今回は、医療・介護について質問いたします。
新総合事業ということで、地域支援事業と最近は言うようでありますけれども、移行後の状況について、まず伺いたいと思います。
介護保険制度は2000年に始まりました。高齢化が進む中で、その内容がたびたび変更をされてきているということがあります。要支援1、2の訪問介護や通所介護などは既に介護保険から除外されることになっております。政府は、介護保険の仕組みは基本的には変わるものではないと言っているわけでありますけれども、市町村の行う地域支援事業に移すことで介護保険などの公的支出を減らしていくことが、その狙いであることも明らかではないでしょうか。
地域支援事業には、ボランティアやNPO団体などが参加することになっておりまして、介護の質が保証されるか、持続性、安定性という点でどうなるのかということが心配されております。同時に、公的責任の後退につながりかねないという声もあるわけであります。
本市でも国の方針に従って事業を進めてきております。このような制度の変更は要介護者とその家族の方々はもとより、介護事業者にも大きな不安を広げています。
そこで、質問でありますけれども、要支援1、2の方のサービスの利用の状況、その後どうなっているのか伺います。
平成27年度に介護報酬が4.48%大幅に引き下げられた。事業所の運営に大きな影響を与え、閉鎖せざるを得ない事業所も生まれたというような報道もありました。また、介護職員の処遇にも多大な影響があったことは事実であります。一方で介護職員の処遇改善加算を行う事業所として届け出を行い、処遇改善が可能となる措置をとる、これもできるようになりました。
そこで、2つ目ですが、平成27年度の介護報酬改定以降、廃止となった事業所はあるのか伺います。また、介護職員処遇改善加算を取得している事業所がどのくらいあるのか、このこともあわせて伺っておきます。
1回目です。
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 新総合事業へ移行後の状況など、2点の御質問にお答えします。
まず、要支援1及び2の方のサービスの利用状況についてですが、国の制度改正により本市でも本年4月から新総合事業が始まり、従来の要支援1及び2の方が利用していた介護予防サービスのうち訪問型サービスと通所型サービスが新総合事業に移行し、認定手続を経ず利用できるようになりました。
制度移行後、直近の状況として、8月利用分では、要支援1及び2の介護予防サービス利用者は5,737人、新総合事業に移行した分のサービス利用者は1,183人で、合計6,920人となっており、制度移行前の本年3月利用分の介護予防サービス利用者が6,842人でしたので利用者数は増加しております。訪問型サービスと通所型サービスを利用する方につきましては、新総合事業に移行後もこれまでと同様に必要なサービスを受けていただくことができ、サービスの内容や利用者負担額に変更はございません。認定手続が不要となったことでより迅速にサービスを受けていただくことができるようになりました。
次に、平成27年度の介護報酬改定以降、廃止となった事業所の数及び介護職員処遇改善加算を取得している事業所の数についてですが、介護サービス全体で平成27年度は91事業所、28年度は119事業所が廃止となりましたが、新規開始の事業所もあることから事業所総数は26年度末に1,987事業所であったものが、28年度末には2,582事業所と増加しております。
また、介護職員の賃金改善に充てることを目的として基本報酬に加算される介護職員処遇改善加算は、平成28年度は259法人1,794事業所、29年度は9月末現在で269法人1,925事業所が取得しており、介護職員の賃金改善に寄与しているものと考えられます。
〔12番寺尾 昭君登壇〕
◯12番(寺尾 昭君) 次に、医療・介護について、今、進められております地域包括ケアシステムについての問題であります。
現在、国は団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に重度な介護状態になっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、そういう名目で医療・介護・住まい・生活支援が包括的に確保される体制を実現する方法として、地域包括ケアシステムを構築するということであります。さらに、増加する認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも必要である。それを進めるのは地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて、市町村や都道府県がその役割を担うとしております。
また、高齢者のプライバシーと尊厳が十分に守られた住まいが提供され、その住まいにおいて介護予防・生活支援があることが基本的要素だと言っております。また、自主自立を強調する自助、公的制度に頼るのではなく、近隣やボランティアによる助け合いである互助を強調しているのも特徴であります。つまり、これからの医療・介護は在宅が基本ですよと、生活支援や介護予防はボランティアやNPO、自治会などから受け、必要なときに初めて医療や介護施設のお世話になるという仕組みが地域包括ケアシステムだと言えるのではないでしょうか。
さて、静岡市も国の方針に従って、現在、静岡型地域包括ケアシステム構築を進めているわけであります。元気な高齢者に介護予防事業や生活支援事業等でも活躍してもらおう、重点的な取り組みとして在宅医療・介護の連携推進ということで在宅医療・介護連携協議会の設置、認知症施策の推進ということで地域における専門職種の連携強化と資質向上のための認知症ケア研修の実施、生活支援・介護予防サービスの基盤整備の推進ということで多様な担い手ということになるわけでありますが、多様なサービスの提供などに取り組むとしております。
