◯12番(寺尾 昭君) きょうは、第1に、大谷・小鹿地区の道路整備とまちづくり、第2に、里親制度ということで質問いたします。
大谷・小鹿地区まちづくりの中心的役割を担う東名新スマートインターチェンジは、平成29年度末完成という予定で、現在、建設工事が進められております。周辺は、インターチェンジ本体やアクセス道路の整備に向けて工事が本格化しております。住民の皆さんから、さまざまな完成後の期待の声も聞かれます。
しかし一方で、工事による交通通行規制により、日常生活への支障が出ているとの声も少なくありません。インターチェンジは、南北に数百メートルの導入路ができるわけであります。現在の静岡市道が東西に分断されるという心配の声もあります。
質問です。まず、交通規制情報の周知方法はどのようにやってきたのかということをお伺いいたします。
スマートインターチェンジ開通と、それに伴う周辺道路の整備は一体的なものであります。インターチェンジの近くには、大谷小学校、宮竹小学校、あるいは南中学校もすぐ近くにあります。通学路としても使われています。付近の住民にとっては、生活道路としても使われている。また、今後も当然必要になってくるわけです。
自動車は道路がよくなれば、当然、これまでよりスピードアップすることになるわけで、それだけに、交通安全対策を強める必要があると思います。
インターチェンジ供用後の交通安全対策が必要だと思いますけれども、今後どのように進めていくつもりか、お聞きいたします。
次に、静岡市の里親制度についてであります。
里親制度は、さまざまな理由により児童を養育できなくなった実の親にかわって、里親となって児童を養育する制度であります。施設による養育とは異なって、家庭的な雰囲気の中で養育できるという特徴があるわけです。
しかし、里親の登録数がまだまだ少ないということ。あるいはまた、里親への委託率がなかなか向上しないという問題もあります。
委託した後の里親への研修などのフォローの問題もまだまだ解決をしていかなくてはならないということであります。
そこで、質問でありますが、里親委託に係る現状と課題についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
次に、里親委託の推進についてでありますけれども、本市は既に報道などがされておりますように、全国的に見て大変先進的であると評価されております。里親委託率が全国トップクラスだということでありますが、これは児童相談所の職員を初めとして、皆さんの御努力のたまものということが言えるわけであります。もう一方、NPO法人の静岡市里親家庭支援センターというものが、静岡に特徴的なものとして存在しておりまして、ここに業務を委託して推進を図ってきたことが本市独特の方法ということもあり、ここがまた効果を発揮してきた一つの要因にもなっているということであります。
そこで、質問ですが、このNPO法人静岡市里親家庭支援センターへの委託は、どんな内容で委託をしているのか。そして、現在、その効果がどんなものになっているのか、まず伺っておきたいと思います。
◯副市長(小長谷重之君) 私からは、里親制度についての2点の御質問に一括してお答えさせていただきます。
まず、里親委託の現状と課題についてであります。
本市では、これまで保護者の不在や虐待等により、実父母等による養育が受けられない子供についても、自己肯定感の醸成などの観点から、できる限り家庭的な環境で愛情をかけ育てることができるように、里親家庭へ委託することを積極的に推進してきました。その取り組みの結果、平成27年度末時点で、本市は里親委託率46.9%と全国第1位になったところであります。
里親委託の現状といたしましては、平成28年度末時点での里親登録数は86世帯で、そのうち49世帯の里親に61人の子供を委託しており、社会的養護の必要により、施設等に預けられている子供の総数134人に対して、里親委託率は45.5%と、全国でもなお有数の高い委託率となっております。
次に、課題につきましては3点あると考えております。
児童虐待の増加とともに、発達障害や愛着障害等の課題を抱えた子供がふえていることから、まず第1に、さまざまな子供に対応できるよう里親登録数をふやすこと。第2に、既に登録していただいている里親の方々の養育能力や専門性を向上させていくことが必要であること。そして、第3に、地域社会において里親制度を正しく理解し、支えていただくよう、より一層普及啓発を図っていく必要があることであります。
次に、NPO法人静岡里親家庭支援センターへの委託内容と、その効果についてであります。
