◯寺尾 昭
日本共産党市議団を代表して議案第8号令和4年度静岡市一般会計補正予算(第8号)外、24号、28号、30号、仮称静岡市海洋・地球総合ミュージアム関係の3議案に反対、さらに第8号の修正案に賛成する立場で討論を行います。
海洋・地球総合ミュージアム事業について、まず指摘しなければならないのは財源問題であります。市は、公費負担として169億円を契約期間中、分割して支払い続けることになりますが、経費に充当する入館料が計画どおりに確保できない場合は、ロスシェアというリスク分担を負うことになっております。2023年3月から26年1月までの3年間が建設期間ということであります。この4月から供用開始、2040年までの向こう15年間が事業契約期間ということになっております。
問題は、事業者が提案した入館料が確保できるのか、それに見合う集客ができるのかという点であります。できない場合のロスシェアは、さらなる公費負担があり得るということを意味しております。
約72億円の入館料を見込んでの約242億円の事業は静岡市にとっては超大型事業、巨額を投資して、その事業がそれに値する効果を生み出すのか、市民の理解は進んでおりません。
高度成長期に建設してきたインフラ設備である道路、橋梁、その他の公共施設が老朽化し、これから更新の時期を迎えます。これらの建て替えというのが問題となるわけですが、建て替えや維持管理の費用をどうするか、大きな課題となっております。
提案された来年度予算における中期財政見通しでは、今後も毎年50億円以上の財源不足があるということを公表しております。4次総では、海洋・地球総合ミュージアム以外にも多くの大規模箱物を今後整備していくということが計画されております。これらは将来へのさらなる財政圧迫の要因になっていきます。アセットマネジメント計画との整合性、床面積を20%削減するという方針が出ていますけれども、これらにも矛盾をすると言わざるを得ません。市民からは、福祉や医療、子育て、中小企業など命と暮らし予算への影響を心配する声も少なくありません。
次に、集客とまちのにぎわい創出が可能かという点です。他都市の水族館の集客状況を見てみると、地方の施設は押しなべて苦戦をしている。これは、11月の、私の総括質問でも指摘をしたところであります。清水での集客をどのようにして確保するのか、その道筋は見えておりません。清水のまちの活性化につながるのか、あまりに不確定要素が多く、費用対効果という観点からは市民から理解が得られるか、これも疑問であります。
研究者からは、指定管理者やPFI方式の見直しも今、提起されております。PFI発祥の地と言われておりますイギリスで、投資対効果の実証ができていないこと、PFIへの投資家が巨額の利益を得る一方で、政府は民間に転嫁したリスクに比べ、過大な対価を支払わされていることなどから、2018年、5年前に、イギリスでは新たなPFI事業は凍結したと言われております。イギリスでは、今やPFI事業は、過去の遺物ということになっているわけであります。
民間活力の導入を旗印に、住民サービス向上と効率的運用、コスト削減などがその目的とされてきておりましたけれども、先日も、NHKだったと思いますが、指定管理者契約で働く労働者の長時間労働や低賃金の問題が取り上げられておりました。御覧になった方もおられたと思います。
このように、果たしてその目的が達成されているのか、今、改めて検証が必要ではないでしょうか。
岸壁から直接取水するこの方法についても、これも今後、事業費全体にも影響を与えかねない、このことについても指摘をしてまいりました。
さて、この事業について、市民への説明は十分行われてきたのか、市民のコンセンサスを得ているのかという点であります。率直に言って極めて不十分と言っていいのではないでしょうか。
実は、本日も議長宛てに、市民グループから、計画は一旦白紙に戻し、市民への丁寧な説明と市民からの意見聴取を行ってほしいという旨の請願が提出されました。巨額の税金を投入する事業です。市民の納得の下、進めるべきであることを改めて強調したいと思います。
そのほか、議案第8号には、国直轄事業への負担金があります。この直轄事業は、全額国の負担で行うべきということは、これまでも繰り返し述べてまいりました。
以上、私たち日本共産党市議団は、市民の命と暮らしを守り、真の意味での地域経済発展のために全力を挙げることをお誓いして、補正予算を含め4議案の反対討論、そして第8号の修正案に賛成の討論とさせていただきます。