避難対策について 要援護者の避難行動について

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日本共産党の杉本 護です。
 通告に従って、避難対策について質問いたします。
 近年は、地震と津波、台風、豪雨災害、火山災害や災害並みの猛暑など、自然災害が多発しています。そうしたもとで、市民の命と財産を守るのが、国や地方自治体の役割です。
 防災、減災、救済、そして復興という角度から幾つかの課題を挙げてみたいと思います。
 橋やトンネル、学校施設や病院など、公共施設の老朽化対策、堤防の強化、観測体制の強化、正確な情報提供、的確な避難方針の作成と実施体制の構築、消防職員の体制強化、日常からの十分な医療、福祉の体制、被災者が自立できるまでの適切な支援など、実に多くの課題があります。今こそ英知を結集して、本市も対策を抜本的に強化する必要があると思います。
 そして、そうした対策を講じながら、災害が起きた場合、あるいは起きるおそれがある場合の迅速な避難行動が命を守る上でとても大切になっています。
 さて、ことしの7月28日土曜日、安倍川花火大会が中止となった台風12号が接近するもとで、市は午後3時に避難場所を開設。午後4時には土砂災害、浸水害のおそれのある地域に対し、避難準備と高齢者等避難開始を呼びかけ、午後6時には土砂災害が発生するおそれがある地区に対し避難勧告を出しました。
 この一連の流れの中で、葵区の西奈地区で夫と2人で暮らしている方、仮にAさんといいますが、Aさんが避難するのに大変苦労した話を聞きました。Aさんは後期高齢者で、車椅子でないと移動できない重度障害者、災害時要援護者にも登録してある方です。Aさんが避難に至るまでの過程を振り返り、本市の避難対策、特に災害時要援護者に対する支援の課題について質問をしていきます。
 繰り返しますが、この出来事は、突然地震が来た、このような災害が発生したわけではありません。台風が接近する中で避難指示が出るかもしれないと、当局は前の日からでも心構えや態勢の準備ができる、そういう状況で起きた出来事です。そのことを自覚してお答えいただきたいと思います。
 まず、市は午後3時に避難場所を開設しました。葵区と駿河区は主に小中学校、清水区は生涯学習交流館です。ここで4点の質問をします。
 1つ、一般の避難所と福祉避難所はそれぞれ何カ所あり、収容人数もそれぞれどのぐらいあるのか。
 2つ、防災行動計画、いわゆるタイムラインは、台風などが接近する中、誰が、どのような情報のもとで、どの段階で作成しているのか。
 3つ、このタイムラインはどの範囲まで、どのように周知をしているのか。
 4つ、避難所開設の情報は、この時点でどこまで、どのような方法で伝えているのか。特に自主防災会や民生委員・児童委員などの避難支援者にはどのように伝えているのか。
 以上、お答えください。
 次に、市は午後4時に土砂災害、浸水害のおそれのある地区に対して、避難準備と高齢者等避難開始を呼びかけました。Aさんは、その情報を受けて避難すべきと考え、民生委員に相談しました。ところが、民生委員の方にどうすればいいかわからない、こんなふうに言われ、いつもお世話になっている通所介護施設に連絡をするがつながらず、やむなく離れて暮らす娘さんに連絡したとのことです。この時点では、避難支援者には避難準備の指示が出され、高齢者など要援護者には避難開始の指示をしています。ここで4点お聞きします。
 1つ、避難準備と高齢者等避難開始の情報は、要援護者や避難支援者などにどのように周知をしているのか。
 2つ、災害が発生するおそれがあるとき、Aさんのような要援護者は、みずから助けを求めなければ避難支援者は動かない仕組みなのか。
 3つ、要援護者には、誰が避難支援者かをあらかじめ伝えているのか。
 4つ、避難支援者に対して、その役割をどのように伝えているのか。
 以上で1回目とします。

◯危機管理統括監(海野剛幹君) 要援護者の避難行動に関する御質問に一括してお答えします。
 初めに、避難所と福祉避難所の施設数及び収容人数についてですが、本市が指定する避難所は、240施設で、10万2,838人。福祉避難所は、77施設で、3,400人程度の収容が可能となっております。
 次に、タイムラインはどのように作成され、どのように周知しているかについてでございますけれど、タイムラインは、台風などの接近を受け、天候の悪化などが生じる前の段階において、災害が発生することを前提に、風水害等の緊急避難場所の開設などに関して、どの時点で、どの部署が、どういった対策をとるのかを時系列に整理した計画です。
