三事業を一時凍結
田辺信宏静岡市長は市政を推進する柱として5大構想を掲げています。3期目
を迎え、これまで抑制してきた大型建設事業を積極的に取り入れ、「世界に輝
く静岡」を目指そうというものです。市民文化会館、歴史博物館、水族館中心
の海洋文化施設、清水庁舎の移転新築はすでに計画推進中であり、サッカースタ
ジアム、駿府城天守閣も視野に入ってきています。
市長は5月末、市の保有する財政調整基金が底をついたことを契機に、今後
コロナ対策を優先すること等を理由に、歴史博物館、海洋文化施設、清水庁舎の
移転を一時凍結することを発表しました。付随してこれは一時的なものであり
、しかるべき時に「リスタート」、つまり事業再開することを強調しました。
(市議会では9月議会で方向性を示すと答弁)
市財政は火の車状態
市は今年2月議会で、財政中期見通しとして1.5%の経済成長があることを前
提としつつも、毎年70億円前後の財源不足が生じることを示していました。私
たち議員団は、昨年10月の消費税10%増税以後、経済成長がマイナスに転じ、こ
の時点で市の財政見通しは極めて甘いものであることを指摘しました。
一時凍結をした3事業費の総額は約400億円、そのうち庁舎移転については94
億円となっていますが、現庁舎撤去費用に基礎杭撤去費が除外されていたことなど
から、これを上回る費用は覚悟しなければなりません。厳しさを増す財政状況と
今後の長期にわたるコロナ対策にかかる費用を考えれば、安易なリスタートは財政
危機を一層強めることにしかなりません。
地域循環型経済を本格軌道に
大型ハコモノ事業で市民生活を豊かにできるという発想はすでに破綻してい
ます。地域循環型経済をいかにして発展させるか、昨年成立させた中小企業小
規模事業振興条例を実行し、地域経済を活性化させることがカギです。コロナ
対策費用捻出のために聖域を設けず事業見直しを指示しましたが、市民生活や
中小業者の生業に影響させることは本末転倒です。大型建設事業にメスを入れ
ることこそが市民の願いです。