市の教職員不足解消の決め手は定数全てを正規職員にすること

◯杉本 護
 それでは、通告に従って質問します。
 今回は、静岡市の教職員不足をテーマとし、特に正規職員の採用について、市の考えをお聞きします。
 文科省は先頃、2021年4月始業時の教職員不足は、全国で2,558人という衝撃的な調査結果を公表しました。本市は小学校で1人でしたが、その後、5月1日時点で4人の不足と増加していました。
 今年度を見ると、本市は、4月7日の始業時の教職員不足は小学校で19人と異常な多さとなり、5月1日時点では中学校で新たに2人の欠員が生まれ、21人と増加しています。現時点での欠員は、小学校で18人、中学校で1人の合計19人、いまだに教職員不足が解消されていない状況です。
 日本共産党の宮本岳志衆院議員と吉良よし子参院議員が6月6日から12日に実施した緊急アンケートには、「欠員が続き担任未配置3クラス。児童も荒れている」、あるいは「補助職員が確保できず、体育・水泳を妊娠中の先生が指導」など、現場で働く先生たちの厳しい実態が寄せられています。
 本市は、クラス担任は配置されているようですが、クラスを持たない、いわゆる級外の先生が不足しています。クラス担任の先生も出張があり、本来なら級外の先生が空いたところをフォローするのですが、その先生がいないことで、2クラス合同で体育や理科の授業を行っている小学校があります。教職員不足は教師も大変ですが、子供たちへの丁寧な教育を損なうことになり、教職員の欠員を生まないようにすることは、教育委員会の最低限の仕事ではないかと思っています。
 まず、確認したいのは、静岡市職員定数条例は、教育委員会の事務部局及び教育機関の職員の定数を、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第19条及び第31条第3項の規定に基づき定めるとし、その中で教育機関の職員の定数については、「条例で定めなければならない。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。」とあります。
 そこで、静岡市職員定数条例で定めた職員の定義とその定数の扱いについて確認します。条例で定めた職員は全て正規職員でなければならないとの解釈でいいのか、お願いします。
  

◯教育局長(青嶋浩義君)
 静岡市職員定数条例で定めた職員の定義と定数についてですが、静岡市職員定数条例で定める職員とは、任期の定めのない常勤職員、任期付職員及び再任用職員のことです。これらの職は、常勤の職員であることから、条例で定める職員は全て常勤職員、いわゆるフルタイムの正規職員となります。そして、その数は、これらの職の職員数の上限を示すものです。

◯杉本 護
 少し分かりづらい答弁でしたが、要するに、定数条例に定めた定数は全て常勤職員である正規職員を前提として算定されているということ、そして、正規職員は条例定数を超えてはならない、このように理解します。
 そこで見ていただきたいのが、お手元に配布した資料の1)です。
 これは文科省が調査した2021年度の教員不足を都道府県、政令市別にまとめた表ですが、学校に配当されている定数より学校に配置されている教師の数が少ない分を不足としています。そして、この配当されている教員定数は、それぞれの自治体の教育委員会において学校に配置することとしている教師の数となっていて、配置されている教師の数には、正規職員以外の非常勤講師や短時間の再任用職員も、フルタイムの勤務時間数に応じて人数を換算して加えられています。ですから、本市の今年度始業時の19人の欠員は、非常勤講師などの非正規職員を含めてもなお足りない人数ということになります。
 この19人の欠員が出た要因について、昨日、山本議員の質問に答えて、主に教員志望者の減少、産休・育休の増加などを挙げています。確かにこうしたことも1つの要因かもしれません。しかし、私は、本来正規職員であるべき条例の定数に対して、圧倒的に正規職員数が不足しているということに根本的な問題があるように感じています。そこで、なぜそうなるのか、その要因を明らかにしていきたいと考えています。
 最初に、新規採用に関連して幾つかお聞きします。
 まず、2022年度の静岡市の小中学校の教職員数は、国の義務標準法による定数は何人で、教育委員会が定めた定数は何人か。さらに、今年度始業時に配置されていた正規職員の数は何人か、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 2022年度の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、いわゆる国の義務標準法による本市の教職員定数は2,971人です。この人数に静岡市型35人学級を完全実施するために市単独費用負担で17人を加えた2,988人が静岡市の教職員の定数となります。また、本年4月当初に配置されていた正規職員は2,834人となります。

