◯12番(寺尾 昭君) 私は、2つのテーマで質問をいたします。
まず上下水道事業経営戦略についてであります。
本市はこのほど、2019年度から2030年度までの12年間を見通した静岡市上下水道事業経営戦略を水道編と下水道編に分けて策定いたしました。高度経済成長期以降に整備された我が国の上下水道施設が、大量に更新時期を迎えつつある一方で、人口減少や節水型生活様式の定着などに伴う収入減が見込まれ、経営環境が厳しさを増しているとの現状認識のもと、将来にわたって住民サービスを安定的に継続することが可能となるように、10年以上を計画期間とする中長期的な経営戦略の策定により経営基盤を強化すべきとする国の要請に基づいて、今回この経営戦略が策定されたと、その趣旨で述べております。
経営戦略はアセットマネジメントを活用し、投資計画と財政計画を均衡させて策定することが求められているとしております。当局はこれまでの議会答弁でコンセッション方式は導入しない、いわゆる民営化はしないことを明言しております。その理由として、企業の経済性の発揮と本来の目的である公共の福祉を増進するように運営しなければならないとの地方公営企業法で規定している公営企業経営の基本原則を挙げております。また、あわせて、公共の福祉の増進が民間事業者の中でどの程度重視され、担保されるのか、現時点では市民の中で不安が払拭されていないということも、その理由としております。
また、上下水道職員の技術継承の継続性への懸念、巨大災害の被災時における行政機関や自治会組織等と連携した対応等の課題を挙げ、安心・安全な市民生活を第一優先に考え、今後も公営企業による直営方式を守っていく、コンセッション方式は導入しないということで答弁をしております。
ライフラインの最も基本をなすものが水だということを考えれば、今後とも直営方式を守ると言明したこと、そのために挙げた理由についても、私たちの考えとほぼ一致すると考えております。これは高く評価いたします。
上下水道事業経営戦略では、2020年度に15%程度の水道料金の値上げを見込み、積算しています。今後の取り組み、進捗管理として、その後毎年度達成状況の行政評価を行い、4年ごとに中期的な経営分析・検証を行い、対策の見直しを実施すると言っております。
まず、第1の質問は、今後の水道料金を検討するに当たって、人口減少などの問題を言っているわけですけれども、この人口減少が与える影響をどのように捉えているのか、まず質問いたします。
経営戦略の下水道編では、上水道と異なり計画期間である12年間は現行の使用料体系で、収益的収支の黒字を維持できる見込みだということで、使用料の値上げは必要ないと言っております。上水道料金は2020年度に値上げを見込んでいるのに、今後12年間の下水道料金は現行料金でいけるんだということであります。人口減少や節水傾向など客観的な条件において相違点はないのではないかと思うのですが、この両者の違いはどうしてできるのでしょうか。それでは上水道料金も値上げしないで済むのではないかという理屈が成り立つのではないかということであります。これが自然な考え方ではないかと思いますが、改めてお聞きします。下水道の使用料は現行の体系を継続して、単価等も維持していくことでよいかということであります。
2つ目のテーマでありますが、幼児教育・保育の無償化について質問いたします。
幼児教育・保育無償化については、少子高齢化対策と人口減少を克服する策として、子育て支援策を強力に進めていくことが求められております。その一環として、幼児教育・保育無償化が進められることになったと認識しておりますけれども、その対象としては、幼児に加え乳児、つまりゼロ歳から2歳を含めることが必要ではないかと、私は考えます。とりわけ、今言いましたように、3歳未満児を無償化から除外したことについては、保護者の方の理解を得られていないと思います。
子育てには大きな苦労が伴います。3歳児未満が、この苦労が大きいということは誰もが経験するところであります。この年代の子供たちにより手厚い支援をすることが必要ではないでしょうか。そういう意味で、国がこのゼロ歳から2歳児を対象から外した理由をどのように受けとめているのか、お伺いいたします。
保育所等への入所、待機児問題は依然として解決しておりません。静岡市は昨年4月、本年4月もそうだということですが、待機児ゼロで公表されておりますが、きのうも代表質問でありましたように、いわゆる瞬間値ということで、年度途中になりますと、だんだん待機児がふえていくという状況にあります。可能ならば入所したいという、いわゆる隠れ待機児とよく言われますけれども、少なくないわけです。利用料の負担が大きいため、入所をためらっていた方も多数いるということも、これも否定できません。
