡充を求める立場で質問します。
 まず、1点目に、今年度の利用実態について伺います。
 児童の申し込み数、在籍児童数、待機児童数はどういう状況か、また、大規模クラブがふえていますが、80人以上のクラブ数の実態、そして低学年の利用と待機児の昨年比を伺います。
 2点目に、開所時間延長を望む父母の声に応え、どう改善されたのか伺います。
 以上、1回目です。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険に関する3点の御質問にお答えします。
 まず、国保の都道府県単位化後の県と市の役割分担及び制度の仕組みについてですが、国保の都道府県単位化により、平成30年度から県及び市は、共同保険者という位置づけで、共同して円滑な制度運営を行ってまいります。
 県は、市町の意見を集約した上で、県内の統一的な運営方針を策定し、財政運営の責任主体として国保運営の中心的な役割を担うこととなります。一方、市は、資格管理や賦課徴収業務、保健事業など、地域のきめ細かい事業を引き続き担うこととなります。
 また、平成30年度以降の国保財政の流れ及び納付金標準保険料率算定の仕組みについては、県が県内全体の保険給付費を推計し、公費を差し引いた残りの金額を市町からの納付金として集めることになるため、県から市町ごと割り当てた納付金額及び標準保険料率が提示されます。市は、それを参考にしながら市の保険料率を決定し、納付金を納めることで、県から保険給付に必要な費用の交付を受けることになります。
 次に、県との関係及び保険料賦課等の決定権限についてですが、国民健康保険法では、県及び市は、共同保険者と位置づけられており、共同して円滑な制度運営を行うことになります。また、保険料の賦課及び予算の決定については、これまでどおり市として行ってまいります。
 次に、本市の国保加入世帯に占める国保料軽減世帯数の割合と数の動向についてですが、法定軽減であります7割・5割・2割の軽減世帯に本市独自で行っております1割の減額世帯を合わせた軽減世帯数について、国保加入世帯に占める割合は、当初賦課時点で平成26年度は11万4,200世帯中、5万8,003世帯で51%、27年度は11万2,222世帯中、5万8,238世帯で52%、28年度は10万9,005世帯中、5万7,230世帯で53%とほぼ横ばいとなっております。
 また、所得300万円未満の世帯の割合についてですが、平成26年度は82%、27年度は83%、28年度は83%で、こちらもほぼ横ばいとなっております。

◯24番(鈴木節子君) 今、御答弁いただきましたが、では、先に国保の都道府県単位化について伺います。
 来年度からの都道府県単位化の最大の狙いは、県下の保険料の標準化・統一化です。これによって、保険料の引き上げ、負担増とならないかどうかが最大の焦点になっています。
 今、全国で来年度の保険料の試算を行っていますが、都道府県ごとの試算を見ますと、北海道では93市町村が最大2.26倍の値上げに、埼玉県では1.77倍化、大阪府では1.3倍化にもなる自治体があります。当然、引き下げになる自治体もありますけれども、大方値上げになるという自治体の結果が出て、全国に衝撃が走りました。
 保険料試算は、各市町の医療費水準、被保険者の所得水準、被保険者数を指標に都道府県が算定し、市町に示す仕組みです。
 来年度以降に向け、現在行っている保険料試算を分析し、しっかりとこの本市の国保財政、大幅な値上げ増にならないような分析を今年度中にしなければなりません。
 政府は、データの誤りや推計方法のばらつきがあったと試算を繰り返し、最終確定は来年1月とも言われていますが、現時点での試算結果を公表し、分析するのも県、市双方の責任です。
 質問の1点目に、現時点での本市の試算はどういう状況か。負担増になっているのではないか、伺います。
 2点目に、一般会計からの繰り入れについてです。
 新制度のもとでは、都道府県が国保運営方針を策定し、そこで強調されるのが、国保の赤字解消です。一般会計繰り入れを解消せよというものです。市町が行っている法定外繰り入れを、解消すべき繰り入れと、続けてよい繰り入れに色分けし、県、国から繰り入れ解消を求める強烈な圧力を受けることになります。
 しかし、地方自治を規定した憲法のもとでは、市町村が実施する福祉的施策を政府がとめることはできないというのが原則です。厚労省の答弁でも、自治体で御判断いただくというのが基本姿勢です。
 2015年度全国の法定外繰り入れの総額は3,856億円です。加入世帯の低所得化・貧困化に対し、高過ぎる国保料という構造的問題を抱えているからこそ、全国の自治体はこれだけの一般会計繰り入れを継続しているのです。繰り入れをやめさせることは、国保の抱える矛盾をより一層深めるだけです。
 県の国保運営方針(案)によれば、赤字繰り入れを行っている市町は、赤字繰り入れを解消・削減する計画案を平成30年度までに策定し、県はその計画案と平成30年度決算を踏まえ、赤字繰り入れ解消・削減目標年次を定めるとなっています。
 しかし、繰り入れが必要かどうか判断するのは自治体の裁量です。市が判断できるのが原則だという解釈でよろしいのか、確認します。
 3点目に、収納対策についてです。
