1.静岡市の地域経済振興について  2.デジタル社会について 3.ジェンダー平等社会について

◯杉本 護
 それでは、通告に従って質問します。
 まず、静岡市の地域経済振興に関わって、静岡市中小企業・小規模企業振興条例をどう生かすかについてです。
 新型コロナウイルス感染症拡大の下、疲弊している中小業者を支援するため、今こそこの条例を生かすときだと思います。
 そこで、幾つかお聞きします。
 振興条例の第12条で規定した総合計画が静岡市産業振興プランとされ、資料1にあるとおり、産業活性化懇話会が意見や助言を行い、産業振興戦略会議が意思決定します。
 そこに、第13条によって、計画を実施するための意見聴取をする場として、中小企業・小規模企業応援会議が設置されました。
 そこで、お聞きします。
 産業振興プランの策定や推進に当たり、懇話会と応援会議はそれぞれどのような役割を担っているのか、お願いします。
 振興条例の第11条で、基本的施策がうたわれています。これが、産業振興プランの中で具体化されるわけですが、分かりづらい施策があります。
 そこで、お聞きします。
 振興条例第11条に規定する労働環境の改善の支援に関する施策、そして、災害時等において事業を継続するための取組の支援に関する施策、これは産業振興プランの中でどのように反映されているのか、お願いします。
 さて、2022年度は第2次産業振興プランの後期計画最終年度です。この計画作成時には、新型コロナによる現在のような経済情勢を予測はしていなかったと思います。今後の計画では、ウィズコロナ、ポストコロナの施策が求められます。
 そこで、お聞きします。
 産業振興プラン後期計画の進捗状況や成果、次期計画に盛り込むべき新たな課題は何か、お願いします。
 応援会議は、令和2年度に提言をまとめ、3つの視点で具体的な施策案を示しています。
 そこで、お聞きします。
 市はこの応援会議からの提案をどのように受け止めて、具体的な施策としてどのように反映させているのか、お願いします。
 次に、デジタル社会についてです。
 まず、個人情報の保護についてですが、国の自治体DX推進計画を受けて、本市は静岡市デジタル化推進プランを策定しました。この推進プランには、誰もがデジタル化によって豊かさを享受できる地域社会が描かれていますが、同時に、市の保有する個人情報をオープンデータ化して、企業が利活用することになります。
 そのような中で、個人情報がしっかりと守られるかが問われています。2020年版情報通信白書によると、企業などが提供するサービスを利用する際の個人データの活用について、「安心・安全性を重視するべきである」、それと「どちらかというと重視すべき」、これを合わせて79%になっています。本市はこうした思いに寄り添った行政運営をすべきです。
 そこで、まず、本市で保有する個人情報の取扱いについて、2点お聞きします。
 1点目は、静岡市個人情報保護条例に規定する収集及び利用の制限の例外として、法令等に定めがある場合と規定されていますが、どのような法令等があるのか。
 2点目は、個人情報を取り扱う業務を外部委託する場合に、受託業者における個人情報の取扱いに制限があるか、また、受託業者において情報漏えいが発生した場合の処分規定は設けているか、お願いします。
 国が個人情報保護法を改定する下で、情報の収集や利用の制限を例外的に認める場合に、本人通知義務を規定する自治体が、今、増えています。また、デジタル先進国では、個人情報保護の強化が欠かせないものとなっています。
 EUの一般データ保護規則──GDPRをはじめ、台湾、韓国などでは、個人情報を守るための忘れられる権利、つまり自分のデータの完全削除、消去、利用停止を求める権利など、個人情報の扱いを自分で決定する権利が確立しています。
 さらに、AIなどを用いて、人物像や今後の行動などを推測して特定のカテゴリーに分類するプロファイリングは、クレジットカードの自動審査などに使われていますが、これは適切な保護を必要とする個人の権利と自由に重大なリスクをもたらす可能性があるとされ、GDPRには、プロファイリングに異議を唱える権利、自動処理による決定の対象にならない権利などが盛り込まれています。
 そして、違反した企業への罰金は、日本は最高1億円であるのに対し、GDPRでは巨額の罰金が規定されて、最近ではアマゾンに970億円の制裁金が科されています。