無償化により保育所等への入所希望者が増加することは容易に推測できます。待機児解消のためには、現状においても施設の不足が指摘されておりますが、入所希望者が急増した場合の対応に苦労することは、これは目に見えております。無償化により保育所等の利用申し込み数がふえると私は考えるわけですけれども、これにはどのように対応していこうとしているのか、お伺いいたします。
もう1つの課題は保育士等の確保策です。現状においても保育所は保育士等の確保に困難をきわめております。募集しても応募者が来ません。なかなか来ません。かといって子供の数に対する保育士等の配置基準が決まっておりますので、これを欠かすわけにはいかない。違反はできません。仮に施設が整備されても、保育士が確保できなければ入所希望に応じられないということになるわけです。保育士等の確保策をどう進めていくのか、大きな問題です。
保育士等の確保が困難になっている大きな原因の1つが処遇の問題です。これは何回か議論されてきたところであります。ここ数年、処遇改善が進んではきております。これは一定の評価をいたしますけれども、抜本的な改善にはまだほど遠いと言わざるを得ません。処遇改善の方法についても、いわゆる役付加算やキャリアの評価というような方法で、保育士全体を一律的に底上げするといいましょうか、改善するというような方法がとられておりません。それぞれの園で工夫しながら全体に及ぼす方法を苦労してとっているようでありますけれども、実際は今言ったような状況であります。
私立園における賃金の公私格差も、依然として埋まっておりません。このような課題があることを基本において、保育士等のこの処遇改善を進めていくことが必要だと私は考えるところであります。
特にことし10月からの幼児教育・保育の無償化で財源不足が生じることも心配されます。その影響が保育士等の処遇改善に及ばないか、心配の声も寄せられているわけです。国における保育士等の処遇改善はどうなるのか、お伺いいたします。
続いて、幼児教育・保育無償化については、一昨年の総選挙において、安倍内閣が選挙公約で国民に約束したわけです。しかし、これが消費税の10%増税とセットになっている、抱き合わせになっているところが、実は問題だと言わざるを得ません。多くの国民や地方自治体は、その費用は全額国が賄うこと、また、全ての乳幼児が対象になると思っておりました。しかし、ふたをあけてみると、結局国が50%、残り50%は都道府県と市町村が負担する割合になっております。
さらに、3歳児未満は先ほど言いましたように対象から除外されるいう問題も残されました。負担割合をめぐっては、地方六団体などとさまざまな議論があったわけですが、先ほど申しましたような負担割合にどのような経緯で決まったのか、改めてお伺いしておきます。
以上、1回目です。
73◯上下水道局長(森下 靖君) 上下水道料金について2点の質問にお答えいたします。
まず、人口減少が今後の水道料金に与える影響についてですが、水道料金収入の増減は人口の増減だけではなく、生活様式の変化や立地している企業の業種や数、さらには、気候などさまざまな要因によって左右されると考えております。本市ではそうした要因も参考にしますが、主にはこれまでの収益実績の傾向を読み、収支計画を立て、適正な料金のあり方を検討しております。
次に、下水道使用料の体系についてですが、現在の下水道使用料は、基本使用料と排水量に応じて掛かる従量使用料で構成されております。今年度策定する経営戦略の計画期間である平成31年度からの12年間においては、現行の使用料体系により、現在の単価を維持できる見込みですが、4年ごとの見直し検討につきましては、これまで同様に実施してまいります。
74◯子ども未来局長(石野弘康君) 幼児教育の無償化に関する4点の質問にお答えします。
まず、国がゼロ歳から2歳を対象外とした理由についてですが、幼児教育の無償化は、子育て世代の経済的負担を軽減し、少子化対策に資するものとして、本年10月から実施します。その対象は、幼稚園、保育所、こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子供及びゼロ歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供の利用料です。全てのゼロ歳から2歳が対象とならなかった理由は、待機児童の約9割をゼロ歳から2歳が占めており、その解消を最優先としたためでございます。
