◯杉本 護 それでは、通告に従って質問します。
まず、今回の台風15号は、今から40年以上前の七夕豪雨以来というふうに言われています。その当時、私は高校2年生でした。同級生の家まで土砂が入って台風被害に遭ったことを今でも思い出します。この災害を教訓として、大谷川放水路など治水対策を行ってきたわけですが、1時間に100ミリを超えるようなこういう豪雨に対してはこの対策が間に合っていないということが今回明らかになってきました。地球温暖化による気候変動が10年に一度と言われているこういった災害が毎年のように全国で起きています。根本的な対策が本当に求められていると思います。
そこで、今回質問するテーマは、台風15号による被災者への情報発信と支援についてです。
その中でも、罹災証明書の発行、ホームページの活用、そして被災者の支援策について順次聞いていきます。
まず最初に、罹災証明書の発行についてです。
直近の被災状況ですが、12月2日17時現在の被害状況等報告第55報によりますと、床上浸水は4,355棟、床下浸水が1,641棟、合わせて物的被害は5,996棟というふうになっています。そして罹災証明書を交付している被災家屋は全壊4棟、半壊2,341棟、一部損壊が2,789棟、合わせて5,134棟、このようになっていて、現在も日々更新されています。物的被害を受けた数よりも罹災証明書の発行が少ないのは床下浸水では見舞金が出ない。こうした中で、罹災証明書の申請手続そのものをしないケースが考えられますが、私が被災者のお宅を聞き取りに行ったときには、罹災証明書の必要性について知人から聞いた、あるいはテレビなどのニュースで知った、こういった声が多く、市が発行しているホームページなど、広報で知った方はあまりいませんでした。罹災証明の必要性について被災者に十分に届いていないとしたら、大きな問題だと感じています。
そこで、お聞きをします。
被災後の支援を受けるためには罹災証明書が必要となりますが、罹災証明書申請手続など、どのような方法で被災者に知らせているのか。
以上、1回目です。
◯財政局長(大石貴生君) 罹災証明書の申請手続などをどのような方法で被災者に知らせているのかについてですが、発災直後の9月24日には、市ホームページ上に申請の受付開始日や方法などを掲載したほか、翌日25日には、市のライン公式アカウントからも発信したところであります。
また、被災者に対しては、同じく25日から被災者の申請を待たずにプッシュ型で実施した家屋調査の際に、職員が直接申請手続の案内を行ったほか、中山間地域の孤立地域では、集落支援員を通じて申請手続の案内を行いました。そのほか、生涯学習交流館など、市の関係施設で配布している被災者支援制度の御案内の冊子へ掲載するとともに、市コールセンターや各区の被災者支援窓口でも案内を行い、手続の周知を図っております。
◯杉本 護 被災後直ちにやったというふうには感じています。
それで、罹災証明書を発行するには、市職員による被害認定調査を行います。ホームページには「申請のあった方から順次、市税務部職員が調査に伺います。市職員が訪問した際、被災の状況等が分かる写真があればご提示ください。」、このように記されています。写真が必要だというふうに感じるわけですね。
そうした中で、被災者は浸水対策や被害後の片づけなどに追われていて、ともすれば被災状況が分かるような写真など残していないケースも考えられます。特に高齢者の場合には独り暮らしなど、そこまで気が回らない、こういったことは十分に想定できるわけです。さらに、罹災証明書の申請が遅くなれば、住まいの掃除や片づけが進んで現地に行っても被害の状況がよく分からない、こういったケースもあるのではないかというふうに思います。
そこで、聞きたいんですが、罹災証明書を発行する際に、写真がなく、被災箇所の修繕などもやって、要するに痕跡などがない場合でも、実態に合わせた判断をすべきというふうに考えますが、どのような方法で被災状況の判断を行っているのか、お願いします。
◯財政局長(大石貴生君) 被災家屋の調査は、家屋を個別に訪問し、被害状況を目視により確認するとともに、被災者の撮影した写真や被害箇所の痕跡も参考に被害の程度を判定しております。
議員御指摘のように、写真や痕跡がない場合でも被災者からの聞き取りや修繕の見積書、周辺の家屋の被災状況などを確認し、実態に即した調査を行っております。
◯杉本 護 ぜひそういうふうにやっていただきたいというふうに思います。
