第4次静岡市総合計画基本構想・基本計画原案について、中小企業・小規模企業支援について

◯杉本 護
 それでは、通告に従い質問します。
 まず、第4次静岡市総合計画基本構想・基本計画原案についてです。
 今回は、日本共産党静岡市議団が行った提言を踏まえ、主に市民の合意形成、定住人口の維持・回復、まちづくりに関して質問していきます。
 初めに、第1回パブリックコメントや会派意見の反映についてです。
 本市は、4次総を策定するに当たり、骨子案に対して、3月に第1回のパブコメを行い、その意見や各会派の提言などを受けて原案を策定し、8月に第2回のパブコメを行うなど、広く市民の意見を聞いています。
 そうした中で、特に骨子案にあった7つの柱が、原案では5つの重点施策となったことは大きな変化です。7つの柱にあったまなびの文化の地域づくりと安全・安心のまちの推進がなくなり、健康長寿のまちの推進に子ども・子育て支援を加え、まちは劇場の推進にスポーツ振興が加わっています。策定会議では、市民の意見をどのように受け止め、どんな意見が交わされたのでしょうか。
 そこで、3点お聞きします。
 パブリックコメントでの市民意見や会派意見の特徴は何か。
 2つ目に、パブリックコメントでは、人口減少対策につながる子育て支援や若者対策の拡充を求める意見が多くあったと感じていますが、原案にはどのように反映させたのか。
 3つ目に、4次総の骨子案における7つの柱を、原案では5つの重点政策としたのはどのような考えからか。
 次に、定住、交流、関係人口についてです。
 8月の本市の総人口は68万4,440人となり、減少傾向が止まりません。社人研の人口推計によると、本市は2030年には約65万人となっています。そうした状況の下、4次総原案では、定住人口を維持する取組を進めることを明記しましたが、一体どの時点を維持するのか明確ではありません。定住人口の維持を明記しながら目標値を示さないのは、曖昧さを残し、実効性が疑われます。
 一方、定住人口のみに頼らない時代として、交流人口や関係人口にも目を向ける必要性を強調しています。これ自体を否定するものではありませんが、しかし、定住人口の減少は、交流人口や関係人口が拡大しても補えない問題が多々あると感じています。
 そこで、2点お聞きします。
 4次総原案で定住人口を維持していくとありますが、どの時点の人口を維持するのか。
 2つ目に、交流人口、関係人口の拡大は、定住人口減少によるマイナスの影響をどのように補えると考えているのか。
 次に、合計特殊出生率向上の取組についてです。
 本市の合計特殊出生率は、3次総スタートの2015年は1.39、2021年には1.32にまで下がり、近年、減少傾向が続いています。人口を維持するには2.08が必要と言われ、本市にとっては非常に高いハードルです。
 しかし、私は、本市の人口対策を社会増に偏重すると、日本全体の人口が減少傾向にある下では、人という資源を他都市と取り合っていることになり、これでは日本全体の将来も危ういと感じています。
 本市においては、定住人口を維持する手段として、合計特殊出生率を引上げ、自然増にも挑戦すべきと考えます。
 そこで、お聞きします。
 合計特殊出生率を向上させるためには、私は、結婚生活を送る若者を増やす政策や、希望する子供を産み育てるための施策が必要と考えますが、3次総ではどのように位置づけて取り組んでいるのか。
 次に、静岡市立地適正化計画についてです。
 4次総原案の中で、立地適正化計画は、都市・交通分野の中の1つの施策として位置づけられています。しかし、この計画は、いわゆるコンパクトシティとして、中心市街地に生活に必要な様々な施設を集約させようとしているもので、これからの静岡市のまちづくりの根幹に関わる計画となっています。中心市街地への誘導策は、郊外や中山間地の過疎化を進行させると考えます。
 そうした中で、4次総原案では、重点政策の1つに、森林文化の地域づくりが提案され重視していますが、中心市街地への誘導策との整合性が取れていないように感じています。
 そこで、お聞きします。
 立地適正化計画で目指すまちづくりとはどのようなものか。
 次に、中小企業・小規模企業支援についてです。
 原油価格・物価高騰は、中小企業・小規模企業の経営に大きな打撃を与えています。
 本市は、この9月議会に、多大な影響を受けている事業者に助成する補正予算を計上しました。
 そこで、2点お聞きします。
 原油価格・物価高騰における中小企業への影響をどのように調査したのか。
 2つ目に、9月補正予算で支援の対象にした業種は、どのような考え方で決めたのか。
 以上、1回目です。