次に、無償化により保育所等の利用申し込みがふえると考えるが、どのように対応するのかについてです。現時点では無償化による保育所等の利用申し込みへの影響を正確に把握することは困難でございます。しかし、現在実施している、次期静岡市子ども・子育て支援プラン策定のためのニーズ調査では、無償化の影響をはかる項目を設けているため、今後、その結果を分析し、適切なニーズ量を見込んだ上で、必要な定員を確保していきたいと考えております。
次に、国における保育士等の処遇改善についてですが、国は、平成25年度から保育士等の処遇改善を継続的に実施しており、無償化の実施年度である平成31年度においても、今までの取り組みを継続して実施するとともに、新たに月額3,000円相当の処遇改善が実施される予定となっております。したがいまして、幼児教育の無償化による保育士等の処遇改善への影響はないものと考えております。
なお、本市におきましては、国の処遇改善の取り組みに加え、保育士等の給与改善を推進するため市独自の補助を行っており、平成31年度も引き続き実施し、保育士等の処遇改善に努めてまいります。
最後に、国との負担割合はどのような経緯で決まったのかについてですが、現在、私立保育所の運営費などの教育・保育に係る経費は、国が2分の1、県と市が4分の1などの割合で、国と地方で負担しております。当初、幼児教育の無償化に必要な財源の負担については、消費税率の引き上げに伴う地方の増収分があることから、国は、これまでと同様の国と地方の負担割合で行うことを示していました。また、あわせて、新たに公費負担が生じる認可外保育施設等については、国、県、市それぞれが3分の1を負担することが提示されました。
しかし、この負担割合では地方の財政負担が増大することから、全国市長会を含む地方六団体は、無償化に必要な経費は全額国が負担すべきと強く要望し、協議を続けてきました。その結果、新たに公費負担が生じる認可外保育施設等については、国の負担割合を2分の1に引き上げ、県と市の負担割合を4分の1に引き下げることで合意に至りました。
なお、平成31年度については、地方消費税の増収分がわずかなことから、無償化に必要な経費は全額国が負担することになりました。
〔12番寺尾 昭君登壇〕
75◯12番(寺尾 昭君) 2回目です。
まず、上下水道料金について伺います。
経営戦略では、2030年度の水道事業のあるべき姿を目標に、老朽化している水道管約200キロの更新、水道管の平均寿命を約83年間とし、水道管の総延長2,600キロメートルを83年で更新するために、毎年度、管路更新率を1.2%、31キロメートルとし、さらに重要な14施設の耐震化を優先的に進めていくと言っております。
これらの財源を確保するために、来年度15%程度の料金値上げを見込み、その後、2024年、2028年と4年ごとの見直しを進めるとしております。2020年度から15%ずつ3回の値上げを繰り返せば、その8年後には計算上現行料金の5割増し以上ということになります。不足する財源の一部は企業債で補填することになっていますが、結局借金ですから、その償還は利用者が負うことになるわけです。いずれにしても利用者にとっては限りない負担増につながっていくことが心配されます。
質問ですが、これらの更新費用は結局全て受益者負担ということになるのかどうか、改めて伺います。
次に、幼児教育・保育の無償化の点です。無償化にかかわり安倍政権は、子供たちの給食費を有料化すると言っております。給食費に係る厚生労働省の基準などでは、主食費が3,000円、副食費が4,500円、合計すると7,500円になります。これまでの給食費は利用料に含まれているという考え方であり、基本的には徴収していないわけです。せっかく無償化を進めるというのに、新たに負担を課すということでは、何のための無償化か、そういう批判の声が出るのも、これまた当然だということになるわけです。
全国で給食費の有料化はやめてほしいとの声が上がっております。とりわけ、低所得者においては有料化される給食費が無償化される利用料を上回るという現象が生まれます。例えば、静岡市の保育料を見てみますと、市民税所得割非課税世帯では、一番高い3号世帯で7,000円、市民税均等割非課税世帯では、3号世帯で2,000円と設定されております。
先ほど言いました7,500円、あるいは副食費だけでも、もし徴収されるということになりますと、無償化される金額よりも、新たに給食費のほうが高くなるという現象が生まれてきて、これまた何のための無償化か、本末転倒ではないかという声が出るのも当然だと言えます。無償化による給食費の取り扱いはどのように考えているのか、その点についてお伺いいたします。
