市民生活向上と平和を守る市政の役割を質す‐代表質問‐

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◯12番(寺尾 昭君) 日本共産党静岡市議団の寺尾 昭でございます。
 議員団を代表いたしまして、市民の命と平和を守り、暮らしの向上を図るために、私たちの市政に対する積極的提案を行いつつ、田辺市長を初め、関係当局に質問をいたします。
 私たち市議団は、昨年末、来年度予算編成と行財政運営についての申し入れを田辺市長に対して行いました。そのうちの幾つかの項目では、来年度予算に反映されておりますことを評価しつつ、なお、解決すべき点も数多く残されていること、これも率直に指摘せざるを得ないわけであります。

 私たちは、市が進めている施策を市民の願いに貢献していると評価できるものについては、積極的に賛成・推進していきます。しかし、市民の願いに反し不利益を押しつける、こういう施策については、残念ながら賛成するわけにはいかないということで反対を表明してきた経緯があります。我が党に対し、何でも反対などと言う方もいらっしゃいますけれども、これは全く当たらないということも、この場で明らかにしておきたいと思います。
 今回の代表質問でまずただしたいことでありますが、田辺市長の静岡市政に臨む政治姿勢であります。
 2月21日、市長は、この本会議場におきまして施政方針を示されました。その中で、「鳥の眼をもって、地球規模での本市のあるべき姿を見定めつつ、虫の眼をもって、葵・駿河・清水の3区、78の連合自治組織の諸課題を見据えて、市民一人一人が自分らしい人生を謳歌できる、世界に輝くオンリーワンの都市を目指していきます」というふうに言われました。昨年の施政方針を見てみますと、やはり市民一人一人の生活を身近に見つめる虫のような微細な目線と、広く世界から未来の静岡市を見つめる鳥のような遠大な目線がモットーだということも表現されております。
 問題は、この姿勢が現実の市政運営に生かされているかどうかということであります。昨年来から議論になっております桜ヶ丘病院の清水庁舎跡地への移転にかかわる態度表明や、1月25日の定例記者会見での新清水庁舎建設基本構想案のパブリックコメントに関してほかの方からも出ておりますけれども、反対が多かった場合でも方針は変えないと、この発言は、鳥の眼にも虫の眼にもそぐわないというふうに言えるのではないでしょうか。
 田辺市長の市民に対する政治姿勢について伺います。
 まず、日本国憲法と地方自治に対する見解について伺います。
 市長は、鳥の眼、虫の眼と言っておられますが、鳥の眼の決断に際し、虫の眼という市民に寄り添った微細な視点がおろそかになっていないでしょうか、伺います。
 第二次世界大戦・太平洋戦争では、310万人の日本人と2,000万人のアジアの方々の命が奪われました。日本の国内でも、ほとんどの都市が焼野原と化し、家や財産はもとより、インフラ設備や貴重な文化財が失われました。私たちはこの教訓を生かし、再びこのような戦争はしてはならないと誓い、日本の憲法を制定しました。この憲法のもとで、ことしで戦後73年を迎えるわけでありますが、私たち日本は、この間、戦争に巻き込まれることもなく、戦場で命を奪うことも奪われることもなく平和を確保してきたことは、これは否定できない歴史の事実であります。
 安倍首相は、昨年10月に行われた衆議院議員総選挙で、改憲を表明いたしまして、憲法第9条に第3項として自衛隊の存在を書き込むという案を示しております。ことし中に国会でも発議をしたいというふうに言っております。その理由として、北朝鮮の脅威なども持ち出しているわけでありますが、もちろん北朝鮮の核ミサイル開発は許されるべきではないと思います。しかし、それに対して武力で対抗するという考え方は、極めて危険ではないでしょうか。現実に国の来年度予算には、ステルス戦闘機F35A、オスプレイ、イージス・アショアの導入の準備など、次々と新たな装備品を配備する計画が盛り込まれております。
 しかし、もし武力衝突が起こるとなれば、その結果がいかなるものにしろ、甚大な被害がもたらされることは疑いようがありません。日本に50基を超える原子力発電所が建設されておりますから、これが攻撃されるというようなことになったら、日本は住むところがなくなると。今、何よりも必要なことは、武力衝突を起こさない国際環境をいかにして構築していくか、このことではないでしょうか。このようなとき、憲法改正、とりわけ9条改憲を打ち出すことは、ますます軍事的緊張を高めることにはならないでしょうか。
 95歳を迎えました作家の瀬戸内寂聴さんは、戦争は人殺しだ、いかなる理由があろうとしてはならないと訴えられております。ノーベル賞を受賞された益川敏英京大名誉教授、経済学者の浜 矩子さん、作家の落合恵子さん、精神科医の香山リカさんなど、大勢の著名人が憲法を変えてはならないと、改憲ストップの3,000万署名を進めておられます。
 ことし1月に行われました共同通信の世論調査によりますと、憲法第9条への自衛隊明記に、賛成が35.7%、これに反対するが52.7%。安倍首相のもとでの改憲に、賛成が33%に対して、反対が54.8%。世論は憲法改正の必要性を言っておりません。
 私たち日本共産党は、国民統合の象徴であると規定している天皇制を含めまして、日本国憲法の全条項を遵守することを綱領に掲げております。我が党は、第99条に規定する公務員の憲法擁護義務を忠実に果たすとともに、この憲法を日本と国際社会の政治の羅針盤として生かしていくために全力を尽くしていきたいと考えております。
 昨年7月7日、国連で核兵器禁止条約が122カ国の賛成で採択されました。核兵器廃絶は、世界の流れであることが証明されたと言えます。昨年のノーベル平和賞は、先ほどもお話がありましたけれども、国際NGO核兵器廃絶国際キャンペーンICANに授与されました。授賞式にも参列されましたカナダ在住の被爆者、サーロー節子さんは、広島を思い出すとき、認識不能なまでに黒ずみ、膨らみ、溶けた肉体の塊となり、死が苦しみから解放してくれるまでの間、消え入る声で水を求めていた甥の姿が脳裏によみがえると国連で演説をいたしました。しかし、世界で唯一の戦争被爆国である日本の政府は、国連の討議にも参加しておりません。国会での批准もしようとしていない。被爆者と多くの国民に失望と怒りを呼び起こしております。
 2005年、静岡市は平和都市宣言をしております。この中で、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念のもと、核兵器など大量破壊兵器の廃絶と世界平和の実現に貢献することを表明するとしております。また、先ほどもお話がありました、5年前に国連軍縮会議を開催し、平和都市宣言の精神に基づき、平和と軍縮を内外にアピールしてきたことは記憶に新しいところであります。
 静岡市の取り組んできたことは、安倍政権が今進めようとしている改憲や核兵器廃絶に反する姿勢とは明らかに異なっております。田辺市長がこれまで市として取り組んできた経緯に立って、積極的な役割を果たしていくことを要請いたします。
 質問の2つ目、憲法改正、核兵器禁止条約の議論がある中で、静岡市は平和行政をどのように進めていこうとしているのか、伺います。
 次に、3次総について伺います。
 2015年から2022年までの8年間を見据えた3次総は、来年度から後半の4年間に入ります。静岡市の人口は、現状のまま推移すると2025年には65万人になる。人口の維持は、地域の持続的発展のためには極めて重要であるとして、2025年の市の人口70万人の維持を目標に掲げました。高いハードルではあるが全力で取り組むと、3次総には記されております。来年度の予算編成方針のその最初に、3次総の最大目標、2025年に総人口70万人維持を目指すために重点配分したと言っております。
 市長の毎年の施政方針では、人口70万人の維持は必ず去年までは掲げられておりました。しかし、ことしの施政方針では、どこを見ても70万人という字句は見当たりません。また、昨日の答弁で市長は、これからは人口維持を中部圏域レベルで考えるという趣旨の答弁をされました。
 静岡市は、ことし1月、2017年の人口について社会増減が346人の増加に転じたと発表しております。47年ぶりということでありますけれども、自然増減では3,100人のマイナス、これは過去最大ということであります。差し引きではマイナス2,754人、社会増減がプラスになったことは朗報と言えるわけでありますが、一過性にならないように施策を進めることが重要です。
 報道では、市長も待機児童ゼロなど、移住を決めてもらえる都市を目指すと語っております。他市の状況を見ても、子育て政策は移住を決めるきっかけになっております。雇用、住宅政策も大きなポイントでありますが、アセットマネジメントによる市営住宅の削減は、人口維持に反するということにはならないでしょうか。
 質問であります。市の人口の現状認識及び70万人維持方針の事実上見直しということになっているようですが、この点についてはどう考えるのか、お伺いいたします。
 次に、市の財政についてであります。
 静岡市の財政状況を見ると、経常収支比率、公債費比率など他の政令市との比較では、比較的よいというふうに言えるわけでありますが、財源不足などが続き、良好な状態とは、なかなか言いがたい。平成30年度の財源不足は50億円、財政調整基金などを基金繰り入れで賄ったとしております。中期見通しでは、31年度に72億円、32年度には69億円と財源不足の額を示しております。自主財源を確保し、財政の自由度を高めていくということが課題ではないでしょうか。
 当初予算における市税などの一般財源をどのように見込んでいるのか、また今後の見通しはどうか、お聞きいたします。
 来年10月から消費税10%への増税が行われることになっております。消費税は、累進課税が原則であるべき本来の税制度を逸脱した不公平税制ということで反対の声は根強く、国民の批判の声に二度にわたり延期されてきました。国民は、買い物をするたびに、来年10月からは1割の税負担をすることに大きな負担感を負わされることになるわけです。とりわけ低所得者にとっては過酷なものになっていきます。
 質問です。負担の増加につながる消費税10%への引き上げについてどう考えるのか、お伺いいたします。
 景気回復が盛んに喧伝されておりますが、大企業は空前の利益を得、内部留保は400兆円を超えたと言われております。法人市民税超過課税の実施については、私たちはこれまでも提案をしてまいりましたが、当局は消極的でありました。しかし、これを実施していないのは、政令市20市のうち本市と浜松市のみになっております。大企業の担税力は十分と言えます。財源確保策としても、実施に踏み切る時期に来ていると言えるのではないでしょうか。
 そこで、大企業への法人市民税法人割の超過課税を実施する考えはないか、お伺いいたします。
 次に、市民の生活実態と市政の役割についてお伺いいたします。
 政府は、アベノミクスで力強い経済成長が実現したと述べております。しかし、私たちには、この実感がないのはどうしてでしょうか。第2次安倍政権の5年で大企業の当期純利益は2.5倍となりました。内部留保は、80兆円ふえまして、400兆円を突破したと言われております。しかし、一方で労働者の実質賃金は、年収換算で15万円低下、実質消費支出は20万円減っております。高齢者の年金も引き下げであります。つまり、庶民の懐ぐあいがますます寂しくなっている、格差が拡大していると言えるわけであります。GDPの6割を占めている消費支出がふえない限り、景気回復はあり得ないと言えます。
 こうした中で、政府が生活保護の最大5%削減も決めているのです。既に2013年に最大10%の削減が強行されておりますから、一層厳しいものになっております。私のところにも、もうこれ以上削るところがないという痛切な声が届いております。今回の生活保護基準の引き下げの理由に、低所得世帯層の生活水準が下がったから、それに合わせた結果だと言っております。政府は、安倍政権になって貧困は改善と言っておりますけれども、低所得世帯の生活水準が下がったこととの説明がつきません。アベノミクスで経済好転との主張とも明らかな矛盾であります。
 生活保護費の削減は、市民の暮らしに重大な影響を与えます。住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などで低所得世帯の生活に連動するおそれがあります。また、このようなときこそ、自治体は国の悪政に対する防波堤の役割を果たすべきではないでしょうか。今後の対応において影響を与えないように、強く要望をするわけであります。
 そこで質問です。
 1番目は、生活保護及び生活困窮者自立支援の現状はどうなっているのか、お伺いいたします。
 2番目は、ひとり親家庭への支援の現状はどうなっているのか、伺います。
 3つ目は、生活保護基準切り下げについてどのように認識をしているのか、この点についてもあわせて伺います。
 次に、国民健康保険についてであります。
 国民健康保険制度は、2018年度から県単位化され、これまでは、仮試算というふうに言われておりましたけれども、先ごろ県への納付金と本市への標準保険料率が県から正式に示されました。当分は激変緩和措置がとられ、従来と比べ保険料の大幅引き上げは行わないことになっておりますけれども、今後は県内市町の保険料を統一することになっております。加入者への負担軽減を図るため、これまで各市町が独自に行ってきた一般会計からの繰り入れは行わないことが国の方針になっており、大幅な負担増につながるのではないかと心配の声が上がっております。
 しかし、国保制度には構造的な課題があります。国や自治体からの補助がなければ、加入者の負担は限りなく高くならざるを得ないわけであります。とりわけ、国の補助がかつての2分の1に減額されたことは、加入者にとって一層の負担増になっております。その上に、自治体からの独自の補助まで削減ということになれば、加入者の負担は一層増大することになります。
 そこで、改めてお聞きいたします。
 国保の構造的課題について、どのように認識をしているのか。
 2つ目は、被保険者の負担軽減のために、国への財政支援要望や基金の活用について、どのように取り組んでいるのか。
 3つ目は、赤字補填のための一般会計からの法定外繰り入れの継続について、どのように考えておられるのか。
 以上、1回目の質問であります。