◯企画局長(松浦高之君)
 4次総に関する6点の御質問にお答えします。
 まず、本年3月に実施した第1回パブリックコメントでの御意見や、市議会会派からの政策提言における御意見の特徴についてですが、パブリックコメントでは、4次総の骨子案の方向性に対して、人口減少対策を一層推進することや、重点政策とした仮称7つの柱を、分かりやすく集約することなどを求める声がありました。
 また、市議会会派からの政策提言においては、子ども・子育て施策や交流人口の拡大施策の充実のほか、ジェンダー平等を意識した市政運営などについて御意見をいただきました。
 次に、子育て支援などの拡充を求める意見への対応についてですが、4次総原案の子ども・教育分野において、全ての子供・若者世代が、夢や希望を持って、健やかで、たくましく、しなやかに育つまちの実現を目指すことを定めました。
 さらに、5大構想の健康長寿のまちの推進に、子ども・子育ての観点を加えた仮称健康活躍のまちの推進を、分野横断的な重点政策として位置づけました。
 次に、仮称7つの柱を5つの重点政策とした考え方についてですが、パブリックコメントや市議会会派の御意見を踏まえ、本市の目指すまちづくりを市民の皆さんに分かりやすく、かつ明確に示すため、5つの重点政策として集約したところです。
 次に、4次総において、どの時点の人口を維持するのかについてですが、国立社会保障・人口問題研究所が2018年に公表した最新の人口推計では、4次総の終期である2030年時点の本市の推計人口は65万人弱となっています。3次総では、子育て環境の充実や移住・定住の促進などに取り組んだ結果、人口の社会減が改善し、人口推計も上方修正されるといった成果がありました。引き続き、こうした取組を進めることで、4次総においては、現状の人口推計を上回る定住人口としていくことを目指します。
 次に、交流人口、関係人口が人口減少の影響をどのように補えるかについてですが、平成30年度の観光庁の試算では、定住人口1人当たりの年間消費額は、外国人旅行者8人分、国内宿泊旅行者23人分に相当するとされており、交流人口を拡大することで地域経済の維持につながるものと考えます。
 また、総務省において、関係人口とは、定住人口でも交流人口でもない、地域と多様に関わる地域外の人材を指すものとされています。関係人口を創出することで、例えば、まちづくりにおける担い手不足の解消や、外部人材の視点を生かした地域の活性化などが期待できると考えます。
 最後に、3次総における若者や子育てに対する施策についてですが、3次総では、子ども・教育分野に当該施策を位置づけるとともに、国の東京一極集中の是正と連動し策定した総合戦略においても、首都圏等からの移住・定住の促進や、子供を産み育てやすいまちづくりの推進などを定め、若者や子育てに関連する取組を進めています。
 なお、移住希望者が移住先の検討材料として活用する宝島社の「田舎暮らしの本」では、2022年版住みたい田舎ベストランキングにおいて、全国の自治体の中で、本市が若者世代・単身者と子育て世代の2部門で第1位を獲得しており、若者や子育てに対する本市の取組が、外部から高く評価されているものと考えております。

◯都市局長(八木清文君)
 立地適正化計画で目指すまちづくりとはどのようなものかについてですが、立地適正化計画は、居住や都市機能の誘導と、公共交通との連携により、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを進め、安心できる健康で快適な生活環境の実現及び持続可能な都市経営を図る計画です。
 本市の立地適正化計画では、市民生活の質の向上、地域経済の活性化、人口減少対策の下支えの3つの効果を見据えております。特に、人口減少対策の下支えにおいては、にぎわいや活気にあふれ、生活利便性が高く暮らしやすい魅力あるまちづくりを進めることにより、住み続けたいと思えるような、また、本市に移り住みたいと思えるような都市の実現を目指しております。
 立地適正化計画の推進は、持続可能な都市経営を通じて、郊外や中山間地を含めた本市全体の将来的な人口維持に貢献するものであり、現在、策定を進めている第4次静岡市総合計画においても、関連する計画や事業との連携を図ってまいります。

◯経済局長(稲葉 光君)
 原油価格・物価高騰対策に関する2つの質問にお答えします。
 まず、原油価格・物価高騰における中小企業等への影響をどのように調査したかについてですが、本市では、定期的に景況調査や静岡商工会議所、金融機関、各業界団体との情報交換を実施し、中小企業等の現況把握をしています。
 また、特に今般の原油価格・物価高騰の影響については、各業界団体への訪問などにより聞き取り調査を行っております。
 次に、9月補正予算で支援の対象にした業種はどのような考え方で決めたのかについてですが、さきに申し上げた調査結果や国、県の施策の実施状況に加え、本市の本年2月及び6月補正予算による消費喚起事業において、クリーニング業などのサービス業等が支援対象となっていることなどを踏まえ、経営コストに占める燃料費等の割合が高い業種や、事業の停止が市民生活に与える影響が大きい業種である製造業や運輸業などを対象としました。
 