本市が里親業務を円滑かつ積極的に推進するため採用している委託方式は、静岡方式と言われ、官民連携による先進的なモデルとして、国の政策検討の場でも取り上げられるなど、全国的にも注目されております。
静岡市里親家庭支援センターは、静岡市里親会を母体とし、里親制度全般から個々の里親家庭の実情に至るまで、その詳細を熟知している法人であります。そのため、市では、この支援センターの強みを生かし、制度の周知啓発に関することや、里親の新規申請受付から認定後の研修の実施、そして里親の相談対応など、里親支援に係る一連の業務を委託することにより、市と支援センターとの協働体制を確保しております。
委託の効果といたしましては、里親にとって身近な存在である支援センターがその相談に乗ることで、里親が安心して里子の養育に専念できること。市や関係機関と里親間のさまざまな調整を行い、円滑な関係を確保できることが挙げられます。
また、児童相談所としても、里親に係る一連の業務を委託することで、職員が他の児童相談所の児童相談の対応に専念できることも効果であると考えております。
◯都市局長(大滝茂雄君) 私からは、大谷・小鹿地区の道路整備とまちづくりについてに関する2つの御質問にお答えします。
まず、交通規制情報の周知方法についてですが、東名新インターチェンジ周辺整備事業は、広域かつ長期にわたり市道を規制することから、整備状況に応じた交通規制情報を的確に道路利用者へ周知することが重要です。
このことから、工事の着手に先立ち、地域住民を対象に説明会を実施し、バスやタクシー事業者に対しても個別に交通規制情報を提供し、事前調整を行いました。
また、一般の道路利用者に対し、案内看板を工事着手前から設置し、周知を図っております。
工事着手後は、工事の進捗状況に合わせ、迂回路案内看板を設置し、また月ごとに交通規制情報を周辺自治会や学校等に提供するなど、きめ細かな周知を図っております。
今後も継続的に現在の交通規制状況や、インターチェンジ供用後の規制・誘導に関して、関係自治会などへ情報提供するとともに、市の広報紙やホームページ等を活用し、広く周知を図ってまいります。
次に、新インターチェンジ供用後の交通安全対策についてですが、新インターチェンジの供用に伴い、周辺地区では、自動車交通量の増大が予想され、生活道路への流入の増加も想定されます。そこで、生活道路への流入車両に対する歩行者の安全確保や、増加する自動車交通に対する適切な誘導などについて、地元自治会や学校、交通管理者と協議、検討を行ってきたところです。これらの検討結果を踏まえ、幹線道路や地区内の通学路には、歩道を新設するとともに、生活道路への車両の流入を抑制するため、規制標識等による交通規制や誘導を行い、歩行者の安全な交通環境を確保してまいります。
〔12番寺尾 昭君登壇〕
◯12番(寺尾 昭君) 大谷・小鹿地区のまちづくりの状況についてでありますが、この区域は市内に残された貴重な平地といいましょうか、まちづくりが成就することになれば、人口減対策、雇用拡大、にぎわいの創出など、今後の静岡市の発展に大きな貢献を果たす可能性を秘めている地区だと言えると思います。
全体計画については、既に示されております。全エリアを交流施設エリア、居住エリア、工業・物流エリア、農業エリアの4つのエリアに分けると。そして、恩田原、片山、水上の一部を先行整備エリアということで、この水上の一部が入るわけですけれども、先行整備エリア以外の富士見台、西大谷などは後発整備エリアに設定をしているということであります。そして、組合施行によります区画整理方式によって事業推進を図るということであります。
この区域は市街化調整区域だと既に言われております。そして、農業振興地域ということにもなるわけで、事業推進に当たっては、当然、これを解除しなければならないということになるわけであります。
大谷・小鹿地区まちづくりニュースというのが出されておりますね。本年6月の臨時号を拝見いたしますと、先行整備エリアの地権者に御協力いただいたアンケートというんですかね、そういうものをやっております。「組合施行の土地区画整理事業を前提とし、将来の土地利用意向に合わせた、より具体的な検討を進めるとともに、静岡市の技術的な援助を求めることについての同意」というアンケート、長いアンケートですけれども、これの集計の結果が出ております。恩田原・片山地区で、地権者数でいうと81%の仮同意という表現になっております。宮川地区では74%ということでありますけれども、この到達状況で、事業推進をしてよいものかどうかということが1つ心配になるわけであります。