それで、被害に対する支援の問題として、被災直後は居住している住宅の被災のみが対象になっていて、ところが、9月の補正で事業者の店舗や事務所、工場なども被害に遭った場合には10万円の支援があるというふうになりました。被災規模からすると、わずか10万円という感じもあるんですが、しかし、事業者側には大変喜ばれています。10月26日から受付が始まっているんですが、私が11月6日の日に被災したお家に行ったときに、支援のことを知らない方が何人もいらっしゃいました。ある美容業者は、市のホームページに支援のことが載っているけど見たことはありますかと聞いたところ、ホームページなんか見たことがない、ふだん必要ないし、今度の災害で10万円の支援金があるなんて思いもしなかった、こう言っていました。ですから、被災直後は住宅の被災に対する見舞金ばかりが強調されて、そういった思いも無理もないかなというふうに思います。店はすっかり掃除をされて営業もしていて、私が見てもどこまで水が入ったか目視したが、よく分からない、そんな状況でした。当然、罹災証明書も申請していませんでした。こうしたお店は、ほかにもあるのではないかというふうに思います。
そこで聞くのですが、新たな支援策であるこの被災中小企業等支援金、これについて手続に罹災証明書が必要なことも含めて、どのように周知しているのか、お願いします。
◯経済局長(稲葉 光君) 支援金については、これまで市ホームページやライン公式アカウント、ツイッターによる情報発信、商工会議所などの産業支援機関や市内金融機関を通じた案内に加え、罹災証明の申請のあった方への現地調査の際には、職員が直接チラシを手渡すなど周知を図ってまいりました。
また、今回の支援金は中小企業にとどまらず、医療や福祉、教育などの非営利法人も対象としていることから、庁内関係部局を通じてチラシの配布やメール配信により周知を行っているところです。
今後も引き続き、新聞などのメディアを活用しながら事業者の皆さんへ情報が届くよう努めてまいります。
◯杉本 護 ぜひいろんな方法を使って、隅々まで知らせていただきたいと思います。
次に、ホームページの活用についてちょっとお聞きします。
被災直後は浸水や断水、停電など大混乱になりました。そうした状況だからこそ、市は迅速に状況を把握して、どこにどんな支援が必要か的確な判断をし、そして被災者にその支援の情報を速やかに、隅々まで伝える必要があります。
本市は地域防災計画を策定して災害対策を行っていますが、今回の災害で幾つもの問題点が浮き彫りになっています。今議会でも多くの会派から指摘があったところです。
さて、本市の情報発信のツールの一つにホームページがあります。今回取り上げるのは、このホームページによる災害が起きた後の生活や事業に対する支援情報の発信についてです。
まず必要な情報は、罹災証明書が必要なことと、その申請手続です。そして、災害状況に応じた支援策と申請方法などの情報を市民に伝えることです。当然、情報発信はホームページだけではなく、様々な方法で行うべきであり、その点についてもいろいろ意見があるところですが、今回はホームページの活用についてお聞きします。
ホームページ上の被災者に対する情報発信についてですが、現在、トップページに台風15号関連情報の表示があります。皆さんのお手元の資料にもあるんですが、この1ページ目です。そこを開くと、市民と事業者別の支援策が探せるようになっています。
まず聞きたいのは、9月24日未明発災後、罹災証明書や災害見舞金などの被災者支援に関する情報を市公式ホームページ上に載せ始めたのはいつからか。また、どのような情報を載せ始めたのか、お願いします。
52◯連携調整監(大村明弘君) 市公式ホームページ上では9月24日午前から、各課が被災者支援に関する情報として断水対応、罹災証明書、災害見舞金に関する情報提供を開始いたしました。
さらに、翌日25日の午前中には、市民の皆さんが情報を探しやすくするために、これらをまとめた台風15号関連情報という特設ページを市公式ホームページのトップページに開設し、順次、市民向け、事業者向けの支援策を掲載していきました。
◯杉本 護 今の話のようになっているわけなんですが、少し皆さんにこのタブレットを見ていただきたいと思うんですね。
まず、1ページ目が現在の静岡市のホームページのトップページです。ここに黄色く「台風15号関連情報」があります。ここをクリックすると2ページ目、台風15号関連情報とあって、その1番から5番までの間の1番に市民の皆様への支援が載っています。ここをクリックすると3ページ目、ここに市民向けの支援策が様々載っているわけですね。本来は縦にずっと長いんですが、これ3行になっています。一番右側の6番、住民税や保険料の減免等があります。ここの欄の赤いポチの7つ目に、見づらいんですが、国民健康保険の被保険者の皆様へ、こうなっているわけですね。ここをクリックすると次のページ、4ページ目。ここで初めて、静岡市の国民健康保険の減免等について載っているわけです。
それで、これが一例ですけれども、実は、私が10月24日にこのホームページを開いたときには、国民健康保険料の減免について、住民税や保険料の減免等、この項目には入っていなかったんですね。被災から1か月後です。災害による保険料の減免は以前からある制度なんです。新しい制度ではありません。
なぜ台風15号関連情報に載せていなかったのか。ホームページ全体を管理している、私は、広報課にそのときそのことを指摘し、現在、載っているわけですね。また、その後も市民税や固定資産税の減免、これも載っていなかった。これも指摘し、今、載っています。私が言ってから載っているんです。