29年4月より、新しい介護予防・日常生活支援の新総合事業を開始して、既存の介護事業所によるサービスに加えてNPO、民間企業、住民ボランティア、協同組合等による多様なサービスを提供し、地域の実情やニーズに合った効果的かつ効率的な事業も実施可能となったと言っております。この言葉どおり本当に推進できるのか、これはやや疑問と言わざるを得ないわけであります。
平成25年の市の調査によりますと、自宅での介護を希望するのは本人で6割、家族で7割というような調査結果が出ているわけでありますが、一方で、住宅の構造が本当に介護に適しているのかどうなのか、家族に大きな負担がかかってはいないのか、そしてまた、介護離職というような問題も実際に起きている、これも報じられているわけであります。
そこで、質問でありますが、在宅介護・在宅医療を進める上での課題をどう捉えているのか、伺います。
静岡市では、昨年度、がん終末期の方を支える在宅医療をテーマに7つの地域で小圏域における在宅医療推進モデル事業を進めてきているわけでありますが、この事業は高齢者が住みなれた自宅でずっと最期まで暮らし、自分らしく暮らせるよう地域の医療、介護専門職の連携による支援体制を構築することを目的に行ったものだとしておりますが、今年度も同様な事業を進めていると聞いております。
質問でありますが、本年度の、今、進めていると言われております小圏域における在宅推進モデル事業の内容と進捗状況についても伺いたいと思います。
平成29年4月より新総合事業、つまり介護予防や日常生活支援をNPO、民間事業所、住民ボランティア、協同組合等によるサービス提供が可能となりました。元気な高齢者に介護予防事業や生活支援事業等でも支える側として活躍してもらうんだということのようであります。生きがいを持ってますます元気になってもらって健康寿命を延ばしていくと。これが静岡型のシステムの特徴だということであります。しかし、支える側には持続性、安定性、あるいは専門性ということが担保されるのか。ここがやっぱり問題ではないでしょうか。
そこで、質問でありますが、地域での支え合いの体制づくり、これが今、どのように進捗しているのか、伺います。
さらには、市独自としても地域包括ケアシステムを進める上で、病院の果たす役割も欠かせないわけであります。市として、推進している側として、市立病院として積極的にかかわっていくことがその役割とともに病院経営上の問題からも重要だと言っていいと思います。
そこで、市立清水病院の地域包括ケア病棟の現状と成果を伺っておきたいと思います。
2回目です。
◯健康長寿統括監(塩澤方敏君) 私からは、地域包括ケアシステムについての清水病院に関する以外の御質問についてお答えいたします。
在宅介護・在宅医療を進める上での課題についてですが、主な課題としましては、次の4点が挙げられます。
1点目は、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯にどのように対応していくかです。
2点目は、在宅におけるたん吸引などの医療行為等による家族の負担感をどのように解消していくかです。
3点目は、24時間対応できる診療所や万が一の際の病院の受け入れなどバックアップ体制の充実です。
4点目は、安心して在宅生活を送るためのバリアフリー化など住環境の整備です。
本市としましては、これらの課題解決に向け、利用できる介護サービスの提供や在宅医療に係る専門職の連携などの在宅医療・介護連携推進事業に取り組んでいるところでございます。
次に、小圏域における在宅医療推進事業の内容と進捗状況についてです。
この事業は、市民の皆さんが住みなれた自宅でずっと人生の最期まで自分らしく暮らすことができるよう、小学校区程度の小圏域での静岡型地域包括ケアシステムを構築することを目的としたものです。平成29年度は、先ほど議員が申したとおり、28年度のモデル地域7カ所に加え、新たな小学校区域8カ所を対象に医療・介護等の専門職と地域住民代表などとによる「自宅でずっと」ミーティングを開催しています。平成29年度のテーマは認知症の人とその家族を支える体制づくりで、ケーススタディーを行い、それを踏まえ専門職や住民の役割をあらわしたフローチャートの作成に取り組んでいるところでございます。本年8月のキックオフミーティングを皮切りに、これまで延べ16回527名の方の参加を得ております。
次に、地域での支え合いの体制づくりについてですが、本市では地域の特性や課題を整理し地域の方々と協働し、それぞれの地域で支え合う体制づくりを行っていく生活支援コーディネーターを配置しております。配置状況につきましては、平成27年度から本庁及び各区に生活支援コーディネーターを1名ずつ配置し、日常生活圏域においても現在25圏域のうち16圏域に配置を終え、30年度には全ての圏域への配置を予定しております。また、生活支援コーディネーターが中心となり小学校区域ごとに地域づくり会議を立ち上げ、身近な地域における自治会や民生委員など関係者のネットワークづくりを進めているところです。
今後も、このような小圏域での地域づくりを支援し、身近な地域での支え合い体制づくりの推進に努めてまいります。
◯12番(寺尾 昭君) 在宅医療の4つの課題ということでしたけれども、もう少し詳しく言っていただけるとよりよかったんじゃないかと思います。
介護保険について伺います。
