国民健康保険について

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◯24番(鈴木節子君) では、通告に従いまして質問いたします。
 まず、国民健康保険について。
 今議会は、加入世帯の所得が低いのに負担が重いという構造的問題に対し、国保料を引き下げ、暮らしを守る立場で質問します。
 全国知事会、全国市長会などは、国保の構造的問題として加入世帯の所得が低いのに他の医療保険より保険料が高く負担が限界に達していると指摘し、抜本的な財政基盤の強化が必要と主張しています。
 まず、本市の実態をお聞きいたします。
 皆さん、配布いたしました資料をごらんください。
 1点目に、加入世帯は年金生活者、非正規雇用が多くを占め、所得も低所得世帯が大半を占めています。本市の加入世帯の職業別構成割合、所得額別階層はどのような特徴があるのか。
 2点目、国保は、他の医療保険と比べ保険料が高く負担が著しく重いという実態があります。平均保険料を比較すると、中小業者の労働者が加入する協会けんぽの1.3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1.7倍という水準です。国保料の所得に対する負担率は、協会けんぽ、組合健保など他の保険者と比較してどういう状況か、伺います。
 3点目、本市の国保基金残高61億円は、政令市比較でどういう水準か、伺います。
 4点目に、平成29年度決算は23億6,000万円の黒字、そして基金が61億円、合わせて84億円になります。これまでの合計額の推移はどのような額だったのか。また80数億円という活用可能額をこれまで持ち続けてきた理由として、インフルエンザ流行など不測の医療費増額に備えるためと当局は説明してきましたが、今年度からは県が保険給付費を全額市町に支払うため、その必要はなくなりました。これまで、100億、98億、88億と高額な活用可能額を持ち続けてきたことが果たして適切だったのか、その必要があったのか、検証を伺います。
 次に、市民文化会館再整備についてです。
 当局は、これまで市民文化会館が担ってきた文化芸術機能に新たにスポーツという付加価値のあるアリーナ整備によって、スポーツ観戦、コンサート鑑賞で交流人口の創出、経済波及効果、まちなか活性化などの効果が期待できると説明しています。
 しかし、まちづくり検討委員会の議論を重ねるにしたがい、ホールとアリーナを併設することでさまざまな問題が浮かび上がっています。
 紹介しますと、限定されたスペースに必要な諸機能や諸室配置は可能か。来場者の安心・安全な動線確保、避難計画は厳しいのではないか。果たして選ばれる施設となり得るのか。中途半端な施設は避けるべきという意見まで出ています。
 質問の1点目に、検討委員会の議論は、まちなか活性化、選ばれる施設、交通アクセス、既存施設の機能維持などの論点から評価の議論を行っていますが、どのような議論が交わされているのか、それぞれの論点から評価内容を伺います。
 2点目に、アリーナの需要についてです。
 当局は、7,000席のアリーナで年間50万人来訪者が増加する、現在の約2倍、100万人が訪れると試算しています。5,000席、7,000席規模のアリーナ事業費は最大で174億円です。大変膨大な額です。当局は民間資金やノウハウを施設整備や管理運営に活用することで財政負担の軽減化、平準化を図ろうとしていますが、需要予測を慎重に冷静に捉える必要があります。
 全国のアリーナの今年度の開催数を御紹介しますと、例えば、神戸ワールド記念ホールは21回、広島グリーンアリーナは22回、朱鷺メッセは19回、サンドーム福井は7回、静岡エコパアリーナは19回と、おおむね月1.5回から1.8回といったところです。
 現実的な年間需要をどのように見込んでいるのか、また期待ばかりを先行させるのではなく需要予測を慎重かつ現実的に捉える必要があります。その見解を伺います。
 以上、1回目です。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険に関する4点の御質問にお答えします。
 まず、加入世帯の階層別の特徴についてですが、所得状況別では、年金所得世帯が最も多く、全世帯の約33%を占めており、次に、給与所得世帯が約23%、無所得世帯が約21%と続いております。所得額別では、世帯の合計所得が100万円未満の世帯が全体の約48%を占めており、300万円未満の世帯では約83%を占める状況となっております。
 次に、市町村国保の保険料負担率についてですが、保険料負担率は加入者1人当たりの平均保険料額を平均所得で割ったもので、所得に占める保険料の割合を示すものです。厚生労働省が公表している直近の資料によりますと、平成26年度の保険料負担率は、市町村国保が9.9%、協会けんぽは7.5%、組合健保は5.7%、共済組合は6.0%となっております。
 次に、基金残高の状況ですが、平成29年度決算で61億961万円余となっており、被保険者1人当たりの基金残高は3万7,613円、政令市における順位は1位です。
 基金について、従来は突発的な理由により保険給付費が不足した場合に備える目的で保有してまいりましたが、都道府県単位化に伴い保険給付費が不足した場合への対応は県が設置・運営する財政安定化基金へ移行しました。制度が大きく変わる中、安定的な制度運用を行うため、引き続き基金を活用していく必要があると考えております。
 最後に、累計収支と国保基金残高を合わせた活用可能額の推移と検証ですが、活用可能額は、平成26年度が101億3,500万円余、27年度が97億8,000万円余、28年度が88億8,500万円余、29年度が84億7,700万円余となっております。このような推移となった理由ですが、27年度及び28年度には国保料を引き下げ、29年度には据え置きとし、これによる単年度収支の赤字を活用可能額により補うこととしたため活用可能額の大幅な減少を見込んでおりました。
 しかしながら、国保料収納率がここ数年にわたり見込みを上回ったこと、ジェネリック医薬品の促進などにより保険給付費が抑制されたこと、国からの交付金が増額されたことに加え、一般会計からの保険料負担緩和のための法定外繰入を24年度から29年度までに77億円余繰り入れたことにより、結果的には活用可能額は大きくは減少せず、申し上げたような推移となっております。

