ささ
ささあ
◯24番(鈴木節子君) 通告に従い、質問いたします。
まず初めに、国民健康保険の収納対策について質問します。
皆さんに配布しました資料がありますので、御参照ください。
本市は今年度から福祉債権収納対策課を新設し、滞納額縮小、収納率向上を業務として滞納世帯に対し、一気に完納を迫り、差し押さえなど、税務職員並みの業務が強化されています。市町村、都道府県がどれだけ医療費削減や収納率向上に向け努力したか、国が採点し、成果を上げていると判断した自治体に予算を重点配分する仕組みにより、競わされています。
ちなみに、平成28年度の本県の収納率は91.98%、全国38位です。県の国保運営協議会は、第1回の運協で2020年度に向け、収納率の目標引き上げを提案し、本市は収納率目標を89%から90.5%に引き上げられました。この実績によって交付金が配分されますので、県から収納率向上をさらに引き締めよと、圧力がかかっているのは明らかです。
質問の1点目に、滞納世帯数、滞納金額、差し押さえ件数、差し押さえ対象の動向を伺います。
2点目に、徴収業務の流れについてです。
滞納世帯には、督促状発行、納付相談で分割納付の誓約をさせるなど、一連の流れがあります。支払い能力があるのに納付しないなど悪質な場合に限り、一定の非常手段は否定はしません。しかし、滞納世帯に対し、財産調査権を発動し、金融機関、預貯金、不動産を調査し、生命保険まで調べ上げ、差し押さえに至る業務が強められています。
差し押さえに向けた基本的業務の流れはどのようになっているのか、伺います。
以上、1回目です。
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険の収納対策に関する2点の御質問にお答えします。
まず、平成26年度からの滞納世帯数、滞納金額、差し押さえ件数、差し押さえ対象の動向についてですが、26年度は滞納世帯数2万4,094世帯、滞納金額50億900万円余、差し押さえ件数445件、27年度は滞納世帯数2万2,428世帯、滞納金額43億7,100万円余、差し押さえ件数315件、28年度は滞納世帯数2万727世帯、滞納金額37億9,900万円余、差し押さえ件数156件、29年度は滞納世帯数1万8,893世帯、滞納金額31億5,100万円余、差し押さえ件数189件となっております。
差し押さえした対象件数の動向としては、減少傾向にございます。
次に、差し押さえに向けた基本的な流れについてですが、納付通知書に基づき、納期限内に納付がなかった場合に、市税と同様、納期から20日後に督促状を、督促状において指定した日までに納付が確認されなかった場合に催告書を送付いたします。それでも納付がない場合については、電話や窓口で納付相談を行います。
滞納者の生活状況や収入状況を聞き取り、一括納付が困難な場合には、生活状況を踏まえた適切な納付計画を作成するなど、きめ細やかな対応を心がけております。
その上で納付している方との負担の公平性の観点から、納付計画どおり支払っていただけない方や再三の催告に応じていただけない方については、財産調査の上、差し押さえる財産がある場合には差し押さえを行っております。
〔24番鈴木節子君登壇〕
◯24番(鈴木節子君) 今、お答えいただきましたが、私は1回目で差し押さえ対象物も聞いているはずなんです。預貯金なのか売掛金か不動産かと、そうした動向も聞いておりますので、お答えをいただきたい。
差し押さえ件数は減っているとは言いましても、それに至らないためにその前にかなり払わせているというか、納付されているという指導が強まっているんではないかというふうに思います。
では、2回目の質問です。
国保の収納対策ですが、国保料収納率向上を競わせる手段は、保険者努力支援制度です。全国の自治体を収納率向上で競わせ、目標値より向上したか、配点、加点によって交付金を配分するという締めつけです。自治体の国保財政は厳しいため、成績で競わされ、交付金増額のためには収納率向上に向かわざるを得ない、そのため滞納世帯に対し一気に完納を迫り、相談に応じなければ差し押さえを強行すると迫る構図です。滞納に至るケースは、病気やけがで仕事ができず、所得が減ったとか、突発的事故で出費がかさみ、滞納せざるを得ないなど、それぞれです。
国保は、もともと低所得者、高齢者が多く、切り詰めた暮らしをしている世帯ですが、正規の保険証を持ち続けるために国保料だけは何とか納入していたが、とうとう払いきれずに滞納になったというのが実態です。滞納世帯に対し、このままではらちが明かないと一括納付を迫り、応じなければ差し押さえを強制執行すると、電話や催告書で迫るというやり方が横行しています。
国保料徴収の根拠は、国税徴収法ですので、徴収の基本姿勢について4点質問します。