◯市長(田辺信宏君) 何でも反対ではないという力強いメッセージをいただきましたので、私たちが提出した議案、とりわけ議案第30号平成30年度の一般会計予算案に賛成をしていただきたいという強い願いを込めて、私からは大項目、市長の政治姿勢について、日本国憲法と地方自治に対する見解についてお答えいたします。
 私は、鳥の眼と虫の眼の複眼思考で市政運営をしていると主張しているが、虫の眼という市民に寄り添った微細な視点がおろそかになっていないかという御質問でございます。
 私自身、27年前の春、市議会議員としてこの議場にデビューいたしました。先輩議員から、とにかく自分がしょっている地域、地元を大切にしながら、生活目線を大事にしながら議員活動をするようにというふうに教えをいただき、そして今に至っております。そういう意味では、台所のつぶやき、居酒屋の対話、それを大事にしながら、そこから声なき声を聞きながら政治活動をしたい、それが私の基本的なスタンスで、虫の眼を今でも初心として心に持っているつもりであります。
 さて、一例として出していただきました新清水庁舎のパブリックコメントについてであります。
 私は、昨年、タウンミーティングを経験してつくづく感じたことは、広く一般の不特定多数の方々の声なき声を聞きたいという気持ちで、あのような形で開催をしたわけですが、残念ながら、特定の日時、そして特定の場所で開催をするとなると、やはり特定の方々にしか集まっていただけず、私の意図した双方向の議論を深めたいということにはなりませんでした。
 不特定多数の方々から、本当は行政にそんなに関心はないかもしれないけれども、新しい市役所がどうなるのかということについて、情報入手して自分の意見をいただくと、そのパブリックコメントに積極的に関心を持っていただきたいと、私、副市長、そして所管の職員ともども、朝、街頭に立ち、そして、ぜひ意見を聞かせていただきたいという積極的なPR活動も行いました。パブリックコメントに期待をするゆえんはそこにあります。声なき声に耳を傾けたいという虫の眼を大切にしたいということであります。
 ただ、パブリックコメントという制度に対する認識がどうかということでありますが、私たちは、議論に議論を重ね、代議制でありますので、議会や常任委員会で市民の代表の議員の皆様にも問いかけをして、昨年来、私たちの案をつくってきましたし、また、専門家に入っていただき、あり方検討会をつくり、そこでも5回にわたって議論を経て、そしてパブリックコメントに案を提出をしております。そのことに対しては、やはり行政として議会ともども責任を持っていきたい。そして、それを提示して、その上で例えて言うならば、私たちはふっくら温かな御飯を炊かせてもらった、それがおいしいかどうか、それをぜひもっと食欲をそそるように、もっとおいしくするために、ふりかけをかけるように、いろいろな市民の皆さんの意見を聞いていきたい。そして、そういう中でさらに彩りを添えた、そんな意見をいただきたい、その思い、これが私のパブリックコメントに対する考え方であります。
 もう一回、御飯から炊き直せということについては、私はそうではないと。私たちは自信を持って議会の皆さん、市民の代表の皆さん、専門家の皆さんとも議論をして、ここのところは大事にしながら、やはり4年の任期、あるいはそれぞれの行政計画の締め切りというものがあります。その中でスピード感を持って、清水の再生なくしては静岡の発展なしという気持ちで、前に前に政治を進めていかなければいけません。そういう中で今回、しかしながら、市民の皆さんの、私たち公務員ではなかなか気がつかなかったような斬新な、そして大胆な、そんな御意見があるんではないかということで楽しみに市民の声を待っているということであります。決して、虫の眼を忘れたわけではないということは御理解いただきたいというふうに思っております。
 小さな声にも謙虚な耳を傾けつつ、一方、鳥の眼で本市の2030年の姿、50年後の姿、その先の将来まで見据えた大局観に立ち、リーダーとしての責任を持ち、しかるべきときにはしかるべき決断をして、市政を運営してまいります。御理解いただきたいと存じます。
 以下は局長から答弁させます。

