9月代表質問

◯杉本 護 日本共産党静岡市議団を代表して質問します。
 この9月の定例会は、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、そうした下で緊急事態宣言が出された中での議会となっています。市長は、本年度の施政方針で2つのLife、市民の命と暮らしを守ること、大切にすることを掲げています。今まさに市民の命を守ることが本市に強く求められており、今回の質問は命を守ることをテーマの1つにしました。
 まず、市長の政治姿勢についてお聞きします。
 今、最も重要な新型コロナの対策については既に他の会派の方が質問していますので、そのほかで2点お聞きします。
 まず、リニア中央新幹線のトンネル工事についてです。
 この問題では、命の水が守れるかどうかが問われています。さきの県知事選挙では、工事着工について大井川を主要な水源とする県民の命の水は譲れないとした川勝知事が圧勝しました。市内3区全てで相手候補を上回り、市民はリニアより水を選びました。
 本市が2018年6月20日にJR東海との間で工事車両通行ルートに関して交わした合意書で、JR東海が環境保全措置を確実に実施するとともに、大井川の流量減少に不安を抱いている中下流域の住民に誠実に対応することを確認しました。今月18日に開かれたJR東海、金子社長と流域の市長、町長との意見交換会では懸念の声が相次ぎ、この間のJR東海の不誠実な対応が明らかとなりました。
 本市は工事の許可、不許可を出す立場ではありませんが、この工事は生息する希少な生物や植物への影響、残土処理の盛土での2次災害の危険など、市民生活に影響する問題を抱えています。そして、中部連携地域の中心となる本市が、傍観者であってはならないと思います。
 そこで、お聞きします。
 大井川の水問題などが解決しなければ、リニア中央新幹線のトンネル工事の着手を認めるべきではないと考えますが、市長の見解はどうでしょうか。
 次に、静岡市地球温暖化対策実行計画についてです。
 市長は昨年11月の議会で、温室効果ガスの排出を2050年実質ゼロに向けて取り組んでいくと表明しました。その際、国の計画を踏まえて具体的なロードマップを描き、来年度改定の静岡市地球温暖化対策実行計画に盛り込むとしています。
 国連のIPCC、1.5度特別報告書は、2030年までに温室効果ガスの排出を2010年に比べ45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温が産業革命前に比べ1.5度以上上昇、破局的な気候変動を招くと警鐘を鳴らしています。毎年発生する豪雨災害など、今まさにその事態が進行しています。
 ところが、政府が4月に発表した2030年度の二酸化炭素削減目標は、2010年比に置き換えると42%の削減、国連が示した目標よりも低いものです。本市が国の計画を基に実行計画を策定すれば、国連の示した目標を下回ることになります。真に気候危機から市民の命を守ろうとしたら、少なくとも国連が示した目標が本市の目標となるべきと考えます。
 そして、実行計画は、原発や石炭火力発電には頼らず、社会システムの改革、省エネルギーと再生可能エネルギー、これを組み合わせることを基本とすべきです。
 そこで、お聞きします。
 本市が2022年度に策定する静岡市地球温暖化対策実行計画における温室効果ガス削減目標は、国連が掲げる2030年45%削減とすべきと考えるが、市長はどのように考えているのか。
 次に、大項目の2、新型コロナ対策についてです。
 日本共産党は、この新型コロナを収束させ命を守る戦略として、1、医療体制の拡充、2、迅速なワクチン接種と一体にPCR等の大規模検査、3、生活困窮者や事業者、文化・芸術活動への十分な補償、この3点を提案をしており、この考えを基に質問していきます。
 まず、療養体制についてです。
 全国的に新型コロナ感染者が急増する中、入院ベッドも療養室もいっぱいになり、自宅療養者が急増しました。そうした下で、自宅療養者が命を落とすという痛ましい事態が広がりました。本市もそうした危険をはらんでいます。
 そこで、3点、お聞きします。
 1つ、市内の感染状況はどのようか。
 2つ、患者が急増している地域では、入院させる必要がある患者以外は自宅療養を基本とするという国の方針が示されていますが、市としての考えはどうか。
