◯24番(寺尾 昭君) 極めて短時間でありますれども、集中して質問いたします。
緊急事態宣言が解除され、社会経済活動が開始されております。やっとここまで来たかという思いと、これからが本当の感染対策になるという思いが交錯するわけです。これまで新型コロナ対策に取り組んでこられた関係者の方々へ、改めて敬意と感謝の意を表します。
県境を超えた人の往来が原則自由となり、感染者が多いと言われる首都圏からも、本市へ来られる方が増えることはこれから避けられない。感染抑止と経済・社会活動の活性化を一体にどのように進めるか、難しいかじ取りが迫られております。
一方、6月28日、世界では感染者が1,000万人を超え、死者も50万人、今日のニュースでは超えたと報道されております。感染の速度が加速している。我が国においても、ここ数日間の東京などの感染状況を見ると、決して楽観はできない状況であります。
現状、ワクチンや特効薬というものは、まだ開発されていない。市民は不安を抱えながらの日常生活を送ることになります。今、必要なことは、感染拡大を抑止するための検査と医療の体制を抜本的に強化して、市民が安心して経済・社会活動の再開に取り組めるようにすることです。同時に、休業、自粛と一体の補償をする立場で、大打撃を受けております暮らしと営業を支えることが必要だということではないでしょうか。
今回は、検査と医療の面から、市としてこれまでの新型コロナ対策としての取組について確認して、今後の抜本的強化を図る立場から質問いたします。
新型コロナウイルス感染予防とPCR検査体制について伺います。
帰国者・接触者相談センターでの相談件数をお聞きしましたところ、6月25日現在9,654件、一般回線の1,451件を加えると1万1,105件という状況になっております。最近になり落ち着いてきた状況もあるようですが、特に開設当初においては、市民からの問合せに忙殺され、他の部署からの職員も動員して対応したと聞いております。
そこで質問でありますが、帰国者・接触者相談センター開設当初の電話相談業務において、どのような問題点があったのか、まずお聞きしたいと思います。
発熱37.5度が4日以上続いた場合でなければPCR検査は受けられないと言われ、重症化するケースが後を絶たないということも報道されております。検査体制の不十分さがその根底にあったということではないでしょうか。本市の場合はどうだったのか、質問いたしますが、PCR検査を受けられる方は、これまでのPCR検査体制は感染の実態に即応するものになっていたか、伺っておきます。
静岡市では、検体採取を行うためのPCRセンターが区ごとに設置されたということであります。その場所については明らかにされていないわけですが、現状、検体採取数も急増しているとは言えないようであります。
質問ですが、検体採取のためのPCRセンターが区ごとに設置されたんですが、その目的は何だったのか、いま一度お聞きしておきます。
いよいよ猛暑の季節を迎え、熱中症対策が重要になってきております。マスクの着用を必要とするコロナ対策と相反する対応を取らなくてはなりません。
そこで質問です。
夏場に向けた感染予防対策のポイントは何なのか。また、市民への呼びかけをどのように行っていくのか、伺っておきます。
本市におけるPCR検査の件数は、これも6月25日現在でありますが1,766人、そのうちの約3分の2、1,145人を環境保健研究所で行っております。大変重要な役割を担っており、それだけに市民の期待は大きなものがあると言えます。
そこで、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、環境保健研究所では、これまでどのような検査体制の強化を図ってきたのか、伺います。
1回目であります。
◯保健衛生医療統括監(杉山友章君) 予防と検査体制についての4点の御質問にお答えします。
まず、帰国者・接触者相談センター開設当初の問題点についてですが、本市では本年2月10日に新型コロナウイルス感染症が疑われる方を専門の医療機関である帰国者・接触者外来に速やかにつなげるため、保健所内に帰国者・接触者相談センターを設置しました。開設当初は発熱やせきなどの症状に対する受診の相談だけではなく、マスクの不足や入手方法、登校・登園の可否、イベントの開催の可否など、様々な相談が多く寄せられました。