◯公共資産統括監(川崎 豊君) 市民文化会館再整備に関する2点の質問にお答えします。
 まず、まちづくり検討委員会では、どのような議論がされているのかについてですが、本年度は、昨年度の検討により得られた意見をもとに、景観・ボリューム、稼げる施設・選ばれる施設など8つの論点に整理し、ホールとアリーナの複合化を含む4つの整備ケースごと評価を行い、議論を深めているところです。
 具体的な意見としましては、アリーナでは大規模なイベントを開催することにより市内外から人々が集まり、まちなかの交流人口の増加が見込めることから早期のアリーナ整備を期待する声をいただいております。
 一方、ホール機能に加えアリーナを整備することは、敷地の制約により必要なスペースや楽屋などの諸室の不足が懸念されるなど選ばれる施設とするには課題が多いとの意見も出されています。
 また、4年半程度の休館期間による文化活動の空白やアリーナ整備に伴う駐車場、送迎者による周辺交通への影響を危惧する意見もいただいております。
 次に、アリーナの年間需要の見込みと需要予測を慎重かつ現実的に捉える必要があるのではないかについてですが、年間需要の見込みについては、昨年度実施した調査業務において、静岡市のポテンシャル及び計画地の立地条件などを踏まえ、施設運営事業者やコンテンツ事業者からヒアリングを行い、コンサートなどの音楽興業利用の日数として40日を見込んでおります。その他、プロスポーツや市民利用などと合わせ、年間222日の利用を想定しています。
 今後、長期にわたり安定的に運営していくためにも、施設運営事業者及びコンテンツ事業者とのヒアリングを継続し、本市における興業事業を的確に把握しながら施設整備を検討してまいります。
  〔24番鈴木節子君登壇〕