介護保険制度は2000年に始まったと先ほども言いましたけれども、この間、介護保険料は見直しを続けてきて、見直しと言っても結局値上げということになるわけですけれども、現在、約2倍になっております。利用料、いわゆる自己負担の分は当初の一律1割から所得により2割、3割と自己負担もふえてきているわけであります。一方で、要支援1、2が先ほどからの話のように介護保険から除外されるという部分も出てきて、地域支援事業に移されたということになっているわけであります。今後また、要介護1、2のところまで介護保険から除外される、今、こういう状況になっているわけであります。これがまた市町村の行う総合事業、地域支援事業に移されることになるわけであります。
介護認定者のうち、要支援1から要介護2までの割合は6割を超えております。介護認定された方の3割ちょっとしか介護保険の適用を受けられないことになり、介護保険制度の形骸化ということも言われているわけであります。保険料を払い続けても、いざ必要になったときに介護は受けられないことも出てくるわけであります。
そこで、質問でありますが、平成27年度の介護保険制度の改正により利用者負担割合が2割となった人は利用者のうちどのぐらいなのか。また、来年度の制度改正で利用者負担割合が3割となる人がいると聞いております。これもどのぐらいいるのか、伺っておきます。
国民健康保険では、先ほどもありましたように、保険料の軽減をめぐって基金の活用方法が議論の的になっております。介護保険における基金、実は介護保険にも基金があります。余りこれについては議論は行われてきておりません。基金の使い方は当然のことながら加入者のために使われる。当たり前であります。
そこで質問ですが、介護保険特別会計の基金は、現状どのくらいあるのか。そして、これは今後どのように活用をしていくのか、この点についても伺います。
次に、障害者の問題であります。
障害者の場合は、介護保険優先原則というのが、今、言われておりまして65歳になると利用している障害者総合支援法による福祉サービス介護を、市町村から介護保険法による介護に変更するよう求められるわけであります。介護保険による介護では利用料として1割の自己負担がかかってくるわけでありますが、そうなりますと負担増となるわけであります。そこで、65歳になっても障害者総合支援法に基づく福祉サービスを受けたいということで裁判になっている例もあるわけであります。そこで質問であります。
障害福祉サービス利用者が65歳を迎えまして介護保険サービスへの移行になる。この発生する負担というのは大きいと思うんですけれども、そこの軽減策があるのかどうなのか、伺っておきたいと思います。
次に、意見・要望になるわけですが、安倍政権は、今、骨太方針ということを掲げておりまして、それを議論しております経済財政諮問会議は一貫して医療費の抑制、削減を焦点にしているということであります。ここに貫かれておりますのは、何といっても医療・介護の公的支出をいかに抑えるかが主眼に置かれているということであります。税金の使い方、これは非常にさまざま議論があるわけでありますけれども、やはり憲法25条の精神に従って、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上というところにぜひ使っていくということを強調して、質問を終わります。
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 介護保険に関する3点の御質問にお答えします。
まず、利用者負担割合が2割の人、また3割負担となる人の割合についてですが、利用者負担割合が2割の人は本人の合計所得金額が160万円以上の方で、本年8月1日時点で3,668人、利用者全体の9.9%となっております。
国の制度改正により、平成30年8月から合計所得金額が一定の額以上の方が2割負担から3割負担に変わります。現在、改正内容は示されていないため、本市において3割負担となる人の数は明らかではありません。国は、3割負担となる人は利用者全体の3%程度を想定しているが、高額介護サービス費の月額上限額が設定されるので負担増となる人は少ないとしております。
次に、介護保険特別会計の基金についてですが、まず基金残高は、平成28年度末で27億800万円余となっております。
次に、基金の活用ですが、介護保険制度では介護保険法に基づき3年間の計画期間を通じて一定の保険料水準とするため基金を活用しております。介護給付費が総じて増加傾向にあることから計画期間の初年度は一定程度の剰余金を基金に積み立て、これを後半期間の介護給付費に充てることになります。計画期間の最終年度における基金残高がある場合、すなわち、平成29年度末の基金残高につきましては、これを含めて次期計画期間の最終年度の基金残高がゼロとなるよう次期保険料を算定してまいります。
最後に、障害福祉サービス利用者が介護保険へ移行した場合のサービス内容、利用者負担についてですが、まず、サービス内容については65歳を迎え介護保険へ移行しても受けられるサービスに変更はありません。介護保険に障害福祉サービスに相当するサービスがある場合はそれを利用していただき、ないサービスについては引き続き障害福祉サービスが利用できることとなります。
次に、利用者負担については、生活保護や低所得の世帯であるため障害福祉サービスの利用者負担がなかった方も、65歳になり介護保険の第1号被保険者となると負担が生じることになります。これについては、平成30年4月1日の法改正により、65歳を迎えるまでに5年以上にわたり障害福祉サービスを利用してきた方が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険のサービスを利用する場合には、利用者負担額を障害福祉制度により償還する仕組みが設けられることになり、この場合、実質的に新たな負担が生じないことになります。