 また、顔認証データの収集は監視社会をつくります。JR東日本が顔認証機能付カメラを駅や車両基地などに設置して、データベースに登録した刑務所の出所者や仮出所者などと照合しています。まさに監視社会の始まりであり、このような社会を望んでいる市民はいないと思います。
 そこで、静岡市個人情報保護条例の改正に関して、2点お聞きします。
 1点目は、市が保有する個人情報を匿名加工すれば、第三者に提供できるのか。
 2点目は、本市の保護条例に本人通知義務、忘れられる権利、プロファイリングを拒否する権利、そして、顔認証の収集を原則禁止、こういった内容を規定すべきと考えますが、市はどのように考えるのか、お願いします。
 次に、ジェンダー平等社会について。まず、令和3年度男女共同参画に関する市民意識調査についてです。
 調査の結果から、今後留意する主な観点として、ジェンダー平等問題について男性のほうが認識が弱いが、しかし、意識の変化は大きいこと、また、市内の様々な社会的アクターへの働きかけや連携を強化すること、そして、女性の困難に対応する柔軟な行政などが挙げられています。調査結果は、2023年度からの新たな男女共同参画行動計画策定の重要な資料となります。
 そこで、お聞きします。
 市民意識調査の結果を受けて、これまでの取組の成果と課題についてどう考えているか。また、次期行動計画策定ではどのようなメンバーが関わり、どのような議論を積み重ねていくのか、お願いします。
 次に、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについてです。
 これは、性と生殖に関わる健康と権利と訳されます。1994年にカイロで開催された国際人口開発会議──ICPDで公式に提唱され、具体的には4点、女性自ら妊娠を調整し抑制できる権利、全ての女性が安全な妊娠と出産を享受できる権利、全ての新生児が健全な小児期を享受できる権利、そして、性感染症のおそれなしに性的関係が持てる権利などとされていて、子供を産む本人である女性の自己決定権が基本的な人権として尊重されるべきという概念です。
 現在、日本では人工妊娠中絶件数は年間16万件前後で、10歳から20歳代で半数を超えます。同意なき性行為、性暴力や経済的理由、未婚などによるものです。そして、多くの女性が中絶したことを抱えながら深く傷つき苦しんでいます。
 同意なき性行為について、ジャーナリストの伊藤詩織さんのように裁判所に訴える方はほんの僅か。多くの女性は泣き寝入りしているのが現状です。性犯罪のない、女性の権利が保障される社会をつくるのは、政治の責任であり、本市が取り組むSDGsのターゲットの1つにもなっています。
 そこで、お聞きします。
 市は、このリプロダクティブ・ヘルス/ライツについてどのように受け止め、そして、どのように取り組んでいるのか、お願いします。
 近年、性被害に遭う子供の年齢も低年齢化しています。性犯罪の加害者にも被害者にもならないためには、性教育は必要ではないかと思います。
 性教育については、国連が日本に対して、思春期の女子及び男子を対象とした性と生殖に関する教育が学校の必修カリキュラムの一部として一貫して実施するよう勧告しています。どのような性教育をするのがいいのか、また、どこまで教えるべきなのかなど、教育の現場と保護者の間でも考え方の違いなどもあるのではないかと思います。
 子供の年齢、発達に応じた科学的な包括的性教育として、ユネスコの国際セクシュアリティ教育ガイダンスがあり、これが国際的な指針となっています。日本では、秋田県が中学校、高校での性教育講座で、生命の大切さ、性感染症、男女交際、妊娠、出産、避妊、妊娠中絶などについて産婦人科医や内科医が学校ごとの実態に即した講演を行っています。そうした取組で10歳代の人工中絶がピーク時の3分の1に減少し、全国平均も下回るようになったということです。
 ここで、お聞きします。
 小中学校の学校現場では、どのような性教育をしているのか。また、どのような課題があると考えているのか。
 以上、1回目です。

◯経済局長(加納弘敏君)
 中小企業・小規模企業振興条例に関する4点の質問にお答えします。
 まず、産業活性化懇話会と中小企業・小規模企業応援会議の役割についてですが、産業活性化懇話会からは、次期産業振興プランの策定に当たり、目指すべき姿やその実現に向けた政策の方向性などについて御意見をいただくとともに、プランの推進について指標や実施事業全体の進捗状況を確認していただいております。