◯総務局長(大長義之君) 市は平和行政をどのように進めていくかについてお答えいたします。
 本市では、静岡市平和都市宣言に掲げられた恒久平和という大きな理念のもと、教育や文化、スポーツ、国際交流など行政が行うさまざまな場面において、平和の理念を持って事業を進めていくことを平和行政と考えています。
 平成29年8月には、長崎市において36カ国158都市から約320名が集う、第9回平和首長会議に市長代理として小長谷副市長が出席し、世界各国・各都市の代表者と意見を交わす中で、互いの多様性を認め合いながら、都市間連携を強化していくことの重要性を再認識したところでございます。
 本市としては、恒久平和の実現のためには、幅広い世代への意識啓発が必要不可欠であると考え、今後も地道に、かつ長期的視野に立った平和行政を推進してまいります。
 なお、憲法改正、条約の締結に関しましては、国の専管事項であり、今後も国政の場において説明と議論がなされるものと考えております。

◯企画局長(松永秀昭君) 3次総に関する御質問にお答えいたします。
 人口の現状認識及び70万人維持方針の見直しについてですが、平成27年に総合戦略を策定して以来、移住支援センターの開設を初めさまざまな施策を講じ、平成29年は転入者数が転出者数を346人上回り、47年ぶりに社会増へ転じるなど、政策の効果が少しずつあらわれてきていると認識しております。
 一方、死亡者数は、出生数を3,100人上回っており、依然として自然減圧力が強く、人口減少を即座に食いとめることは困難な状況にあると考えております。
 しかしながら、人口減少対策は、人口活力の維持、ひいては地域経済の活性化に向けたミッションであり、ストレッチ目標として目標人口を掲げることに意味があると考えております。
 2025年に総人口70万人を維持という、実現には大きな努力を要するものの、市民の皆さんにもわかりやすい目標を設定したからこそ、市職員が一丸となり、官民連携などオール静岡で施策を総動員し、人口減少問題に立ち向かっていけることから、この目標を掲げ続けてまいります。
 また、中部5市2町で連携しての交流人口増加策にも取り組み、人口活力維持と地域経済の活性化に努めてまいります。

◯財政局長(平沢克俊君) 市財政に関する3点の御質問にお答えさせていただきます。
 まず、平成30年度当初予算における市税などの一般財源についてですが、当初予算における主要な一般財源である市税、地方譲与税等及び地方交付税等の合計は、約1,982億円で、平成29年度当初予算に比べ、約26億円の増収を見込んでおります。これは、個人所得及び法人収益の改善による市税の増加や、消費の持ち直しなどによる地方消費税交付金の増加のほか、社会保障関係経費の自然増による地方交付税の増加などによるものです。
 今後の見通しについてですが、平成33年度までの財政の中期見通しでは、個人市民税は経済の緩やかな回復に伴い上昇するものの、法人市民税は国税化に伴う税率の引き下げにより減少すると見ております。
 また、31年10月からの消費税率引き上げにより地方消費税交付金が増収となるほか、地方交付税は減少となり、結果として一般財源はほぼ横ばいで推移するものと見込んでおります。
 2点目ですが、消費税率10%への引き上げに関してです。
 本市においては、消費税率の5%から8%への引き上げに伴う地方消費税交付金の増収分の全てを児童福祉事業、社会福祉事業、それから介護保険事業といった社会保障施策の経費に充てており、平成28年度は約53.7億円を活用しております。
 政府においては、平成31年10月に予定している消費税率10%への引き上げによる2%相当、5兆円強の税収を教育負担の軽減、子育て層支援、介護人材の確保等、それから財政再建とにおおむね半分ずつを充てるものとしております。
 このように、地方消費税と消費税は社会保障の安定財源の確保と財政の健全化のための重要な財源であることから、地方消費税を含め、消費税率の引き上げは必要であると認識をしております。
 最後に、大企業への法人市民税法人税割の超過課税についてですが、大企業の特別な負担をもって広くサービスを提供することについて、税の公平性の観点から理解が得られるかといった課題があります。また、海外経済の不確実性、為替変動の影響などのリスクにより、企業の競争力や景気への影響も懸念されます。
 これらのことから、大企業への法人市民税法人税割の評価課税を直ちに実施する状況にはないと考えております。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 生活保護に関する2点の質問にお答えします。
 まず、生活保護及び生活困窮者自立支援の現状ですが、本市の生活保護受給者の人口に占める割合は、平成27年度は1.26%、28年度は1.28%、29年度は1月末現在で1.31%となっており、政令指定都市の中では、浜松市に次いで2番目に低い水準にあるものの、増加傾向にあり、その要因は、高齢化の進展による高齢者受給世帯の増加によるものと考えられます。
 一方、生活保護に至る前の生活困窮者への自立支援については、平成27年度から各区に相談窓口を設置し、困窮者の状況に応じた自立支援プランを作成し、ハローワークや企業へ同行するなど、伴走型の支援を実施しているところです。自立支援プランの作成件数は、平成27年度は104件、28年度は151件と増加しており、29年度も1月末現在で143件と前年を上回る状況であり、対象者の状況に応じた支援が着実に実施されているものと考えております。
 次に、生活保護基準の認識ですが、生活保護法第1条に、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」と規定されていることから、国の責任において決定すべきものであると認識しております。
 なお、制度面での改善につきましては、生活保護受給者の就労意欲向上のため、就労収入として認定しない控除対象の範囲を拡大するといった、就労インセンティブの向上策などを指定都市市長会等を通じて国へ要望しているところです。

◯子ども未来局長(石野弘康君) ひとり親家庭の支援の現状についてですが、ひとり親家庭は、子育て、家事、家計のやりくりなど、全てを1人で行うことが多く、特に困難を抱えやすい状況にあります。
 そこで、ひとり親家庭への支援については、主に経済、生活、就労、教育の4つの面から支援を行っています。
 まず、経済的支援については、国の制度に基づく児童扶養手当の支給や子供の就学資金等の貸し付けのほか、市独自で所得税非課税世帯を対象に医療費の助成を行っています。
 次に、生活の支援については、家庭生活支援員を派遣し、家事等の生活援助や育児の支援を行う日常生活支援事業や、子供の話し相手となる大学生等を派遣するホームフレンド派遣事業を行っています。
 次に、就労の支援については、母子家庭等就業・自立支援センターを静岡県、浜松市と共同運営するとともに、葵区子育て支援課内に就労支援専門員を配置し、自立や就労に向けた支援を充実しており、いずれも相談件数が増加しています。
 さらに、教育の支援については、ひとり親家庭等の生活困窮世帯を対象とした学習支援を現状の6カ所から平成30年度は4カ所増設するほか、対象者を高校生まで拡大し、支援を拡充していきます。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険についての3つの御質問にお答えします。
 まず、国民健康保険の構造的課題についてですが、国民健康保険は、国民皆保険の最後のとりでとされる中、被用者保険など他の保険と比べ、加入者の年齢構成が高いことなどにより医療費水準が高いことや、低所得の加入者が多いことなど、構造的な課題を抱えています。
 今後も、高齢化の進展による医療費の増加や被保険者の減少が見込まれ、さらに厳しい財政状況が続くものと認識しております。
 次に、被保険者の負担軽減のための取り組みについてですが、平成30年度以降、国による約3,400億円の公費投入により、国保の財政基盤の強化が図られることとなっておりますが、指定都市市長会や全国市長会等を通じて、国に対し、さらなる公費の追加など必要な財源措置を要望しております。
 また、平成29年度静岡市国民健康保険運営協議会の答申において、「基金を計画的に活用することにより、被保険者の急激な負担増とならないように努めること」との要望があったことを踏まえ、制度改正に伴う激変緩和等に基金を活用していく予定です。
 最後に、赤字補填のための法定外繰り入れについてですが、平成30年度からの都道府県単位化の施行に当たり、国からは段階的に赤字補填のための一般会計からの法定外繰り入れを解消・削減する方針が示されており、それを受けた県の国民健康保険運営方針でも、各市町で赤字補填を解消・削減する計画を策定することとされています。
 本市といたしましては、国や県の方針を踏まえ、赤字となる要因を分析し、保険料への影響も考慮しながら、赤字補填のあり方について検討を進めてまいります。
  〔12番寺尾 昭君登壇〕