◯杉本 護
 今の答弁で、4月当初の本市の正規職員は2,834人、教育委員会が必要とした定数どころか、それよりも少ない国の法定数より137人も少ないことが分かります。
 もう1つ、数字的なことをお聞きしたいと思います。
 2021年度、昨年度の国の義務標準法による定数は何人で、正規職員は何人だったか。また、新規採用者の募集人数と実際に採用した人数は何人か、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 2021年度の国の義務標準法による定数は2,961人です。また、昨年4月当初に配置されていた正規職員は2,852人です。
 昨年度の新規採用者の募集人数は、小中学校合わせて120人程度としており、実際に採用した人数は122人です。

◯杉本 護
 今、答弁いただいたように、昨年度も国の法定数より正規職員が109人少なかった。当然、教育委員会が決めた定数に対してはもっと少ないというふうになっています。そうした中で、募集をかけた新規採用者数は120人程度。これは、年度初めに不足している正規職員数程度の採用予定です。ところが、毎年100人を超える退職者がいて、産休・育休などもある中、200人を超える新規採用をしてもまだ足りない状況でこの程度しか新規採用の募集をかけないということは、初めから国の職員定数分すら正規職員で確保する気がないとしか思えません。
 そこでお聞きします。
 毎年の新規採用者数は、どのような方針で決めているのか、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 今後の児童生徒数の変動や教職員の退職者数等を踏まえた上で、安定した学校運営につながるよう新規採用者数を算定しております。
 これまで、児童生徒数の減少に伴い、国の義務標準法による定数が年々減少してまいりましたが、新規採用者数を増やすことで、正規職員の配置拡充に努めてまいりました。

◯杉本 護
 今、あたかも正規職員の拡充に努めているかのような答弁をされました。しかし、それならなぜ、長年、定数内の非正規職員が100人を超えているのか。とても拡充に努めているとは私は思えません。
 先ほど、今後の児童生徒数の変動や教職員の退職者数等も踏まえて新規採用者数を算定しているというふうにおっしゃっていました。本当にそうでしょうか。
 採用試験の第1次は7月に行います。そのときにはおよその募集人数は決まっています。ところが、その翌年の新年度の教員数を推計する調査ですね、最初の調査は9月10日です。これは、調査をする前に募集人数を決めていることになります。つまり、実際に必要な人数から募集人数を決めているのではないということです。初めから定数内の教員を全て正規職員にする気がなく、非正規も使って人数を合わせようとしていることは明らかです。
 私は、現状として正規の職員で定数を満たしていないなら、今後、その差を縮めていくように努力すべきだと思います。ましてや、教育委員会自らが必要とした定数は、子供たちに行き届いた教育をするために最低限必要な人数だと思います。そうした教職員は、雇用が安定して、しかも生涯の職業として取り組める正規職員にすべきではないかと思っています。
 そこでお聞きします。
 なぜ、教育委員会自らが学校に配置すべきとした教職員数の全てを正規職員にしようとしないのか、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 本市においても正規職員の配置拡充に努めているところですが、児童生徒数の減少傾向に不確定要素があったり、当該年度の児童生徒数が年度の開始時点には確定しなかったりする等の状況があるため、必要な教職員数は不確定な状況になっております。
 また、今後の定年引上げにより正規職員数が変動することも予測されるため、全てを正規職員とすることは困難であり、教職員の一部を臨時的任用により採用しております。