 一方、中小企業・小規模企業応援会議からは、プラン策定に当たり、より現場目線で中小企業等を取り巻く環境や課題、それを踏まえた具体的な支援策等について御意見をいただくとともに、プランの推進については、主に個別事業の改善、拡充に向けた御提案をいただいております。
 次に、中小企業・小規模企業振興条例に規定する基本的施策の産業振興プランへの反映状況についてですが、条例第11条に規定する市が講じる中小企業・小規模企業等の振興に必要な基本的施策は、第2次産業振興プランにおいて、分野ごとにそれぞれの将来像と政策、施策の体系をまとめた分野別計画に示されています。
 御質問の労働環境の改善の支援に関する施策については、同プランの商工・物流分野における施策の1つ、良質な就労環境の創出として記載されています。
 また、災害時において事業を継続するための取組の支援に関する施策も同様に、中小企業の経営基盤・競争力の強化として記載されており、これに基づいて、BCP作成に向けたセミナーや補助事業等を実施しております。
 次に、第2次産業振興プラン後期計画の進捗状況と成果、次期計画に盛り込む新たな課題についてですが、まず、進捗状況は、プランの全体目標として掲げた市内総生産額3兆2,140億円、市内従業員数34万3,100人はいずれも達成見込みでありまして、個別の取組の成果指標についてもおおむね達成が見込まれており、ほぼ順調に進捗しております。
 その成果としては、物流関連企業の立地や産学官連携による海洋資源を活用した産業化など、地域経済を牽引する戦略産業の振興、創出が図られたこと、市産学交流センター内へのコ・ワーキングスペースの設置など、様々な主体による連携型の支援体制が構築できたこと、そして、企業OBの活用促進やNEXTワークしずおかの設置などにより、多様な人材の育成、確保を推進できたことなどが挙げられます。
 また、次期計画に向けた課題ですが、これまでの成果を次につなげていくとともに、グリーンやデジタルといった世界的な潮流やコロナによる様々な環境変化をどのように本市の産業振興につなげるかが肝要となりますので、これらの視点をしっかりと押さえてまいります。
 最後に、中小企業・小規模企業応援会議からの提案の受け止めと施策への反映状況についてですが、この会議からは、中小企業が抱える課題解決に向け、知る・知らせる、新たに取り組む、学ぶの3つの視点からの御提案をいただいており、本市の支援策検討に当たって、大変有意義な御意見として受け止め、しっかりと施策に反映するよう努めております。
 具体例として、知る・知らせるの視点では、企業同士、学生などのつながる場として、コ・クリエーションスペースを設置したほか、WeWorkを活用した首都圏プロモーションや企業の価値を情報発信する各種表彰事業の効果的な実施などに反映しています。
 次に、新たに取り組むの視点では、デジタルトランスフォーメーションの推進や、事業再構築などに向けた支援、また、兼業、副業人材の活用を図る事業の立ち上げなどに反映しております。
 そして、学ぶの視点では、高校生や大学生が地元の中小企業について学び、関心を持っていただくといった施策などの実施に反映してございます。

◯総務局長(渡辺裕一君)
 個人情報の保護に関する4点の質問について、一括してお答えいたします。
 まず、静岡市個人情報保護条例における収集及び利用の制限の例外となる法令等についてですが、当該法令等は複数あり、住民基本台帳法や公職選挙法などが挙げられます。前者は、個人の戸籍情報に変更があった際に他市町村からその内容を受け取る場合、後者は、選挙人名簿を作成するために住民基本台帳の記録を利用する場合が例外に当たります。
 次に、静岡市が委託した事業者における個人情報の取扱いについてですが、受託業者との契約事項に、個人情報の収集、利用、提供の制限や個人情報を含む資料の複製制限などを規定しております。
 情報漏えいがあった場合の処分規定については、条例で、事業者が正当な理由なく個人の秘密が記載されたファイルを第三者に提供した場合は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金、業務で知り得た個人情報を不正な利益を図る目的で第三者に提供したり、盗用したりした場合に、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処することなどを定めております。
 次に、市が保有する個人情報を匿名加工すれば第三者に提供できるかについてですが、令和3年5月に改正個人情報保護法が公布され、地方公共団体では2年以内に条例を改正する必要があるため、現在その準備を行っているところでございます。