 3、自宅療養者への健康観察の状況はどのようか、お願いします。
 次に、PCRなどの検査についてお聞きします。
 今日からワクチン接種の第4クールが始まり、11月7日には、希望する市民の接種が完了する計画となっています。
 しかし、ワクチンを接種しても、感染しない保証はありません。集団免疫が期待できない中、感染拡大を防ぐには、PCRなどの検査を大規模にやり、無症状の感染者を早く発見することが必要です。そのためには、大規模な検査を行う体制も必要です。
 そこで、お聞きします。
 現在、市内で行政検査として、1日当たりどの程度のPCR検査あるいは抗原検査を行われているのか、お願いします。
 次に、事業者支援についてです。
 新型コロナの影響で売上げが減少した事業者に対する支援の1つとして、月次支援金があります。県は、国がカバーしない売上減少が30%以上50%未満の事業者を対象にしています。そして、本市の補正予算案での支援策も、県と同じ条件の事業者を対象にしています。
 そこで、お聞きします。
 9月補正に提案されている事業者応援金支給事業について、県の中小事業者等応援金との協調としたのはなぜか、お願いします。
 次に、大項目3の静岡型小中一貫教育についてです。
 まず、経緯についてお聞きします。
 本市は、来年度、静岡型小中一貫教育を全市一斉にスタートさせる計画です。これは現在の小6中3制から、小中9年間を1つの単位として同じ目標を持って子供たちを育てる仕組みと理解しています。この計画が出されたときから、そのメリット・デメリットについては議論を重ねてきたところです。
 本市は、各学校が社会とのつながりを重視しながら学校の特色づくりを図っていくことや、現実の社会との関わりの中で子供たち一人一人が豊かな成長や学びを実現していくことが求められるとし、そのために静岡型小中一貫教育で、つながる力、社会的な絆を育成するとしています。
 私は、こうしたことは現在の6・3制でも十分に対応ができるのではないかと考えます。むしろ今の子供たちの健やかな成長を望むなら少人数学級を進め、教職員を増やし、子供たち一人一人をちゃんと見てあげられる、そういう条件をつくることのほうが有効だと感じています。
 そこで、お聞きします。
 静岡型小中一貫教育を進める理由は何か。
 以上、1回目とします。

◯市長(田辺信宏君) 私から、大項目、市長の政治姿勢についてのうち、リニア中央新幹線のトンネル工事着手に係る私の見解についてお答えいたします。
 まず初めに、見解の前提として、リニア中央新幹線整備の意義についてでありますが、人口減少時代の中、広域的には首都圏、中京圏、関西圏につながるスーパー・メガリージョンを形成し、国民生活並びに経済社会を支える社会基盤になること、また静岡市としては、それに伴う東海道新幹線がのぞみ中心のダイヤからひかり、こだま中心のダイヤに移行可能となり、首都圏との交流人口の増大など利便性の向上など地域の活性化に寄与するものであると、その重要性を認識しております。
 その一方、大井川の流量減少やそれに伴う自然環境への影響、工事に伴う発生土の処理など慎重な検討を要する事柄もあります。
 この工事は、ユネスコエコパークに登録された南アルプスにおいて計画されており、SDGs未来都市の一員である立場からも、世界レベルに認められた宝とも言える自然環境を後世につなぐとともに、自然と調和した持続可能な地域発展を目指すものでなければなりません。
 この認識の下、本年7月に発足をした南アルプスを未来につなぐ会においては、知事や川根本町の町長と共に私も発起人の1人を務め、改めて南アルプスの自然環境や生物多様性に対する思いを共にしたところであります。このような枠組みをも通じて、県や国、周辺自治体との連携をさらに深めてまいります。
 また、事業者であるJR東海に対して、これまでも生態系の保全と持続可能な利活用の調和というユネスコエコパークの理念を踏まえ、協議を行ってまいりましたので、この工事が自然環境の保全の下、地域振興に資するものになるよう引き続き協議を行っていく考えであります。
 大局的に歴史をひもとくと、科学技術の発展と自然環境の保全という2つの命題は、時にして対立してまいりました。その都度、人類は英知を結集して調和をどのように図るかということにより、文明の進歩に貢献してまいりました。それがリニア中央新幹線においても、実現されることを願っております。