 災害対応が必要となる部署で構成する危機警戒本部において、気象情報などをもとに決定し、速やかに、決められた時間に事前配備態勢が整うよう、全職員へ職員メールで情報伝達をしています。
 最後に、避難等の情報を要援護者や避難支援者などにどのように周知しているかについてですが、タイムラインは事前の情報に基づき作成されるもので、実際の気象状況等に応じて修正を行います。その修正内容に基づいて、避難所等の開設や、避難準備・高齢者等避難開始の情報の発表を、時間的な余裕をもって、市民の皆さんに一斉発信することとしています。
 その伝達方法としては、同報無線のほか、テレビ、ラジオ、インターネット、緊急速報メールなど、さまざまな情報媒体を用いて発信し、福祉施設などには、電話やファクシミリを使って伝達する方法もとっております。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 私から、残り3点の御質問にお答えいたします。
 まず、災害が発生するおそれがあるとき、要援護者は、みずから助けを求めなければ避難支援者は動かない仕組みなのかについてですが、本市では、災害に備え、各地域における自助と共助を基本とし、要援護者の避難誘導等の支援体制を確立することを目的として、平成22年度に静岡市災害時要援護者避難支援プランを策定しました。このプランに基づき、24年度に災害時要援護者避難支援マニュアルを作成し、自主防災組織や民生委員へ配布して説明することで、地域において具体的な支援体制づくりが進むよう支援しています。
 このマニュアルでは、自主防災組織、民生委員、隣近所の方など地域で暮らす人たちが避難支援者となり、みずからの安全を確認した上で、連携・協力して要援護者の避難支援を行う体制づくりをお願いしております。
 次に、要援護者には、誰が避難支援者かあらかじめ伝えているかについてですが、本市では、高齢者実態調査において身体状況により生活介助が必要である方や、障害者手帳を取得されている方など、災害時に自力で避難ができない方からの申請に基づき、災害時要援護者名簿を作成し、自主防災組織と民生委員に配布しております。
 この名簿をもとに、自主防災組織が民生委員の協力を得て、要援護者を訪問し、個々の要援護者の実態に即した避難支援策の策定や避難支援者の選定を、要援護者との話し合いの中で決定していただくようお願いしております。
 最後に、避難支援者の役割の周知についてですが、先ほど申し上げました、災害時要援護者避難支援マニュアルには、避難支援者の知っておくべき支援の手順や、留意すべき事項などが記載されております。
 このマニュアルは、年1回更新している要援護者名簿の配布に合わせて周知を図っており、平成30年度においても、10月から11月にかけ、各区の自主防災連絡会や民生委員・児童委員協議会常任理事会で計6回、直接説明し、運用について周知を図りました。
 今後も、さらにマニュアルの活用が図られるよう、効果的な周知方法について検討してまいります。
  〔11番杉本 護君登壇〕

◯11番(杉本 護君) 質問を続けますが、この方は、民生委員に相談をしたらわからないと言われたんですね。今の答えは、民生委員に周知していますと、かみ合っていないんです。この実際の避難対策をどういうふうにしていくのか、この辺が課題だと思っています。
 続けます。Aさんから連絡を受けた娘さんは、葵区役所、地域総務課に連絡をし、大まかに言って、こんなやりとりがあったそうです。
 娘さん、車椅子の高齢者を避難させたい、担当者、避難場所は開設したが、職員1人だけ。車椅子の対応はできない、娘さん、福祉避難所を紹介してほしい、担当者、福祉避難所は避難生活を2~3日して対応困難な人を受け入れるところ。この段階では開設していない、娘さん、指定避難所で車椅子用のトイレを設置しているところを教えてほしい、担当者、調べるが、ないと思う。避難しないで2階に上がることも考えられるが、娘さん、重度身体障害者で自力では無理。Aさんの夫も重度身体障害者で、介助は不可能、担当者、受け入れ先を探してみます、こんなやりとりがあったそうなんです。
 こういった中で4点お聞きします。
 1つ、避難所開設時、避難場所の体制はどうなっているのか。車椅子などを利用する障害者が避難してくることを想定した体制になっているのか。
 2つ、車椅子などに対応できるバリアフリー化をしている避難所は幾つあるのか。また、車椅子対応のトイレのある避難所は幾つあるのか。
 3つ、障害者などの状態に対応できる避難所を、要援護者には伝えてあるのか。
