国民健康保険料の引き下げは可能 当局に迫る 少人数学級さらに前進

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皆さん、おはようございます。
 通告に従い、まず国民健康保険について質問します。
 来年度から、県が国保の財政運営の責任主体を担う県単位化に移行します。移行に伴って負担増を許さず、国保料引き下げを求め、質問します。
 国保財政の流れは、県が市町に対して納付金の金額を示し、市町は納付金が賄える保険料率を決め、加入者から保険料を徴収することになります。
 現在、県から納付金試算額が示され、市町は来年度の保険料率を検討する作業に入ります。重要なことは、この額に法定外繰入金は含まれていないため、繰入金を投入し負担軽減施策をしっかり行うことです。
 質問の1点目に、納付金試算額が県から示されましたが、本市は来年度国保料をどのように算定するのか、その概要と手順をお聞きします。
 また、本算定は、診療報酬の改定を反映した確定係数により来年1月に示されるため、当然、変動があります。4月から新制度に移行しますが、仮算定と本算定に乖離があった場合、どう対応するのか伺います。
 次に、教育行政について、2つの項目で質問します。
 まず初めに、少人数学級について質問します。
 静岡式35人学級が小1から中3まで全学年で実施されています。個に応じたきめ細やかな対応ができ、基礎学力を伸ばすなどのメリットがあります。静岡県は今年度小学校3年生、4年生の1クラス25人以上という下限を撤廃し、順次対象学年を拡充し、さらにゆとりある教育を進めます。政令市は今年度より権限移譲されました。独自の裁量が試されていますが、メリットある施策は県下統一で進めるべきです。県の施策をどう評価し、本市はどう対応していくのか、取り組み状況を伺います。
 次に、全国学力・学習状況調査、いわゆる学力テストについて質問します。
 今回は、公表のあり方に焦点を絞ります。
 2010年、国連子どもの権利委員会による日本政府に対する勧告は、過度に競争主義的な環境による否定的な結果を避けることを目的として学校制度及び学力に関する仕組みを再検討することと指摘しました。
 毎年繰り返される学力テストによる弊害はどうでしょうか。全国の平均点より以上にとか、昨年の平均点を超えろなど、テストの平均点を上げることに集中しています。そもそも学力テストの目的は、児童生徒への教育指導の充実や学習の改善に役立てるもので、公表する必要は本来ないはずです。
 市教委は、学力テスト結果については各校が自校で分析し、改善方策をホームページや学校だよりで公表すること、地域、保護者と成果や課題を共有し連携を図ることを指導し、特に中学校は平均点より上か下かを既に公表しています。
 公表の必要性、原則について確認します。平成25年11月定例会でテスト結果は公表しない、学校にも公表させないという原則について、当時の教育長の答弁は、公表は学校全体の評価とみなされ、学校間の序列化や過度な競争を助長し、保護者、地域との信頼関係が失われてしまうことが考えられる。教育の目的がよい点数をとることのみに偏重されている弊害が出るおそれがある。したがって、学校ごとの点数による公表は行うべきではないと答弁しています。この基本方針は、現時点でも貫かれているのか、確認の意味でお聞きをします。
 以上、1回目です。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) まず、国民健康保険料に関する御質問にお答えいたします。
 平成30年度保険料の算定方法及び乖離があった場合どう対応するかということですが、平成30年度の保険料収納必要額の算定方法は、県から示された仮係数による納付金をもとに保険事業費や出産育児一時金、葬祭費など納付金に含まれていない金額を足し、保険者努力支援制度や保険基盤安定負担金などの国、県からの交付金など、市独自で納付金の財源とすることのできる金額を引くことで算出いたします。
 次に、仮係数による納付金と確定後の納付金に乖離があった場合の対応方法ですが、納付金の確定額の提示は平成30年1月下旬ごろとされているため、30年度当初予算への反映は困難となります。したがって、仮係数による納付金額で予算編成を行う予定であり、納付金額に対し予算額が不足する場合には、30年度中に補正予算で対応することとなります。

◯教育局長(望月 久君) 教育行政のうち、少人数学級についてお答えいたします。
 本市の少人数学級の現状についてですが、現在、本市では35人以下学級の取り組みの基本を、教員が子供たちに目が行き届きやすい学級を編成することとし、1クラスの子供の数を少なくする少人数学級と、1クラスを複数の教員で指導するチーム・ティーチング指導や習熟別指導などを行う少人数指導に取り組んでおります。
 平成29年度は、今後の静岡市型35人以下学級のあり方の研究として、1クラス25人という下限を撤廃し、少人数学級による学習面、生活面の効果について、小学校3校、中学校1校を対象に検証しております。