 以下は、局長及び統括監から答弁させます。

◯環境局長(藪崎 徹君) 温室効果ガス削減目標に関する考え方についてお答えをいたします。
 本市は、令和2年12月に、2050年温室効果ガス排出実質ゼロを目指した取組を進めていくことを表明いたしました。実質ゼロに向けては、既存の取組を延長するだけではなく、自然豊かな本市のポテンシャルを生かした再生可能エネルギーの導入拡大やさらなる省エネルギーの推進など、既存技術を最大限に活用・普及していくとともに、水素エネルギーなど新たな技術の社会実装も同時に進めていくことが重要となります。
 このような取組も踏まえ、令和4年度に策定いたします第3次静岡市地球温暖化対策実行計画の削減目標は、国際的潮流なども見据えつつ、市民や学識経験者などで構成される静岡市環境審議会などで議論を重ね、定めてまいります。

◯保健所統括監(松田仁之君) 最初に、療養体制についての3点の御質問にお答えします。
 まず、市内の感染状況についてですが、本市の新型コロナウイルス感染症患者の発生状況につきましては、全国的な感染拡大と同様、本年7月下旬から感染者数が増加し始め、8月中旬には1日100人を超える患者数が発生し、8月25日にはこれまでの最大となる160人の患者が発生いたしました。その後、減少傾向となり、9月22日現在では19人と、第5波のピークはおおむね収束してきたと考えております。
 また、感染状況のステージ判断のための指標につきましても、ステージ4の指標に相当するものはなく、一部、ステージ3の指標を超える状況となっております。
 次に、入院させる必要がある患者以外は自宅療養を基本とするという国の方針が示されているが、市としての考え方はどうかについてですが、本年8月3日付の厚生労働省通知のほか、8月13日付の静岡県通知では、中等症以上の患者は原則入院、軽症者及び無症状者は自宅療養を基本とし、基礎疾患などの重症化リスクがある場合や自宅療養ができない事情等がある場合は、宿泊療養とすることが示されています。
 本市では県の考え方に準じて運用しており、ドクターサポートによる医師の助言や受入れ病院における判断により、中等症以上の患者は原則入院していただいております。
 また、さきに述べた宿泊療養施設への優先入所対象者については宿泊療養を基本としており、それ以外の方々について自宅療養となっております。
 次に、自宅療養者への健康観察の状況についてですが、本市では、在宅ドクターサポート事業の対象となる患者については医師が、それ以外の患者については保健師が、1日1回電話による健康観察を行っております。健康観察は療養者の体温、解熱剤の使用状況、せきなどの呼吸器症状、頭痛や倦怠感の有無、食欲などの状況のほか、パルスオキシメーターで測った血中酸素濃度について確認し、必要に応じて医療機関への受診につなげております。
 また、電話がつながらない場合は時間帯を変えて1日に3回程度電話しており、それでもつながらない場合には、あらかじめ伺っている本人以外の連絡先となっている方へ連絡し状況を確認するほか、自宅を訪問し、療養の状況を確認しておりおます。
 続きまして、市内のPCR等の検査の実施状況についてですが、新型コロナウイルス感染症に関する検査については、医療機関において医師が感染を疑った場合などにPCR検査や抗原検査により行われているほか、本市が設置している各区のPCRセンターにおいて、PCR検査を行っております。
 医療機関等における検査の実施件数については、発熱患者の人数や感染拡大の状況などに大きく影響されるものと考えておりますが、本年8月では1日平均361件で、最大は8月23日の839件でありました。

◯経済局長(加納弘敏君) 市の事業者応援金を県の事業者応援金との協調とした理由についてですが、今回の本市の応援金は、売上げが一定割合減少した事業者に対しその事業継続を緊急的に支援するものであるため、制度を事業者本位として分かりやすく、手続が簡単で、迅速に支給されることが重要です。このため、支給対象がほぼ同じで、先行して発表されていた県の中小企業等応援金の制度と協調して実施することで、別制度として複雑にせず、また県との連携により申請手続と審査の両面での簡素化・迅速化を図っていくことといたしました。
