日本共産党議員団を代表しまして、ただいま議題となっています議案第135号令和3年度静岡市一般会計補正予算に対し、反対の討論を行います。
今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策を中心とした予算で、補正予算額は約52億円の増額予算となっています。内容は、ワクチンの円滑な接種に向けた集団接種会場の増設等の予算となっています。
新型コロナウイルス感染は、緊急事態宣言解除後、徐々に増え続けています。新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織のアドバイザリーボードは、6月30日、東京都などの首都圏で感染の再拡大が強く懸念されると警笛を鳴らしました。
また、別の試算では、7月中旬に都内では少なくとも新規感染者が1,000人を超えるおそれがあると指摘しました。
こうした中、政府は昨日、東京に4回目の緊急事態宣言の発令を決めました。専門家の意向を無視し続けた政府の無為無策のコロナ対応で、健康と命、暮らしと経済が脅かされています。
我が党は、コロナ対策では一貫してワクチンの迅速接種と大規模なPCR検査をセットで行うこと。また、自粛をお願いするなら、事業規模に応じた十分な補償と生活支援を求めてきました。この点では、国も市も十分な対応とは言えません。さらなる支援を求めると同時に、一日も早い終息を願うものです。
予算の反対箇所についてであります。
昨年12月、桜ヶ丘病院を清水駅東口公園に移転することを、静岡市はJCHOとの間で基本協定を結びました。この基本協定を進めるため、清水駅東口公園分筆測量登記予算として140万円。また、清水駅東口公園のモニュメント、樹木等の移設及び公園施設の撤去に7,100万円が計上されています。昨年12月21日のJCHOとの基本合意は、議会や市民への十分な説明責任を果たすことなく結ばれたものです。
桜ヶ丘病院をめぐっては、多くの市民の皆さんは、なぜわざわざ津波浸水想定区域への移転を強行するのか、いまだに理解と納得するに至っていません。
そこに来て、静岡市が長きにわたってJCHOに要望してきた救護病院の指定、ヘリポートの設置を拒否しているとの報道です。静岡市はこの間、新病院が津波浸水等で救護病院としての機能ができない場合は、ヘリコプターによる患者搬送や、準病院の救護所の設置で対応したいとしていました。
しかし、議会での答弁のように、この間の要請をあっさり諦め、容認する答弁を繰り返しています。
静岡市は、救護病院について、JCHOが災害時においても可能な範囲で医療救護活動を行う旨の意向が伝えられ、一定の協力が得られると考えている。新病院へのヘリポート設置については、維持管理の負担等で設置は難しいとのJCHOの回答に対し、静岡市は、国、県と連携し、病院周辺の道路啓開を3日程度で行えるよう努める。ヘリポートが設置されなくても、病院の医療機能が維持されると答弁しています。
これらは、何の根拠もない希望的観測でしかない。道路啓開については、この間、公式答弁は3日から1週間だったはずであります。JCHOの言い分をうのみにして、市民の生命・財産を守る責任ある対応をできると思っているのか、甚だ疑問であります。
2011年の東日本大震災の教訓と状況を分析したときに、田辺市長のこの間の対応は、無責任極まりないと言わざるを得ない。
東日本大震災では、国立病院機構いわき病院、この病院は180床の病院で、災害発生1日目、一般病棟が5センチから10センチ浸水し、使用不可能となった。入院患者は上階層へ避難。4日目、患者の一部を他病院へ搬送。病院周辺は瓦礫が散乱したままの状態。5日目、消防署のバスと自衛隊大型ヘリで入院患者を全員搬送。停電の復旧は1週間後。水道の復旧は1か月後。施設が復旧し、開院開始まで2か月半かかったそうであります。
現地を知る医師の意見として、津波による浮遊物や汚泥等により、水を排除した後でもすぐに病院機能の回復は望めない。病院機能の低下は一時的なものとは言えず、復旧までに長期間を要すると考えられる。病院敷地のかさ上げを行っても、津波による浮遊物や液状化などによりアクセス道路の確保が困難になれば、孤立のための機能低下は避けられないと述べておられます。
こうした東日本大震災の教訓を考えたときに、清水駅東口公園への桜ヶ丘病院の移転は無謀と言わざるを得ません。
昨年12月21日にJCHOと結んだ基本協定は、一旦白紙に戻し、市民意見を十分反映した津波浸水想定区域外への病院移転建設に向け、田辺市長はJCHOとの再協議を進めるべきであります。
今回の補正予算には、津波浸水想定区域に桜ヶ丘病院を移転するための関連予算が計上されていますので、本予算に反対するものです。
次に、議案第135号令和3年度静岡市一般会計補正予算に対する修正案についてであります。
修正案では、清水駅東口公園分筆測量登記事業予算に140万円、清水駅東口公園のモニュメント、樹木等の移設及び公園施設の撤去に7,100万円の予算について削減を求めています。
修正案は、津波浸水想定区域に桜ヶ丘病院を移転建設することに懸念を示すと同時に、十分な市民説明を欠いたものとしています。
我が会派もこの点では同様の問題意識を持っており、修正案に賛成するものです。