◯24番(鈴木節子君) それでは、2回目の質問をいたします。
 国保ですが、自治体独自の国保料の減額、免除制度についてですけれども、例えば、他市では、事業の廃止に至らない休止、所得激減、高齢者世帯、障害者世帯、低所得世帯にも減免が適用されています。
 本市の場合は、公私の扶助を受けている場合、事業の廃止、災害による資産の損失など基本的最低限の基準に絞り、本来減免されるべき世帯が対象となっていないのが実態です。
 減免制度適用世帯は何世帯か、全世帯に占める割合はどうか、適用理由それぞれの内訳と、このように低い適用についてどのように分析をしているのか、伺います。
 次に、県に納める納付金についてです。
 今年度から、県が国保事業に必要な費用を市町に納付金として割り当てることになりました。市が住民にどれだけ国保料を課すかは、県からどれだけ納付金を割り当てられるかによって大きく左右されることになりました。
 納付金の算定方法と算定根拠となる係数は、国保運営方針で定められ、第1期は2018年度から2020年度の3年間です。この間は、納付金の算定の基礎となる係数は大幅な変動がないと思われます。納付金に変動がなければ国保料も大幅改定は必要ないと想定できます。
 納付金はどのように算定しているのか。また2020年度までに納付金の額に大きな変動はないと思われますが、どうか伺います。
 次に、市民文化会館の再整備についてです。
 ホール、アリーナ複合施設で想定される課題について伺います。
 1点目に、来訪者の安全対策について、来訪者の動線管理をどのように想定しているのかという問題です。ホール800席と2,000席、アリーナ7,000席、この方たちが、同時開催の場合、最大で1万人が収容されます。終演が重なった場合、一気に1万人が北街道や水落町方面、呉服町方面にあふれ出ることになります。来訪者を安全にトラブルなく帰途についていただくことも設置者の義務です。人の動線の安全確保、滞留空間の確保、災害時の安全な誘導策、避難計画は策定可能かなど、解決策、安全管理についてどのように考えているのか、伺います。
 2点目に、機能面、使いやすさについてです。
 この地域は、風致地区、建蔽率40%という厳しい条件のもと7,000席規模のアリーナを組み入れた方針で、検討されております。機能面で課題が多々出ております。アリーナは選手控室数が確保できるかとか、運営本部のスペースの十分な確保、そして、音楽イベントの際はトラックの駐車スペースが確保できるかという課題があります。そして、ホールは舞台の奥行や袖が狭くなる、舞台転換ができず演目が限られる、楽屋が少ないなど使い勝手が悪くなるなどの懸念があります。
 検討委員からは、施設のスペックを明確にしておかなければ議論の軸も明確にならないのではないか、中途半端な施設整備は避けるべき、3施設全てを計画地におさめることは難しいなどの意見が出されています。このような懸念も出されている、この課題の解決策を持った上での提案なのでしょうか、疑問です。
 こうした課題に解決策は、もう持っておられるのか、伺います。
 以上、2回目の質問といたします。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険に関する2点の御質問にお答えいたします。
 まず、申請減免適用世帯についてですが、平成29年度は国保加入全世帯10万511世帯のうち約0.5%の518世帯が国保料の減免を受けております。そのうち、貧困により公私の扶助を受けている世帯が497世帯で、減免世帯の約96%を占めております。残り21世帯は、災害、傷病、離職、倒産等の特別な理由のある世帯で、件数が少なくなっておりますが、これは勤め先の都合により離職した64歳以下の1,135世帯が別途国の制度で負担減額が図られ、申請減免対象外となったためと考えられます。
 次に、納付金の算出方法及び今後の納付金の見通しについてですが、市町ごとの納付金は県において、国が示す算定方法により県全体の保険給付費等から納付金の総額を計算し、各市町の医療費水準、所得水準を反映し算定されます。
 静岡県国民健康保険運営方針おいて示されている2018年度から2020年度の算定係数等基本的な算定方法は変わらない予定ですので、納付金の額に大きな変動は生じないものと考えております。

◯公共資産統括監(川崎 豊君) 市民文化会館再整備に関する2点の質問に一括してお答えします。
 終演時や災害時の避難計画の考え方と施設スペース不足などの解決策についてですが、検討委員会では、4つの整備ケースをより詳細に評価していく中で、大・中ホールにアリーナを加える計画案では限られた敷地の中で多くの観客を安全に移動させることの困難さや、機能として必要な広さの確保の難しさが見えてきたところです。
 現在、それらの課題に対し改善できる方法を検討しているところであり、引き続き検討委員会にて意見を伺いながら市民文化会館の再整備の方向性をまとめていきたいと考えております。
  〔24番鈴木節子君登壇〕