◯教育統括監(望月敬剛君) 全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
 全国学力・学習状況調査結果の学校別の公表における基本方針についてですが、全国学力・学習状況調査の目的は調査結果を把握、分析し、教育活動の成果と課題を検証して指導の充実や学習状況の改善に役立てることにあります。この目的のもと、教育委員会においては静岡市全体としての国語、算数・数学の平均正答率と子供の生活実態に関する調査を公表しています。また各学校においては調査結果の分析のもとに教育指導の充実のための学習状況の改善の方向性について、学校だより等を通して公表をしております。
 これらの公表についての基本的な考え方は、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすことが重要である一方で、学校別の点数の公表による序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮して行うことであり、調査実施以来変わっておりません。
  〔24番鈴木節子君登壇〕

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険に関する2点の御質問にお答えします。
 まず、突発的な理由により保険給付費が不足した場合の責任主体ですが、都道府県単位化に伴い県が財政運営の責任主体となり、給付に必要な費用は全額県が市町に交付することになります。それに伴い、従来、市で行ってきた突発的な理由により保険給付費が不足した場合への対応は県が設置運営する財政安定化基金により一時的に行うこととなり、翌年度の県への納付金額に上乗せされる形となります。
 次に、市の基金の保有の必要性と今後の活用方針についてですが、従来は突発的な理由により保険給付費が不足した場合に備え基金を保有しておりましたが、平成30年度以降、本市としましては制度改正に伴う激変緩和や年度当初の安定的なキャッシュフローの確保等に基金を活用していく予定です。

◯教育局長(望月 久君) 教育行政のうち、少人数学級の充実に関する教育委員会の考え方についてお答えいたします。
 現在、平成29年度に実施している静岡市型35人以下学級のあり方の研究で、少人数学級編成の効果分析を行っております。成果としては、クラス間での競い合いにより向上心が芽生えてきたや、子供の活躍できる場がふえ、自己肯定感が向上してきたなどの報告がありました。一方、課題としては、教科によって複数教員による少人数指導のほうが効果的であるや、中学校からは学級数がふえたことで教員の担当授業数が増加する場合があるなどの報告も受けております。これらの課題を踏まえ、少人数学級だけでなく、さらに少人数指導による効果検証も必要であると考えております。
 次に、平成30年度に本市で下限撤廃を行った場合に増加する学級数及び教員数につきましては、本年9月10日時点で試算いたしますと、小中学校合わせて15校21学級となり、21人の教員が必要となります。

◯教育統括監(望月敬剛君) 学力・学習状況調査についての2点の質問についてお答えいたします。
 まず、静岡型小中一貫教育の評価における全国学力・学習状況調査の活用についてですが、平成28年度から静岡型小中一貫教育教育課程等協議会において基本的な考えやカリキュラムの策定を進めています。
 本年度は、主に教育課程への取り組み状況を検証するための学校評価について協議を進めています。学校評価を行うに当たっては、児童生徒の学力の状況を記載する欄を設けており、全国学力・学習状況調査の結果を活用することとしております。本記載箇所について、委員からは、全国学力・学習状況調査の結果を活用することはよい。ただし、調査結果を活用した分析内容の表記は、点数等ではなく子供たちの取り組み状況を記載するほうがよい、調査結果から見出した課題を明確にし、どのように改善していくのかの方策など文章で掲載したほうがよいといった趣旨の意見をいただいております。これらの意見をもとに引き続き検討を重ね、子供の学びをより豊かなものにしていけるよう協議を進めてまいりたいと考えています。
 次に、学力アップサポート事業と学力向上専門家委員会の取り組み内容と効果についてですが、学力アップサポート事業では希望した小学校12校の5~6年生に学び直しの機会を提供するため、児童20人に対し4人の支援員を配置するなど一人一人にきめ細かい指導を行っています。その結果、わからなかったことができるようになってきた、授業でも発表するようになったと報告があり、児童が学校で意欲的に生活する等の効果があらわれています。
 また、学力向上専門家委員会では、教員の指導力の向上を目的として委員である大学教授等が学校に出向き、日常の授業改善の支援を行っています。学校からは、専門性が高い助言により授業が変わってきた、校内では気づかなかった視点で授業改善の指導を受け、研修が深まった等の声が聞かれ、小中学校での授業改善の効果があらわれています。
  〔24番鈴木節子君登壇〕