◯杉本 護
 それでは2回目です。
 今の答弁で1つ言いたいのは、4次総原案で5つの重点政策にしたのは、市の目指すまちづくりを市民に分かりやすく示すためというふうにおっしゃったんですが、私は、7つの柱が5つに変わったということ、例えば、まちは劇場にスポーツの振興が入った、これは大きな違いだと思うんですね。今、市はサッカースタジアムとか、是非は別として、アリーナなどの大型箱物を建設する方向に推進しているということですから、そういった姿勢が5つの重点政策の中に盛り込まれているんじゃないかなと感じているんですね。
 ですから、そういった大きな違いがあったのに、一言も触れていないということは、まともな答えをしていないんじゃないかと感じています。もう少し誠実な答弁をお願いしたいと思います。
 質問を続けます。
 まず、合計特殊出生率を向上させる取組についてです。
 3次総でも様々に取組、評価を得ているようなんですが、しかし、それでも合計特殊出生率は低下し、人口減少は止まっていません。人口減少対策特別委員会の視察でお邪魔した岡山県の奈義町は、合計特殊出生率が2014年に2.81を達成しています。奈義町での人口減少対策は、若者定住施策と就労対策、そして子育て支援、この3つが柱となっているんですが、これを町の中心施策として人口が6,000人余りの小さな町で相当な予算を割いていたということが分かりました。
 1つだけ紹介しますと、出産祝い金が、第1子は10万円、第2子は15万円、第3子は20万円、第4子は30万円、第5子以上は40万円となっている。これは2004年から始まったと言っています。こうした中で、小中学校に子供が通っている世帯でいうと、子供が3人の世帯が38.8%、2人の世帯が35.8%となっているんですね。さらに、地域を挙げて子育てを支援して、町の人は3人産むのにちゅうちょはない、このようにお聞きしています。まさにこうした思い切った取組が本市に求められているのではないかと思います。
 本市には今、若者の結婚支援としてエンジェルプロジェクトがあり、草食系の男性が増えていると言われている下で、私は意義ある取組と思っているんですが、しかし、結婚できないのは出会いだけの問題ではなく、奨学金という多額の借金を抱えて大学を卒業する若者など、経済的な理由も大きな要因となっています。
 本市は、静岡市育英奨学金免除制度がありますが、静岡市で暮らせば、どこの奨学金でも免除が受けられるように拡大することができないのかなと。また、本市から若者が出ていくのは、仕事がないことが理由の1つとなっています。そこで、気候危機に関心を寄せる若者がいる中で、省エネや再エネなどの仕事を立ち上げるための支援や、あるいは市内にある環境に関わる分野の仕事へのあっせんなどを積極的に行えないものかと考えています。
 さらに、若者向けの住宅家賃支援など、思い切った対策が大きな効果を与えるのではないかと考えています。
 また、子育て支援でも、学校給食費の無償化、少人数学級での行き届いた学校教育の整備、そして地域で子供を育てる仕組みや、お母さんの仕事探しなど、こうした支援により、子育てしやすい魅力ある静岡市になっていくのではないかと考えています。
 そうした中でお聞きします。
 4次総では、将来の人口自然増を目指して、若者や子育てに対する支援そのものを重点政策に位置づけるべきではないかと考えていますが、市のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、立地適正化計画です。
 先ほどの答弁で、この計画が郊外や中山間地の人口維持にも貢献するというふうにおっしゃっていました。しかし、本当にそうでしょうか。
 私は、行政の都合で意図的に居住地を中心市街地に集約させることについては大いに疑問を持っています。私の持論なんですが、まちというのは、そこに住む人々でつくっていくものであり、決して交流や関係人口がつくるものではないと思っています。そして、子供や高齢者が暮らしやすいまちというのは、基本的に歩いて行ける小学校の学区の範囲に商業施設や医療施設、福祉施設、コミュニティ施設があって、その中心に学校がある、こうしたまちだと考えます。そうした施設があってこそ、安心して暮らし続けることができ、移住してくることもできるのではないでしょうか。
 そして、地域で暮らし続けることで、郷土への愛着を生んで、地域の伝統文化も守っていけるのではないかと考えています。
 そこで、お聞きします。
 小学校の学区単位でのまちづくりについて、どのように考えているのか、お願いします。
 次に、中小企業・小規模企業支援についてです。
 答弁にあったように、製造業や運輸業などを助成の対象にしたことは理解いたします。しかし、今回対象となっていない、先ほどクリーニング店の話がありましたが、銭湯やクリーニング店、ハウス栽培の農家なども、事業経費として燃料費が多くの比重を占め、経営に甚大な影響を受けています。そうした事業者にも支援が必要ではないかと考えています。
 そこで、お聞きします。
 事業経費の中で、燃料費や電気料金の比重が高い業種を一定の基準を設けて支援するなど、支援の対象をもっと広くするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、2回目です。

