清水LNG火力発電所、駿河湾フェリー、清水生涯学習交流館について

日本共産党の望月賢一郎です。
 午前中、最後の質問となります。
 最初に、事業者が計画中止を発表した清水LNG火力発電所について伺います。
 去る3月27日、JXTGエネルギー株式会社は、本市清水区袖師町の同社所有地に建設を計画していたタービン2基、総出力110万キロワットの天然ガス火力発電所について、環境影響評価準備書の提出を断念し、計画を中止すると発表しました。
 2015年1月にこの計画が発表されてから3年2カ月、地元住民を中心とした建設中止を求める住民運動の大きな成果だと思います。
 この計画について、昨年8月には田辺市長から、清水のまちづくりと一致しないという意見表明があり、これを受け事業者は、計画を一時中断しておりました。私自身は昨年の市議会議員選挙で、この計画中止を公約の第1に掲げ当選をし、前任者である西谷博子さんから引き続きこの問題を議会ごとに取り上げ、質問もしてまいりました。
 前回2月議会では、本議会に市民2万5,800名余りから提出された駅前LNG火力発電所の建設中止を求める請願の紹介議員として、この議場で賛成討論を行ったのは御承知のとおりであります。残念ながらこの請願は不採択となりましたが、建設中止を求める地元の圧倒的世論の前に、計画は中止となったわけです。計画中止の発表直後に出された清水駅前分譲マンションの販売広告には、火力発電所計画は中止になりましたと、大書きされていたそうであります。
 まず最初に伺います。この建設中止について、事業者から静岡市に対してどのような説明があり、静岡市行政として、計画の中止をどのように受けとめたのか、お聞かせください。
 次に、今後このような環境影響評価を伴う大型事業の計画が出てきた場合の対応について伺います。
 今回の発電所計画は、環境影響評価法の対象事業でありました。計画発表当初は静岡県がこの環境影響評価を担当しておりましたが、その後政令市である静岡市が担当し、市長が経済産業省に直接意見を述べることができるようになりました。
 静岡市では、今回の火力発電所の準備書の提出に備えて、環境局で環境影響評価法に基づく公聴会の実施要領も定めたと思います。
 このように、制度面では整備は進んでいます。しかし、問題はこうした大型事業に対する市行政の姿勢であると思います。
 今回の発電所計画では、計画発表直後に経済局が658万円をかけて、経済波及効果の調査を行い、建設時330億円、稼働後年間190億円の経済効果があるという試算を出しております。その後の市民団体と市当局の交渉などでも、当局が事業者の見解をそのまま発言する、こういった場面を私自身も何度も目にしてきました。
 実際、この計画が清水駅前周辺において、かなりのマイナスの経済効果をもたらしたわけですが、これが昨年の清水のまちづくりと一致しないとする市長の意見表明まで続きました。この意見表明によって、当然ながら当局の姿勢は大きく変わるわけですが、この間の当局の姿勢は、市民の大きな不信を招いたと言えます。
 こうした経緯を踏まえ、今後今回のような環境影響評価手続を伴う大規模な民間の計画が持ち上がった際、静岡市は中立の立場に立ち、市民への情報提供を第一義的にし、市民意見の集約により方向性を確立すべきと考えますがいかがでしょうか、当局の見解を伺いたいと思います。
 以上、1回目の質問です。

◯政策官(赤堀文宣君) 清水LNG火力発電所に関する2つの質問にお答えいたします。
 最初に、建設計画中止に関する事業者からの説明と本市の受けとめについてですが、まず、事業者からの説明については、計画中止の報道発表と同じく、計画の見直しにはさらなる時間を要することから、事業性の確保が困難と判断したということでした。
 次に、計画中止に関する受けとめについては、本市が求めた国際海洋文化都市に添う視点を含め社内で総合的に検討を重ねた上での御判断として、それを尊重したいと考えております。
 次に、環境影響評価手続を伴う大規模な民間事業に係る対応についてですが、本市としては事業計画が関係法令に即していることを大前提とした上で、目指すまちづくりの方向性や政策との整合、事業が与える影響や効果などを総合的に勘案し、対応すべきものと考えております。
  〔1番望月賢一郎君登壇〕