◯12番(寺尾 昭君) 答弁いただきまして、いろいろ反論したいところがありますけれども、時間がなくなりますので次に進みたいと思います。
 次に、アセットマネジメントの方針についてであります。
 アセットマネジメント基本方針では、向こう30年間の人口動態が約20%減となることが予測されるもとで、公共施設の総床面積を20%削減することとしており、アクションプランでは、具体的な施設名を挙げて廃止・民営化などの方向を示しております。
 この中には、市営住宅、小中学校、子育てや障害者施設など市民生活に大きな影響をもたらす、いわゆる市民密着型施設と言われるものも含まれております。
 一方で、新清水庁舎の建設、市民文化会館の建てかえにかかわるアリーナ構想、海洋文化都市を目指す大型海洋施設、日本平山頂計画などなど、多額な税金投入を必要とする計画もめじろ押しであります。
 市民生活に直接かつ大きなかかわりを持っている施設をばっさりと削って、多額な費用を要する施設の建設を推進するというのでは、市民の理解が得られないのではないでしょうか。アセットマネジメント基本方針と大型施設の整備をどのように整合させていくのか、考え方をお聞きします。
 また、子育て・障害者支援施設など、いわゆる市民密着型施設の縮小・廃止という方針が出ておりますけれども、これについてはどのように考えているのか、伺います。
 次に、教育行政について伺います。
 教育委員会制度が2015年度から大きく変わりました。中立・独立機関としての教育委員会のトップは、これまで教育委員長でしたが、これが廃止され、事務方のトップでありますが、教育委員の一人にすぎなかった教育長が教育委員会のトップになったわけです。私たちは、行政のトップと中立機関のトップを同一人物が兼任するということでは、市長が監査委員のトップと一緒になるというのと同じではないかということで、これを批判する立場でまいりました。
 あわせて、市長と教育委員会で構成される総合教育会議が設置をされたわけです。私たちは、これに対しても、権力側からの介入により教育の中立性が侵された、あの戦前の教訓から、その危険性を指摘してきたわけであります。
 その後3年間が経過しているわけです。総合教育会議の報告を見る限りでは、当面する懸案の教育課題の論議が中心になっておりますが、今後も注目をしていきたいというふうに思っております。
 そこで、総合教育会議が設置されて3年が経過したわけですけれども、この会議による意義や効果はどのようなものであったのか、お聞きをいたします。
 小中一貫教育についてであります。
 4年後に市内全校導入が方針になっておりまして、来年度あるいは2年後の、いわゆる先行グループということでの準備も今、急ピッチになっております。子供の数が減るので今までのように学校は必要なくなる、統廃合をしていくために、その手段として小中一貫教育を進めるのではないかという批判もあります。これまで行われてきた6・3制を基本とした制度のどこに不都合があったのか。小中一貫教育のメリットは強調されているけれども、それではデメリットはないのか、何も語られていないわけであります。
 教員の間にも十分な理解がまだまだ不足していて、準備だけが先行している嫌いもあるのではないでしょうか。毎日の忙しさの上に、さらに仕事がふえてきたという先生方の声も聞かれます。市民の間にはまだ十分周知されておらず、また、賛成・反対の声を含めさまざまな意見があり、理解が進んでいるということは言えないわけであります。
 そこで、小中一貫教育に対する市民の理解を進めるために現在の取り組みと今後の取り組みはどのようになっているのか、伺います。
 2つ目は、教員の多忙化の問題であります。
 総合教育会議のテーマにもなっております。しかし、学校現場の状況は変わっておりません。事務処理の効率化を目指すとする校務システムの導入で仕事量が減っていくということも言われておりますけれども、本当なのか。中学校の部活ガイドラインの策定による効果など、今後に注目したいと思いますけれども、学校現場で子供たちと顔を合わせて思いを交流して教育を進める、これは先生方であります。つまり、マンパワーが基本であると言えるわけです。
 学校現場では、一般教員だけでなくて、教頭や校長先生も忙しい、授業時間には職員室には誰もいなくなる現象もあるということであります。仕事のやり方を多少変えても、制度や機械力の改善だけで多忙化が解消できるとは考えられません。いろいろやってきてはおります。今、やはり必要なことは、教師をふやすことを真剣に検討するときではないでしょうか。子供の数が減少するなら、少人数学級にしていくチャンスにしていくべきと思います。学校数や教員を減らすというのでは本末転倒と言わざるを得ないわけであります。
 そこで、教員の多忙化解消ということで、どのような取り組みをしていこうとしているのか、お伺いいたします。
 次に、特別支援教育であります。
 関心の高まりに応じて、一定の施策は講じられてきております。しかし、学校現場での担当教員の毎日は、苦労の連続であります。普通学級の先生方も応援しておりますが、さまざまな障害を持って学年も違う子供たちを担当する、いわゆる複式学級で指導する教師の大変さは、並大抵ではございません。
 子供8人に1人という国基準の改善も必要であります。それが直ちに変更できないということであるならば、市独自でも支援員の増員をするべきではないでしょうか。現在、特別支援教育の担当は、特別支援教育センターが担当しております。ここは、学校教育課内の一部署でありますけれども、私たちは、今後より強化していくためには、組織的にも、特別支援教育に携わる専門の課に昇格させるということが必要ではないかと思います。ぜひ検討をしていただきたいと思います。
 質問でありますが、特別支援教育の一層の推進が期待されております。特別支援教育センターとして今後の特別支援教育について、どのように進めていこうとしているのか、お考えをお聞かせください。
 次に、中学校の部活ガイドラインの問題です。
 この4月から各学校で実施されることになるわけでありますが、運動部における学校同士の対抗戦や、音楽や文化部でもやはりコンクール等があって、熱心な保護者が多い昨今、これが過熱するということは十分あるわけであります。練習なども一時期に集中してやったほうが効果が上がるということもあるわけであります。しかし、一方では、日常の部活動で日曜・休日返上を余儀なくされ、教員の多忙化に輪をかけているのが現状であります。
 ガイドラインの運用を具体的にどのように進めていくのかは、なかなか難しいとは思いますが、これは進めていかなければならない課題であります。
 そこで、静岡市立中学校部活動ガイドライン策定後、この趣旨をどのように実現していくのか、この点について伺います。
 次に、子育て政策についてであります。
 平成27年度に子ども・子育て支援新制度がスタートをいたしました。3年がたとうとしております。新たな認定こども園の制度が施行され、従来の幼稚園・保育園のまま、そのまま推移しているという施設もありますけれども、新たに小規模保育事業なども発足し、利用申し込みの手続や保育料のシステムなどの変更もありました。保育需要の高まりが施設の増改築や定員増を促していますが、全国的には、待機児童の解消にはまだほど遠い状況が続いております。
 2月25日付の新聞報道によりますと、今春から認可保育所に入るための一次選考で落ちたゼロ~2歳児が、66自治体で3万5,000人と報道されております。しかし、幸い静岡市は、受け入れ枠が申し込み数を1,137人上回ったとされております。
 そこで、私立幼稚園の認定こども園移行による保育定員拡大の状況はどうなったのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 放課後児童クラブについてであります。
 待機児解消にはなっておりません。施設の不足、支援員の確保、開所時間の延長、支援員の処遇改善問題など、解決すべき課題も少なくありません。
 そこで、放課後児童クラブのさらなる充実に向けて、開所時間の延長、支援員の確保と処遇改善に今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、この4月から適用されると言われております新幼保連携型認定こども園教育・保育要領あるいは新保育所保育指針、新幼稚園教育要領が29年3月31日に告示され、ことしの4月1日から施行されると聞いております。公私立の園それぞれにどのようにこれに対応していくのか、お伺いいたします。
 次に、農業振興策であります。
 中山間地域の農業振興についてお聞きをいたします。
 一部地域では、お茶やワサビなど地域の特産物を前面に活性化を目指す運動が起こっており、明るい展望も見られるわけであります。人口流出による後継者難、過疎の問題、生産性の低い農業生産、耕作放棄地問題、有害鳥獣対策、中山間地をめぐる課題は依然として困難な状況が続いております。
 ここでの農業振興や活性化に向けて、諸課題を何としてでも克服していかなければならないわけであります。中山間地域においてどのような農業振興策に取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、有度山の問題であります。
 日本平山頂を擁する有度山は、単独の山です。しかし、ここにイノシシが最近ふえているのです。誰かが持ち込んだものか、家畜として飼っていたイノシシが逃げ出したのか、そして繁殖したと言われております。わなによる捕獲を地元の農家の方々が頑張っておりますが、繁殖数には追いつかないということで、大変苦労をしております。
 近年では、人家の近くに出没することもあり、農作物への被害だけでなくて、住宅への被害も発生しており、人への危害も心配されるのです。一気に捕獲することが必要ではないか、地元の皆さんも望んでおります。抜本的な対策が必要ですが、有度山のイノシシ対策の現状と今後の対応策はどのようなものであるのか、お聞きします。
 中小商工業振興についてであります。
 全企業の99%以上を占める中小企業の振興を図ることは、経済振興や景気回復、産業技術の発展はもとより、そこで働く人たちの生活向上にとっても極めて重要であります。
 こうした立場で私たちは、この市議会の場で、あるいは当局との話し合いの場で、繰り返し中小企業振興条例の制定の必要性を強調してまいりました。我が党の杉本議員が昨年当選をさせていただいて、6月議会で早速これを取り上げております。静岡県や県内自治体でも制定の動きが広がっております。
 きのうの答弁では、来年度、条例制定をするという表明がありました。一歩前進というふうに評価をしております。同時に、今後、条例を制定した後の条例の内容の実効あらしめる、持続的な取り組みが必要であります。条例を制定すればそれでよいというわけにはいかないわけであります。
 そこで、中小企業振興基本条例制定に前向きに取り組むということでありますけれども、条例制定に当たっては、関係団体等の声をどのように吸い上げていくのか等々についての今後の対応について伺います。
 次に、公契約条例の問題です。
 国や自治体が発注する各種契約で、相手側にその雇用する労働者の雇用条件を保障することを義務づけるものであります。これにより、劣悪な雇用条件を廃し、労働者がよりよい労働環境のもとで働くことを可能とするものであります。公共発注において劣悪な労働環境を奨励するような結果になるような契約は当然すべきではありません。
 企業側のコストがかかるという意見もありますが、ひいては発注の成果の質の向上にも結びつくわけであります。この公契約条例制定についてどのように考えているのか、伺います。
 次に、リニア中央新幹線に対する今後の市の対応について伺います。
 リニア中央新幹線は、国の認可を受けて9兆円の事業費、3兆円の国費の支援を受け、既に一部で工事が進んでおります。
 しかし、大都市への一極集中がさらに強まるのではないか、人口減少必至の状況の中で、現在の新幹線との競合は避けられないのではないか、新たな財政負担がふえるのではないかとも言われております。毎秒2トンの水が失われる問題、トンネル掘削土の置き場の問題、南アルプスの貴重な動植物にも影響を与えること等々、多くの問題が指摘をされております。これらの疑問に対して、JR東海は誠実に答えているとは言えないのではないかと思うのです。
 静岡市は、中央新幹線建設事業影響評価協議会を設置しております。昨年度は2回ほど協議を重ねているようでありますが、今年度はまだ一度も行われていないということであります。
 南アルプスがユネスコエコパークに認定されたのは、その自然の豊富さ、すばらしさに起因していることは言うまでもありません。
 そこで、質問であります。
 南アルプスユネスコエコパーク管理運営計画において、リニア中央新幹線建設工事はどう位置づけられ、どう対応していくのか、お伺いをいたします。
 今後、工事が行われる際には、道路使用や河川占用など、行政としての権限を行使する場面が想定されるわけですが、自然環境の保全の観点など、当然、県との連携も必要になってくると思います。リニア新幹線の工事による自然環境への懸念について、県とどのような連携を図っていくのか、伺います。
 浜岡原発についてであります。
 原子力規制委員会は、自身のホームページで新規制基準を満たすことによって絶対的な安全性が確保できるものではないと言っております。各メディアの世論調査でも、再稼働はすべきでないとの声は国民の過半数であります。
 一方、国のエネルギー基本計画の改定議論では、2030年度の電源構成目標として原発を20%から22%とする方針を変えておりません。そのためには、現在稼働していない全ての原発を再稼働するということにならざるを得ないわけなのです。原発依存の状況に逆戻りすることになってしまいます。
 中部電力も、浜岡原発の再稼働をもくろんでいるわけです。しかし、その危険性は変わっておりません。そこで、この浜岡原発の永久停止・廃炉に向けてどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 次に、静岡型地域包括ケアシステムの問題です。
 国は、団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、重度な介護状態となっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・住まい・生活支援が包括的に確保される体制を実現する方法として、この地域包括ケアシステムを構築するとしております。
 しかし、これが介護保険制度の形骸化や福祉施策の後退や、あるいは安上がりの医療・介護につながるというような批判の声も少なくありません。
 静岡市も、国の方針に従って現在、このシステム構築を進めております。新しい介護予防・日常生活支援の新総合事業を開始して、既存の介護事業所によるサービスに加えて、NPO、民間企業、住民ボランティア、協同組合等による多様なサービスを提供、地域の実情やニーズに合った効果的かつ効率的な事業も実施可能にしております。今進めようとしております、自宅でずっとプロジェクト推進に向けての課題は何か、また、その課題に対してどのように対応をしようとしているのか、お伺いいたします。
 子ども医療費助成についてであります。
 市長は、1期目の市長選挙のときに、中学卒業までの医療費を入院も通院も対象に助成するというふうに公約されました。就任後、早い時期にこの公約を実現していただきました。親御さんたちの切実な願いであっただけに、私たちはこれを高く評価いたしまして、その成果を喜んだわけでございます。
 今、川勝県知事が県内全ての市町で高校卒業まで子ども医療費助成を実施することを表明している、御承知のとおりであります。しかし、政令市には、政令市移行時の県市の協定があって、福祉の事業には補助はしないと川勝知事は言っております。
 しかし、市民から見れば、これは理解しがたいわけであります。政令市移行時の県との協定見直しをすべきではないかと考えますが、どうお考えでしょうか、お聞きします。
 また、これまでは市独自で推進してきた経緯から、県の意向にかかわらず、これは市長、高校生までぜひやってほしいというふうに思いますが、お考えをお聞かせください。
 次に、バス路線の休廃止の問題です。
 バス路線の休廃止が続いております。バス事業者に休廃止をしないように、休廃止した路線は早急に復活させてほしいと、市としても申し入れをしていただいているようでありますけれども、さらにこれは強く進めるべきではないでしょうか。
 そこで、自主運行について、どのような場合に導入しているのか、お伺いいたします。
 昨年秋に、総合交通政策特別委員会で千葉県柏市を視察しました。ここでは、予約から配車までを自動で行って、ICTを活用したデマンドシステムを導入して自主運行を行っております。導入後は、利用者から区域内の移動がしやすくなったという声が多く、市としても支出の削減にも結びついたということであります。
 導入には、初期費用や年間の維持費はかかりますけれども、効果的・効率的運行は可能であります。本市においても検討の必要があると思いますが、ICTを活用したデマンドシステム導入についてどう考えているのか、伺います。
 次に、仮称東名静岡東スマートインターチェンジ周辺のまちづくりについてであります。
 スマートインターチェンジについては、今回の中でも議論されておりますが、開通が1年半おくれるということでありますが、一方、まちづくりでは、東名より北側の恩田原・片山地区の権利者が同意したことによって、土地区画整理組合が発足し、一歩前進したということであります。今後、大谷・小鹿地区約125ヘクタール全体のまちづくりにおいては、グランドデザインに沿ったまちづくりを進めていくことになり、引き続き事業化された恩田原・片山地区以外でも、市街化区域への編入、農業振興地域から除外する区域変更など、法的な手続が必要になってきます。どのような企業を誘致できるのか、新たな企業立地にも取り組まなければならないわけです。
 そこで、スマートインターチェンジの供用開始のおくれによる恩田原・片山土地区画整理事業へのスケジュール面での影響はどうなるのか、お聞きします。
 日本平のにぎわいについてでございます。
 山頂の開発計画について、140億円近くもかかるというふうに聞いております。自然を生かして景観を重視した計画に縮小・見直すべきではないかと私たちは提案をしてまいりました。今後の国の補助の見通しなども厳しい条件が予想されると聞いております。日本平山頂施設完成を契機とした、にぎわいの創出についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、清水LNG発電所計画についてであります。
 このことについては、この議会の中でも請願が出された経緯があります。しかし、市民の理解が得られているとは言えません。排気ガス等々の健康被害への懸念、そのほか災害地震時の心配など、大変多くの心配が出されております。
 そこで、計画の見直しに関して、昨年11月議会での質問以降、事業者の市への動きはどのようなものがあったのかをお伺いして、2回目の質問といたします。

