私は日本共産党静岡市議会議員団を代表して、請願第2号桜ヶ丘病院の移転に関する請願に対して、賛成の立場で討論します。
この請願に賛成する最も大きな理由は、市民への正確な情報の提供と市民意向の把握を求めていることにあります。
請願趣旨では、第1に、新病院の機能や災害医療における桜ヶ丘病院の位置づけが不明瞭であること、第2に、救護病院の指定や役割、ヘリポートの設置などで市当局がこれまで繰り返してきた説明と異なる報道があり、市民には大きな不安が広がっていることを指摘しています。
こうした市民の不安に対して、これまで市は、記者会見や広報紙、新聞報道、議会質問での答弁でしか明らかにしていません。市長は、東口公園への移転に反対する団体とは会おうともしないなど、市民への説明は一方通行であり、市民意向の把握に努めているとは到底言えません。
そうした下で、請願項目1は、新病院の機能、災害時の医療体制等について明確にするよう求めています。
現在、清水区における医療体制は、医師不足により二次救急輪番がまともに組めず、葵区や駿河区の体制に支えられている状況です。そうした中でも、現在、桜ヶ丘病院は、病床数を199床確保し、内科救急輪番を最も多く担い、清水地域において重要な役割を担っています。
ところが、新病院では、病床数を150床程度に減らす構想です。現在、清水区の人口10万人当たりの一般病床数は472.4床、全国平均の714.7床と比べるとはるかに少ないのにさらに減少することになります。こうしたことも市民に対して知らされてはいません。
災害時の医療体制については、新病院が津波浸水想定区域にあるため、津波災害も想定した医療体制が求められます。本市は、そうしたことも踏まえて、救急病院の役割や、ヘリポートの設置をJCHOに求めていたはずです。
ところが、JCHOは、内科医を中心とした医療体制の下では救護病院は受けられない、財政的な問題でヘリポートは設置できないと、いずれも断ってきたとのことです。もともと県の指針によって、津波浸水想定区域に立地する段階で救護病院の指定はできないことが分かっていたはずですが、市は、このことも市民に知らせていません。
さらに、津波災害により、道路などの交通網が遮断された場合、ヘリポートがなければどのように患者を搬送するのでしょうか。本市は、病院周辺について、3日程度での道路啓開に努めると言っていますが、これまで3日から1週間と言っていたことからすると、実際に可能か大きな疑問が残ります。仮に3日で道路が使用できるようになったとしても、3日間は病院機能を果たせないことになります。
また、この東口公園の海側にはLNGタンクがあり、安全対策をしているとはいえ、100%の安全はあり得ません。地震などでタンクが破損したら、被害は甚大なものになることは十分に想定されます。
このように、桜ヶ丘病院の移転地としている清水駅東口公園は、津波浸水想定区域であり、危険なLNGタンクが近くにあることなどで、市民は安全対策に大きな不安を抱え、この計画に納得していません。
以上の点から、新病院の機能や災害時の医療体制について、市民に分かりやすく説明することが必要です。
そして、請願項目の2から6では、移転計画に対する市民の意向を把握し、計画に反映させるようJCHOと協議し、その協議結果と内容を広く市民に知らせることを求め、協議期間中は移転に関わる事業には着手しないことを求めています。民主的な市政運営からも至極当たり前の要求です。
議場にいる全ての議員の皆さんに訴えたいと思います。私は、本議会に出されたこの請願は、本市の行政に対して民主的な運営を求めているものと考えます。請願内容は、市民の意向の把握、そして、その反映による事業の再検討を求めています。これは、移転計画への賛否に関わらず、全ての市民が納得できるものと考えます。そして、行政運営をチェックし、ただしていくのが私たち議員の大きな役割です。そのことを強調させていただき、この請願に皆さんが賛成していただくことを願って、賛成の討論といたします。
以上です。