 匿名加工した個人情報は、改正法の規定に基づき提供が可能となるため、今後、運用に当たって加工方法や使用目的が適正かどうかの審査手続などについて、国等と情報交換を行って整理してまいります。
 最後に、本人通知義務などの内容の規定についてですが、本人通知義務については改正法に規定がございますが、いわゆる忘れられる権利などについては改正法に規定がないため、今後、国等からの情報収集に努めてまいります。

◯市民局長(秋山 健君)
 ジェンダー平等社会についての2点の質問にお答えいたします。
 最初に、市民意識調査の結果を受けての第3次男女共同参画行動計画の取組の成果と課題及び次期計画策定のプロセスについてですが、第3次行動計画に基づき固定的性別役割分担意識の解消に取り組んでおりますが、今回の調査では、68.5%の人が男女の役割を分けて固定的に考えることについて反対と回答しており、令和元年度の内閣府の調査の59.8%を8.7ポイント上回りました。
 中でも、重点目標として取り組んでいる、男性にとっての男女共同参画の推進においては、成果指標である男性の育児・介護休業の取得に賛成と回答した男性が79.0%で、令和4年度の到達目標である80%をほぼ達成しています。これらのことから、市民の皆さんのジェンダー平等意識の浸透というこれまでの取組の成果を確認できました。
 一方で、男女とも仕事と家庭生活をともに優先したいと望みながら、実際には男性は仕事を、女性は家庭生活を優先せざるを得ない状況であり、従来の男性中心型雇用慣行が根強く残っているという現状、課題が明らかになりました。
 このため、今後は男性の家事、育児等への参画促進や女性のキャリア形成支援に加え、男女とも働きやすく、能力を発揮できる職場となるように、経営者層等への働きかけを行ってまいります。
 次に、第4次行動計画の策定ですが、令和3年11月に、附属機関である男女共同参画審議会に対して計画策定の諮問を行いました。審議会では、学識経験者、団体代表、市民委員など20代から70代までの委員15名で検討を行っています。
 今後は、市長をトップとする庁内組織の男女共同参画推進会議においても議論を深めるとともに、パブリックコメントなどで広く市民の皆さんの意見を聞きながら、計画を策定してまいります。
 続いて、リプロダクティブ・ヘルス/ライツをどう受け止め、どう取り組んでいるのかについてですが、本市では、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの重要性を踏まえ、その視点から、第3次男女共同参画行動計画の基本目標10の「生涯を通じた男女の健康支援」において、心身両面における健康支援や相談体制の充実など、総合的な取組の必要性を明記しています。
 このリプロダクティブ・ヘルス/ライツは、人が生まれながらに持つ権利であり、その権利が侵害されないようにするためには、性に対する正しい理解や知識を持ってもらうことが重要です。
 そのため、男女共同参画の視点から、性や妊娠、出産などに対する正しい理解を深め、相手を思いやることの大切さを伝えるため、中学校出前講座「豊かなセクシュアリティ」やデートDV防止の高校出前講座を開催しております。
 そのほか、静岡市女性会館で週5日、女性のための総合相談を実施し、ジェンダーの視点に立ち、女性の心や健康などの悩み、問題の解決のため支援を行っております。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 小中学校における性に関する指導の現状と課題についてですが、学校現場においては、学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動を取れるようになることを目的に性に関する指導を実施しています。
 具体的には、小学校体育科で体の発育、発達を、中学校保健体育科で生殖に関わる機能を、特別活動では男女相互の協力について指導しています。その際、集団で一律に指導する内容と児童生徒の個々の状況に応じて個別に指導する内容を区別するなど、計画性を持って指導しています。
 課題としては、教員では対応が難しいより専門的な支援の充実も必要であることから、教育委員会では、民間教育力活用事業として、学校のニーズに応じて性感染症や望まない妊娠等について指導するため、医療関係者を派遣するなどの対応を行っています。
