平和行政について、桜ヶ丘病院について

通告しています2項目について質問します。
 最初に、平和行政について伺いたいと思います。
 1問目は、核兵器廃絶についてであります。
 唯一の戦争被爆国である日本政府に対して、核兵器禁止条約の署名、批准を求める署名活動が広がっています。今年1月22日、核兵器廃絶条約が発効、核兵器は違法化されました。核兵器廃絶への歴史的な第一歩となっています。
 市長は、こうした核兵器廃絶の広がりについてどのような認識を持っているのか、まず伺っておきたいと思います。
 次に、自衛隊への名簿提供についてであります。
 5月10日、NHKテレビのニュースで、これまでの住民基本台帳から宛名シールでの情報提供に切り替わったという報道がありました。自衛隊の活動は公益性が高いから、個人情報をその個人の同意がなくても提供しても構わないという理由でありました。私は全く乱暴な対応だと思いました。
 私ども議員団は、こうした市の対応は日本国憲法第9条の観点からも問題を大きくすると。自衛隊への名簿提供について、抗議と撤回を市長に求めたところであります。その後も情報提供をしないでという要望書は、12の団体から市に提出されております。これだけ見ても、自衛隊への名簿提供は慎重に行うべきではなかったかと思います。
 そこで伺いますが、なぜ住民基本台帳の閲覧から宛名シールでの情報提供に切り替えたのか、明確な答弁を求めたいと思います。
 次に、桜ヶ丘病院について伺います。
 昨年12月21日、田辺市長はJCHOの尾身理事長との間で桜ヶ丘病院の移転先について、静岡市が所有する清水駅東口公園に移転するとした基本協定書を結びました。協定書に基づきまして、今様々な協議を進めているようであります。今議会へもモニュメントの移設費用が7,200万円という補正予算も提出されております。同時に建設スケジュールも発表されました。今年度の着工で令和5年の開院ということであります。
 建設は順調に進んでいるかに見えますが、私は今になって多くの疑問と問題を抱えたまま、見切り発車的に進めているという疑念を持っています。市長はなぜわざわざ津波浸水想定区域に病院を移転させるのか。市民の理解と合意を得ることなく、昨年、協定書を結んだと私は思っております。その協定書に基づいて、懸案事項も含めて協議を進めているところでありますが、ここに来てJCHOの側から救護病院の指定、ヘリポートの設置拒否ということが出てきました。
 そこで伺いますが、桜ヶ丘病院の移転に関する基本協定締結後の協議内容とこれまでの合意事項はどのようなものか、また今後の予定についても伺っておきたいと思います。
 2点目は、桜ヶ丘病院の医師確保についてであります。
 基本協定書第8条で、現桜ヶ丘病院及び新病院の医師確保を中長期的に支援するとなっています。6月25日の答弁では、JCHOと一緒に首都圏の大学を訪問したり、寄附講座の設置について協議をしてきたとのことでありました。
 12月の基本合意以降、寄附講座の財源見通しを含め、医師確保については明確でないと私は思っております。令和5年度の開院とスケジュールは決まっていますが、改めて医師確保の見通しについて伺いたいと思います。
 3点目は、6月4日、清水まちづくり市民の会等、4団体の皆さんが厚生労働省へ桜ヶ丘病院移転計画問題で要請に行きました。要請内容は、桜ヶ丘病院移転計画が津波浸水想定区域であり、防災上の観点から見直しを求める内容です。参加者は、厚労省職員、JCHOから担当部長、参加した人たちは1時間余にわたって意見交換をしたそうです。
 市長はこの問題で、そろそろ理解してもらいたい旨の発言をこの間しておりますが、市側が説明責任を果たしていないわけですから、こういう事態になっていると私は思っております。市は4団体の皆さんの要請行動に対してどのような認識を持たれているのか、伺いたいと思います。
 4点目は、JCHOの新病院の救護病院指定とヘリポートの設置について断ったと報道がありました。これは大きな問題であり、基本協定に関わる問題だと私は認識しています。
 報道後、市はこれといった対応をしていません。容認していると私は思っております。2つの問題に対し、JCHOにいつ確認したのか、伺いたいと思います。
 5点目は、清水駅東口公園のモニュメントの移設について伺いたいと思います。
 桜ヶ丘病院を東口公園に移転するということで、JCHOと基本協定を結びました。内容は、公園全体面積7,300平米のうち、4,900平米を新病院用地としています。この用地は、大切な公園であり、存続を求める陳情書が今議会にも提出をされております。
 また、このモニュメントは、2007年に駅東地区交流拠点整備事業の一環として、公園に円形「空のむこう」が、清水区のシンボルとして設置された経過があります。静岡市の3つの都市拠点の1つである清水の歴史文化を表現し、富士山と港などの独自の風景や未来を具現化し、清水区のシンボルになるモニュメントと位置づけております。作品選定に当たっては、検討委員会を4回開催。メンバーには元国立国際美術館長、元市文化財保護審議会委員、経済界や自治会の代表など、そうそうたるメンバーで作品選定に当たっています。
 今回、桜ヶ丘病院の移転に関連し、モニュメントを移設するとしていますが、作者など関係者への丁寧な説明が求められると思いますけれども、この点についてこの間どのような対応をしてきたのか、伺いたいと思います。

