◯(寺尾 昭) おはようございます。
代表質問のつもりで今日は質問いたします。
まず、5大構想について、市長の政治姿勢という立場からお聞きいたします。
5大構想では、歴史文化や海洋文化の拠点づくりとして歴史文化博物館、清水新庁舎、水族館を含む海洋文化施設など、いわゆる箱物建設を企図しております。いずれも数十億円、場合によっては数百億円と、大規模なプロジェクトです。現状予算は、このうち2つについては白紙となっておりますけれども、この議会には新たにまた、調査費などが計上されております。加えて、提案されている予算にはアリーナ建設、サッカースタジアム建設というような調査費も計上されているわけであります。
アセットマネジメント計画では、今後、公共施設の総延べ床面積20%削減がうたわれており、既に市営住宅、こども園や障害福祉施設の統廃合、民営化などが進んでおります。静岡市の財政状況は、義務的経費の増大に見られるように、逼迫度が増しており、来年度予算における財政中期見通しでは今後毎年80億円前後の財源不足が生じるとしております。
昨年来、市独自に行ったコロナ対策により財政調整基金がたちまち枯渇してしまうというようなこともあり、その脆弱性が改めて浮き彫りになったと言えます。先日、この場で副市長が、今後の予算執行では一層の選択と集中が求められると答弁されておりました。問題は何を選択し、何に集中するかということであります。コロナ禍の下、市民の命と暮らし、中小商工業者のなりわいを支えることこそが選択と集中の焦点でなくてはならないと私は考えます。
そこで質問ですが、5大構想における大規模事業は、アセットマネジメントの考え方や財源との整合は図られているのか、伺います。
大規模事業でにぎわい創出とうたっておりますけれども、全国ではこういうことによって財政難に陥った例は珍しくありません。一方で、内発型、地域循環型、地産地消型が地域経済を発展させ、にぎわいを創出したという例を私たちは数多く見ているわけであります。
そこで質問ですが、大規模事業でにぎわいを創出できるという考え方について伺います。
次に、平和行政について伺います。
核兵器禁止条約は2017年7月、国連において採択されたわけですが、50か国の批准により1月22日発効いたしました。広島、長崎など日本の被爆者の悲願ともいうべきものです。核兵器の開発、実験、製造、専有、貯蔵、使用はもとより、それを用いて威嚇することも禁止されており、その内容は画期的です。国際条約ですから、今回条約に参加していないアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国など核保有国をも当然、拘束するわけです。これら核保有国は、これからは常に条約違反というような立場にさらされることになったわけであります。
残念なことは、唯一の戦争被爆国である日本が参加をしていないということです。広島市長、長崎市長をはじめ多くの市長が参加を要請しております。自治体議会からの意見書も数多く上がっております。本市は平和都市宣言を行っており、その中で核兵器の廃絶に貢献するとうたっております。田辺市長も所属しております平和首長会は、この条約に日本が参加してほしいということを表明しております。
そこでお聞きしますが、核兵器禁止条約の発効を受け、今後どのように平和行政に取り組んでいくのか、伺います。
次に、来年度の国保料金の問題です。
今年1月14日に開かれた国保運営協議会において田辺市長は、昨年来予定していた国保料値上げの考え方を事実上取り下げ、据え置きとする諮問案を示しました。昨年11月、市議会には引下げをしてほしいと市民団体からの請願もあったわけであります。引下げてはいないわけでありますが、このコロナ禍の下で、市民から見れば据置案といえども、これは率直に歓迎するものであります。
そこで質問いたしますけれども、国保運営協議会における市の据置きの諮問はどのような理由によって行ったものか、伺います。
国、県は一般会計から国保会計に法定外繰入れを行わないことを指導しております。これに反した場合はペナルティを課すというようなことも行っております。不法、不当と言わざるを得ないわけであります。国、県、市町村は上下関係ではないということになっております。対等、平等、国に命令する権限はありません。市町村の自主財源を使ってやるということについては、自由でなければならない。