その後、3月下旬から全国的な患者増加とともに相談件数がさらに増加したため、電話がつながりにくくなったこと、相談内容も医療機関対応や市民の不安の受け止めなど複雑化したため、相談体制の充実や職員の健康維持が課題となっておりました。
そこで、本年4月以降、電話回線の増設、他の部局からの職員応援による増員、看護師の配置による電話相談の一部委託化、一次相談窓口である新型コロナ何でも相談ダイヤルの開設などにより、職員の業務負担を軽減するとともに、市民の皆さんからの様々な相談に対応することができるようにいたしました。
次に、PCR検査体制が感染の実態に即応していたのかについてですが、当初は新型コロナウイルス感染症が疑われる方に対するPCR検査については、帰国者・接触者相談センターにて肺炎などの症状や流行地域への行動歴、感染者との接触歴などを確認し、専門外来である帰国者・接触者外来を紹介し、対応してまいりました。しかしながら、この外来は疑いが強い患者を対象とするため、かかりつけ医などが検査が必要と判断されても、疑いの低い場合は受診につながらないこともあります。
また、検査の実施件数にも限りがあることから、今後の感染拡大に備えて十分な検査体制を確保することが課題でありました。
そこで、本市では本年4月から市内の8病院と委託契約を締結し、PCR検査が実施できる体制を整備しました。5月からはドライブスルー方式のPCRセンターを各区1か所、計3か所設置し、かかりつけ医などの紹介による検査についても迅速に検査ができる体制を構築するなど、今後の感染拡大に備えたPCR検査体制を確保しております。
次に、PCRセンターの設置の目的についてですが、主に次の3点であります。
1つ目は、今後の感染拡大に備えて、1日当たりの検査可能件数を増やすこと。
2つ目は、かかりつけ医などが検査を必要と判断した場合に、身近な場所で速やかに検査を受ける体制を整えること。
3つ目は、症状などにより帰国者・接触者外来とのすみ分けをし、帰国者・接触者外来の負担を軽減することであります。
最後に、夏場に向けた感染予防対策についてですが、気温や湿度が高くなる時期を迎えていることから、新型コロナウイルス感染症に対する予防を行いながら、同時に熱中症予防にも心がける必要があり、国からも熱中症予防行動のポイントが示されました。その中では、特に周囲の人との距離を十分取れる場所では、適宜マスクを外すこと、暑さを避け、こまめに水分補給することなどが求められております。
本市としましては、高齢者や障害者の施設、小中学校やこども園などに対して、所管局を通じて周知を行うとともに、市ホームページなどを通じ、市民の皆さんに呼びかけてまいります。
◯環境局長(殿岡 智君) 環境保健研究所における検査体制の強化についてですが、新たな感染症の発生を受け、検査要請の増加に対応できるよう、検査員と検査機器の2つの側面から体制強化を進めてまいりました。
まず、検査員について、環境保健研究所内でOJT研修を実施し、検査に従事できる職員を2名から5名に強化するとともに、検査員を2班体制とし、執務室を分け、感染対策を講じてまいりました。さらに、検査機器についても検査の効率化を図るため、リアルタイムPCR装置とその前処理に必要な自動核酸抽出装置をそれぞれ1台ずつ増設いたしました。
これら2つの体制強化を図ることで、1日に検査できる検体数は、本年1月末の最大24検体から現在60検体まで拡大しております。併せて、万一、研究所内で感染者が発生してしまった場合でも、検査機能が停滞しない体制も整えてまいりました。
〔24番寺尾 昭君登壇〕
◯24番(寺尾 昭君) 2回目は、医療体制についてお伺いします。
医療崩壊ぎりぎりという訴えが医療現場や政府の専門家会議から相次いでおります。第2波と言われる感染に備える医療体制の確立が急務となっております。日本病院協会などの調査によれば、コロナ患者を受け入れた病院では、4月は平均1億円の赤字。直接コロナ患者を受け入れない病院や診療所でも、受診抑制により経営危機が進行しております。
市立静岡病院も決して例外ではないと思います。まだ具体的な数値が出ていないということですので、今回はお聞きしませんが、ぜひこれも明らかにしてほしいと思っております。