◯総務局長 平和行政についての2つの質問についてお答えします。
 まず、核兵器廃絶についてどのように考えているかですが、本市は平成17年12月に市議会で決議し制定した平和都市宣言の中で、核兵器など大量破壊兵器の廃絶と世界平和の実現に貢献することを表明しており、この考えは現在も変わりはありません。
 次に、自衛隊への名簿提供について、なぜ住民基本台帳の閲覧から宛名シールでの情報提供に切り替えたのかですが、法定受託事務として本市が行う自衛官募集事務の執行に当たり、自衛隊法に基づく依頼があった場合は、従前から住民基本台帳の閲覧による適齢者情報の提供を行ってきており、情報提供に対する考え方はこれまでと変わりはありませんが、以前より紙や電子データでの提供依頼があるため、提供方法について検討をしてまいりました。検討の結果、提供方法を宛名シールとすることで、これまでの住民基本台帳の閲覧による情報提供よりも、募集案内の送付に必要十分な住所・氏名の2情報に限定できること、また発送後は手元に情報が残らないことから、提供方法を切り替えることといたしました。

◯保健衛生医療統括監 桜ヶ丘病院に関する4点の質問にお答えします。
 まず、基本協定締結後の協議内容とこれまでの合意事項についてですが、本市とJCHOとは、令和3年度中の新病院の建設着工、5年度中の開院を目指し、これまで全体スケジュール、医師確保、津波等の被害想定に関する情報提供、移転地の取得に係る取扱いや発災後の医療救護体制などについて協議してまいりました。
 これまでの主な合意事項ですが、移転地の取得について、本市が所有する清水駅東口公園の土地とJCHOが所有する大内新田の土地を交換対象とすること、土地の価額はそれぞれ両者が実施する土地鑑定評価に基づく価額の平均額とし、交換価額の精算については、金銭で補足する方針について合意いたしました。
 今後の予定につきましては、移転地の取得につきまして清水駅東口公園の測量、分筆登記等を行い、11月議会において土地の交換に係る議案を上程してまいります。
 次に、医師確保に係る市の支援の状況についてですが、これまでJCHOとともに首都圏の複数の大学等を訪問し、医師派遣のための寄附講座の設置について協議を進めているところです。引き続き医師の確保に向け、JCHOを支援してまいります。
 次に、市民4団体から厚生労働省への要請行動があったことへの認識についてですが、当該4団体におかれましては、桜ヶ丘病院の老朽化に伴う移転新築の必要性について理解された上で、移転に対する本市及びJCHOの計画は、国が進める国土強靱化と矛盾する計画であるとの考えの下に、今回の要請を実施されたものと認識しております。
 最後に、救護病院指定とヘリポート設置に係るJCHOの意向の確認時期についてですが、本年3月にJCHOと打合せを行った際に、救護病院の指定については、診療体制等を考えると難しいが、可能な範囲で医療救護活動を行う旨の意向がJCHOから伝えられました。また、同じ打合せの中で、ヘリポートについて設置維持費の負担等を考え、設置しない意向であることも伝えられました。

◯都市局長 モニュメント移設に伴う関係者への説明についてですが、新清水庁舎建設計画検討時には、作者や作品選定に関わった検討委員などの関係者と協議し、隣接する清水駅東口広場を移設候補地としました。桜ヶ丘病院移転に当たっても、引き続き清水駅東口広場を移設先として想定していますが、移設場所につきましては、改めて関係者に意見を伺いながら検討してまいります。