 手続に当たっては県の担当部署と綿密に調整し、本市応援金の支給対象者に関する売上額や県の応援金の支給状況など、審査に必要な情報提供を県から申請者の確認を得た上で直接受けることで、申請の手間を極力減らし、速やかな支給につなげるよう取り組んでまいります。

◯教育局長(青嶋浩義君) 静岡型小中一貫教育を進める理由についてですが、静岡型小中一貫教育は、小学校と中学校の縦のつながりと学校と地域の横のつながりを強化する、9年間の一貫した教育です。
 小中一貫教育に取り組むことで、教職員が小学校6年間と中学校3年間のそれぞれの学校種の特性や指導内容を理解し、9年間の連続性のある指導を行うことにより、子供たちの学びの質を高めていくことを狙いとしています。
 この狙いを達成するため、各グループ校では小中一貫教育の準備を進めており、中でも先進的な取組を行うグループ校による事例発表会を実施するなど、市内全小中学校で成果の共有を図っています。発表会では、小中合同の集会や行事等を積極的に開催し、児童生徒の交流が活発になることで安心して中学校に入学することができたと話す子供が数多くいるなど、中1ギャップの解消に有効であるとの報告がされました。
 また、教職員の小中合同研修会において、中学1年数学の指導内容を小学校教員と共有することで、小学校で指導すべき事項が明確になるなど、教科指導の小中連携に成果を上げているとの報告もありました。
 このような取組を重ねながら、着実に準備を進めてまいります。
  

◯杉本 護 それでは、2回目です。
 先ほど市長の政治姿勢について答弁いただきました。意見・要望は最後に言わせていただきまして、質問を続けます。
 まず、療養体制についてです。
 先ほどの答弁では、市の考えと現状は分かりました。
 そこで、保健所は、感染者本人や家族の健康観察を行い、状況を聞いて濃厚接触者を特定し、検査につなげます。そして、感染者の症状に応じ、入院か宿泊療養か自宅療養かを判断するなど、大変重要な役割を担っています。
 本市は、感染者が広がる中で、自宅待機の方などへのPCR検査の案内が1週間かかるなど保健所の対応が間に合わない状況にもなりました。また、保健所職員は長期にわたり長時間労働を強いられ、心身ともに大変厳しい状況になりました。
 全国的に保健所数が半減し、本市も合併前の3か所から現在は葵区に1か所のみ、清水区役所に支所があるだけです。地域住民に身近な保健所は、今後、新たなウイルスが発生しないとも限らない中で住民の命を守っていくのに欠かせないものです。保健師等のさらなる増員で、体制強化も必要です。
 そこで、お聞きします。
 保健所の強化のため、保健所清水支所を保健所に格上げする考えはないのか。
 次に、PCRなどの検査についてです。
 先ほどの答弁で、本市はかなりの検査能力があることが示されたと思っています。
 日本共産党は、今月の16日、「今こそ、ワクチン接種と一体に大規模検査を求める」と題した緊急要請を菅首相に行いました。東京都が行ったモニタリング検査の結果では、陽性率が濃厚接触者などへの検査結果の10倍以上になりました。このことは、感染に気づかず、ふだんどおりに生活する無症状感染者がたくさんいることを示しています。
 また、本市は、昨年11月に繁華街などの飲食店従業員希望者1,797人を検査し、3名の陽性者を把握しました。市は、その結果として無症状感染者を発見し、2次感染の把握につながり、感染拡大を最小限にとどめたと評価をしています。
 そこで、お聞きします。
 高齢者施設、障害者施設、学校、保育所、児童クラブなど従業員や利用者は定期的に繰り返し検査を行うその意義と必要があると考えますが、市の考えはどうか。
 次に、事業者支援についてです。
 先ほど県と協調したのは、事業継続を緊急に支援するためとの答弁でした。支給を早くすることは重要ですが、そのために支援の手が届かない業者があってはならないと思います。
 新型コロナの感染拡大は、全ての住民、事業者が影響を受けています。中小企業白書2021では、中小企業は売上げが10%以上減少すると赤字になることが示されています。本市は、売上げ30%以上減少を条件とするのではなく、新型コロナで困っている事業者を広く支援する姿勢を示すべきです。
 そこで、お聞きします。
 コロナ危機で困っている事業者を支援するなら、せめて売上げが10%以上減少した事業者から対象にすべきではないかと考えますが、いかがでしょう。
 次に、コロナ禍での学校教育活動についてお聞きします。