市内の病院における新型コロナ患者の受入れ可能病床数は、感染症病棟と一般病棟を合わせ、20床程度で対応することになっているようであります。市立静岡病院が感染者の対応病院として大きな役割を担っているのは間違いないと言えると思います。
そこで質問ですが、市立静岡病院では新型コロナウイルス感染症対応に伴い、具体的にどのような機器等を導入し、また、どのような補助金を活用して、これに対応しているのか、お伺いいたします。
感染拡大を抑止しながら経済・社会活動の再開に取り組めるようにするためには、検査と医療の体制を抜本的に強化することが必要であることは言うまでもありません。
そこで、質問であります。
感染拡大の次なる波を想定して、どのように医療体制を確保しているのか、この点をお聞きして2回目とします。
◯保健衛生医療統括監(杉山友章君) 医療体制についての2点の御質問にお答えします。
まず、市立静岡病院の新型コロナウイルス感染症対応に伴う機器等の購入状況についてですが、静岡病院では新型コロナウイルス感染症患者の受入れ態勢を強化するため、次の各種機器等の購入を行っております。
重症患者等の治療に用いる体外式膜型人工肺、いわゆるエクモや人工呼吸器、患者の容態を集中管理するためのセントラルモニターやベッドサイドモニター、またPCR検査機器のほか、感染防止のための陰圧装置や防護服等の購入を行っております。これらの機器等の購入に当たっては、静岡病院では本市の新型コロナウイルス感染症対策環境整備補助金のほか、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用してまいります。
次に、感染拡大を想定した医療体制の確保についてですが、感染拡大により新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合、重症患者の治療のための病床の確保だけではなく、軽症者等のための宿泊療養施設の確保も必要となってきます。医療機関の確保については、感染症指定医療機関である市立静岡病院をはじめ、市内の総合病院に対して、今後の感染拡大に備えて患者の受入れのための病床確保をお願いしております。
また、軽症者等のための宿泊療養施設については、県と連携して体制整備に取り組んでおり、患者発生時に円滑に受け入れる態勢を確保しております。
これらの取組により、感染拡大の次なる波に備えていきたいと考えております。
〔24番寺尾 昭君登壇〕
◯24番(寺尾 昭君) 3回目でありますが、意見・要望を申し上げます。
5月11日ということでちょっと前になりますけれども、北海道、岩手、宮城、茨城など、18の道県知事が感染拡大を防止しながら一日も早く経済・社会活動を正常化し、日常を取り戻すための緊急提言というものを行っております。大規模な感染者の早期発見・調査・入院等による積極的感染拡大防止戦略、PCR検査体制の早急な整備、治療・医療のための施設確保など、5項目にわたっているわけでありますけれども、私たち議員団もこの提言には積極的に賛同、支持をして、国、県、市がこれに沿った対応を進める、ぜひ対応を強めることも要望していきたいと思います。
2番目は、新型コロナウイルス対策をはじめ、様々な感染症対策を強化するために、保健所体制を強化するということを要望したいと思います。保健所が1990年代以降、全国的にその数が半分に減らされると、保健所体制が非常に弱体化するという状況があったわけです。今回のコロナの中で改めてこれは見直していかなくてはならないと考えます。
3つ目は、本市の環境保健研究所の移転を含む施設整備を急いでほしいということであります。聞くところによりますと、移転先も何か少しずつ内定しつつあるというようなことも聞いておりますけれども、この環境保健研究所の移転あるいは強化という点については、これまで例えば5大構想の中などでも触れられておりません。ぜひこれも含めていただくということで、早急に整備を進めていただきたいということを申し上げます。
そして、最後に危機に対応できる職員体制の確立、これが必要だということであります。また、頑張っている職員に対して、それにふさわしい処遇改善を進めていただくことを要望して終わります。