そこで質問ですが、一般会計からの法定外繰入れを行わないとした理由は何か、伺います。
次に、新型コロナ感染拡大防止策についてであります。
いつ収束するのか、その方向は1年たつ今になっても見えてきません。ワクチン接種への期待はありますけれども、人の接触をできるだけ避けるということが最も確実な方法だということには変わりありません。私たち共産党市議団もこれまで5次にわたりまして市長に様々な申入れをしてきました。市としても様々な対策をこれまで取ってきているわけであります。
そこで質問でありますけれども、特に検査の問題について、高齢者施設や病院の入所者、あるいは職員の定期的なPCR検査を行うべきではないかと思いますが、その考え方についてお聞きします。
市民は日常的にあらゆる場で感染拡大防止のため努力をしております。しかし、不安を持っております。
質問です。希望する市民への定期的なPCR検査を行うべきであると考えますが、その考え方についてお聞きいたします。
次に、市民負担の軽減策ということで、水道料金の減免について伺います。
本市では昨年6月から9月まで、水道料金の値上げを少し猶予したことに市民からは歓迎の声が上がっております。
そこで質問でありますけれども、水道料金の納付相談者への対応は今、どのようになっているのか。2つ目は、生活支援策として水道料金を減免していく考えはあるかどうか。
以上、1回目であります。
◯副市長(小長谷重之君) 5大構想における大規模事業に係る2つの御質問にお答えさせていただきます。
5大構想は、本市が目指す世界に輝く静岡、すなわち住む人が誇りと安らぎを感じ、訪れる人が憧れを抱く、魅力的で風格のある都市を実現するため、最優先的に取り組むべき施策群であります。
そのうちの重要施策として、本年1月に着工した歴史文化施設や整備の検討を進めている海洋文化施設などを位置づけております。これらの事業によるにぎわいの創出についてですが、令和5年春開館予定の歴史文化施設につきましては、本市の豊富な歴史資源を生かし、家康公の一生が分かる全国初の博物館として、世界に向けて情報発信する施設となるよう整備してまいります。
また、施設整備に加えて、駿府城公園周辺エリアではこの春に、東御門、巽櫓の展示を、駿府城を深く知り楽しめる内容に一新するとともに、お堀では民間活力を取り入れた駿府ホリノテラスの店舗開設や葵舟の運航などによりそれぞれの事業を連携し、相乗効果を図ることにより一層のにぎわいを創出してまいります。
海洋文化施設につきましては、清水が誇る地域資源である駿河湾をテーマとした施設として、人々の関心を引きつけるとともに、海洋教育や研究等を集積させ、民間開発を誘発させるなど、官民一体となった周辺のまちづくりを進めて、人々の活発な交流を促進し、エリア全体でのにぎわいを創出してまいります。
次に、アセットマネジメント及び財源との整合についてでありますが、アセットマネジメントの観点からは総資産量の適正化、長寿命化の推進の考えの下、維持管理、更新に要する経費の削減に努め、民間活力の導入による民間事業者等の資金やノウハウを活用し、財政負担の軽減とサービス水準の向上を図っております。財源につきましては、事務事業の見直しや自主財源の確保、市債の適正な管理などに取り組み、中長期的に財政の収支見通しに立った計画的な財源対策を講じていく中で事業を位置づけることにより、整合を図っております。
今後も民間活力や国等の支援などを活用しながら、これらの事業を着実に推進し、本市が有するオンリーワンの資源を最大限に活用、磨き上げ、国内外から人々が訪れる、世界に輝く静岡の実現を目指してまいります。
◯総務局長(吉井博昭君) 核兵器禁止条約の発効をどう捉え、今後どのように平和行政に取り組んでいくのかについてですが、条約については国の専管事項であり、国政の場において議論がなされるものと考えております。本市としましては、静岡市平和都市宣言に掲げられた恒久平和という大きな理念の下、教育や文化、スポーツ、国際交流など、行政が行う様々な場面において平和の理念を持って事業を進めていくことが平和行政と考え、取り組んでまいりました。