◯公共資産統括監(森下 靖君) アセットマネジメント方針についての2点の質問にお答えいたします。
 まず、アセットマネジメント基本方針と大型施設の整備をどのように整合させていくのかについてですが、基本方針では、施設の新設や建てかえの際、原則として市有建築物の総量規制の範囲内で規模の適正化や複合化を図ることにより、総資産量の適正化に取り組むこととしております。
 そこで、現在進行している大型施設の整備に当たっては、施設の機能や費用対効果の観点から適正な規模とするとともに、本市アセットマネジメント基本方針にのっとり、市有建築物の総延べ床面積の縮減状況を注視しながら、着実にアセットマネジメントを推進してまいります。
 次に、市民密着型施設の縮小・廃止に対する考え方についてですが、アセットマネジメントの観点に基づいて施設の方向性を検討するに当たっては、縮減ありきではなく、まずは利用者の視点に立った、安心・安全できめ細かい行政サービスを維持し続けることを前提に進めることとしております。
 その上で、事業目的や施設のあり方、利用者数の将来見込み、さらには国の施策に至るまでさまざまな視点を持って判断してまいります。
 また、民間事業者の参入が見込まれる分野の施設については、民営化によりサービス水準の維持向上や行政コストの削減が可能であると判断した場合には、施設整備・管理への民間活力の導入を図ってまいりたいと考えております。