◯24番(鈴木節子君) 今、お答えをいただきましたけれども、3回目の質問です。
 まず、国保料についてですが、11月27日に県の国保運営協議会が開催されました。各市町に来年度納付金の試算額と激変緩和の4パターンが示されました。
 本市の納付金は197億8,000万円、平成28年度ベースと比べると15億6,000万円低い額で、1人当たりは264円低くなります。激変緩和を入れた4パターンはいずれも16億8,000万円から18億円低い額が提示されました。しかし、重要なことは、保険料必要額は、先ほど局長の答弁があったとおり、納付金に保健事業費など市独自で集めるべき額をプラスしてから支給される公費を差し引いて算定しますので、不足金が生じます。低いからといって喜んではいられません。この比較をしますと、本市も当然不足金が生じると、市の担当課も提案してきております。しかし、ここをどうするかが重要です。
 昨年度決算の活用可能額は88億円です。以前27~28年度と、2年続けて引き下げをしたときの活用可能額は101億円、90何億円と比べて同額のかなり大幅な活用可能額が残っています。一般会計からの繰り入れを本来は増額すべきですが、少なくとも維持をした場合でも納付金の不足金を補っても、まだ保険料引き下げに必要な額は十分あります。
 今後の納付金がどのように推移するかは断定できませんが、基金を保有し続けるより、今、必要なことは負担軽減にしっかりと市がその姿勢を示す。それが当然の施策です。保険料が2年続けて下がりましたが、滞納世帯がまだたくさんあります。そのうち、所得300万円未満世帯は8割を占めています。所得の2割に及ぶ重い負担が暮らしを苦しめています。国保料引き下げという決断をすべきです。お考えを伺います。
 少人数学級については、1クラス25人の下限を撤廃した場合、21学級で、教員数がふえるという試算でした。県と歩調を合わせて、本市も下限撤廃をぜひ決断していただきたいと思います。方針を伺います。
 次に、学力テストの結果、これを授業改善に活用する。そして個に応じたきめ細かな授業に改善することは必要です。しかし、平均点以上かどうかが一目でわかる公表をしたら学校の序列化が進み、点数を上げることに集中することは避けられません。保護者、地域との信頼関係を保ち、過度な関心を集中させないためにも、どのような形式であれ公表をすべきではありません。
 先ほど、教育統括監のお答えにありましたけれども、本来、学力テストは公表するために行っているものではありません。悉皆調査でなくても抽出調査でもいいはずです。それを全国で小学生、中学生に、今、させていますけれども、この結果で平均点以上にする、ここにかなり焦点が置かれています。学校現場では過去問題になれさせる、本来行うべき授業をやめてまで過去問になれさせる取り組みが強化されていますが、本来の学力をつける教育に改善を求め、質問を終わります。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 平成30年度の国民健康保険料の引き下げの可否についてですが、現在、県から示されている納付金をもとに、本市への影響を分析しているところであり、基金の活用方法を含め、さらなる検討が必要だと考えております。
 今後、保険料につきましては静岡市国民健康保険運営協議会にお諮りし、協議してまいります。

◯教育局長(望月 久君) 教育行政のうち、少人数学級についてお答えいたします。
 今後の本市の学級編成についてですが、引き続き教員が子供たちに目が届きやすい学級を編成することを基本に、平成29年度に市内4校で実施している検証事業の効果分析を行うとともに少人数学級だけでなく少人数指導による効果検証も行い、それぞれの制度の比較検証を進めた上で、本市独自の静岡市型35人以下学級編成に取り組んでまいります。

◯教育統括監(望月敬剛君) 全国学力・学習状況調査の結果公表についてですが、各学校における結果の公表は調査結果から見出された成果と課題及び改善方策を地域や保護者と共有し、連携して子供たちを育むために行うものです。
 今後も、地域や保護者に対しての説明責任を果たすとともに、学力調査の趣旨にのっとり、子供たちの学力や生活習慣などの特徴、さらに学習状況の改善に必要な情報を共有し、教育活動の充実につなげていきたいと考えております。