 本市では児童クラブでクラスターが発生するなど感染が子供たちにも広がり、保護者からも不安の声が挙がっています。感染が心配で学校に行けない子供たちは欠席扱いになるのか、万が一クラスなどに感染者が出た場合、どのような対処をするのか、心配事は多岐にわたっています。
 そこで、お聞きします。
 学校での感染拡大防止対策はどのようになっているのか。
 この間、コロナ禍の下で生理の貧困が社会問題となりました。本市は、市内33か所の公共施設で生理用品の無料提供を始めています。
 また、学校では保健室で渡すようにしていますが、恥ずかしい気持ちから、気軽に利用できない子供たちがいるとの声が聞こえています。全国ではトイレに備え付けている学校もあり、掛川市も試行的に取り組むと報じられています。
 トイレには生理現象に対応するため、トイレットペーパーが常備されています。女性の生理も同じような生理現象と考えれば、トイレに常備してもおかしくはないと思います。生活困窮者対策として始まった生理用品の配布ですが、この機会に発想を変えるべきではないかと考えます。
 そこで、お聞きします。
 学校トイレに生理用品を備え付けることはできないのか。
 次に、静岡型小中一貫教育の2022年度一斉実施についてです。
 先ほどの答弁では、一貫教育を進める理由として、9年間の連続性のある指導で学びの質を高めるとのことでしたが、私が今感じているなぜ6・3制では駄目なのか、この疑問に答えるものではなかったというように思います。
 さて、この小中一貫教育を進めるに当たり、実践研究の中で大きく3つの課題が挙げられました。その1つが、1つの小学校から複数の中学校に進む場合の小中一貫教育の在り方です。このような小学校は複数あり、例えば竜南小学校の場合、児童は3つの中学校に進学をします。中学校ごとに目指す目標は違うし、児童が交流する中学校も別々です。同じクラスの子供たちが違う目標を持ち、違う中学校や地域と交流するわけで、担任の教師も別々の中学校に進学する児童を一緒のクラスで育てることになります。これで1つの小学校としてまとまっていけるのか、子供たちに混乱を招かないのか、疑問が拭えません。
 そこで、お聞きします。
 進学先が複数の中学校にわたる小学校がある状況への対応はどうなっているのか。
 もう1点伺いたいのは、2022年度一斉実施に向けてのスケジュールは予定どおりに進んでいるかという点です。
 計画では、2016年度から6年間かけて4つの視点、1、学校の教育目標の共有、2、9年間の連続性・系統性を強化した教育課程の編成、3、協働・交流のある教育、4、地域と連携する教育、この4つを実施しながら準備を進めるとしています。
 しかし、新型コロナの感染拡大で、昨年度からは予定どおりに進められていないのではないでしょうか。特に小学校と中学校との交流、地域との連携・交流などはどうなっているのか。
 教育委員会の今年度所管事務概要資料の中でも、懸案事項として、体制整備の遅れがあるグループがあることや地域において十分に理解が進んでいないことなどが挙げられています。私はもともと小中一貫教育については疑問があり、このような中で見切り発車的にスタートさせていいとは思いません。
 そこで、お聞きします。
 静岡型小中一貫教育一斉スタートに向けた進捗状況はどうなっているのか。
 以上、2回目です。

◯保健所統括監(松田仁之君) 保健所清水支所の保健所への格上げについてですが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の対応など感染症対策を行う上で受入れ病院や関係機関との連携が重要であり、統括機能を一本化することにより効率的な対応ができております。
 また、患者の発生に伴う積極的疫学調査においても、統一的な視点や情報を一元化することにより、濃厚接触者の特定や検査を速やかに実施することができ、感染拡大防止が図られております。
 そのため、保健所清水支所を保健所に格上げするよりも、保健所を1か所としてそのマンパワーの充実により機能強化を図り、対応していきたいと考えております。

◯保健衛生医療統括監(長谷川 誠君) 高齢者施設、障害者施設、学校、保育所、児童クラブなどの従事者や利用者への検査についてですが、これらの施設は感染が拡大するリスクが高いことから、これまでも陽性者が判明した場合には濃厚接触者だけでなく、接触の可能性のある方を広く対象者として検査しています。
