(寺尾 昭) 私は、新型コロナウイルス感染拡大による学校と家庭への影響、その対応状況等について、今日は質問いたします。
学校、介護施設、保育所、幼稚園、病院など集団生活を常としている場所におけるクラスターの発生防止については、その関係者が最も気を使っているところであります。最近になって市内の総合病院でクラスターが発生したということで、大きなニュースになっております。
これまで、本市の小中学校におけるクラスターと言われる状況は、幸いにも起こっておりません。各関係者の御努力によるところが大きいと言えると思います。とりわけ、学校現場における先生方の並々ならぬ御努力、改めて感謝を申し上げる次第であります。
最近になり全国的にも、また県内においても、本市においても急速に感染が拡大しておりまして、いつどこで何が起こるか今は予測がつかない状況にあると言えると思います。
学校における感染防止対策をどのように進めてきたか、この点について伺うわけでありますが、静岡市型35人学級が定着したとはいうものの、教室の面積が限られており、子供たち同士の密着は避けられない状況にあります。できるだけ2メートルのソーシャルディスタンスをとるよう言われておりますけれども、教室の中でこの距離を取っていくということは、今の教室のキャパを考えてみますと、難しいと言わざるを得ません。子供たちは同じ場所でじっとしているという状況ではありませんから、多くの場面で、3密を避けるのは難しいという状況かと思います。
そこで質問ですけれども、学校では3密対策としてどのような感染防止対策を講じてきたのか、まずお伺いいたします。
次に、学校における感染防止のためには教職員自身の健康管理が重要であることは、当然であります。教職員も家庭や地域に帰ればその一員であり、社会生活を営んでいるわけですから、多くの人と接触することは避けられません。集団生活が避けがたい多くの施設と同様、ウイルスを学校に持ち込むことがあってはならないわけでありますし、またこれが心配されるわけです。
そこで伺いますけれども、教職員自身の健康管理についてはどのような指導が行われてきたのか、お伺いをいたします。
次に、今回のこういう事態は、子供たちに様々なストレスを与えていることが明らかになっております。感染の情報に過敏に対応する子供たちもいるわけであります。
そこで、感染拡大による小中学校の子供たちへの心理的影響が心配されます。今後、子供たちの状況について、どのように把握していくのか、お伺いいたします。
次に、学校と家庭における学習指導について伺います。
昨年度から今年度に入って今日まで、コロナの下での学校と家庭生活が続いているわけです。授業の遅れ、諸行事の中止、部活への支障など、学校生活はもとより、日常生活そのものへの多大な影響は計り知れないと言えるわけであります。困難な状況を乗り越えるべく努力されてきました関係者に改めて敬意と感謝の意を表します。
しかし、いまだコロナ終息の兆しが見えない中で、私たちはこれからも一層の努力を続けていかざるを得ない、これが共通認識だと思います。
今後の教訓としていくためにも、これまでの取組を振り返り、検証していく必要があります。緊急事態宣言の下、首相の一声で指示された全国一斉の臨時休業措置、学校現場の実態を無視したこととも相まって、地方自治体や学校現場に混乱をもたらしました。
そのための影響は多方面に広がりました。授業の遅れ、夏休みの短縮、運動会や修学旅行を初め多くの学校行事の中止、部活動の自粛など、学校生活への影響は非常に大きかったと言えるかと思います。
3点質問いたします。
第1点は、授業日数や学校行事、部活動にこれらのことがどのような影響があったのか。
第2点は、臨時休業による授業の遅れを、今日までの段階でどのように取り戻してきたのか。
第3点は、臨時休業中やその後の学習指導をどのように行ってきたのか、伺います。
教員の配置が十分と言えない特別支援学級についてでありますが、指導上の困難さがより大きかったと言えるかと思います。子供への接触時間が減少したために一人一人の子供への指導が行き渡らないとか、不登校の子供が増えたという例も聞いております。
そこで質問ですけれども、臨時休業中や学校再開後の特別支援学級の子供たちへはどのような指導上の配慮が必要だったのか、この点を伺って、1回目といたします。