◯24番(鈴木節子君) それでは、3回目ですけれども、まず国保の問題です。
 今、局長がお答えになったように、かなり所得の低い方たちしか減免されていない。それは、実態なんですけれども、そもそも国保料の負担がなぜ重いのか、その原因として2つの矛盾が挙げられます。
 まず、減免制度です。
 災害や事業の廃止、所得激減など一時的、臨時的に免除する仕組みではありますけれども、もともと低い方たちへの常設の免除制度ではありません。ここはまだ不十分です。一時的に所得が減って困った人は助けるけれども、ずっと所得が低く困り続けている人は助けないという矛盾した制度です。ここに問題があります。
 そして、もう1つの矛盾は算定方式です。国保料には均等割、平等割があることです。世帯員の人数に応じてかかる均等割、世帯ごと定額でかかる平等割が合算して算定され、特に均等割は子供の人数が多いほど、世帯の人数が多いほど負担が重くなる制度です。ほかの医療保険は収入に保険料率を掛けて計算するだけで家族の人数が保険料に影響することはありません。国保だけが著しく重い負担となっているのは、この矛盾によるものです。
 我が党は、均等割、平等割を廃止し、国から1兆円規模の財政投入をすれば国保料を協会けんぽ並みに引き下げられる。こうした立場で国に提案をしております。
 全国の中では、自治体独自で負担軽減策を実施している市がございます。例えば、仙台市は低所得世帯計2万4,000世帯に2割軽減、軽減されている世帯にまたさらに軽減、5億円の軽減を実施しております。財源は、国から1,700億円、自治体への公費が拡充されており、それを使っております。
 恒常的低所得世帯に負担軽減策がないことは、結局は滞納による保険証取り上げ、財産の差し押さえ、預貯金を使い果たして極貧生活に至らしめるなど負の連鎖を繰り返すだけです。恒常的に所得の低い世帯に負担軽減制度を本市も拡充すべきと考えます。その財源は公費拡充分で生み出せますので、ぜひ実施すべきです。お考えを伺います。
 2点目に、保険料引き下げについてです。
 2020年度までは納付金の変更は見込まれず、84億円の財源があります。今、ここで保険料引き下げに生かすべきではないか。当局は、2020年度以降も納付金が増額することを想定し基金を財源に充てようとしていますが、84億は1世帯当たり8万円引き下げできる額です。本市が国保料引き下げを実施した平成27年度の前年度の活用可能額は101億円、次年度は97億円でした。現在ある84億円は同程度あります。政令市中極端に巨額な基金を一旦、国保料引き下げに活用すべきです。保険料率は国保運営協議会で決定しますが、当局が決意し運協に提案するという手順を踏めばいいのですから、その意思を伺います。
 次に、市民文化会館について伺います。
 ホールの諸機能についてです。ホールについては、整備という基本方針がありますが、アリーナとの複合施設となっても文化芸術活動にふさわしい舞台袖、舞台の奥行き、そして、楽屋数、搬入動線が確保されるのか、確認をさせていただきたいと思います。
 現在の市民文化会館は、全国のホールを知り尽くした劇団から、非常にすぐれて使いやすいと評判の高い施設です。これまで以上に高水準にすることを市民は期待しています。ホール機能が十分発揮できるためのスペースや諸室は確保できるのか、その方針を伺います。
 これから再整備される市民文化会館については多くの市民が今後数十年活用しシンボルとなる施設ですので、多くの市民の声、利用団体の声を聞くという手順は必要です。市民参加のもとで整備方針を策定すべきと提言し、質問を終わります。

◯保健福祉長寿局長(平松以津子君) 国民健康保険に関する2点の御質問にお答えします。
 まず、低所得世帯に対する軽減制度拡充についてですが、国民健康保険は全ての被保険者が等しく保険給付を受け、被保険者全体の相互扶助で支えるという理念のもと、応分の保険料を負担していただくことを基本としています。
 しかしながら、低所得者が多いという構造的課題を抱えており、今回の制度改革に伴う公費拡充により財政基盤の強化が図られているところです。
 本市におきましては、制度改革の趣旨を踏まえ、拡充された公費を活用しながら保険事業を強化し、保険料の伸びの抑制を図ることで被保険者全体の負担軽減につなげていきたいと考えております。
 次に、来年度国保料の引き下げについての考えですが、都道府県単位化により将来的に県内市町の保険料の統一が見込まれる中、現在、本市の国保料は活用可能額の活用により本来集めるべき国保料額より9,000円ほど低い水準となっております。
 一方、国からは、段階的に赤字補填のための一般会計からの法定外繰り入れを削減・解消する方針が示されているところです。
 こうした中、保険料については制度改革に伴う激変緩和措置を講ずる必要があり、また被保険者の健康増進を図り医療費適正化につなげるための保険事業を推進する必要があります。これら直面する課題に対応し、持続可能で安定した国保財政を維持するため、今後の活用可能額の活用方策も含め、適正な国保料水準について静岡市国民健康保険運営協議会で協議してまいります。

◯公共資産統括監(川崎 豊君) 市民文化会館再整備に関する質問にお答えします。
 ホールとしての機能の確保についてですが、現在ある市民文化会館のホールはステージの奥行きや袖の広さにゆとりがあり、また楽屋など必要な諸室も確保されており非常に使いやすい施設であることを多くの利用者の皆さんから伺っております。
 再整備におきましても、観客や出演者の皆さんが利用しやすい施設となるよう必要なスペースや諸室などに十分配慮しながら、施設整備を検討していきたいと考えております。