◯内田隆典 平和行政についてでありますけれども、核兵器廃絶について、市長の受け止めを聞いたわけですけれども、総務局長、核兵器廃絶に対する考え方は変わらないと、それは当たり前のことですよ。平和都市宣言をやっているんだから、今、局長が言ったように、それは分かります。変わったら大変なことですよ。
 それと、名簿提供についても、これ大きく変わっているじゃないですか。閲覧から宛名シールに変わっているんですよ、これは。全く平気でそういう答弁をするとは。
 質問ですけれども、核兵器についての市長の考え、変わらないというから、改めて聞きますけれども、今、局長が述べられたように、平成17年12月に平和都市宣言をやっています。その中で、戦後、被爆60年の節目の年を迎えた今日、私たちは改めて、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念の下、核兵器など大量破壊兵器の廃絶と世界平和の実現に貢献することを表明すると、こういう宣言になっております。こういう立場からすると、今、国がなかなか署名、批准に向かおうとしないわけですけれども、市長がこの立場で核兵器廃絶への署名、批准を国に求めるべきだと私は思いますけれども、見解について伺いたいと思います。
 次に、自衛隊への名簿提供についてでありますけれども、私はこの問題、個人情報の提供は、個人情報保護条例に違反するのではないかと危惧しています。個人情報保護法23条では、個人データを第三者に提供することは、原則として本人の同意を必要としています。23条では例外規定を設けています。それは、法令に基づく場合となっており、自衛隊法と施行令に基づき、法令に基づく場合となる。しかし、今回のケースは住民基本台帳法に関わってきます。住民基本台帳法は例外規定がないので、個人データは法令に基づく場合でなくなり、個人情報保護条例に違反する可能性があると私は考えますけれども、当局の見解を伺いたいと思います。
 それから、例外規定、名簿の除外申請でありますけれども、静岡市を含めて20の政令市の中で14の自治体が、宛名シールを含めてこうした自衛隊への提供をやっているようであります。しかし、そういう自治体の中にあっても、20の中では幾つかプライバシーを保護するという観点から、保護申請制度を設けて慎重にやっている自治体もあります。そういう点で、先ほどの答弁からすると、もう10年ぐらい前から要請があったんだから、静岡市はすんなり宛名シールを含めて提供したという感じを受けるわけですけれども、除外申請等を含めてどういう慎重な対応をしたのか、伺っておきたいと思います。
 次に、適齢者情報の提供について伺いたいと思いますけれども、前安倍内閣が2015年9月19日、憲法違反の集団的自衛権の行使等を容認する戦争法の制定を行いました。そういう中で、自衛隊の活動範囲を大きく広げました。職員の皆さんの生命、身体への危険は従前と比べたら広がりました。そういう点では、私は自衛隊への名簿提供というのはやめるべきではないかと思いますから、この点についても伺いたいと思います。
 それから、質問ですけれども、桜ヶ丘病院の問題です。
 私は、十分な説明をこの間求めてまいりました。桜ヶ丘病院の問題もしかりなんですけれども、3月に市側はJCHOから救護病院やヘリポートの問題で、これはとてもやれないという返事を得たということでしたら、私は3月議会に間に合わなくても、途中で中間報告ぐらいは議会にすべきだと思うんですよね。大事な問題ですよ。これまで月に何回となく職員の皆さん、各課の皆さんが、いや、こういう問題があるからということで、ちょくちょく恐らくどの会派にも情報提供していると思うんです。電話でするような内容も情報提供してくれますよ。
 だから、私はそういう形で相当気配りをしているのに、今回の市を二分するような問題になっているこの問題に対して、情報を聞かなければ提供しないと。それで、3月の時点では、市の方針がまだ決まっていないからまだだったと、それは言い訳ですよ。きちんと説明責任を果たしてもらいたい。何か市民のほうが理解しないから悪いような認識を市長は持っている。おかしいと思います。きちんと対応していただきたい。
 それから、基本協定について伺いますけれども、基本協定は、先ほどの答弁からしますと、土地の交換等々、いろいろやったことが中心だということは分かりましたけれども、しかし、その後、ヘリポートの設置と救護病院の指定は受けられないという極めて失礼な話ですよ、これは。
 それと、私は問題だと思うのは、じゃ、どうするかといったときに、国と県と協力しながら、これまで5日から1週間かかったという道路啓開を3日で済ませるという判断ですよね。いつからそんなこと決まったんですか、何を根拠に言っているんですか。ヘリポートと救護病院ができなくなったから、国と県と相談して道路啓開は3日で済ませるから大丈夫だと、そんなの誰が信用しますか。私はもうこの基本協定というのは、大きく基本が崩れたわけですから、元に戻してこの問題はきちんと市民が理解するような形で検討をしてもらいたい。一旦、基本協定を白紙に戻してもらいたい。市の考え方を伺いたいと思います。