◯教育局長(仁藤 治君) 新型コロナウイルス感染症拡大による学校と家庭への影響とその対策について、7点の御質問にお答えいたします。
まず、学校での感染防止対策についてですが、教育委員会が作成した学校における新しい生活様式の標準マニュアルを踏まえ、毎朝子供の体温や健康状態を把握することとしており、発熱等の風邪の症状がある場合には登校を控えるなど、各学校は校内にウイルスを持ち込まない対策を行っています。
その上で、子供同士の適切な距離の確保や教室の換気などにより3密を回避するとともに、マスクの着用を徹底しております。また、給食時には子供全員が机を前向きにし、会話を控えるようにするなど、学校生活での感染防止対策を実施しています。
次に、教職員の健康管理に関する指導ですが、教職員の健康管理が学校の安定した教育活動の継続につながることから、教育委員会として学校内外を通じてマスク着用や手指消毒の徹底とともに、ソーシャルディスタンスを確保して生活するよう教職員に指導してまいりました。その結果、現時点では、どの学校においても授業や学校行事を計画的に実施することができており、今後も引き続き教職員の健康管理及び危機管理意識を高めていくよう努めてまいります。
3点目でございます。
子供たちの状況把握についてですが、心理的ストレスを把握するため、本年7月に全小中学校を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、感染や差別への不安や学習の遅れに対する悩みなどを訴える一定数の子供がいたことから、ストレスへの対処法を示しながら心のケアに当たりました。
また、継続的に子供のストレスの状況を把握する必要があると判断し、現在、2回目のアンケート調査を実施しております。今後はその調査結果に基づいて、教職員による見届けや声かけを行うとともに、心理的、または福祉的な支援が必要な子供や保護者については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが相談に乗り、不安や悩みの軽減に努めてまいります。
次に、学校の授業日数や行事、部活動にどのような影響があったかについてですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、本年度は授業日26日間の休業措置を取りました。このような状況の中でも教育が途切れることなく進められるよう、各学校では安全・安心を確保しつつ、子供の学びを保障するという考えの下、教育活動を進めてまいりました。
授業日数については、1日の時数を5時間から6時間に変更したり、夏休みを10日程度短縮したりして、確保に努めてまいりました。冬休みについては、おおむね例年どおりとなる見通しでおります。
子供たちにとって貴重な体験活動となる修学旅行や運動会などの学校行事については、各学校の実情に合わせ、延期や代替、内容の削減など柔軟に形を変えながら、できる限り実施できるよう努めております。
中学校の部活動については、部活動ごとに感染対策プランを作成し、保護者の理解を得た上で、できることから段階的に活動を再開いたしました。中体連大会については静岡市独自の形で実施することができ、3年生の生徒からは、最後の大会に参加できて本当によかった、よい締めくくりになったなど喜ぶ声を聞いております。
5点目でございます。
臨時休業による授業の遅れをどのように取り戻したかについてですが、学校では授業再開に当たり、本年度のうちに学習すべき内容はその学年のうちに漏れなく指導する考えの下、時数をできるだけ確保した上で、一部の授業のやり方を見直しました。
具体的には、小学校3年生の地域を知る社会科の学習と地域のすばらしさを発見する総合的な学習の時間の一部を合わせて学習するなどの工夫をし、授業時数が減っても全ての内容を履修できるよう取り組んでおります。
また、学習の定着に不安を感じている子供へのフォローとして、民間事業者の手をかりながら、希望に応じて休業期間中の学習内容を中心に補充学習を行う授業を実施しております。ここでは、小学5、6年生に算数を、中学生全学年に数学と英語を、授業時間以外に学習する機会を設けてサポートしております。各会場では、参加している子供たちの意欲的に学習に取り組む様子、姿がうかがえます。