◯企画局長(松永秀昭君) 教育行政のうち、総合教育会議に関する御質問にお答えします。
 まず、総合教育会議の意義についてですが、総合教育会議には大きく3つの意義があると考えております。第1に、教育行政に民意の十分な反映が期待できること、第2に、市長部局と教育委員会の意思疎通の強化が図られること、第3に、いじめ等の学校現場の諸問題に対し、迅速な対応が期待できることでございます。
 次に、効果についてですが、教育委員会と市長部局での間で現場レベルまでも含めた意思疎通と連携が図られ、きめ細かな支援が実現したという効果を得ることができました。
 例えば、子供の貧困対策につきまして、教育委員会のスクールソーシャルワーカーは、これまで小中学生を対象に相談支援などを行っておりましたが、市長部局との連携により、対象を未就学児や高校生等に拡大することにいたしました。
 また、子供の成長に応じた教育面、生活面、保護者の就労、経済面までを含む支援策をまとめたリーフレットを教育委員会と市長部局が共同して作成し、スクールソーシャルワーカーなどに配布することで、情報の周知などを図ることといたしました。
 このように、支援が必要な子供やその家庭に対し、教育及び福祉の両面から一体的に切れ目のない支援を行うことができる仕組みを整えることができたと考えております。
 今後も、総合教育会議を十分活用し、子育てしやすいまちはもとより、子供がよく育つまちの推進に努めてまいります。

◯教育局長(望月 久君) 教育行政について3点お答えいたします。
 まず、小中一貫教育に対する現在と今後の取り組みについてです。
 平成34年度の全小中学校での小中一貫教育のスタートに向けて、保護者、地域、市民の皆さんの十分な理解を得ることは、学校と地域社会がともに手をとり合い、系統的な学びを目指す上で、非常に重要であると考えております。
 そのため、本年2月、教育委員会は、小中一貫教育の基本的考え方や基準などを説明した、静岡型小中一貫教育カリキュラム(解説編)を策定いたしました。この解説編をもとに、9年間を通した目指す子供の姿や地域との連携のあり方などを学校、保護者、地域の皆さんによる小中一貫教育準備委員会で協議してまいります。
 教育委員会では、実践研究校などにおける地域ならではの特色ある教育や児童生徒の交流活動、地域と連携した活動などの実践事例を集め、リーフレットやDVDに編集し、小中一貫教育準備委員会や保護者、地域の皆さんに広く周知してまいります。
 次に、教員の多忙解消に向けた取り組みについてですが、本市では、教員の多忙解消を喫緊の課題と捉え、平成27年度より総合教育会議で議論を重ねてまいりました。その議論を経て、30年度から校務支援システムの運用を開始いたします。校務支援システム活用の効果としては、初年度は教員1人当たり年間100時間、2年目以降は年間150時間の事務作業時間の削減を見込んでおります。
 また、本年3月までに時間管理の徹底、事務業務の軽減、学校指導体制の整備、教職員の意識改革を4本柱とした静岡市教育委員会働き方改革プランを策定いたします。このプランの中では、限られた時間の中で質の高い部活動を目指す静岡市型部活動の推進や、校務支援システムを活用した研修や啓発促進等を行う、eラーニングなどの実施に取り組んでまいります。
 さらに、移譲された権限を最大限活用し、本市独自の教職員配置や学級編制を引き続き行うことにより、教育環境の向上に努め、たくましくしなやかな子供たちの育成を目指してまいります。
 最後に、静岡市立中学校部活動ガイドラインの趣旨の実現についてですが、ガイドラインの趣旨は、部活動を生徒にとって一層有意義な活動とすることです。そのためには、生徒の心身のバランスがとれた成長を促すため適度な休養をとること、部活動の質的向上を図るため多様な外部人材を活用すること、部活動の適正な運営をすることの3点が重要となります。
 このため、本市は、独自のガイドラインを本年2月に全国に先駆け、策定いたしました。ここでは、週3日の休養日を設けることや教育委員会がライセンスを付与した外部顧問を配置することなどを規定いたしました。
 教育委員会では、ガイドラインが平成31年8月から円滑に全面実施できるよう、本年4月からの1年間を実施状況検証期間とし、ガイドラインの効果や課題を種目ごとに検証してまいります。この期間中は、ガイドラインの理解をさらに深めるため、部活動リーフレットを活用し、保護者の方々や市民の皆さんへの周知に努めてまいります。
 今後は、企業や競技団体との連携を図り、静岡市全体で部活動を支える中学校部活動システムの全国モデルを目指してまいります。

◯教育統括監(望月敬剛君) 今後の特別支援教育について、どのように考えているかについてですが、平成21年10月、本市では適正な就学支援、個々の障害に応じた相談活動、福祉や医療などとの連携を強化するため、特別支援教育センターを旧一番町小学校の跡地に開設いたしました。幼児言語教室や通級指導教室を併設するなど、特別支援教育に係る機能を整備・統合した、全国でも先進的な教育施設です。
 特別支援学級の児童生徒は、平成21年度と比べ、平成29年度は1.8倍に、通級指導教室に通う児童生徒は1.5倍にそれぞれ増加しております。障害の種類もさまざまであり、特別支援教育に対するニーズはますます高まっております。
 そこで、特別支援教育センターとしましても、まずは多様なニーズを把握し、福祉や医療などとの連携の強化をするため、4年前から静岡市特別支援連携協議会を立ち上げております。また、教職員育成のための研修を充実させ、さらに適正な学びの場へつなぐ教育相談活動や、自立・就労に向けた就学支援体制に力を入れております。
 今後も、関係各課・機関とも連携しながら、特別支援を必要とする全ての子供の実態を把握し、特別支援教育の指導的役割を果たすために、市民のニーズや国の動向を見きわめながら、切れ目のない支援体制を推進してまいります。

◯子ども未来局長(石野弘康君) 子育て施策に関する3点の御質問にお答えします。
 まず、私立幼稚園の認定こども園移行による保育定員の拡大の状況と今後の取り組みについてですが、平成27年4月の子ども・子育て支援新制度の施行前に、53園あった私立幼稚園のうち、29年4月までに16園が認定こども園へ移行しており、本年4月にはさらに9園が移行する予定となっております。これら25園の移行により、計1,564人分の保育を必要とする児童の定員が確保される見込みとなっております。認定こども園は、幼稚園及び保育所の機能をあわせ持ち、保護者の就労状況及びその変化等にかかわらず、柔軟に子供の受け入れが可能な施設であることから、今後も引き続き、私立幼稚園の意向を丁寧に把握し、認定こども園への移行を希望する施設に対して、積極的な相談対応や情報提供などの支援に努めてまいります。
 次に、放課後児童クラブの開所時間の延長、支援員の確保と処遇改善についてですが、まず、開所時間の延長については、いわゆる小1の壁を打破するため、平成27年度から延長の取り組みを初め、現在、78クラブ中72クラブが午後7時までの延長を実施しています。市では、延長未実施のクラブの運営受託者に対し、支援員の確保への協力などを通じて、引き続き延長実施に向けて取り組んでまいります。
 次に、支援員の確保と処遇改善については、施設整備に伴うクラブの増加と開所時間延長に対応するため、支援員の確保が課題となっています。そのため、本市としても、市広報紙やホームページへの掲載、公共交通機関への募集広告の掲出など、引き続き、さまざまな方法により運営受託者の求人活動を支援してまいります。あわせて、運営受託者による支援員の確保のための処遇改善が可能となるよう、本年度、委託料の算定において、中心的な役割を担う主任支援員の給与と全ての支援員の経験年数に応じた加算手当について、大幅な処遇改善を行ったところです。
 今後は、運営受託者による支援員の確保状況や処遇改善の実態を踏まえ、国の動向を見きわめながら、適切な処遇改善について検討していきたいと考えております。
 最後に、幼保連携型認定こども園教育・保育要領や保育所保育指針の改訂に対する公私立園の対応についてですが、教育・保育の内容は、公私立園の区別なく、この要領等に従うことが条例で定められているため、今回の改訂に伴い、全ての園において運営に関する全体的な計画等の見直しを行う必要があります。
 改訂された要領等では、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿のほか、成長に応じたきめ細かな教育・保育の充実等が示されており、その実現に向けた日々の遊びや教育・保育の見直しが求められております。
 そのため、国が平成29年7月に実施した説明会に市職員や私立園団体の代表者が参加し、その後、それぞれが研修会等を通じて各園に対する改訂内容の周知を図ってまいりました。また、各園においては、園内研修や会議等を実施し、改訂への対応準備を進めており、その具体的な取り組みの状況については、平成30年度以降に実施する指導監査において確認を行ってまいります。