 今後も、児童生徒の発達段階を踏まえ、学校全体の共通理解の下、性に関する指導を実施してまいります。
 

◯杉本 護
 それでは、2回目の質問を続けます。
 中小企業の支援策についてです。
 新型コロナが収まらない中で、中小業者は経営を維持するために必死の努力をしています。この間、ある理容店から、飲食店ばかり支援して、コロナで影響があるのにどの支援も当てはまらない。市は何もしてくれない、こういった怒りの声をお聞きしています。
 新型コロナ対策として、国は売上げが30%以上減少した事業者に支援金、県は売上げが20%以上30%未満減少した事業者に応援金を支給します。しかし、中小業者は売上げが僅か10%減少しても赤字となります。市はこのように困っている事業者全てを支援すべきです。
 そこで、お聞きします。
 国、県と連携して、本市が売上げ10%以上20%未満減少した事業者を対象とした給付金を創設すれば、少なくとも売上げが10%以上減少した全ての事業者に支援の手が届くのではないかと考えますが、市の考えはどうか、お願いします。
 中小企業の支援策として、もう1点伺います。
 日本共産党市議団は、住宅リフォーム助成制度の創設を一貫して求めています。市内の建築業界も高齢化が進み、後継ぎがいないなど、この先が危ぶまれています。
 この制度は県内20の市町で継続的に実施され、指定した材料などの条件がない制度は、屋根工事や水回りなどにも使えて、使い勝手がよいと仕事おこしになっています。また、経済波及効果も京都府与謝野町で24倍という数字が示され、この間、質問のときにお答えになった市の地域消費促進事業の波及効果6.6倍をはるかに超えています。なぜ本市は取り組まないのか不思議でなりません。
 改めてお聞きします。
 建築に関わる業者の仕事づくりや地域経済の振興策として、住宅リフォーム助成制度を創設すべきと考えますが、お答えをお願いします。
 デジタル社会についてですが、1回目の質問で、我が国の改正個人情報保護法はいわゆる忘れられる権利などの指定はなく、全く不十分なままデジタル化を進めていることが明らかになりました。その状況で市民のプライバシーを守る最後のとりでは地方自治体です。
 デジタル庁はガバメントクラウドの先行事業に、米国のアマゾン社のAWSとグーグル社のクラウドサービスを使うと発表しています。そして、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律の第10条では、地方公共団体は、クラウドを活用して地方公共団体情報システムを利用するよう努めるとなっています。しかし、これは義務とはなっていません。
 さて、米国のクラウド法では、自国の企業に対して、所有、保護及び管理するデータの提供を求めた場合、企業はこの命令に従わなければならないことになっています。つまり、自治体が情報システムの管理に米国のアマゾンやグーグルのガバメントクラウドを使うと、自治体の保有する重要な個人情報が米国政府に渡ることになります。そうなった場合、市はどのように責任を取るのでしょうか。
 そこで、お聞きします。
 米国政府からの情報開示請求を拒めないアマゾンやグーグルのガバメントクラウドを使うべきではないと考えますが、市の考えはどうか、お願いします。
 次に、マイナンバーカードの利用についてです。
 本市の交付率は、お手元の資料2のとおり、2019年までの4年間で僅か15.15%だったのに、2020年にカード取得者にポイントの付与というサービスをつけてから、2022年1月末で41.96%になっています。まさにニンジンをぶら下げて普及に躍起になっている姿が見えますが、逆に見れば、市民は必要性を感じていないということです。
 政府は、マイナンバーカードの機能拡大を進めています。マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせ、将来は運転免許証や大学の学生証、在留カードとの一体化、さらに、全ての預貯金口座や国税、年金とマイナンバーカードとのひもづけも企んでいます。このように、1つのカードに多くの情報が集約されれば、情報漏えいの危険性も高まります。
 ですから、デジタル先進国では個人情報を保護するための法整備を進め、国民の理解を得る努力をしています。しかし、今の日本はそうなっていないのは先ほど来の質問でも明らかだと思います。
 そこで、お聞きします。