 4つ、福祉避難所はどのタイミングで開設するのか。そもそも指定避難所では対応できない要援護者は、初めから福祉避難所に行くことはできないのか。
 以上、お答えください。
 暴風雨が来るかもしれないとAさんが不安な気持ちでいる中、市は受け入れ先を探し、その間、娘さんも幾つかの福祉避難所を紹介してもらい、連絡をとりました。受け入れ先の体制はないという返事だったそうです。
 さらに、ある福祉避難所では、ここは土砂崩れの危険はないが、浸水警戒区域で、今後、雨量がふえたら、入所者をどこに移そうか考えあぐねている、こう言っていたそうです。
 ここで3点お聞きします。
 1つ、浸水害に対応した、浸水警戒区域以外の指定避難所や福祉避難所は、それぞれ幾つあるのか。
 2つ、浸水害のおそれで避難勧告を出した場合、避難先は浸水害警戒区域外になると思いますが、市民や要援護者、避難支援者にはどのように避難先を伝えているのか。
 3つ、浸水警戒区域の福祉施設の方々は、万が一浸水しそうになった場合、どこに避難するのかを決めていないのか。
 以上、お答えください。
 このように避難先を探して時間が経過していくわけですが、Aさんが避難をしようと思った午後4時から1時間半ほど経過した午後5時半ごろ、市の職員から駿河区で受け入れてくれる福祉避難所を見つけたと連絡があったそうです。娘さんからは、市の職員の方が必死になって探してくれたと、感謝の言葉を私は聞いています。そして、午後6時に土砂災害の発生するおそれのある地区に対して避難勧告が出されています。
 さて、移動先は確保できましたが、今度は移動手段です。介護タクシーを呼ぼうとしましたが、暴風雨を警戒して運休とのこと。頼るところがなく、娘さんが迎えに行くことになりました。親の状態を考えて、1年前にスロープつきの車に変えたために対応することができ、駿河区の福祉避難所に送ることができました。その避難所に着いたのは午後7時ごろ、避難しようと思ってから約3時間がたっていました。
 ここでお伺いします。
 市は暴風雨のとき、このような車椅子の方が浸水警戒区域以外の遠く離れたところに、どのような方法で移動させようと考えているのかをお答えください。
 以上、2回目の質問とします。

◯危機管理統括監(海野剛幹君) 要援護者の避難行動に関する御質問に一括してお答えします。
 初めに、避難所開設時の体制及び車椅子への対応など、バリアフリーの状況と、対応可能施設の情報提供についてでございますが、バリアフリー化された施設は146施設で、そのうち多目的トイレがある施設は108施設となっています。
 風水害時の緊急避難場所、その他の避難所については、学校、生涯学習交流館など、日常的に市民が利用する施設を指定しており、開設時には複数の職員を配備し、車椅子の方へのサポートなども行える体制となっております。
 また、障害などの状態に適応できる避難所の情報は、各避難所におけるスロープや多目的トイレの有無などを一覧にして、今後周知してまいります。
 次に、浸水害に対応した指定避難場所の数と避難勧告等が出た場合の避難先の伝達方法についてですが、あらかじめ、浸水害等に備える指定緊急避難場所は、市内に75施設を開設します。
 なお、福祉避難所は、浸水警戒区域外に62施設あり、避難勧告の段階では福祉避難所は開設しておりません。
 避難勧告の情報は、同報無線を初め、テレビ、ラジオなどさまざまな手段で伝達しております。
 また、避難勧告では、避難支援者も避難行動をとる必要があることから、あらかじめ避難準備・高齢者等避難開始の情報の発表と同時に避難行動をとるよう、平時から要援護者と避難支援者との関係が構築ができるよう必要な支援を行ってまいります。
 次に、浸水害想定区域の福祉施設の方々がどのように避難をするのかについてですが、昨年度の水防法の改正を受け、福祉施設を含む、要配慮者利用施設の管理者に対して、避難確保計画の作成が義務づけられました。
 本市では、711施設が計画作成の対象となっており、ハザードマップの見方など、計画作成のサポートを実施した結果、77%、545施設が計画の作成を完了し、既に避難訓練等を実施している施設もあるなど、避難体制が整ってきております。
 今後も、計画作成のサポートを行い、未作成の施設についての避難体制も整えてまいります。
 最後に、暴風雨時の車椅子の方の避難方法についてですが、避難準備・高齢者等避難開始の情報の発表は、被害が発生する前に、早目に避難行動が可能となるよう情報を出しております。