◯1番(望月賢一郎君) ただいま御答弁をいただきました。今回の事業者の判断を尊重すると、こういう答弁でした。
 今後の問題としては、環境影響評価を伴う民間の大規模事業に関しては、静岡市のまちづくりの方向性や政策との整合で判断をするとのことでした。しかし、これは環境影響評価を伴う大規模事業ということです。環境影響評価というのは、そこに住む住民の環境に大きな影響があるから行うわけであります。市のまちづくりの方向性というような例えば商業施設や観光施設、オフィスビルなどとはわけが違うわけであります。これはしっかり区別をして考えるべきものだと思います。
 環境影響評価法についていいますと、平成23年、法改正が行われ、環境影響評価手続の第一段階に配慮書というものがつけ加わりました。2月議会でも環境局に確認をしましたが、環境影響評価法というのは、手続法であり、一旦始まってしまうと、事業の修正はあっても、とめることはできない、これでは余りに理不尽だということで、最初に配慮書がつけ加わり、早い段階で住民の意見を反映させるということになっています。
 こうした法改正の趣旨からいっても、大規模事業に対する住民の意見、反映というのは、大きな流れになっていると言えます。
 先ほども述べましたが、今回のLNG火力の環境影響評価は、当初、静岡県が担当しておりました。配慮書の段階では、住民もわけがわからず、1カ月の開示期間はあっという間に終わってしまったわけです。今後は、静岡市が環境影響評価条例を持っているわけですから、こういった案件が出てきた場合、最初から静岡市が対応することとなります。ぜひとも配慮書の段階から住民にしっかりとした周知、意見聴取を行い、その意見を反映させた対応をしていただくことを強く求めたいと思います。
 今回、この発電所中止運動を担ってきた市民団体、清水LNG火力発電所問題連絡会は解散をいたしました。今後は清水のまちづくりに積極的にかかわっていくため、清水まちづくり市民の会の立ち上げを準備しているそうであります。発電所建設を中止に追い込んだ市民の大きなエネルギーをまちづくりに生かしていくことは大変重要だと思います。行政当局には、ぜひともこうした市民団体の意見に耳を傾けていただけるよう要望をいたします。
 続いて、事業撤退が発表された駿河湾フェリーについて伺います。
 5月25日、来年3月31日をもって駿河湾フェリーが事業から撤退することが運航会社から発表されました。撤退の理由ですが、新聞報道などによりますと、伊豆縦貫道の整備などによる利用者の減少、原油高による燃油価格の高騰が原因とされています。特に、燃油価格の上昇は、私も運輸関係の経営者の知人が何人かおりますが、この変動というのは経営努力の範囲外である上に、経営に大きな影響を及ぼすということであります。
 そこで、伺いますが、駿河湾フェリーの撤退表明に対して、市当局はどういう認識を持っているのか。また、これまでどんな形でフェリーに協力、支援を行ってきたのかをお聞かせください。
 また、今後の対応として、既に静岡県がプロジェクトチームを立ち上げ、動きを進めている中で、市としてはどのような対応をとっていくつもりか、お聞かせください。
 最後に、静岡市の生涯学習施設について伺います。
 3月15日に、生涯学習推進審議会から答申が出されています。この中で利用方法の一元化というのが大きなテーマになっています。これは、何の一元化かというと、旧静岡・清水の利用方法の一元化ということです。もっと具体的にいうと、現在、清水生涯学習交流施設だけにある9条団体──利用料免除団体ですが、これを廃止し、清水の利用者に静岡と同等の負担を求めるというものです。
 さらに、施設維持の費用についても、利用者に負担を求めることも示されています。
 この答申を受け、市は今後どのような見直しを行っていくのか、方針をお答えください。
 以上、2回目です。

◯観光交流文化局長(中島一彦君) 駿河湾フェリーに対する本市の認識、これまでの協力状況及び今後の対応について一括してお答えをいたします。
 初めに、撤退に対する本市の認識についてですが、このたびの駿河湾フェリー撤退表明については、本年度中に中部横断自動車道の県内区間の開通を控え、また、2020年まで、静岡デスティネーションキャンペーンを実施している中での出来事であり、本市と伊豆地域を結ぶ重要な観光ルートの選択肢の1つが失われてしまうことは、大きな損失であると考えております。
 これまで、静岡、伊豆間を往来するフェリーのルートは、平成29年では年間約17万人、乗用車約3万台に利用されており、フェリー撤退による本市への観光客数の減少も憂慮されます。
 次に、本市のこれまでの協力状況についてですが、本市は静岡県、伊豆の2市3町、事業者と協力し、平成25年度に環駿河湾観光交流活性化協議会を設立以来、静岡、伊豆両地域の交流人口の拡大と地域活性化を図ることを目的に、駿河湾フェリーを活用した観光振興に取り組んでおります。
 具体的には、この協議会を通じてメディアを活用した静岡、伊豆のフェリー観光ルートのPRのほか、団体バス旅行に対する助成などの事業を実施しております。
 最後に、今後の対応についてですが、県議会、県観光協会などが県に要望する動きがある中で、環駿河湾観光交流活性化協議会の構成員である伊豆2市3町と連携して、適切に対応をしてまいります。