 個人情報を保護する仕組みや情報漏えいした場合の責任、補償などが不十分な下で、マイナンバーカードの普及促進はやめるべきと考えますが、市の考えはどうか、お願いします。
 次に、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関して、もう1点お聞きします。
 昨年9月、私が9月議会で質問したとき、学校トイレに生理用品の設置を求めた際、当局は、児童生徒に直接渡すことが悩みなどを捉えるきっかけとなり支援につながる、こういった旨の答弁をし、設置には否定的でした。
 しかし、本日言っているこのリプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点に立てば、子供を産む機能を持つ女性には、いつも清潔でいられる権利があります。その意味では、本来、全ての公共施設のトイレにトイレットペーパーがあるように、生理用品もある社会が求められると思います。そうした社会を学校のトイレで実現するのは、生きた教育と思います。
 改めてお聞きします。
 リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点に立って、学校のトイレに生理用品を設置すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、2回目です。

◯経済局長(加納弘敏君)
 中小企業支援についての2点の質問にお答えいたします。
 まず、売上げが10%以上減少した事業者に対する支援についてですが、令和2年度にエール静岡事業者応援金、また、本年度に静岡市事業者応援金をそれぞれ実施した際、支援対象として30%以上の売上げ減少を基準として設定いたしました。これは、制度設計の際、中小企業診断士や金融機関、経済団体関係者などへのヒアリングにおいて、経営改善などの企業努力のみでは早期の回復が難しい水準として30%以上の売上げ減少が1つの目安として示されたことを踏まえたものでございます。
 現時点においても同様と考えることから、売上げ減少が30%に満たない事業者に対する現金給付による支援は、現在、考えておりません。
 次に、住宅リフォーム助成制度の創設についてですが、建築に関わる事業者も含め、中小事業者全般に対する支援として、これまでも資金繰り支援や経営相談等により、事業継続に向けた支援を行っております。
 また、地域経済の振興施策として、消費喚起事業などを通じ、様々な事業者への支援に取り組んでいるところでございます。
 このようなことから、現時点で住宅リフォーム助成制度を創設する予定はございませんが、引き続き、現在実施している施策を通じ、幅広い事業者への支援に努めるとともに、事業拡大や新分野への進出などに前向きに取り組む中小企業者に対する新たな支援なども行い、地域経済の振興に努めてまいります。

◯デジタル統括監(猪鼻信雄君)
 アマゾンやグーグルのガバメントクラウドの利用についてですが、国においては、国及び地方公共団体の情報システムを共同利用するガバメントクラウドサービスの提供事業者について、裁判管轄を国内とするなどのセキュリティー要件を付して公募し、現時点では、議員御指摘のとおり、米国に本社を置く2社を選定しました。
 現時点で国からのガバメントクラウドの利用について詳細が示されていないことから、動向を注視しつつ、今後、本市においてもシステム標準化対象20業務のクラウド利用について検討を進めてまいります。
 次に、情報漏えいなど個人情報保護への課題がある中でのマイナンバーカードの普及促進に係る考えについてですが、このマイナンバー制度においても、情報漏えい等に対する様々なセキュリティー対策が講じられております。
 まず、市民の皆さんがお持ちのマイナンバーカードには、御本人のお名前や住所、生年月日、性別の基本4情報が記録されておりますが、これ以外の連携情報である税金や年金、病歴といったプライバシー性の高い情報はカード内に記録されておらず、万が一カードの盗難や紛失があっても、カード単体では本人の重要な連携情報が漏えいすることはありません。
 また、運用を行うシステム面においても、情報漏えいの連鎖を防ぐため、データの分散管理が行われており、容易に連携情報を含めた全体の情報が分からない仕組みとなっています。
 さらに、マイナンバー情報を盗用、あるいは情報流出させるといった不正行為には、番号法第48条から57条にかけ罰則規定が設けられており、最高4年以下の懲役または200万円以下の罰金刑となるなど、抑止措置が講じられております。