◯企画局長(松浦高之君)
 4次総において、若者や子育て支援を重点政策に位置づけるべきではないかについてですが、先ほども御答弁したとおり、4次総では5大構想の健康長寿のまちの推進に子ども・子育ての観点を加え、分野横断的な重点政策として取組を推進してまいります。

◯都市局長(八木清文君)
 小学校の学区単位でのまちづくりについて、どのように考えるかについてですが、静岡市立地適正化計画は、目指す将来都市構造である集約連携型都市構造の実現に向けて、JR静岡駅周辺やJR清水駅周辺などの都市拠点や、駿河区役所周辺等の地域拠点に都市機能を誘導するとともに、公共交通の利便性が高いエリアに居住を誘導する区域を定めているものです。
 また、静岡市都市計画マスタープランでは、都市拠点や地域拠点とは別に、公共交通の利便性が高く、日常的に必要となる生活サービス施設が集積し、地域の様々な人々が健康で安心して便利な生活を送る上でコミュニティを形成する場として、暮らしの拠点を設定しております。いずれの計画も小学校の学区単位を基礎としたものではありません。
 今後は、ポストコロナ等、社会情勢の変化に対応した多様な暮らし方、働き方に考慮した上で、引き続き地域の住民が主体となり、コミュニティや文化を維持しつつ、地域の特性を生かしたまちづくりを推進してまいります。

◯経済局長(稲葉 光君)
 支援の対象をもっと幅広くすべきではないかについてですが、本市の原油価格・物価高騰対策に資する事業としては、本年2月及び6月補正予算において、地域消費促進事業費助成や、モバイル決済サービスを活用した生活者支援、地域経済活性化事業など、消費喚起を通じた生活者、事業者に対する幅広い支援を実施したところです。
 また、静岡県の本年2月補正予算では、施設園芸農家や漁業者へ燃料価格高騰に対する支援も実施されています。
 このような状況から、今回の9月補正予算における原油価格・物価高騰対策では、燃料費などの高騰の影響を大きく受けており、支援が行き渡っていない業種を対象とすることとしました。
 今後も経済状況を注視し、事業者の声を丁寧に聞きつつ、実効性の高い施策の検討に努めてまいります。
  

◯杉本 護
 3回目は意見・要望です。
 2回目の質問は大変そっけない回答をしていただいたんですが、第4次総合計画原案の中で、世界に輝く静岡と言っているわけですが、ここが本当に分かりづらいなと私は思っているんです。
 世界に輝く静岡をどれだけの市民が望んでいるのか。最近、地域を歩きますと、ウクライナの問題なんかもあって、やっぱり平和で安心して普通に暮らしたいと、これが最も幸せなんだということを多くの方が言っていらっしゃるんですが、そのためには、やはり地域を大切にする政策が必要ではないかと思っています。そういう意味では、交流人口や関係人口を増やすこと自体は悪いことではないですよ。いいんですよ、それは。いいんですが、そこだけではなくて、やっぱりそこに住んでいる人をどう増やしていくのか、育てていくのかということが大事だと思っているんですね。ですから、そこへの挑戦はぜひしていただきたいなと思っています。
 ちなみに、流山市は、キャッチコピーが非常に上手で、「母になるなら流山市、父になるなら流山市」というふうに言っているんですが、そういう意味では静岡市も、分かりやすいキャッチコピーでもっと魅力を訴えていただきたいと思っています。
 中小企業の支援についてですが、昨日、市長は、市長自らも中小企業を訪問して実態を調べたと言いました。静岡市中小企業・小規模企業振興条例を持つ静岡市ですから、ぜひこの機会に、もっと大規模な調査を行って、実態をしっかりと見ていただきたい。そうした中で真の施策をつくっていただきたいと思います。