1点目に、納付相談に応じ、分割納付し、正規の保険証が発行されている世帯は、悪質滞納者ではないと考えますが、その世帯にも差し押さえを強行することは、成績主義に走り、徴収の基本的流れから逸脱した、行き過ぎた行為ではないか、見解を伺います。
2点目に、滞納処分の停止の基準を確認します。滞納処分を執行することによって、その生活を著しく窮迫させるおそれのあるときは、滞納処分の執行を停止することができるというのが基本です。執行停止する具体的な基準となる金額、内容はどういうものか確認します。
3点目に、個々の生活実態に配慮した対応についてです。厚労省は、滞納世帯の具体的状況を踏まえ、生活を著しく窮迫させるおそれのあるときは、滞納処分の執行を停止する仕組みがあるので、個々の実情をよく把握した上で適切に対応いただくと事務通達も出しています。生活が困窮するような特別の事情がある世帯は、機械的な差し押さえはあってはならないのが基本ですが、本市はどのように対応しているのか、基本的な考えをお示しください。
4点目に、金融機関から借金をさせてまで納付を迫る対応についてです。滞納世帯の財産調査をし、預貯金がない場合、金融機関や生命保険から借金し、一気に完納せよ、滞納による延滞金より金融機関の利息のほうが安いから、借金をしてでも払えと迫られた、こういう事例がありました。金融機関からどのくらい借金できるか問い合わせよ、その返事がなければ強制執行するとまで迫られています。このような指導が常時なされているとしたら、到底許されることではありません。
平成28年の国会質問で麻生財務大臣は、滞納者に対して借金による納付を強要するというようなことはありません。職員への周知徹底をきちんといたしたいと答えています。金融機関から借金をさせ、完納させているのか、滞納世帯にこのような折衝が日常行われているのか、確認の意味で伺います。
続いて、エアコン設置について、2つの角度から質問します。
この問題、公立小中学校のエアコン設置については、もう多くの皆さんが質問しておりますので、重ならない内容でお聞きをいたします。
この夏の命にかかわる酷暑を経験し、全国の自治体が来年の夏までのエアコン設置を表明し、本市もエアコン設置に踏み切ったことは、子供たちや保護者、教師から大変歓迎され、喜ばれています。市長の御決断も市民の皆さんは大変喜んでおられます。
言っておきますが、この事業で必要なことは、設置に要する期間を可能な限り短縮させること。国の交付金の増額と県の補助で市町の負担を軽減させること。そして工事は市内中小業者に優先発注し、地域経済活性化につなげることです。公共事業は下請、孫請には中小業者も仕事が回りますが、孫請では利益が伴わないのでは、意味がありません。公共事業は、市内中小業者の直接の仕事づくりにつなげることが重要です。
当局は、全国の自治体が一斉に工事に着工し、受変電設備やエアコン本体の供給が間に合うのか、工事に携わる人手が確保できるのかと、危惧していますが、市内中小業者の仕事づくりとして、優先発注させる観点が必要です。
昨日質問がありましたが、その方針を改めて伺います。
2点目に、冬季は10度以下になり、暖房を活用することになりますが、何度になったら使用するのか、設定温度、エアコン管理など、使用ルールはどう定めるのか、伺います。
3点目に、熱中症事故防止策についてです。
蒸し暑さは気温だけで評価できず、湿度、日射、輻射、風の要素を取り入れた暑さ指数が熱中症予防に使われています。各校に検査機器が配備されているとは思いますが、その確認と熱中症事故防止策はどのように徹底、実践されているのかを伺います。
続いて、生活保護世帯のエアコン設置についてです。
エアコン購入には5万円ほどかかります。保護を受給している方たちは、もともと冷蔵庫だとか洗濯機もそうなんですが、こうした家電を購入するための費用は大変工面しております。エアコンのない低所得世帯や高齢世帯というのは、特にこの夏は熱中症で救急搬送されることが多々ありました。
厚労省は、こうした中で、ようやく生活保護世帯へのエアコン購入費用を認めましたけれども、それは条件つきです。ことし4月以降の生活保護受給世帯に限って購入費用と設置費用の一部が支給されるという内容です。踏み切ったということは歓迎されますけれども、こうした中で市の実態をお聞きしますが、周知状況と支給実績はどうかを伺います。
以上、2回目の質問です。
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 2回目の御質問にお答えする前に、まず1回目の御質問にありました差し押さえ対象物の動向ですが、差し押さえ対象物の主なものは預金、不動産、給与、生命保険等です。このうち不動産は減少傾向にあり、それ以外の預金ほかの債権が増加傾向にございます。
それでは次に、2回目の御質問にお答えいたします。