区画整理事業が頓挫した例というのが議会でもかつて問題になったわけであります。法定では3分の2以上ということですから、これをクリアしていることは確かでありますけれども、しかし、どういう同意の状況になっているのかということも気になるところであります。
そこで、2点お聞きしたいのですが、恩田原・片山地区における区画整理組合設立への同意取得状況、そして特に問題は未同意者への対応、ここもどうクリアをしていくのか、お聞きしたいと思います。
そして、それらを含めて、今後の事業スケジュールをどのように考えているのか、その辺についてもお聞きしたいと思います。
次に、里親委託の問題です。副市長から先ほど答弁がありました。積極的な施策を進めているということであります。まだしかし、お話にもありましたように、これが市民の間に十分浸透されていないといいましょうか、行き渡っていないところも問題だと言われました。
まず、この里親の数をふやすということですね、いわゆる里親登録数をふやすこと。そして、里親としての役割を担うことは、なかなか容易なことではありませんから、一気に里親の数をふやすことは困難かもしれませんけれども、広くやはり市民に周知を図っていくことが求められるわけです。
そこで、伺いますけれども、今後の里親制度の市民への周知・啓発を具体的にどのような方法でやろうとしているのか、伺いたいと思います。
そして、実は10月は里親月間になっているんですね。里親制度とは何か、どのようなことをしているのか、この制度が果たしている役割や課題など、広く市民にアピールするには非常にいい機会だと言えるわけです。本年の里親月間に向けて、今、どのようなことを計画しているのか、伺っておきます。
資料によりますと、先ほどもお話がありましたけれども、2015年度末の里親委託率は46.9%、全国1位、トップクラスということでありますが、しかし、今、目標は50%を掲げていると聞いております。
そして、厚労省は、75%までにしようじゃないかという提案をしているんですね。しかし、全国的には、実は17.5%という、静岡市に比べると非常に低い率ということですから、75%とはかなりの乖離があります。そういう状況もこれから埋めていかなければならないという課題が残っております。
そこで、質問ですが、里親委託率の目標達成に向けて、今後、里親委託についてどのように進めていくつもりなのか、この点を伺っておきます。
◯都市局長(大滝茂雄君) 大谷・小鹿地区の道路整備とまちづくりに関する2つの御質問にお答えします。
まず、恩田原・片山地区における区画整理組合の設立に関する地権者の同意状況と未同意者への対応についてですが、平成28年6月に設立された恩田原・片山土地区画整理組合設立準備会では、先進地視察や勉強会を重ねる中で事業への理解を深め、本年3月より地権者の同意取得作業に取り組んでいます。
現在、施行地区の地権者数は、共有名義人を含め約270名で、そのうち同意者は9割を超えており、土地区画整理法で定める地権者総数の3分の2以上の同意の規定を満たしております。また、同意をいただけない方は、その理由の多くが事業の実施には反対しないが、土地の配置条件が不明確な状態では同意できないといったものであるため、今後、土地の配置計画である換地設計を作成する中で理解を得ていく予定であります。
次に、今後の事業スケジュールについてですが、現在、本市では、この区画整理事業に関連する6件の都市計画案件の手続を進めており、10月に開催する静岡市都市計画審議会へ付議する予定であります。
また、組合設立準備会では、年内の区画整理組合の設立を目指し、地権者の合意形成や事業計画の精査を進めております。
区画整理組合の設立後は、測量や換地設計を進め、平成30年末を目標に仮換地指定を行う予定で、その後、工事に着手してまいります。今後も地権者の事業への理解を深めていただくために説明会を開催するなど、区画整理組合と協働して事業を推進してまいります。
◯子ども未来局長(石野弘康君) 私からは、里親委託の推進に関する3点の御質問についてお答えします。
本日は、里親に関する2種類のリーフレットとチラシを配布させていただいておりますので、ごらんください。
まず、里親制度の市民への周知啓発の方法についてですが、里親制度を正しく理解していただき、また里親登録数をふやす必要があることから、これらのリーフレット等を各種イベントで配布しているほか、効果的な里親制度の周知に努めているところであります。
毎年9月に各区役所等で里親相談コーナーを開設するほか、企業、団体、大学等に講演会や研修会、出前講座を実施し、制度の概要説明や、里親、里子の体験談、里親会の活動状況などについても紹介しております。