◯経済局長(赤堀文宣君) 農業振興策2点と中小商工業振興1点の質問にお答えいたします。
 最初に、中山間地域における農業振興策の取り組みについてですが、本市の中山間地域の農業は、傾斜地が多く、経営規模が小さく、平たん地に比べ産業性や収益性が低い傾向にある中、鳥獣被害などの問題もあり、経営の継続において多くの課題を抱えていると認識しています。
 本市では、農業振興計画やオクシズ地域おこし計画において、農産物の高付加価値化や地域資源を生かした6次産業化の推進を振興施策の柱の1つに位置づけています。
 農産物の高付加価値化に関する取り組みでは、近年需要が高まっている碾茶や抹茶の生産に向け、平成28年度に静岡市碾茶研究会を発足するとともに、栽培に必要な被覆資材の導入を支援し、収益性の向上に努めています。
 また、地域ぐるみの6次産業化の推進として、女性農業者が活躍できる農産物加工販売施設の整備や、中山間地特有の景観や眺望のすばらしさに茶摘み体験などを盛り込んだツーリズムの推進などにより、農業資源を生かした新しい産業の創出を進めています。
 今後は、現在申請中のワサビ栽培の世界農業遺産認定という機会を生かし、積極的に情報を発信し、中山間地域に人々を呼び込み、6次産業化を中心とした中山間地域の農業のさらなる振興に取り組んでまいります。
 次に、有度山でのイノシシ対策についてですが、議員御指摘のとおり、10年ほど前からイノシシによる被害が増加してきたため、その対策として捕獲と防護柵の設置を進めてまいりました。捕獲では、平成24年度からの5年間で294頭、29年度は現在までのところ80頭を捕獲しています。また、防護柵の設置では、地域が一体となった防護柵の設置を進めており、個人や団体での設置を含めると、平成29年度までに約170ヘクタールの農地を防除しています。こうした対策の結果、農業被害金額は、平成24年度には約1,300万円であったものが、28年度には約800万円へと減少しております。
 また、防護柵の設置は、イノシシを物理的に市街地から遠ざけ、住民を守る効果もあると考えております。平成30年度については、駿河区の小鹿、国吉田、大谷、清水区矢部の計4地区で、約20ヘクタールの農地に防護柵を設置します。今後も、イノシシが出没しにくい環境を整えるため、積極的に防護柵の設置を進めていきます。
 次に、中小企業振興条例制定に当たり、関係団体等の意見をどのように吸い上げていくのかについてですが、これまでも静岡商工会議所や商工会を初め、静岡県中小企業団体中央会、静岡経済同友会、中小企業家同友会などの経済団体との意見交換などを通じ、中小企業の状況把握に努めてきました。
 条例制定に当たっても、各経済団体から幅広く意見を聞くとともに、パブコメの実施により、市民の皆さんからも御意見をいただきたいと考えています。

◯財政局長(平沢克俊君) 公契約条例についてですが、公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保を図ることが目的とされ、その趣旨は重要であると認識しております。
 しかしながら、労働者の賃金等の雇用条件については、労働関係諸法令を遵守し、雇用主と労働者との雇用契約に基づき定められるものであるため、市が介入することへの是非が指摘されております。
 また、条例を制定した場合、全ての公契約を対象としたときにはその実効性が、対象範囲を限定したときには公平性の確保が問題となります。
 そのほかにも、客観的基準に基づく賃金の設定や人件費の増加による企業への影響等が課題とされており、また、現時点で公契約条例を制定している政令市は3市で、ほかの政令市においても具体的に制定する動きがないことから、引き続き、他の政令市の動向を注視してまいります。
 一方、本市では、市内業者への優先的な発注や適正な賃金の確保を目的とした最低制限価格制度及び低入札価格調査制度の見直しなどを通じ、公契約の適正化に引き続き努めてまいります。

◯環境局長(糟屋眞弘君) リニア中央新幹線に関する2点の御質問にお答えをいたします。
 まず、南アルプスユネスコエコパーク管理運営計画における中央新幹線建設工事の位置づけと対応についてですが、同計画において中央新幹線建設工事は、トンネル掘削による地下水や水系への影響のほか、大量の発生土による自然環境への影響など、多岐にわたる影響が懸念される事業と位置づけられています。
 その対応については、JR東海による環境保全措置の実効性を担保するとともに、ユネスコエコパークの取り組みとの整合を図り、連携・協力を求めることとしています。
 また、ユネスコエコパークの登録地域には、その登録から10年ごとに生物多様性の保全、学術的研究支援及び経済と社会の発展の3つの機能がどの程度満たされているのかなどをユネスコに報告することが求められています。
 このため、ユネスコエコパークが有する生物多様性の保全などの機能の低下を招き、南アルプスの貴重な価値が損なわれることのないよう、工事による自然環境などへの影響の回避、低減等をJR東海に求めてまいります。
 次に、中央新幹線工事における環境面での県との連携についてですが、この事業は、貴重な自然環境を有する南アルプス地域で行われるものであり、より慎重な環境配慮が必要とされる点において、静岡県は本市と共通の課題意識を持っております。
 これまで環境影響評価手続の中で市長意見を複数回にわたり県知事に提出し、その都度、知事意見に反映されてきました。特に大井川の流量減少についての県の考え方は、中小下流域の利水者に対する減水対策だけでなく、上流域における生態系保全の観点からの措置を求めるなど、水環境に対する本市の考え方と一致しております。また、県がJR東海と締結を目指している自然環境保全協定の協議に本市も参加するなど、環境保全を含めた課題全体について、さまざまな形で調整を行っております。
 今後も、市民の皆さんの安心・安全と南アルプスの貴重な財産を守るため、本市と県との間で情報を共有し、連携を図りながら、JR東海に適切な環境保全措置を講ずるよう求めてまいります。

◯危機管理統括監(荻野敏彦君) 浜岡原発の永久停止・廃炉について、どのように考えているのかについてでございますが、現時点においては、ライフスタイルの転換による節電や代替電源として再生可能エネルギーへの短期間での移行、電力の安定供給など課題も多いことから、原子力発電所の廃炉等について結論を出すには、時期尚早であると考えております。

◯健康長寿統括監(塩澤方敏君) 静岡型地域包括ケアシステムについてお答えいたします。
 自宅でずっとプロジェクト推進に向けての課題と対応についてですが、急速に進む高齢化に伴い、本市でも高齢者のみの世帯やひとり暮らし高齢者、認知症高齢者が増加しています。一方、平成28年度高齢者実態調査では、6割を超える高齢者本人や家族が、介護を受けるようになっても、自宅で過ごしたいと望んでいます。
 このような希望を持つ市民の皆さんが住みなれた場所、特に自宅で安心して暮らしていくためには、在宅医療・介護の連携や地域での支え合い等の体制づくりが必要であり、現在、自宅でずっとプロジェクトにより、これに取り組んでいるところでございます。
 このプロジェクトでは、専門職と住民の連携や住民同士の支え合いをいかに支援し、強化していくかが課題となっております。
 そこで、平成30年度は、小学校区程度の小圏域で実施している自宅でずっとミーティングを新規8カ所の小圏域で行い、新たなテーマによる検討を通して、専門職と地域住民との連携を推進していきます。
 また、地域ケア会議を積極的に開催することによって住民参加を促し、専門職と地域住民の連携や地域住民による支え合い活動を促進してまいります。

◯子ども未来局長(石野弘康君) 子ども医療費助成に関する2点の質問にお答えします。
 まず、子ども医療費助成の県との協定の見直しについてですが、昨日の池邨議員の質問でもお答えしましたとおり、高校生世代への拡大を県内一律で実施されるのであれば、補助対象外とされている政令市としても、県民税を負担している市民、県民の公平の観点から、浜松市と連携しながら、財政負担等に関して協定の取り扱いも含め、県と十分な協議を行う必要があると考えております。
 次に、本市の子ども医療費助成制度を県の意向にかかわらず高校生まで拡大すべきという点についてですが、これも昨日、池邨議員の質問にお答えしましたとおり、高校生世代への拡大については、これまで中学生までを対象として、本市が目指してきた子ども医療費助成制度とは一線を画した新たな政策課題として検討すべきと考えております。
 今後は、県との協議のほかに、財政の確保や安易な時間外受診による救急医療体制への影響等も勘案しながら、総合的に判断していきたいと考えております。