 政府は、収納対策に力を入れ、収納率向上の努力など他の取り組みも含め、国が判定し、成果を上げている自治体に予算を重点配分する、保険者努力支援制度の初の評価を行いました。静岡県は11位と高評価ですが、この制度のもとで滞納者に対する差し押さえなど、滞納対策強化が懸念されます。
 国保料を滞納せざるを得ない理由は、低所得化・貧困化が進むのに、国庫補助が減らされる、そして、国保料が高いという矛盾と貧困層・困難層への救済措置が不十分という制度の不備によるものです。滞納者に資格証明書発行、差し押さえなどのペナルティーを科しても、生活困窮者をさらに苦しめるだけです。
 県の国保運営方針には、保険料の徴収の適正な実施とあります。差し押さえなど制裁措置がより強化されるのではないか危惧されます。滞納処分について、やってはならない事項が明記されていますが、それはどういう事項かお答えください。
 また、滞納世帯には高圧的な収納対策ではなく、減免制度や福祉制度を紹介するなど、困窮している生活実態に応じた対策をすべきです。本市は、滞納世帯にどのような対応をしているのか伺います。
 次に、放課後児童クラブについてです。
 利用申し込みは昨年比で232人ふえ、利用数も247人増加、しかし、待機児はいまだに315人、そして3年生の待機児は46人ふえ、151人という事態です。
 子ども・子育て支援プランでは、平成31年度までの当面5年間で申請者を6,080人と見込み、運営室数を158室、待機児ゼロを目指した計画を立てました。放課後児童クラブの設置場所は、学校施設内の余裕教室や敷地内の独立型などですが、学校長の意図もあり、学校によっては場所の確保が困難なケースもあります。
 需要予測に対する整備計画をどのように具体化していくのか、伺います。
 2点目に、支援員の確保について伺います。
 人の確保は容易ではありません。支援員の待遇は、パート扱いのままです。ボーナスもありません。退職金もありません。低い賃金のまま、これまでずっと努力をされてきております。放課後の生活の場として子供の心に寄り添い、対応することができる支援員の確保は困難を極めています。
 整備拡充されたクラブ数に現在、規定どおり支援員が安定的に配置されているのか、また、今後の整備計画に合わせて支援員確保は十分可能性が見通せているのか、今後のその見通しを伺います。
 以上、2回目です。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険に関する3点の御質問にお答えします。
 まず、保険料試算による本市の負担についてですが、現在、県、市町及び国保連合会により構成される静岡県国保運営方針連携会議において、各市町のデータを見ながら納付金及び標準保険料率の算定方法について協議しているところです。
 今後、平成30年度以降の公費のあり方が国から示され、各市町の28年度の決算数値が固まってきたところで、県において納付金や標準保険料率の試算を行う予定です。
 本市としましては、国及び県の動向を踏まえつつ、秋以降示される県の試算結果を受け、市への影響についての分析を行ってまいります。
 次に、国保会計の赤字を解消するための繰り入れについてですが、国からは、段階的に赤字繰り入れを解消・削減する方針が示されており、それを受けた県の運営方針案でも、各市町で赤字を解消・削減する計画を立てることとされています。
 これらの方針を踏まえ、今後、県から示される納付金額ほかさまざまな状況を勘案し、引き続き、必要となる繰入金について市として判断してまいります。
 次に、保険料の徴収についてですが、都道府県単位化後も徴収事務は従来どおり市町で行ってまいります。差し押さえなど滞納処分をしてはならない事項ですが、滞納者及び滞納者と生計を一にする親族の生活に欠くことのできない生活用具や、給与のうち給与生活者の最低生活費に相当する金額など、国税徴収法第75条から第77条で定められているもののほか、高額療養費や葬祭費など、国民健康保険法に基づく保険給付を受ける権利など、個別法で差し押さえを禁止されているものがございます。
 また、滞納世帯への対応ですが、納付相談の中で滞納者の生活状況や収入状況を聞き取り、生活実態を把握した上で一括納付が困難な場合には、生活状況を踏まえた適切な納付計画を立てるなど、きめ細かな対応を心がけております。

◯子ども未来局長(石野弘康君) 放課後児童クラブについての2点の御質問にお答えします。
 まず、児童クラブの整備についてですが、静岡市子ども・子育て支援プランに基づき、平成27年度から31年度までの間にニーズ量を満たすことができるよう、毎年、計画的に児童クラブ室の確保を進めております。
 児童クラブ室の整備に当たっては、学校施設や待機児童の状況を調査し、学校・教育委員会と連携を図り、順次対応をしています。
 具体的な方法としては、児童の安全確保や施設の有効利用の観点から、小学校の余裕教室の活用を基本とし、余裕教室が活用できない場合においても、学校敷地内への設置を検討していきます。
 なお、平成29年度においては、市内11カ所で児童クラブ室の整備を進めることとしており、30年度、31年度においても、待機児童の多いところから優先的に整備を進めてまいります。
 次に、支援員の配置と確保策についてですが、まず、支援員の配置については、条例で定める基準に従い適正な配置を行うとともに、児童を安心・安全に保護・育成することができるよう、状況に応じて運営受託者と協議の上、追加の配置をしています。