まず、納付相談に応じ、分割納付を継続している場合の差し押さえについてですが、滞納額に見合わない少額の分割納付を継続している滞納者のうち、その後の事情の変化により資力が回復し、分割納付額を増額できるにもかかわらず、特別な理由なく資力に応じた保険料納付に応じようとしない場合等に、差し押さえなど滞納処分を執行することは、公平性を保つ上で必要なことであると考えております。
次に、給与等の差し押さえ禁止基準の内容ですが、国民健康保険法において、その例によるとされている国税徴収法第76条第1項の規定により、生活を維持する上で、必要最低限の金額は差し押さえることができないこととされています。
具体的には、生活保護法における生活扶助基準額に相当する金額、所得税、住民税、社会保険料の金額及びそれらを給与等から控除した額の2割の金額となっています。
次に、滞納処分の執行停止についてですが、国民健康保険法において、その例によるとされている地方税法第15条の7第1項の規定により、次の3つのいずれかに該当する場合に執行停止ができることとされています。
1つ目は、滞納処分することができる財産がないとき。
2つ目は、滞納処分することによって、その生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
3つ目は、滞納者の所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。
本市においても、これらの場合に限り、滞納処分の執行停止をしております。
最後に、借入金をもって納付させることをしているのかについてですが、納付相談の中で、滞納者の収入状況を聞き取りした上で、納付計画を作成していきます。その中で、金融資産や不動産などがあり、金融機関から借り入れすることができる場合に、延滞金よりも利率の低い借り入れを提案させていただくことはございますが、借り入れを強制することはありません。
◯教育局長(遠藤正方君) 小中学校へのエアコン設置についての3点の質問にお答えします。
まず、市内の中小事業者への優先発注についてですが、本市が発注する工事において、建設工事に関する入札参加者の選定基準では、市内に本社、本店を有する事業者を優先的に選定するよう定めています。エアコン設置工事もこの選定基準にのっとり、市内事業者の積極的な活用を図ります。
市内事業者の9割以上が中小事業者ですので、この制度によって、市内の中小事業者の受注機会の確保にもつながるものと考えています。
全国的にエアコン整備が始まることから、本市としても工事規模などを検討し、多くの事業者の参加を促したいと考えています。
次に、エアコン設置後の使用のルールについてですが、エアコンの使用に当たっては、児童生徒の健康を保持し、快適な学習環境を確保しつつ、効率的にエアコンを活用できるよう一般的なルールづくりが必要であると考えます。
具体的には、稼働期間や稼働時間、温度設定など、エアコンを使用する基準を定めます。ただし、各学校で教室環境が異なるため、その実情に応じた利用が可能な内容とする予定です。
あわせて、児童生徒の健康や体調に配慮した使用方法やカーテンや扇風機を併用するなど、省エネルギーにつながる効率的な使用方法についても研究してまいります。
最後に、熱中症事故防止策の徹底、実践についてですが、全校に暑さ指数を計測する機器を設置し、熱中症に十分注意をしながら教育活動を行えるようにしております。
また、各学校は教室の暑さ指数の注意にとどまらず、児童生徒の睡眠や食事などの体調管理をしっかり指導するとともに、活動前の健康観察などを通して、健康状態の把握にも努めております。
さらに、教育課程において、気象状況によっては激しい運動を避けるなど授業内容を変更したり、各学校の判断により午後の授業を打ち切ったりするなど、児童生徒の健康、安全を第一に考えた柔軟な対応を行っております。
また、授業中も含め定期的な水分補給を勧めるなど、各学校で対策を工夫しております。
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 生活保護世帯へのエアコン設置費支給の周知状況及び支給実績についてですが、生活保護制度において、日常生活に必要な生活用品については、経常的最低生活費のやりくりにより賄うこととなりますが、保護開始時や転居の場合等で、生活用品の持ち合わせがない場合は、別に支給することが認められております。
近年、熱中症による健康被害が数多く報告されていることから、本年6月27日付、厚生労働省社会・援護局長通知により、生活保護の実施要領が一部改正され、本年7月1日以降の保護開始世帯や、退院後、新たに居宅生活を始める単身世帯等に、熱中症予防が特に必要とされる高齢者、障害者、子供等がいる場合は、エアコンの購入・設置費の支給が認められることになりました。
また、本年4月1日以降の保護開始世帯等で7月1日時点において、エアコンの持ち合わせがない場合も同様の取り扱いとして差し支えないことが示されました。
そのため、要件に該当すると考えられる世帯につきましては、各ケースワーカーが個別に訪問するなどして、本制度を周知しております。