 本年8月のいわゆる第5波の際には、保健所の業務が逼迫することもありましたが、今後も感染者の早期発見及び早期介入を図るため、引き続き濃厚接触者の特定や検査の速やかな実施に努めてまいります。
 なお、高齢者施設及び障害者施設のうち希望のあった施設と市立の小中高等学校については、厚生労働省または文部科学省から抗原簡易キットを配布していただくことで早期発見につなげ、感染拡大の防止を図ってまいりたいと考えています。

◯経済局長(加納弘敏君) 本市応援金の対象を売上げが10%以上の減少からにすべきとのことについてですが、今回の本市の応援金は、昨年または一昨年の対象月と比べ30%以上50%未満の売上減少を対象としています。この理由としては、昨年度、エール静岡事業者応援金を実施した際、経営改善などの企業努力のみでは早期の回復が難しい水準として中小企業診断士や金融機関、経済団体関係者等へのヒアリングで挙げられた30%以上の売上減少を目安としたことなどを踏まえ、今回の支給要件としたところでございます。

◯教育局長(青嶋浩義君) 最初に、コロナ禍での学校教育活動に関する2つの質問についてお答えします。
 まず、学校での感染拡大防止対策についてですが、現在、変異株への置き換わりが進む中で児童生徒への感染拡大を未然に防ぐため、学校内での感染症対策を一層強化していく必要があると考えます。そのため学校では、3密の回避と丁寧な手洗い、マスクの適切な着用など、これまで以上に感染症対策の徹底を図っております。
 このような中で学校において感染者が発生した場合の対応については、文部科学省のガイドラインに基づき、臨時休業実施の判断基準や期間の目安について本市の対応方針を見直し、各小中学校に示したところです。この対応方針では、学校内で感染が広がっている可能性が高いと判断した場合には、児童生徒の生命、安全・安心を最優先し、学級閉鎖、学年閉鎖など臨時休業の範囲や期間などについて迅速かつ適切に判断して実施することとし、感染拡大を防止します。
 一方で、コロナ禍においても学校は児童生徒の学びを保障していくため、臨時休業等によりやむを得ず登校できない児童生徒に対しては、各学校の実情に併せた方法で学習プリントの配布やオンラインを活用するなど可能な限り工夫をして、教育活動を継続してまいります。
 次に、学校トイレに生理用品を備え付けることについてですが、本年5月、コロナ禍における女性の負担軽減の支援として、学校において、不安や様々な課題を抱える女子児童生徒に生理用品を無償配布することとしました。
 それまでは家庭で用意できなかったり、忘れたりして急に必要となった児童生徒に保健室で貸与するなどしてまいりましたが、今回の無償配布を機に、返却を求めない対応に変更しました。
 思春期の児童生徒は少なからず何らかの悩みを抱えていると考えられます。したがって、生理用品をトイレに置くのではなく、教職員が児童生徒と顔を合わせ、直接生理用品を渡すことが児童生徒の体や心の変化を捉えるきっかけとなり、健康で衛生的な生活を送るための支援につながると考えております。配布に際しては、プライバシーに十分配慮するよう各学校に通知して、徹底しております。
 今後も、児童生徒がいつでも安心して相談でき、心身ともに健康な学校生活を送るために一人一人に寄り添い、不安や困難に応じた支援をしてまいります。
 続いて、小中一貫教育の2022年度一斉実施の2つの質問についてお答えします。
 まず、進学先が複数の中学校にわたる小学校がある状況への対応についてですが、市内には進学先の中学校が複数に分かれており、小中一貫グループ校以外の中学校に進学する小学校が5校存在します。
 このような小学校については、平成30年度から実証研究を行うなど、より丁寧に準備を進めています。具体的には、小中一貫教育の学校教育目標や軸となる取組のテーマについて、進学する各中学校と共通性のあるものにしています。
 加えて、中学校体験や挨拶運動など小学生と中学生の交流については、小学生が自分の進学するそれぞれの中学校と実施できるようにするなど、円滑に中学校教育に移行できるよう連携を図っております。
 また、共通した取組が多い教科指導や生活指導などについて、グループ校で実施する合同研修会に、グループ校以外で進学に関係する小学校や中学校の教職員も参加しております。グループ校の枠を超え、情報を確実に共有するなど、どの児童にとっても進学先の中学校とのつながりが感じられるよう、より丁寧に取組を進めています。