今後も引き続き、恒久平和の実現に向け、次世代へ平和の大切さを伝えるための取組を推進してまいります。
◯保健福祉長寿局長(和田明久君) 国保に関する2点の御質問にお答えいたします。
初めに、国保運営協議会における市の据置きの諮問はどのような理由によるものかについてですが、令和3年度から3年間の方針として策定される次期静岡県国民健康保険運営方針では、県内市町の保険料水準の統一の目標時期を令和9年度とすることが明記されました。一方、保険料率の将来予想を行った市の推計では、医療の高度化や高齢化に伴う医療費の増加により、本来必要となる保険料額も年々増加するものと見込まれ、現行の率では大幅に不足が生じるものと想定されます。そこで、保険料水準の統一までに基金等の財源を活用しつつ段階的に率を引上げ、保険料の不足を解消することが必要です。しかしながら、現状において新型コロナウイルス感染症は依然として収束の兆しも見えず、経済的にも多大な影響を及ぼしています。
このような状況を踏まえ、基金及び繰越金を計画的に充てることで来年度の率を据置きすることが可能であるか検討を行いました。検討の結果、今回に限り引上げを行わなくても運営が可能であると判断し、市民に寄り添う観点からも据置きが妥当であると諮問させていただいたところです。
次に、一般会計からの法定外繰入れを行わないとした理由ですが、赤字補填のための法定外繰入れについては、国保の公平で健全な財政運営を目指す観点から、国より解消、削減すべきとの方針が示されているところであり、本市もこれに沿った運営をしております。なお、仮に法定外繰入れを行った場合は、赤字負担による一般会計の支出増とは別に国からの交付金が減額されるため、国保の財政的負担が増すことになります。
◯保健衛生医療統括監(杉山友章君) PCR検査についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、高齢者施設や病院の入所者や職員への定期的な検査の実施についてですが、高齢者施設や病院はクラスターが発生した場合、影響が極めて大きくなることから、入所者または従事者で発熱等の症状のある方については積極的に検査を実施しております。
また、高齢者施設では、陽性者が1名以上発生した場合には原則として施設の入所者及び従事者の全員に対して検査を実施しております。さらに、無症状の感染者を早期に発見するため、高齢者施設において自主的な検査を実施した場合、その費用が補助対象となることを施設に周知し、定期的な検査を促しております。これらの取組により、高齢者施設等に対して早期探知及び早期介入を図り、クラスターの発生を未然に防止していきたいと考えております。
次に、希望する市民への定期的なPCR検査の実施についてですが、PCR検査はその時点で新型コロナウイルスに感染しているかを判定するものであり、一度陰性と判定されても、その後感染しないことを証明するものではありません。また、陰性確認の数日後に陽性が判明する事例もございました。そのため、本市としましては、陽性者の濃厚接触者の特定や検査を速やかに実施することで対応してまいります。
◯上下水道局長(丸岡浩三君) 水道料金減免についての2つの質問にお答えさせていただきます。
初めに、水道料金の納付相談者への対応についてですが、令和2年3月18日付厚生労働省からの通知を踏まえ、相談者のコロナ禍の影響を考慮した上で、支払いを猶予し、納付約束などを行ってまいりました。また、納付時期のめどが立たない方に対しては、しばらく様子を見守ることとし、再度の連絡により近況報告を受け、相談を継続しております。
相談の受付を開始した令和2年4月から3年1月までの支払い猶予の相談件数は634件で、その猶予額は1,827万円余となっております。新規の支払い猶予の相談件数は、4月当初の月当たり約180件から1月は20件程度と減少しておりますが、今後とも一人一人にきちんと向き合う姿勢をもって対応してまいります。
次に、水道料金の減免についてですが、一律的な減免は水道管や水道施設の老朽化及び耐震化対策の財源を圧迫させ、工事を先送りすることになれば、市民生活に直結するライフラインを危うくし、大規模災害はもとより日常生活にも大きな影響が出るリスクを高めます。また、将来世代の負担の増大、さらにはサービス低下につながることも懸念されるため、現時点では減免は考えておりません。