また、本年8月末現在における支給実績は10件となっております。
〔24番鈴木節子君登壇〕
◯24番(鈴木節子君) では、3回目ですが、国保の収納対策です。先ほどお聞きした金融機関から借金をして、それで納付せよというこの対応ですけれども、強制はしていないという表現でした。でもこれは窓口で実際に金融機関に行って、幾ら借りられるのか聞いてきてくださいと。生命保険も幾ら借りられるか聞いてきてくださいと。その返事によって、返事が来なければ強制執行しますよという文書、通知も来ておりますので、これは市が強制しないと言っても、受け取った側は強制なんです。ここはやはり滞納しているということで、引け目を感じて申しわけないという思いがあるので、職員から何か強く対応を迫られれば、もういや応なしに、何としてでもお金をかき集めて払おうという気にはなっているんですけれども、借金をせよということは、大変酷ですので、そこはもう少しきちっと改めるべきだと思います。
では、質問ですが、国保世帯主の職業は非正規労働者と無職者、いわゆる年金生活者です。こうした方たちが8割に及んで、平均所得は140万円未満です。加入者は貧困なのに保険料は高いという構造的問題、矛盾はますます深まり、国保の都道府県単位化でさらに制度疲労を深刻化させないか、危惧されています。
保険者努力支援制度によって、収納率が向上した自治体に交付金を重点配分するという、自治体を競わせる国の誘導策に問題があります。そのもとで、自治体はどう対応すべきかが鋭く問われています。
収納対策課の業務は、収納率を上げることで、まさしく数字で評価されますが、相手は生身の人間です。滞納額を縮小させることが目的で差し押さえ後の世帯の暮らしぶりは関知しないというのでは、住民の福祉向上を目的とする行政として姿勢が問われています。
国保の構造的問題を捉え、収納率向上に拍車をかけるのではなく、国への財政支援の要望や一般会計からの繰り入れを増額させ、加入者の負担軽減を追求すべきではないか、見解を伺います。
次に、生活保護世帯のエアコン設置についてです。
ことし4月以前から保護を受けている受給者へのエアコン設置支給はありません。未解決のままです。特にこうした方たちは、エアコンがもともと設置されていない住居に入居している世帯が多く、高齢者世帯は熱中症になりやすく、何らかの対応を急ぐ必要があります。全ての保護受給世帯にもエアコン設置の費用を支給対象とするなど対策が必要ですけれども、特にこの高齢者世帯、ひとり暮らしのお年寄りは、自分では対応できないという方が多いのです。ここには、市はしっかりと対応すべきと思いますが、どのように認識をしているのか、伺います。
意見、要望です。
先ほど出ておりました公立小中学校へのエアコン設置は、大変喜ばれておりますけれども、3年という期限については、できるだけ早くという市民の声に応えることと、学校の体育館は、災害時には避難所にもなりますので、こうした問題はまたついて回る問題ですので、ここへの対応もぜひ御検討をいただきたいということを要請して、質問を終わります。
◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険の被保険者の負担軽減のための財政支援についてですが、平成30年度以降、国による約3,400億円の公費投入により、国保の財政基盤の強化が図られておりますが、構造的な問題の解決のために、指定都市市長会や全国市長会等を通じて、国に対しさらなる公費の追加など、必要な財政支援を要望しております。
また、国からは、段階的に赤字補填のための一般会計からの法定外繰り入れを解消、削減する方針が示されております。
法定外繰り入れは、保険料収入の不足を補うため、例外的に繰り入れするものであり、その財源は市民の皆さんの税金で賄っていることから、全体の公平性を考慮する必要があると考えております。
本市といたしましては、国の方針を踏まえ、保険料への影響を考慮しながら、赤字補填のあり方について検討を進めてまいります。
次に、熱中症対策として、エアコンが設置されていない全ての生活保護受給世帯を支給対象とすることについてですが、生活保護制度につきましては、法定受託事務として国が示した基準に基づき全国一律に実施しているものであることから、国の通知のとおり実施するものと認識しております。
今回の制度改正の対象とならない世帯に対しましては、従前のとおりケースワーカーが世帯の状況を踏まえ、経常的最低生活費のやりくりへの助言や収入のある世帯については、社会福祉協議会の貸し付け資金の活用も含め相談に応じ、対応しております。
しかしながら、この夏のような想定外の猛暑により、緊急にエアコンを購入する必要が生じる場合も考えられることから、保護開始時等に限らず支給できるよう、大都市生活保護主管課長会議を通じ、国に対し要望してまいりたいと考えております。