これ聞きたいんですけれども、特設ホームページに記載される被災者支援に関する情報は徐々に増えていったというふうに思うんですが、誰がどのように掲載を行っているのか。
そしてまた、私が見たところ、11月15日の時点で、被災者支援制度の御案内という冊子があるんですが、冊子に掲載されている支援策でも特設ホームページには載っていないものがありました。どのようにチェックを行っているのか、お聞きします。
◯連携調整監(大村明弘君) 市公式ホームページ上の支援策のページは、まずは各課が責任を持って作成し、公開いたします。次に、各課から支援策のページを公開した旨の報告を受けた広報課がそのページを特設ページ上にも順次掲載しております。
支援策については、被災者支援制度の御案内を取りまとめた冊子を発行しておりますが、議員御指摘のとおり、冊子に掲載されているにもかかわらず、特設ページに掲載されていない支援策がありました。
この原因は、冊子と特設ページの情報が同一であることのチェックを広報課が行うべきところ、十分にできていなかったことによるものです。議員の御指摘後、直ちに掲載されていなかった支援策を特設ページに掲載するとともに、各課が支援策のページの更新や新規掲出を行った際には、必ず広報課へ報告するよう改めて依頼しました。加えて、広報課において冊子に掲載されている支援策と特設ページの不一致がないようチェックを徹底しているところです。
◯杉本 護 ぜひそういうふうに改善していっていただきたいと思います。
次に、被災者の支援策について2つお聞きします。
まず、国民健康保険料や個人住民税などの減免制度についてです。
被災された世帯の減免は9月24日、発災後に納期が到来するものが対象となっています。
ところが、国民健康保険料も個人住民税もそれぞれの条例で減免するには、納期限の7日前までに申請しなければならない、こうなっています。発災後の減免なら国民健康保険料の場合は、9月30日の納期分から対象にしてほしい。しかし、被災したのは9月24日ですから、もう6日前です。ですから、それには間に合わない。10月31日も納期分から減免するためには、10月24日までに申請しなければならず、これを過ぎてしまうと11月分からというふうになってしまいます。家が水没して泥まで入って大変な状況の中、日々復旧に追われて肉体的にも精神的にもぎりぎりの状況。減免申請するところではないのではないでしょうか。
実は、ある被災者から11月1日に1通のメールが市議団に寄せられました。前日の10月31日に国保料の減免申請に行ったそうです。メールにはこう書いていました。「国民健康保険料の減免を願い出たのだが、申請日付以降認めるということで11月からと言われた。水害は9月だったはず。誰もがすぐに申請できないし、広報も足りない。申請しなかったら減免はしないのでしょうか。早く申請した人がたくさん恩恵を受ける?10月からでもよいのでは?」、こう記されています。これは被災者の思いではないでしょうか。
申請に必要な罹災証明書も発行まで、先ほどの答弁で平均2週間かかると言っていました。突発的な災害による減免には、特別な配慮が必要だというふうに思います。
そこで、お聞きします。
災害による国民健康保険料の減免については、申請期限を過ぎたものでも採用すべきと考えますが、この点、どうでしょうか。
◯保健福祉長寿局長(増田浩一君) 静岡市国民健康保険条例の減免の規定においては、申請期限の例外は設けられておらず、減免申請書は納期限等7日前までに提出しなければならないとされており、申請期限を過ぎたものについて、今から遡って減免を適用することはできません。
今回の災害における減免申請については、申請期限内であれば罹災証明など、必要書類がそろっていなくても申請書の提出に柔軟に対応してきたところでございます。
そのほか、今回の災害により保険料の納付が困難となった方について分割納付や徴収猶予など、各世帯の状況に配慮した納付相談に応じてまいります。
◯杉本 護 意見は後で言いますが、じゃあ、同じく個人住民税、これについてはどう考えているでしょうか。お願いします。
◯財政局長(大石貴生君) 静岡市税条例の規定においても、国民健康保険料と同様に減免申請書は、納期限前7日までに提出しなければならないこととされており、申請期限を過ぎたものについては、今から遡って減免を適用することはできません。
なお、発災後、減免の相談については随時受けておりますが、現時点で減免の要件に該当し、減免申請に至ったケースはありません。
今後も個人住民税の納付が困難となった方からの納付相談のほか、家財等に損害を受けた方の令和5年度の個人住民税の雑損控除の申告案内や相談等にも対応してまいります。
◯杉本 護 どっちも冷たい返事ですね。
じゃ、続いて、もう1点、ちょっとお聞きします。
本市の災害見舞金という問題なんですが、今、最低でも床上浸水にならないと見舞金の対象になりません。