 また、支援員の確保については、利用児童の増加に対応するためのクラブ室の整備・拡充や開所時間の延長など、児童クラブの充実に向けての課題であると認識しており、平成29年度は、支援員の処遇改善を実施することとしました。
 今後も、運営受託者と協力し、あらゆる機会を捉えて求人活動など支援員の確保策を講じることにより、円滑なクラブ運営のために必要な支援員の確保を図っていきたいと考えております。
  〔24番鈴木節子君登壇〕

◯24番(鈴木節子君) それでは、3回目の質問をいたします。
 先に国保についてですが、全国知事会の要望があります。国保の構造的問題を放置するのではなく、国からの交付金は1兆円規模で必要だと主張していますが、政府は、3,400億円程度しか見込んではいません。また、平成30年度の交付金の額がいまだに決まらない状況です。このままで一般会計からの繰り入れをやめさせる指導は、国の責任放棄にもつながります。国保加入世帯の貧困化・低所得化という構造的矛盾を抱えたまま、一方的に繰り入れを解消したら、矛盾をさらに拡大するだけです。
 本市は、一般会計からの法定外繰り入れをこれまで20億円続けてきましたが、今年度は3億円にまで削減しています。繰り入れは、継続・拡充すべき性格のものです。都道府県単位化のもとで一般会計からの繰り入れを継続し拡充する、その必要性についてお答えください。
 次に、児童クラブです。
 今年度、新1年生だけで30人を超えるクラブは26クラブ、中には1年生だけで40人、50人を超えるクラブもあります。こうしたクラブで特徴的なのは、低学年に集中している傾向があります。1年、2年、3年生が大方を占めているという状況です。
 その中で、支援員は、毎日大変な労力と注意力を払って活動しています。児童クラブは、放課後の生活の場、友達との交流の場を安全に豊かに過ごす場であり、子供にとっては家庭の憩いの場の代行ともなります。支援員は、子供一人一人の変化や様子にも敏感に反応し、的確に対応できる経験豊富な人材が求められています。
 しかし、低学年が集中する職場で休みもとれない環境から、仕事への熱意はあっても、休めない、体がもたない、所得が低く生活できない、自活できないということから仕事をやめざるを得ない事例もあります。
 今年度、支援員の処遇改善がようやく、ほんの少し前進しましたが、どのような理由からか、その目的と内容を伺います。
 2点目に、さらなる処遇改善の必要性についてです。
 厚労省は、ことし1月、支援員の人件費を見直し、補助基準額の増額、支援員の経験に応じた処遇改善のための補助を創設しました。また、開所時間延長のクラブにも、賃金改善の補助を打ち出しました。これらのメニューをしっかり活用すれば、抜本的に支援員の待遇改善につながり、児童クラブの安定した運営にも貢献できます。支援員は、これまで低賃金で活動され、子供たちの立場で活動されてきましたけれども、支援員の活動に見合う賃金アップ仕事や活動を支える待遇に抜本的に大きく足を踏み出す必要があります。国のメニューをしっかり活用し、今後、支援員のもっとやるという意欲が引き出せるような待遇改善をして、引き続き支援員としての活動に誇りを持って子供たちに対応していただける、そういった支援員を継続して安定して確保するためにも、抜本的な処遇改善をすべきと思います。
 今年度、少しだけ待遇改善がありましたが、それは国のメニューの半額です。それも5年、10年、15年と継続していただいた支援員だけです。また、主任手当になるものもありましたけれども、もう少し支援員全体に向けて、やる気を引き出すような処遇の抜本的改善を求めて質問といたします。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険の都道府県単位化に伴う法定外の繰入金の考え方についてですが、法定外繰入金は、保険料収入の不足を補うため、例外的に繰り入れするものであり、その財源は市民の皆さんの税金で賄っていることから、全体の公平性を考慮し、慎重な検討が必要であると考えております。

◯子ども未来局長(石野弘康君) 放課後児童クラブについての2点の御質問にお答えします。
 まず、支援員の処遇改善の目的と内容についてですが、児童クラブの運営において支援員の果たす役割は、大きなものであると認識しております。
 支援員は、各運営受託者が雇用し、配置しております。本市では、これまでも委託料算定における賃金単価の引き上げや主任手当の創設など、処遇改善につながるよう努めてきました。
 今回、児童クラブの安定的な運営と必要な支援員の確保を目的として、大幅な処遇改善を行うこととしました。
 具体的には、委託料算定において、クラブ運営の中心的な役割・業務を担う主任支援員の人件費については、現状の時間単価によるパート雇用から、月額単価による嘱託化にも対応できるよう見直しを行うとともに、全ての支援員についても、一定の経験年数に応じた加算手当を導入することといたしました。この見直しによって、支援員の安定的な確保につながるものと考えております。
 次に、今後の処遇改善の方針についてですが、今回、支援員の大幅な処遇改善を実施したところですが、本市では、今後も児童クラブの整備・拡充を精力的に進めていくことから、現場における支援員の確保状況や国の補助事業等の動向を見きわめながら、さらなる処遇改善の要否について検討していきたいと考えております。