なお、一時的に水道料金の支払いが困難となっている方に対しましては、引き続き納付相談を通じて支払い猶予に応じてまいりますが、その後、納付約束が守られない場合でも直ちに給水停止はせず、再相談を受け入れるなど、慎重かつ丁寧な対応に努めてまいります。
〔24番寺尾 昭君登壇〕
◯(寺尾 昭) 2回目です。
時間が足りないわけですけれども、まず、来年度の国保料の据置き案についての2回目の質問であります。
答弁がありましたけれども、国保制度については大変構造的な問題がある。年齢の高い人、非正規の方、そして、自営業の方というような方々が加入しているということであります。国保加入者の多くがそういう面では低所得者であり、国保料納入に困難を来しているということであります。国保制度の健全な運用を考えても負担軽減は避けて通れないと考えます。
そこで被保険者の負担軽減策は、今後どのように考えていくのか、伺います。
次に、保健所機能の強化について伺います。
コロナ感染が拡大する下で、その対策を進める保健所機能を発揮するための困難性が表れたと言えると思います。他部局からの急遽の応援体制などもこの間行われてきているということでありますけれども、質問です。コロナ対応を教訓としてマンパワーを充実させる考え方はないかどうか、お伺いいたします。
1980年以降、全国的に保健所の統廃合などが進んで、その数は半数以下になったという状況があるわけであります。静岡にもかつては3か所の保健所があったということであります。今回のコロナ感染によって、やはり保健所は復活させたほうがいいじゃないかと私は考えます。
そこで質問ですが、感染症対策を行う上で、統廃合された保健所を再度増設する、各区に設置するということが必要ではないかと考えます。この点について質問して終わります。
◯保健福祉長寿局長(和田明久君) 国保の被保険者の負担軽減策をどのように考えるかについてですが、これまでと同様、国保財政における歳出の縮減と歳入の確保を図っていくことが重要であると考えております。そのため、歳出面ではジェネリック医薬品の使用促進、生活習慣病の予防につながる特定健康診査の受診率や特定保健指導実施率の向上などの医療費適正化を進め、歳入面では保険料収納率を高めるよう努めてまいります。
また、構造的な問題による負担の軽減については、平成30年度以降、国による3,400億円の公費が拡充され、被保険者の負担緩和と国保の財政基盤の強化が図られましたが、問題の解決までには至っていないと考えております。引き続き、指定都市市長会や全国市長会を通じて国による公費のさらなる拡充等を要望してまいります。
これらのことにより、構造的な問題の解決と健全で安定的な国保運営の実現を目指し、被保険者の負担軽減に取り組んでまいります。
◯保健衛生医療統括監(杉山友章君) 保健所機能の強化についての2点の御質問にお答えします。
まず、保健所のマンパワーの充実についてですが、本市では新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染症対策に取り組む保健所職員には大きな業務負荷が生じたことから、令和2年5月以降、順次庁内の各局より合わせて32人の職員を動員し保健所の体制強化を行ってまいりました。また、令和3年度からは保健所、保健予防課内に新型感染症係を新たに設置し、職員9人を増員し新型コロナウイルス感染症対策に専任で取り組むとともに、感染状況に応じた応援体制を維持してまいります。今後とも感染状況に応じた職員体制を確保し、感染拡大防止対策を推進してまいります。
次に、保健所の増設についてですが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の対応に当たっては、受入れ病院や関係機関との連携が重要であり、統括機能を一本化することにより効率的な対応ができており、また、患者の発生に伴う積極的疫学調査においても、統一的な視点や情報を一元化することにより濃厚接触者の特定や検査を速やかに実施することができ、感染拡大防止が図られております。そのため、複数の保健所を設置するよりも保健所を1か所とし、そのマンパワーの充実により機能強化を図り対応していきたいと考えております。