 避難行動をとる上で、災害の種類や状況に応じて、必ずしも避難場所への避難ではなくても、近くの自治会館や知人宅などへの避難も1つの方法となります。
 まずは、御本人、避難支援者も交えた事前の避難計画づくりが大事であることから、地域における具体的な支援体制づくりが進むよう、市も連携し支援してまいります。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 福祉避難所が開設されるタイミングと初めから福祉避難所に行くことはできないのかについてですが、福祉避難所は、医療的なケアが必要となる方や、多くの方と共同生活を送ることが困難な方など、一般の避難所では生活を送ることができない方のための二次的な避難所です。
 要援護者も、まずは家族や近隣の方などの避難支援者とともに、一般の避難所に避難していただき、要援護者のうち二次的な避難が必要な方の状況や、福祉避難所として指定されている施設の被災状況、受け入れ体制等を調査した上で、福祉避難所への受け入れを決定いたします。
 したがって、要援護者が直接福祉避難所へ避難するのではなく、一般の避難所での生活が困難な場合に、市が調整し、福祉避難所へ移動していただくこととしております。
  〔11番杉本 護君登壇〕

◯11番(杉本 護君) 3回目に入ります。
 1回目、2回目でお答えをもらったんですが、私、余り頭がよくなくて、細かく聞いているのをまとめて言われますと、どこがどう答えているかよくわからないんですね。聞いたことに答えてもらっていない部分もあるような気もするんです。
 ちょっと先に進みます。
 本市は、災害時要援護者避難支援マニュアルを作成し、支援体制の強化を図っているところですが、今回の要援護者の一人であるAさんの避難行動を追う中で、私は幾つか課題があると思っています。
 まず、市の危機管理体制の問題です。
 今回、実際に災害が起きる前、危険を予測して避難行動を促した時点での対策が十分に検討されていないことが明らかになっています。
 Aさんは、午後4時に高齢者は避難しなさいという広報を受けて、市の望むように早目に避難をしようと考えたわけですね。ところが、避難場所開設時に対応する職員は1人しかいなくて、車椅子は対応できないと事実上拒否をされているわけです。
 先ほどの答弁で言うと、なぜか市が悪くなくて、地域の方とのコミュニケーションが不十分だと言わんばかりの言い方をしていますが、そうではないと思っています。
 市が災害の起きる前の早目の避難行動を促すなら、その受け入れ体制を、災害が起きる前でもしっかりととるべきだと思います。
 そして、車椅子などの障害の特性に対応できるように、避難場所となる施設には、スロープの設置や障害者に対応したトイレの整備など、バリアフリー化を早急に進める必要があると思います。先ほど何件かあると言っていますが、そんなにいっぱいあるんだったら、対応できるところはないという、何であんな職員の対応になるのか、私は非常に不思議です。
 選挙のときにはスロープをつけますよね。そういったものを全ての避難所に常備する、そういうこともできるのではないかと思います。
 そういったことで、そういう答えは先ほど言ったかもしれませんが、私はよくわかっていません。
 それで、質問です。2点お聞きします。
 避難指示が出た時点での避難所の受け入れ体制を今後どのように整備するつもりか。Aさんは拒否されています。
 2つ目、避難所に指定された施設のバリアフリー対策はどのような状況で、先ほど聞きましたけれども、これに対して、バリアフリー化をされていない施設の今後の対策はどのようになっているのか、考えているのかをお答えください。
 さらに、車椅子の方の避難は、近隣の指定避難所であれば、避難支援者に運んでもらえます。しかし、浸水害のおそれがある場合、あるいは離れている場合には、離れていても、そういった浸水警戒区域以外の安全な避難所に行く必要があると私は思います。
 先ほど見せたこのマニュアルですね、雨の中を雨がっぱを着て車椅子を押している、そういう絵がありますが、こんなふうに運べるわけがないんです。その際の移動手段を考えていく必要があると私は思います。
 そこで伺うんですが、市は要援護者の移動を避難支援者に頼るのであれば、例えば、消防団ごとにスロープ付きの避難送迎車両、このようなものを用意することが必要ではないのか、考え方をお聞かせください。
 もう1つの課題は、災害時要援護者と避難支援者との連携をどうつくっていくかです。当局も先ほどから答弁していました。