 マイナンバー制度は、今後の行政のデジタル化における全国的な基盤となる制度であり、市民の皆さんに安心して御利用いただけるよう厳格な運用に努め、引き続きカードの普及促進と活用について取り組んでまいります。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 学校のトイレに生理用品を設置することについてですが、学校では、生理用品が保健室にあることを周知するとともに、必要となった児童生徒には、必要に応じた個数を配布し、安心して過ごすことができるよう対応しております。昨年5月からは、コロナ禍における女性の負担軽減支援として返却を求めないこととしています。
 思春期には体の変化が顕著になるため、児童生徒が自分の体の変化について理解することが必要です。本市では、生涯を通じて自己の健康管理が適切にできるよう、発達段階に応じた保健指導をしながら生理用品を手渡すことがより大切であると考えます。
 今後も、児童生徒がいつでも安心して相談でき、心身ともに健康な学校生活を送ることができるよう支援してまいります。
  

◯杉本 護
 3回目は意見・要望を言います。
 まず、産業振興プランですが、先ほどの答弁でかなりそれなりの策は行っているし、成果は上がったと思っています。しかし、私が質問した振興条例にある災害時の支援に関する施策、それが中小企業の経営基盤・競争力の強化にあると答えているんですが、私も読んだんですけれども、どこにも災害時の施策はありません。
 先ほど答弁でBCPと言いましたが、BCPのBの字も入っていません。時間がないので紹介できませんが、皆、平時における施策ばかりです。
 強いて言うなら融資がありますが、もしこれをもって災害時の施策と言うなら、このプランをつくるために多くの方々が関わって協力しているわけなんですが、そうした方々にも大変失礼な話だと思います。
 東日本大震災の被災地では、災害後、店舗や工場などを再建する設備投資への補助金などを各地で行っています。振興条例を全面的に生かして、今後検討する第3次産業振興プランには、そういった具体的な施策をぜひとも反映させていただきたいと思います。
 次に、中小企業の支援についてです。
 給付型の支援はしないということですが、新型コロナは災害ですよね、市長。大災害です。ですから、売上げが下がったのは本人の責任ではないんです、災害ですから。ですから、全ての業者を救うのがSDGsの精神です。
 そういう意味では、何%というふうに切るのではなくて、困っている業者全員を支援するという発想が必要ではないかと思います。
 さらに、住宅リフォーム助成制度についても、今回も前向きな答弁をもらえませんでした。ところが、産業振興プランには卸・小売、サービス、製造業、農林水産業と様々な業種に対して、一定程度そこにターゲットを当てた施策があります。しかし、建設業にはそういった具体的な施策がないと僕は思っています。
 ですから、建設業は何十種類という業種があって、ほとんどが中小業者は下請業者となっています。しかし、この住宅リフォームというのは、元請になることができる仕事なんですね。まさに仕事おこしです。そういう意味では、必ず来ると言われる東海地震、復興・復旧の最前線に立つのがやっぱり建設業者ですから、この方々の役割、社会インフラとも言うべき存在であり、その育成のためにも再検討をお願いしたいと思います。
 次に、デジタル社会についてです。
デジタル化によって便利なこともあると思います。しかし、個人情報保護を強化し、市民の理解と一体でなければなりません。当局は、マイナンバーカードについて情報漏えいの対策を施していると答弁しましたが、危険性がなくなるわけではありません。
 そもそもマイナンバーカードは国民の所得、資産、社会保障、給付、こういったものを把握して国民への徴税強化、給付削減を目指すことがつくったときの当初の考え方です。こういったものはやめるべきだと思います。
 最後に、ジェンダー平等社会についてです。
 本市の学校現場における性教育については、ぜひとも国際セクシュアリティ教育ガイダンス、これを踏まえて議論を積み重ねていただきたいと思います。
 また、学校トイレへの生理用品設置の問題ですが、全国では、急に始まったら保健室では間に合わない、あるいは健康管理に必要だ、こういった配慮をするということを前提に始まっています。ぜひ本市もそうしたことをもう一遍検討を加えていただきまして、設置を求めてすべての質問を終わります。