 次に、一斉スタートに向けた進捗状況についてですが、小中一貫教育については、平成28年度から各グループ校が準備を着実に重ねてきたため、新型コロナウイルスの感染拡大が令和4年度からの一斉スタートの計画に大きく影響することはありませんでした。
 感染症の影響で対面での児童生徒の交流が実施できないこともありましたが、オンラインを活用しての交流に変えたり、あるいは実施時期を見直すなど各校の工夫により子供たちが互いの学校や取組について理解を深めることができました。
 また、地域に対しては学校だよりや地域説明会などを通じて保護者や地域の皆様に理解を深めていただけるよう、各グループ校で広報活動を進めています。あわせて、市のホームページにも取組の事例を掲載し、広く周知を図っているところです。
 このような準備を全てのグループ校で積み重ね、令和4年4月の一斉スタートを迎えたいと考えております。
 

◯杉本 護 3回目は意見・要望です。
 まず、市長の政治姿勢についてです。
 リニア工事については、自然の保全との調和を強調され、一定の変化は容認されるかのように私には聞こえました。水の減量は命と暮らしに関わる大問題であり、自然は一度壊したら元には戻れません。そのことも市長は十分に承知のことと思います。JR東海にはそういった点を毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。
 そして、私は、この間の様々な研究者や学者さんと共に学んだ中では、本気で水を守ろうと思ったらリニア工事は中止しかないと思っています。
 温室効果ガスの削減目標について、国際的な潮流を見据えて定めるとの答弁には正直失望しました。国連の45%の削減目標は、人類の存亡がかかった気候危機から救う最低限の目標です。既に50%を超える目標を掲げている先進国がある中、SDGsの推進を自称するなら、周りの様子を見るのではなく、先進を切った目標を持っていただきたい。そして、本市には、そうしたポテンシャルは十分にあると考えています。
 次に、新型コロナ対策についてです。
 まず、保健所の体制強化は、本市は清水区に保健所をつくるより現在の保健所1か所でマンパワーの強化のほうが合理的とのような考えです。
 私は、保健所というのは日常的に地域と密接に関わり、その地域をよく知ることで適切な対応ができると思います。静岡市は面積が広範囲になり、本市は身近な保健所として、まずは清水区に保健所を復活させることが必要と考えています。そして、保健師などの体制強化は言うまでもありません。
 PCR検査についてです。
 今、答弁では、要するに症状が出たらすぐさま検査をする、そして広く検査をするという言い方です。この新型コロナというのは、症状がない感染者がいることが特徴です。しかも感染が強いと言われています。症状が出る前に早く把握するためには、やはり症状が出た後の検査ではなく、出る前の大規模な検査、ワクチンと一緒にやるしかこれを抑えていく方法はないと私は考えています。ぜひそういった点をもう一度市のほうも考えていただいて、様々、今キットも出ていますから、そういったことも活用して広く検査をしていただきたいと思います。
 次に、事業者支援についてです。
 今回の応援金は、国や県の自粛要請の影響による売上減少に対する支援です。影響を受けている、そして赤字になっている事業者を支援するのが筋だと考えています。
 そういう意味では、30%以上が、自力で駄目だという考え方ではなくて、この緊急事態宣言の中で影響を受けている事業者全てを救うという立場で支援をしていただきたいと思います。
 学校での生理用品の配布ですが、様々な機会で子供たちの変化を捉えることは、私も大切と思っています。
 しかし、そうしたことはゆとりを持って子供たちと接していれば見えてくるし、相談もしてくれるのではないでしょうか。あえて生理用品を使って子供たちを誘導するようなことを考えずに、保健室にもトイレにもあっていいのではないかと思います。
 最後に、静岡型小中一貫教育です。
 一斉スタートに対して新型コロナの影響はほとんどないという答弁でした。しかし、果たしてそうでしょうか。もう一度、地域の意見も聞きながら検討していただきたいと思います。
 以上で全ての質問を終わります。