◯都市局長(大滝茂雄君) バス路線休廃止と市民の足確保、及び仮称東名静岡東スマートインターチェンジ周辺のまちづくりについての御質問に一括してお答えいたします。
 初めに、バス路線休廃止と市民の足の確保についての御質問、自主運行をどのような場合に導入しているのかについてですが、利用者の減少などによりバス事業者が撤退し、代替となる交通手段がない公共交通空白地が発生した場合において、その地域の移動手段を確保するため、本市が事業主体となる自主運行バスを導入しております。現在、井川地区、両河内地区、由比地区において自主運行により路線を確保しております。
 次に、ICTを活用したデマンドシステム導入をどう考えているのかについてでございます。
 ICTを活用したデマンドシステムは、予約の受付や最適なルートの選定などを自動で行うことができるもので、千葉県柏市などで導入され、経費節減などの効果を上げております。
 本市では、電話予約によるデマンドシステムが藁科地区や北沼上地区でバス事業者により実施されておりますが、ICTを活用したシステムは導入されておりません。
 このICTを活用したシステムについては、現在、学識者やコンサルタント、行政などからなるデマンド交通の普及や発展を図る協議会に加盟し、情報を収集するとともに、本市のどのような地域に適しているか、研究しているところでございます。
 最後に、仮称東名静岡東スマートインターチェンジ周辺のまちづくりについての御質問、スマートインターチェンジの供用開始のおくれによる土地区画整理事業のスケジュール面への影響についてですが、大谷・小鹿地区約125ヘクタールのまちづくりは、新インターチェンジ整備による交通利便性の向上を生かし、交流、農業、工業、物流、居住の5つを目指すべき導入機能とした大谷・小鹿地区まちづくりグランドデザインに沿って進めております。
 この中で、先行整備エリアとして工業と物流の導入を目指した恩田原・片山地区約32.8ヘクタールについて、区域内地権者の9割以上の同意のもと、平成29年12月に土地区画整理組合が設立認可されました。
 平成30年度は、土地所有者と進出希望企業の意向をもとに、土地の配置や配分を決める換地設計を実施し、31年度は、道路築造工事や宅地造成工事を進める予定で、この進捗に合わせて段階的な企業の進出も予定どおり見込まれていることから、スマートインターチェンジの供用開始のおくれによる区画整理事業へのスケジュール面での影響はないと考えております。

◯観光交流文化局長(中島一彦君) 日本平のにぎわいの創出について、どのように取り組んでいくかですけれども、日本平は、国の名勝に指定されている本市を代表する観光地です。山頂では、約350本の梅を楽しむ春の梅まつりや、1万発の打ち上げ花火が夜空を彩る日本平まつりなど、四季を通じてさまざまなイベントが開催されています。また、日本夜景遺産に認定されたことをきっかけに、地元観光組合などが毎月第4土曜日に日本平夜市を開催し、市内外から多くの方が訪れ、夜の日本平を楽しめるイベントに定着してきています。
 しかしながら、一時的な来訪者の増加によるにぎわいは生まれておりますが、日常的な観光客の増加にまではつながっておりません。
 そこで、本年秋に完成する山頂施設が日本平からのすばらしい眺望や夜景を一年を通じてより楽しめる施設となることから、その魅力を山頂事業者とともにこれらのイベントと連動させ、一体的・効果的に情報発信・PRを行い、日常的なにぎわいの創出につなげてまいります。

◯企画局長(松永秀昭君) 清水LNG火発計画の見直しに関して、その後の事業者の動きについてお答えいたします。
 平成29年11月議会で御答弁いたしましたときと同様、事業者は、市のまちづくりとの整合性の観点から、現在も検討を継続しているとのことでした。検討に当たって、地域の関係者や経済界に対し、個別に意見聴取等も行っていると聞いております。また、市からは、清水みなとまちづくり公民連携協議会について、追加の情報提供を行ったところでございます。
  〔12番寺尾 昭君登壇〕

◯12番(寺尾 昭君) それでは、3回目の質問でございます。
 市税の収納対策についてお伺いいたします。
 市税の収納率が改善されたという発表もありました。心配なのは、貧困格差の拡大のもと納税困難な生活状況を無視した取り立てが行われるというのでは問題であります。
 知らないうちに差し押さえが行われていたという声も聞かれます。納税は義務でありますから、払わない者には強制的な取り立ては当然とばかりに行うのは、決して収納率の向上にはつながらないと思います。生活弱者に寄り添った収納対策が必要だと思いますが、この点についてお伺いいたします。
 地域資源を生かした観光振興策についてでありますが、本市は、豊富で多彩な観光資源を有しているのに、それらを十分生かし切れていない。それらの資源を当たり前の存在とし、魅力的な観光資源としての意識を持てない、こういうところに原因があると言えます。
 本市の多様な観光資源を生かして、これを観光誘客にどう結びつけていくのか、その点についての取り組みをお伺いいたします。
 最後に、静岡市民文化会館建設のアリーナ構想についてお伺いいたします。
 昨年11月の総務委員会において、市当局は、市民文化会館の再整備について5,000席以上のアリーナ、2,000席、800席の2つのホールで構成する複合アリーナとする案を示しております。アリーナはプロスポーツや大規模コンサートに、2,000席のホールはコンサートに、800席のホールは市民向けに活用すると、各施設の使用方法についても示しております。
 これらのホールは、これまでの市民文化会館の大小2つのホールと同様な規模だと思いますし、使用の頻度は高く、市民の要望でもあるということでありますが、5,000席以上のアリーナという、この規模は初めてのものであります。その必要性を十分検討することが必要であります。グランシップだとか、県の草薙の体育館だとかいろいろありますので、そういうところとの整合性ということも考えていかなくてはなりませんし、アリーナをつくるとなれば、これは維持管理費用も大変多額になります。どれだけの需要があるのか、事前調査もしっかり行っていく必要があると思います。
 そこで、アリーナの必要性についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 意見・要望も若干申し上げます。
 これまで申し上げた質問の中にも幾つか意見・要望・提案をさせていただいたわけでありますけれども、1つは、これまでも議論が出ておりますが、小中学校へのエアコン設置について、教育委員会の説明では、もうほとんど議論の余地がないということも感じたわけでありますけれども、できるだけ早期の設置を要望したいと思います。
 それから、2つ目は、学校給食費の補助制度、これについても、ぜひ今後検討をしていただきたいと思うんです。全国では400を超える市町村で学校給食費の無料化あるいは一部補助というようなことでも行われているということでありますので、ぜひ今後検討をしていってほしいと思います。
 さて、私も退職者の皆さんに御挨拶を申し上げたいと思うんです。この3月末をもって退職される職員の皆さん、さまざまな場面で御指導を賜りました。ありがとうございました。時には私たちの意見と考えを異にするというようなこともありましたけれども……

◯副議長(牧田博之君) あと1分です。

◯12番(寺尾 昭君)(続) しかし、この市民の生活を守り、そして向上させるという点では、方向は同じだったというふうに私たちは思っております。
 人生100年時代ということになりまして、多くの方々が40年前後勤めていただいた、全体の奉仕者として頑張っていただいたということであります。人生100年といえば、今、退職する皆さんは60歳、まだ40年もあるということですから、大変なことになるわけですけれども、新しいステージでこれまでの経験を生かして活躍をしていただくことを御期待申し上げまして、感謝の言葉といたします。ありがとうございました。

◯財政局長(平沢克俊君) 生活弱者の方への収納対策についてですが、まず、滞納整理を進めていく上で、滞納者の生活状況や納付能力等の調査を実施し、納税の見込みの有無を見きわめ、分割納付に応じるなど必要な対応を行っております。
 納付能力があると認められるにもかかわらず、納税相談や催告等にも応じない滞納者については、法令に基づく滞納処分を行うこととなります。
 また、無資力や生活困窮者などやむを得ない事情により市税を納付することが困難な方については、実情に応じて滞納処分の執行を停止するなどの対応をしております。
 今後も個々の実情に応じた適正な滞納整理に努めてまいります。

◯観光交流文化局長(中島一彦君) 地域資源を生かした観光振興策についてですけれども、本市には、多彩で貴重な地域資源が数多くありますが、それらを十分に観光商品化できていないことが課題であると認識をしております。
 最近の観光のニーズは、モノ消費からコト消費、すなわち観光スポットを単に見るだけでなく、その土地ならではの魅力を体験する観光へシフトすると言われております。
 そこで、本市を訪れる観光客が本市の魅力を五感で体感できる、体験型観光を提供することが必要です。平成28年度より取り組んでおります「駿河 東海道おんぱく」は、これまで見過ごされてきた地域資源を掘り起こし、観光視点で磨き上げ、体験プログラムに仕上げたものを「おんぱく」というパッケージで試験販売をするものです。「駿河 東海道おんぱく2018」は、まさに開催中でございまして、3月18日までやっております。ぜひ御体験をいただければと思っております。
 この「おんぱく」を通じて、地域の皆さんが主体的に地域ならではの魅力を洗い出して体験型プログラムを造成することにより、地域への誇りと愛着、さらにおもてなしの意識を醸成することができます。
 今後も引き続き、体験型観光商品を官民連携で創出し、情報発信することで来訪客をふやし、地域活性化につなげてまいります。

◯公共資産統括監(森下 靖君) アリーナの必要性をどのように考えているのかについてですが、本市の総合戦略では、文化を磨き上げ、創造力やエンターテインメント力の向上を図り、まちの魅力を高めることで地域の活性化を目指すことを掲げております。
 そこで、静岡市民文化会館の再整備の検討に当たっては、現在のホールにあわせ、大規模集客施設であるアリーナの整備についても検討することといたしました。
 自民党の代表質問に答弁しましたとおり、アリーナの整備は、交流人口の増加や地域経済への波及効果に大きな期待が持てることが確認できました。このことから、総合戦略に掲げる地域活性化のためには、ホールとアリーナの複合化は1つの有力な手段であると考えております。