また、もう1つ、給食費の取り扱いが変わることにより、保護者の負担増にならないのかどうか、これについても確認しておきたいと思います。
あとわずかになりましたので、意見・要望をあわせて申し上げます。
先ほど言いましたようにコンセッション方式は導入しないことをこの議会の中でも明言しておりますので、これは今後も引き続き確認していきたいと思っております。本市の方針を評価すると同時に、今後も公営企業による直営方式堅持を続けていくように、改めて要望したいと思います。
それから、経営戦略、水道編に掲載の財政シミュレーションでは、先ほど言いましたように2020年、2024年、2028年と3回にわたる料金値上げを示唆するかのような表現がされております。2020年の15%程度の値上げを3回にわたって行えば、先ほど言いましたように5割以上になります。これは、やはり慎重にやっていただきたいということと、あわせて当市財政計画についてやはりきちんと再検討する必要があるのではないかということを改めて申し上げます。
幼保無償化の財源については、これは先ほども説明がありましたけれども、今後、国が全額負担で行うべきだということも改めて申し上げたいと思います。
それから、大事なことはゼロ歳から2歳のところが無償化になっていないという問題です。無償化の対象が ゼロ歳から2歳を置き去りにしているということは、先ほど言いましたようにまだまだ到底理解されていないということです。ぜひ、このゼロ歳から2歳までの無償化も早急に進めていくべきであるということを改めて申し上げます。
保育所で働く保育士等の処遇改善について、来年度も行われることが先ほど答弁されましたけれども、引き続き、ぜひ進めていってほしいと思います。
最後に、歴史文化のまちづくりということで、ちょっとテーマが変わりますけれども、私、駿府城公園を散歩しておりましたら、まだトイレの多くが和式なんです。外国人もたくさん来ると思います。駿府城公園のトイレリフレッシュをあわせてこの場でお願いします。
79◯上下水道局長(森下 靖君) 施設の更新に係る経費負担についてですが、地方公営企業法では、施設更新費用など事業に要する経費については、国庫補助金などの特定財源を除き、原則として、その事業収入である水道料金、下水道使用料で賄うこととされております。ただし、法に定める例外が2点あります。
1つ目は、経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費。2つ目は、能率的な経営を行ってもなお、経営収入のみで賄うことは困難な経費です。これらの具体例としては、水道事業では公共消防に係る消火栓の設置及び維持管理経費、下水道事業では雨水処理経費や一部の汚水処理経費がこれに当たります。
以上のことから、これら例外とされる経費以外の経費については、水道、下水道ともに、受益者である皆様からいただく収入によって賄うこととなります。
80◯子ども未来局長(石野弘康君) 幼児教育の無償化に関する2点の質問にお答えします。
まず、無償化による給食費の取り扱いはどのように変わるのかについてですが、無償化に伴い保育所等の全ての施設において、3歳から5歳の給食費が全額実費負担になります。現在、3歳から5歳の給食費は、幼稚園やこども園で教育を受けている子供については、全額実費負担となっています。一方、保育所やこども園で保育を受けている子供たちについては、給食費のうち、御飯などの主食分が実費負担で、おかずなどの副食分は利用料に含まれております。このため、無償化以降はこども園や保育所で保育を受けている3歳から5歳の給食費のうち、副食分の取り扱いが、利用料から実費へと変更になります。
なお、ゼロ歳から2歳の給食費の取り扱いについては変更がございません。
次に、給食費の取り扱いが変わることにより、保護者の負担増となることはないのかについてですが、給食費が全額実費負担になることにより、生活保護世帯やひとり親世帯等の低所得者世帯については、これまでの保育所等の利用料より負担がふえてしまうため、国の制度により給食費の実費負担が免除されます。
また、本市が独自で行っている保育所等の利用料の減額により、給食費の負担額が従来の利用料を上回る世帯に対しましては、保護者の負担増とならないよう、市独自の補助で対応してまいります。したがいまして、給食費の取り扱いが変わることにより、保護者の負担がふえることはございません。今後も、保護者の負担軽減に引き続き取り組み、子育て世帯を支援してまいります。