特に本年5月には、静岡済生会総合病院との共催で、初めて医療機関向けの里親研修会を開催しました。当日は81名の方に御参加いただき、特に里親の方の体験談には、深く感銘を受けたとの感想が多く寄せられました。
このほかにも、毎年の里親月間においては、広報紙への掲載や記念イベントのテレビ、新聞への紹介のほか、FMラジオへ出演して制度を説明するなど、マスメディアを含めてさまざまな媒体を活用し、幅広い世代への周知啓発活動に取り組んでおります。
次に、本年の里親月間に向けての計画についてですが、国は10月を里親月間と位置づけており、本市もそれに合わせて里親委託推進のためのさまざまな取り組みを計画しております。既に里親制度の周知のための相談コーナーの開設や、里親募集のためのチラシ配布を行っているところですが、先週の9月22日には、本市も参加している全国組織である子どもの家庭養育推進官民協議会との共催で、里親委託の推進をテーマとした研修会を開催したところであります。
里親月間では、アイセル21で、静岡県、浜松市との共催により記念講演会や里親相談会、月末には一日里親体験会の開催を予定しております。この一日里親体験会では、里親登録を希望される方と、施設に入所している子供たちとの交流の場を提供し、里親制度の理解を深めてもらうもので、本年は清水区内でみかん狩りの実施等を計画しております。そのほか、生涯学習センター等での出前講座も実施し、里親制度のより一層の普及啓発を図ってまいります。
最後に、今後の里親委託の推進についてですが、国が設置した新たな社会的養育の在り方に関する検討会から、本年8月、新しい社会的養育ビジョンが示されました。これを見ますと、社会的養護を必要とする子供の養育について、今後は里親制度がその大部分を担うことが意見として出されており、里親委託の重要性はさらに増すものと考えられます。
本市では、これまでも社会的養護を必要とする子供については、子供の最善の利益の実現という観点から、より家庭的な環境で養育できるように里親委託を推進してきたところであります。
今後は、里親に対する研修の充実や、より効果的な周知啓発方法等、NPO法人静岡市里親家庭支援センターへの委託業務の見直し、拡充を図るとともに、同センターや静岡市里親会との連携を一層強化し、本市が目標としている里親委託率50%を達成し日本一となるよう、里親委託のさらなる推進を図ってまいります。
つきましては、ぜひ議員の皆様にも、静岡市の里親の状況を地域に紹介していただき、本市の里親委託の推進をともに図っていただければ幸いでございます。
〔12番寺尾 昭君登壇〕
◯12番(寺尾 昭君) いろいろ答弁をいただきましたけれども、それにのっとってといいましょうか、さらに意見を申し上げたいと思います。
まず、スマートインターチェンジとまちづくりという課題であります。実はスマートインターチェンジの現場の状況を見てみますと、計画どおりに進んでいるのかなという心配がちょっと出てくるわけですね。完成時期が変更されるというようなことがないのかなという感じもするわけです。もし変更ということになった場合には、これは関係者への影響も大きいことになるわけです。できるだけ適切な時期といいましょうか、しっかりと市民に説明することも必要だと思いますので、その点をぜひお願いしたいと思うんですね。
区画整理の仮同意率の点についてもお話がありました。法定の到達率は、かなり高い率でクリアしているということでありますけれども、それでは十分かと、不同意者に対する対応という点では、若干楽観的な答弁かなという感じもしないでもないのですけれども、ここがやっぱり非常に重要になってくるというふうにも思います。
私も、インターの近隣の皆さん、農業やっている方の意見なども時々聞いているわけですけれども、なかなか困難な状況もあるのではないかなというふうに思っておりますので、ぜひ精力的にお願いしたいと思います。
それから、里親制度についてでありますけれども、実は里親のところについても、いわゆる児童虐待という問題で言いますと、26年連続増加の12万2,500件だと言われております。静岡県も若干ふえているような状況であります。
里親のところについては虐待はないのかというと、実はこれもあるんですよね。そういう数字も出ております。そういう点では、いわゆる里親さんに対する指導、あるいは研修というようなことも非常に重要になってきているということです。
里親家庭支援センターに対する支援も、今後しっかりしていっていただくことを最後にお願いして終わります。