◯市民局長(豊後知里君) 生涯学習施設の利用方法の見直しについてですが、本市では昨年度、生涯学習施設の配置適正化方針を策定し、生涯学習施設を学びの場として持続可能なものとしつつ、地域コミュニティーによるまちづくり活動の場として活用していくことといたしました。
 現在、生涯学習施設には、生涯学習センターと生涯学習交流館があり、同じ活動であっても申請開始日や施設使用料など、利用方法が異なっております。
 そのような中、静岡市生涯学習推進審議会より、施設利用の一体性の確保や利用者の負担の公平性の観点から、利用方法について一元化を進めることが望ましいとの答申を受け、本市としては次の3点について、見直しの方策を考えております。
 まず、1つ目として、利用方法の一元化です。これは、生涯学習施設の種類によって異なっている利用者団体の区分や利用申請開始日を統一するもので、現在の区分を見直し、新たな区分を設置し、区分ごとに利用申請開始日を統一していきます。
 2つ目は、運営に係る経費に加え、老朽化による修繕費等が増大する施設を維持していくための利用者負担の見直しです。施設を今後も維持し、市民の皆さんに安心、快適に御利用いただくため、利用者負担の考え方を基本とし、負担をお願いするもので、団体区分ごとに施設使用料を設定します。
 3つ目は、まちづくり活動を支援するための施設活用です。これまで以上に地域住民によるシチズンシップに富んだまちづくり活動を支援し、また、さらに発展させていくために、自治会、町内会等のまちづくり活動については、施設使用料を全市的に無料といたします。
 なお、利用方法の見直しに当たっては、今後市民や施設利用者の皆さんに対して丁寧な説明を行い、理解を求めてまいります。
  〔1番望月賢一郎君登壇〕

◯1番(望月賢一郎君) 3回目は、意見・要望です。
 駿河湾フェリーについてですが、当初は現在、日の出埠頭にあるフェリーターミナルを平成35年ごろまでに江尻に移転し、JR清水駅から直通でフェリーに乗船できる施設を目指すということでした。これは、LNG火力発電所などの__施設と違って、地元に大きな経済効果をもたらすという点でも、他市にはない、特徴ある地域をつくっていくという点でも、地元商店街、河岸の市関係者などから大きな期待が寄せられていました。今回このフェリーそのものが撤退になるということになれば、こうした江尻地区のウォーターフロントの魅力創出事業の1つが失われることにもなります。今の御答弁でも撤退による本市への観光客数の減少が憂慮されるということでした。
 今後は、伊豆2市3町や静岡県と情報を共有した上で、各分野で協議をしていくとのことですが、静岡市としても今後は観光文化交流局に答弁をいただいておりますが、海洋文化都市推進本部や都市局など、庁内関連部局で連携をし、積極的な対策を行っていただきたいと思います。
 続いて、生涯学習施設についてですが、利用方法の異なる旧清水・静岡を一元化するというのは乱暴な話です。そもそも旧清水・静岡では、生涯学習施設の成り立ちが違うわけです。詳細は述べませんが、それは現在の利用状況にもあらわれています。
 平成26年度の利用状況を見てみますと、清水区の生涯学習施設の利用件数は4万9,286件、これ1年間です。これには若干、葵区の中山間地の交流館の数字も入っていますが、それは非常にわずかなものです。これに対して葵区、駿河区両区を合わせても3万2,277件ということで、圧倒的に清水区が多いということになっています。
 さらに、静岡市が平成27年度に策定した第2次生涯学習推進大綱では、生涯学習を行っている人の割合を現在の30%から平成34年までに50%にする目標が掲げられています。生涯学習をする人がふえれば、地域の活力が増すということだと思います。
 しかし、今回の利用一元化、施設維持のための利用料の実質値上げは、こうした方向に水を差すものではないでしょうか。そもそも生涯学習施設というのは、地域への投資です。単なる貸し館事業ではなく、地域づくりという視点が必要だと思います。清水の生涯学習施設の伝統を無視し、一方的に負担をかぶせる今回の答申を受けた利用方法の見直し案、これは皆さんのところに配布をさせていただいております。この見直し案は、清水区選出の議員として、絶対に認められないことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。