◯杉本 護
 必要な教員数について不確定な要素があることは、私も分かります。だからといって、毎年100人を超える非正規で補うのは、やっぱり異常だと思います。定年の引上げによって、将来、正規職員が増えるから今は増やせないと言いますけれども、今、現場の先生方は多忙で疲弊しているんです。
 なぜ私が正規職員にこだわるのか。非常勤講師や短期の再任用職員も、1日のフルタイムの時間で換算して定数に加えています。ですが、授業のみを行う非常勤講師の1日分と校務も行う正規職員の1日分では、明らかにやる仕事が違います。
 例えば、4年生の理科でゴーヤを育てる授業があるそうです。授業時間に手入れをして観察するそうですが、食物ですので、授業以外のところでも世話が必要になります。しかし、そうしたときの手助けは、やはり常勤の先生でなければできません。時短の先生方も、子供たちの様子をしっかりと見るために、接し方については、やっぱり常勤の先生とは違いがあるというふうに言っています。臨時や時短の先生方も、現場では一生懸命仕事をしています。しかし、正規と非正規ではやはりやれることに大きな違いがあり、非正規で人数合わせをしていることで多忙化を招いていると思います。
 ブラック企業化している教育現場が教員の魅力を損なわせ、後で述べますが、精神疾患による休職者を生み、それも教職員不足につながっているのではないかと思います。ですから、定数を満たすような職員の採用について、やはり真剣に考えていただきたいと思います。
 そこで、非正規や任期付教職員の採用について幾つかお聞きします。
 定数分を正規職員にしないため、やはり臨時職員などを多く採用することになります。臨時職員の雇用期間は半年、更新できるのは1回のみで、長くて1年の任期しかありません。正規扱いの任期付職員でも任期は3年、育休代替も子供が3歳になるまでの間です。また、再任用も、フルタイムは正規職員とされていますが、任期は1年以内で、半日などの短時間の再任用も同じです。いずれも不必要となれば更新されず、使い捨てにされる状況です。
 さらに、非常勤講師は1こま1時間幾らの時給で仕事をしています。英語や算数、音楽など様々な授業をしていますが、小学校の45分授業の準備を15分ですることは実質的に不可能。どこかの時間で無給で準備をしています。しかも、年間どれぐらい仕事が確保できるのか、自立して生活するのは大変だと言われています。あえて非常勤講師の道を選んでいる方もいますが、その一方で、このような不安定な雇用の中でも正規の教員を目指している方もいらっしゃいます。そして、何年も教壇に立ちながら採用試験には受からず、教師の道を諦める方もいると聞いています。
 本市は、採用する教師の姿として、次のように言っています。教育にひたむきな教師と捉えています。具体的には、教育に燃える熱意、使命感を持った教師、子供に学ぶ楽しさを教える専門的な知識、技能を持った教師、子供を包み込む温かさ、優しさを持った教師、子供に生き方を教えることができる教師、人とつながる人間関係調整力を持った教師、本当にスーパーマンみたいな先生ですが、そして、誰でもいいわけではないというふうに言っています。ところが、誰でもいいわけではないと言いながら、不合格にした方々を臨時の教師として採用している。私は、ここに大いに矛盾を感じています。
 そこでお聞きします。
 本市は臨時の教職員をどのような基準で採用しているのか、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 臨時的任用の教職員の採用に当たっては、年齢の制限は定めず、免許状の保持と有効期限を確認し、選考面接を行っております。選考面接においては、教員として必要な誠実さ、熱意及び教育観を有しているかを判断し、ふさわしいと認めた者を採用しております。
 また、2年目以降の採用については、所属長による職務遂行に関する評価や教職員課による実地調査において、教職員としての適格性を判断しております。

◯杉本 護
 今の答弁のように、採用試験に通らない方でも、教師としての資質を十分に持っている方は大勢いらっしゃるんです。むしろ、採用人数を絞っていることによって、静岡市は優秀な人材を逃していることになっているのではないでしょうか。
 本市は、新卒の教職員を増やせない理由として、大学卒の新規採用を一遍に増やしたら、現場での指導が十分にできなくなり、育成に問題が生じる、このように言っています。確かに一理あると思います。そこで、既に何年も教員として経験を積んだ方の採用ならどうでしょうか。指導が十分にできないとの問題は解決されるのではないでしょうか。全くの新卒と何年も教師としての経験を積んだ方では採用の仕方を変えて、教師経験者からの採用を増やすことを検討すべきだと思います。
 7月の1次試験は筆記試験です。大学生は十分に対策を練って受験に臨みます。ところが、臨時的任用職員は、正規職員と同じ量の仕事を任せられますから、4月から7月の1次試験までの間は、試験対策の時間はほとんど取れません。そうした中で、1次試験がなかなか通らないという状況になっています。
 そこでお聞きします。
 臨時職員を積極的に正規職員として採用することについて市はどのように考えているのか、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 本市の教員採用試験においては、全ての受験者を公正・公平に選考し、合否を厳正に判定しております。その上で、経験や能力の豊富な教職員を採用することは重要なことであるため、臨時的任用の教職員として一定期間勤務した者に対しては、筆記試験の一部について、課題作文を行うか、そのまま筆記試験を行うか、どちらかを選択して受験することを認めております。