◯総務局長 まず、核兵器禁止条約への署名、批准を国に求めるべきではないかについてですが、条約への署名、批准については国の専管事項であり、国政の場において議論がなされるものと考えております。
 次に、自衛隊への名簿提供に関する3つの質問についてお答えします。
 まず、本人の同意がない個人情報の提供は個人情報保護条例に違反しているのではないかについてですが、本市の条例では、個人情報の外部提供を制限しておりますが、例外事項の類型が示されており、本件のような法令等の任意規定に基づく照会があった際には、提供の可否について2つの点を検討し、差し支えないと判断した場合、必要最小限の情報に限り提出できるとしております。
 1点目は、照会の目的や趣旨、照会に係る個人情報の内容等を十分に考慮すること、2点目は、公益性が十分にあることです。
 1点目については、照会の目的である募集事務が自衛隊法に基づく法定受託事務であること、また、照会内容が適齢者のみの情報で用途が当該年度の募集事務に限定されていることから、照会の合理性や事務の必要性において提供に問題がないと判断しております。
 2点目については、災害に強く安全・安心なまちを目指す本市としては、自衛隊の活動の一環である災害救助の重要性や大規模災害時に自衛隊の協力を得て地域を守る必要性を考慮し、公益性が十分にあると判断しております。これらの判断の上で個人情報を提供するに当たっては、条例上、本人の同意を必要としておらず、個人情報保護条例違反には当たらないと考えております。
 次に、個人情報を提供されたくない市民のために除外申請等の対応は取らないのかについてですが、本市では、自衛隊へ対象者の個人情報を提供するに当たり、除外申請等についても検討しましたが、照会の合理性や事務の必要性、公益性の高さ等を総合的に考慮し、対象者全ての情報を提供することといたしました。今後、他都市の状況等は、さらに情報収集をしてまいります。
 最後に、適齢者情報の提供はやめるべきと考えるがいかがかについてですが、これまでどおり自衛隊から依頼があった場合には、適齢者情報の提供を行ってまいります。

◯保健衛生医療統括監 桜ヶ丘病院に関する2点の質問にお答えします。
 まず、市民への説明は十分だと考えているのかについてですが、これまで市議会での質疑を通じて、また広報紙静岡気分への記事の掲載や自治会や地域の関係団体の会合の場を利用させていただき、説明してまいりました。今後も引き続き、丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
 次に、協定は白紙に戻すべきではないかについてですが、桜ヶ丘病院は清水地域にとって欠かせない病院であり、このたびの移転新築によって病院機能の維持・向上が図れるものと考えております。
 また、救護病院の指定は難しいものの、災害時にも新病院が一定の医療救護機能を担うことが見込まれ、ヘリポートが設置されない場合でも、国、県との連携の下、3日程度での道路啓開に努めることで、災害時においても病院の医療機能が維持されることから、病院機能が当初のものから大きくかけ離れたものとなるとは考えておりません。
 以上のことから、引き続き基本協定書を踏まえた取組を進めてまいります。
  

◯内田隆典 平和行政ですけれども、核兵器廃絶の問題は国の専管事項で、国で議論すべきだということですけれども、それは全国の市長会等々でこういう問題というのは議論しながら、田辺市長がイニシアチブを発揮して国に申すということも十分できるわけで、市の平和宣言の立場からも、私はそういう動きをするべきじゃないかと思います。
 それから、自衛隊への情報提供ですけれども、そのまま続けるということでありますけれども、私は個人情報の保護問題は、父兄の皆さん、関係者の皆さんから大きな疑問が呈されているわけで、すぐそれで問題が12団体からも出されているわけで、そのまま続けるというのは、私は行政として慎重に取り組む姿勢がないと思いますから、改めてこの問題を求めてまいりたいと思います。
 それから、桜ヶ丘病院の問題でありますけれども、今議会にもこの問題で請願が出されております。その項目は6つありますけれども、1つは慎重に説明責任を果たしてもらいたいということですけれども、金曜日の質問答弁の中でも、広報等でこの問題は説明してきたということです。ただ一方的に説明するだけで、理解は得られていないからこういう問題が起こっているわけですよ。私はこの問題は十分な説明責任が市長にあると。
 それから、協定は一定今までの計画からかけ離れている、かけ離れているじゃないですか。かけ離れている、市長。もうヘリも救護病院もやらないというのは、今までのあれからずっと離れていますよ。あなた方、いい加減なことを言っているよ、離れているんだから。元に戻していかんと、このことを求めたいと思います。