8月臨時会(8月3日~ 7日)では、市民の直 接請求に基づき清水庁舎移転計画に関する住民投票の条例制定が議案となりました。
田辺市長は、52,300筆の署名に託された市民の声に応えることなく「反対」の意見を付して議会に提案しました。
最終的に議案は、自民・公明・志政会の反対で否決され、住民投票条例は成立しませんでした。
そこで、この間、一貫して市長の強引な姿勢 を批判してきた日本共産党市議団の内田隆典団長に、臨時議会の状況をお聞きしました。
質問: 市長は、住民投票条例案になぜ「反対」の 意見を表明したのですか?
内田:市長は、「反対」意見の理由として、
①庁舎移転計画については基本的な意思決定の段 階から広く市民の意見を反映し市民の意見の集約が
十分に図られ、その意見の集約を踏まえ市議会において意思決定がされている
②条例案には投票率や得票率の成立要件が定められていない
の2点をあげました。
質問:本当に市長が言うように、市民の意見が十分集約されてきたのですか?
内田:これについては、この間の経緯から問題点は明らかです。
確かに建設検討委員会は2年間にわたり11回、清水まちなかタウンミーティングは8回、
2,000人の市民アンケート等は行われました。
しかし、建設検討委員会では、「もっと地震問題等を議論したかった」という意見がでるなど
津波浸水想定区域への庁舎移転についての検討は不十分でした。また、新清水庁舎建設基本計画(案)
に対するパブリックコメントでは828件の意見が出され、その中で一番多かったのは津波浸水想定
区域への庁舎移転を疑問視するもので134件にも上りました。
質問:ところで、市は庁舎の移転については、市民の賛否をとったことがあるのですか?
内田:そこが一番の問題です。
市長は、いろんな場面で市民の意向は集約してきたと言ってきました。ところが、8月4日の総務委員会での
委員(議員)の質問に対し、市当局は、庁舎移転についての市民賛否は一度も確認していないと明言しました。
一方、昨年3月行われた市長選挙では田辺市長の得票より、庁舎移転計画に反対した候補(2人)の得票が
上回りました。さらに、市長選後に、静岡朝日テレビが行った「庁舎移転についての賛否調査」では、
賛成22.7%、反対56.5%でした。
加えて住民投票については、実施すべき63.5%、しなくてもいい21.1%との結果が出ています。
質問:市長の説明や市議会の決定は、市民世論と逆行しているように見えますね?
内田:市民の声を聞かずに市長が強引に移転計画を進めてきたことから、今回、直接請求による住民投票条例案の提出になりました。コロナ禍で様々な制約があるなか、短期間で52,300筆の署名が集まりました。このことから、マスコミはじめ各方面から大変注目された臨時議会になりました。
質問:住民投票条例案は否決と残念な結果に終わりましたが、臨時議会へは日本共産党静岡し議団として
どう臨みましたか?また、今後の決意をお聞かせください。
内田:条例案に対して田辺市長が「反対」意見を付議したことから、3日の本会議では杉本議員が質疑を行い、
付託された総務委員会では私が賛成の立場から質疑と討論を行いました。7日の本会議の議案表決前の討論でも、
私が賛成討論を行い、議員の賛同を求めました。
また、創生静岡、緑の党も私たち議員団とともに賛成の立場で臨みました。これに対し、庁舎移転に賛成する
議員は、住民投票条例案への反対理由を本会議で誰一人討論することなく議案に反対しました。議会の自殺行為
であり、大変残念です。
日本共産党市議団は、今後も市民の意向を受け止め、市民運動と連携して議会内外で活動を展開していく決意
です。