次に、臨時休業中やその後の家庭学習の指導についてですが、令和2年度は授業ができない期間が長かったことから、学校の授業と家庭学習を連続的なものとして捉え、それぞれの学年で学ぶべき学習内容を本年度中に終えるため、家庭でも取り組むことができる課題の出し方を工夫いたしました。
このため教育委員会では、臨時休業中にそれぞれの学校で作成した家庭学習のプリントなどをパソコンで共有できるようにしたり、指導主事が授業動画を作成したりして、学校がよりよい家庭学習を用意することができるための環境をつくってきました。これらを活用しつつ、各学校においては、休業期間中に身につけておくべき単元を意識した家庭学習を保護者の協力の下で進められるよう努めてまいりました。
学校再開後においても、少ない授業時数で本年度中に学ぶべきことを指導できるように、時間がかかりやすい社会科の調べ学習を家庭学習の課題として出すなど、それぞれの学年において身につけるべき学習内容を教えられるように努めております。
最後に、特別支援学級の子供たちへの指導上の配慮についてですが、日頃から支援を必要としている子供たちには、生活のリズムが変更されることを苦手としていることを踏まえたより丁寧な対応が求められております。学校再開後の体と心のアンケートでも、特別支援学級の子供は他の子供たちよりも強い不安を感じる傾向があることが確認されました。
臨時休業中については、家庭での子供のスケジュールを細かく示すことが大切であることを紹介するなど、生活のリズムを維持できるよう支援を行ってまいりました。学校再開後にも、絵や図も活用しながら手洗いなどの感染予防策を身につけるための指導を繰り返し行うなど工夫をしております。
また、マスクの着用が苦手な子供がいる学級では、机同士の距離を十分に離すなど、その子の障害に配慮しながら新しい生活様式に取り組む工夫もしております。
今後も、それぞれの子供の特性を踏まえた学習指導を継続する努力をしてまいります。
〔寺尾 昭登壇〕
(寺尾 昭) このコロナの下で様々な苦労があったということが、答弁の中でもうかがわれました。もちろん教育委員会もそうでしょうけれども、現場での様々な工夫や努力がやっぱりここまで取り戻してきたということを理解したわけですけれども、しかし、まだコロナは続いている状況でありますから、これからのまた対応も重要になってくると思います。
冬休みも何とか通常どおり取れるということですから、子供たちも一安心ということじゃないかと思います。
第3の波とも言われる感染拡大の状況が毎日伝わってきております。社会経済活動と感染防止という二律背反とも言える施策をどう進めていくのか、国や自治体の政策力、指導力が問われるということであります。
若干角度が変わりますが、クラスター発生のいわゆる店名公表という問題も出ているわけです。先日の市長定例記者会見で、公表の問題については一定の方向を出すということでありますけれども、明確な方向性をぜひ早く出していただくということが必要だと思います。
総合病院での大量感染という事態になっていることも教訓に、集団生活を営んでいる施設での定期的または任意のPCR検査、抗原検査も──昨日の話ではこれは行わないという答弁があったわけですけれども、これも全額公費で行うということをぜひ進めていただきたいと思います。
学校もそういう対象に当然なると思うわけであります。学校現場では難しい対応を迫られる中、さらなる長時間の労働強化も心配されるわけであります。コロナの下で現場での仕事は、当然、いろいろな面で増えているという状況にあるわけでありますから、臨時的にでも教員の増員やサポート体制などの特別の体制を取っていくことも検討していく必要があり、改めて検討をお願いしたいと思います。
そこで最後の質問ですけれども、新型コロナウイルスの感染防止と学校と家庭における今後の対応は、様々な対応が必要になってくると思うわけでありますけれども、その辺をどのように考えているのか、この質問をして、私の質問といたします。
◯教育局長(仁藤 治君) 新型コロナウイルス感染防止と学校と家庭における今後の対応についてですが、これまでと同様、換気や手洗い、消毒など新しい生活様式の指導を徹底し、安全確保を図りつつ授業を継続していくことが重要だと考えております。
その上で、子供たちが身につけるべき力をしっかりとつけられるよう、家庭での調べ学習を学校の授業で生かしたり、学校の授業で学んだことを家庭学習でさらに深めたりするなど、これまで以上に家庭と連携しながら学習指導を進めてまいりたいと思います。