 Aさんは、日ごろ身近に感じている民生委員の方に相談をしたんですが、その民生委員の方は、どうしたらいいかわからず、十分な対応ができなかった。恐らく実際には、車椅子の要援護者を避難させることなど想像もしていなく、戸惑ったのではないかと思います。
 当局は、さきの9月の議会で、日本共産党の内田議員の質問に答えて、障害者が要援護者として参加をした中島地区の防災訓練を紹介しています。私もそれを聞いていて、必要なことだと感じています。
 しかし、実際に障害を持つ方の協力を得るということは大変なことだと思います。そして、運営する自主防災会の理解も必要だと思います。
 中島地区の事例を机上で自主防災会などに紹介するだけでは広がっていかないのではないでしょうか。中島地区のような防災訓練ができるように自主防災会などの理解、障害者の協力、実際の訓練と軌道に乗るまで、市が積極的な関与をする必要があると思います。
 そこで伺いますが、市は災害時、要援護者を支援する実効性のある防災訓練の実現のために、今後どのように取り組んでいくかをお答えください。
 自然災害が多発している日本です。災害対策、避難対策で懸念する点はまだまだありますが、今回は災害時要援護者への対応を中心に質問し提案してきました。
 人災による被害者は一人も出さないように、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 質問通告をしていませんが、今回の出来事を聞いて、市長、何か感じることがありましたならば、一言御発言をお願いして、私の質問を終わります。

◯危機管理統括監(海野剛幹君) 初めに、避難指示が出た時点での避難所の受け入れ体制についてですが、配備している職員は避難所ごとに指定しており、それぞれが平時から自主防災組織の皆さんと会合を持つなどして、自助・共助・公助の連携の強化に努めており、その中で、きめ細かな要援護者支援の受け入れ体制に向けて今後とも取り組んでまいります。
 次に、避難所に指定された施設のバリアフリー対策の状態、今後の施設のバリアフリー化をどのように考えているのかについてでございます。
 避難所のバリアフリー化には、施設ごとに備えられる設備の違いがあります。このため、必要に応じて、例えば車椅子対応型の仮設トイレなどを備えることで対応しております。
 施設のバリアフリー化は、スペースの制約、大規模改修時の改築など、ハード整備に要する時間が必要となることから、当面は、車椅子にとどまらず、要援護者には必要に応じた援助が可能となるよう、ソフト面からも支援体制づくりに取り組んでまいります。
 最後に、要援護者の移動に、避難専用車両を用意する必要についてでございますが、車椅子の移動に避難専用車両があり、地域共助が可能となることは、理想ではありますが、現実的には、先ほどから申しておりますが、垂直避難となる自宅上層階への避難、または水平避難となります近親者宅や地域の公民館、あるいは指定避難所への避難、こういうさまざまな避難行動をみずから判断していただくことが、みずからを守るための原則となります。
 いずれの場合でも、暴風雨などで避難が難しくなる状況に至る前に、早目の行動がとられ、地域における支援体制づくりが進むよう、各種気象情報及び避難に関する情報の意義について、引き続き、普及・啓発してまいります。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 実効性のある防災訓練実現のための取り組みについてですが、本年9月1日、2日に実施した静岡市・静岡県総合防災訓練において、中島地区で行われた避難所協働訓練では、要援護者と避難支援者が一体となり、要援護者支援に関する講座で支援の必要性や方法を学んだ後、実際に福祉避難所への受け入れ準備及び移送する訓練を実施しました。
 平成30年度の地域防災訓練においても、森下学区を初め、数多くの地域で要援護者を支援するための防災訓練が実施される予定です。
 また、西豊田学区では、地域で暮らす要援護者を住民主体で支える体制づくりをテーマとして、宿泊防災訓練を11月に実施しました。
 これは、地域の自主的な支え合い活動として、地域住民による実行委員会が、県立短期大学及び静岡市障害者協会などの協力を得て、取り組んだものです。
 本市としましては、今後、要援護者支援の訓練などに先進的に取り組んでいる地域の事例を収集し、自主防災連絡会などの機会を捉え、他の地域にも紹介するほか、こうした情報を市のホームページなどでも紹介し、市民への周知を図ることで、各地域の実情や課題を踏まえた防災訓練の実施など、要援護者支援の体制づくりにつながるよう取り組んでまいります。