あるお宅ですが、かなりの床上浸水でした。床や壁など、リフォームの見積りを取ったら300万円かかると言われたそうです。そこは半壊ですから5万円の見舞金があるわけなんですが、5万円じゃ焼け石に水というふうに嘆いていました。また、その隣の家は、ちょっと高いもので、ぎりぎり床下浸水だったそうです。ですから、見舞金はありません。しかし、室外機が駄目になって、そして井戸水の給水ポンプ、これも壊れていました。車も駄目になったという話ですね。こうしたお宅からの声は、床下浸水でも、今言った状況ですから支援が欲しいという声が上がっていました。財源の問題はあるんですが、自然災害は本人の責任ではないわけですよね。ですから、そうした市民に寄り添った支援が私は必要ではないかというふうに考えています。
そこで、聞きたいんですが、静岡市災害見舞金の対象をこうした被害、床下浸水でも支給できるように範囲を広げる考えはないのか、お聞きします。
◯市民局長(草分裕美君) 静岡市災害見舞金は、自然災害などにより全壊、半壊、床上浸水など、特に大きな被害を受けた方に交付しており、現時点で床下浸水に交付の範囲を広げる考えはありません。
◯杉本 護 あっさりと簡潔な答弁、ありがとうございます。
以下は意見・要望です。
まず、ホームページの管理運営についてです。
被災した市民に対して情報を正しく、そして迅速に提供するのは市の責務です。今回、ホームページの記載内容について質問しましたが、被災者支援制度の御案内の冊子に掲載されている支援策で、先ほど言ったとおり、特設ホームページには載っていないものが幾つもありました。通常、個々の部局で様々なことを載せるわけなんですが、こうした被災時の支援策ですから、しっかりと一元管理をすべきではないかと思います。先ほど広報課の責任だとも言っていますから、しっかりとそういったところも責任の所在をはっきりして、漏れなくやっていただきたいと思います。
もう1つは、ホームページは重層的になっていて、調べたいところにたどり着くのは非常に大変です。分かりづらい。知らせようとする載せ方にもなっていない。実は、もう一度タブレットを見てほしいんですが、資料の3ページのほうになっているんですが、ここの左側の一番上、被災者支援窓口、各種相談窓口、この欄の2つ目の赤い丸のところに、その他の相談窓口というのがあります。ここをクリックすると、学用品の給与や高等学校授業料等減免措置、これが載っているんですね。その他の相談窓口をクリックして、学用品の給与があるなんて誰が思いますか。
知らせようとしていないのではないかと。まさに隠しているような感じがします、私は。そうしたことですから、ぜひ被災者に寄り添って分かりやすいホームページに変えてほしいというふうに思います。
この際、言っておきたいんですが、市のトップページ、先ほど見せました。本当に無味乾燥なトップページです。つまらないトップページと私は思っています。
静岡市はどんなまちを目指しているのか。市長がよく言っています。世界に輝く静岡。もしこれが、私、あんまり好きな言葉じゃありませんが、こう呼ぶんだったらば、これがトップページの中で表現できるようなトップページをつくるべきではないかというふうに思いますから、考えていただきたいと思います。
次に、ホームページの記載の仕方についてです。
先ほど質問しましたが、被災中小企業者等支援金、このページを見ていくと、対象者の欄に、営業に必要な許認可を受けていること、こうなっています。ある大工さんから建設業の許可を持っていないので駄目なのかという質問がありました。建設業は、一定の売上げがなければ許認可は要りません、建設業の許可はね、というふうになっているんですが、こういう誤解を招くんです。
ですから、入り口でシャットアウトするような表現ではなくて、みんなが分かりやすいようなものに変えていっていただきたいというふうに思います。
国保と市税の減免についてです。
先ほど、納期限が7日前までという、条例によって駄目だという話がありました。しかし、被災者の気持ちは、被災した後の支援をしてほしいという気持ちです。実は、前納で払ってしまった人は、被災していても戻ってきません。これ自体、私、問題だと思っているんですが、たまたま新型コロナのときは国の制度だと思いますけれども、納期が過ぎた月の分も減免対象にしたんですね。この条例があったとしても、やれたんです。
ぜひそういうことを検討していただきたいし、根本的には、この7日というキーがついているような条例そのものを変えて、被災者の皆さんに被災後は支援できるという制度に考えていただきたいというふうに思います。
最後、災害見舞金です。
大変冷たくあっさりとした答弁でした。私はたくさんお金を出すという意味ではありません。見舞金というのは、被災された市民の方にわずかなお金でも大変でしたねという気持ちを表すものが見舞金だというふうに思います。今の見舞金だって十分ではありませんから、支援金ではないんですから。お見舞いの気持ちを表すという点では、被害を受けた市民の方にも出すような形をぜひ検討していただく、このことを最後にお願いして、全ての質問を終わります。