◯杉本 護
 臨時的任用の教職員として一定期間勤務した方は、筆記試験の一部を選択制にしているとのことですが、まず大前提として、臨時であれ何であれ、教員の皆さんは、皆、教員免許を持っているということです。その上で、1次や2次の試験に通らなかった方から、選考面接で教員にふさわしいと判断した方を臨時教員として採用し、そしてその後、教職員として適格だと判断した人を2年目以降も採用しているということですよね。そういう方たちならば、1次試験免除など、もっと積極的な対応をしてもいいのではないかと私は思います。
 さて、教員の多忙化は、教員自身の健康被害、メンタルにも影響しています。昨年9月議会で聞いたときには、小中学校で令和2年度に精神疾患が原因で30日以上の傷病休暇を取得した者や休職者は30名、そのうち17名が休職になっている、このように言っています。皆、教師としての夢をかなえて、希望ある未来を見ていたはずなんです。
 今の教育現場は、仮に定数分を配置できても、非常に忙しくなっているのは、当局の皆さんも知っていることと思います。私は、定数そのものが少ないのも問題と思っていて、仮に2人から3人に何か事故があって一遍に休むと回らなくなる、そうした学校が幾つもあります。全く余裕がなくなっているんです。そうした中で、非正規で定数を補っていることで一層多忙化が進んでいる。国が定めた教職員の定数は、最低限の人員として国からも予算措置がされています。静岡市は独自の35人学級を進めていますから、国の基準以上の教職員が必要ですが、早急に改善する第一歩としてもう一度改めてお聞きします。
 少なくとも国の義務標準法等に基づいて算定した教職員定数分は正規職員にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 先ほども申し上げましたが、本市においても、新規採用者数を増やすことで正規職員の配置拡充に努めてまいりましたが、児童生徒数の変動による教職員数の変動や今後の定年引上げにより、教職員の増加が見込まれるため、全てを正規職員とすることは困難な状況と考えております。

◯杉本 護
 できれば、できないの一点張りではなくて、全てを正規にできないのなら、どこまで増やそうと今、考えているのか。それとも、これ以上増やさない方針なのか。その方向性ぐらいは示していただきたいと思います。もう少し丁寧な答弁をお願いしたいと思っています。
 最後に、少人数学級についてお聞きします。
 教員不足の原因として、教員希望者の減少もその1つと言われています。それは教育現場の多忙化にあります。その多忙化を解消する1つの方法が、私は少人数学級だと考えています。教師の立場から見れば、少人数は、教師が落ち着いて授業を行うことができ、子供たちにも丁寧に接することができて、精神的にも安定して仕事を進めることができるようになると思います。
 資料2)を見てほしいと思います。
 日本の1クラス当たりの人数は、小学校も中学校もOECD諸国の中で多いほうから2番目です。
 先日、藁科地域の2030の学校を考える会の第4回検討会に参加させていただいて、そのときに中山間地の義務教育学校、土佐山学舎の初代校長、竹崎優子氏の講演を聞きました。山間地の義務教育学校の取組を、本市の中山間地と重ねながら、勉強させていただいたわけなんですが、この講演の後の質疑の中で、1クラス何人が適当だと思いますかという質問があり、そのときに竹崎氏は、4掛ける4の16人がやりやすい。20人が駄目というわけではない、このように回答しています。私は大変共感するところがありました。
 そこでお聞きしたいんですが、子供たちを指導する上で、1クラス何人ぐらいが最適だと考えているのか、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 子供たちの学びや成長のためには、少なすぎず多すぎない一定規模の児童生徒の集団の中で学校生活を送れる環境が大切であると考えております。
 現在、本市においては、国に先行して、小中学校の全学年において1学級35人を基準とする静岡市型35人学級に取り組んでいるところです。
 今後も、社会情勢や子供を取り巻く環境の変化を注視しながら、本市の子供の成長にとってよりよい環境の整備に努めてまいります。

◯杉本 護
 教育局長、今の答弁は、私の質問に答えていませんよ。私は何人ぐらいが最適かと聞いているんです。ところが、少なすぎず多すぎないとは何人なんですか。環境の変化とは何を言っているんですか。全く答えていない。抽象的な答弁です。
 35人学級に取り組んでいることは、もうとっくに私も知っています。35人が最適と考えているのか。静岡市の教育委員会としてどういう考えを持っているかを私は市民の代表として今日、聞いているんです。ぜひもっと誠実に真剣に答えていただきたいと思います。
 議長、ここで、順番にないんですが、もう一遍質問し直してもよろしいでしょうか。

◯杉本 護
もう一遍聞きます。静岡市は何人が最適だと思っていますか、お願いします。

◯教育局長(青嶋浩義君)
 申し訳ありません。具体的な定数というか、そういった数字は有しておりません。
 先ほど議員の御質問の中にありました土佐山学舎の例ですが、竹崎元校長先生も16人とか20人がいいというふうにおっしゃったわけではなくて、土佐山の場合はもともと1クラス4名か5名くらいまで生徒数が減っておりましたので、学級運営を考えたときには、16人とか20人、そういう数字があると自分としては非常によかったと、そういう発言をされたと記憶しております。

◯杉本 護
 しかし、今言った先生の話は、やっぱりそれがやりやすいということだと理解していただきたいと思います。
 最後に言いたいんですが、教員不足解消の決め手はやはり定数だと思います。ぜひ条例に沿った運営をお願いしたいと思います。
 以上です。