〇市川 正
日本共産党静岡市議団を代表して、今議会に上程されている議案第35号令和5年度一般会計予算案のほか、議案第52号、議案第53号について反対の討論を行います。
今、国会審議が続いています。政府が決定した令和5年度の予算案では、一般会計の総額が過去最大の114兆3,812億円となりました。令和5年度の予算案では、一般会計の総額の114兆3,812億円を賄うために新たに発行する国債は35兆円を超えていて、財源の3割以上を国債に頼るという厳しい財政状況が続いております。
こうした中で、防衛費は6兆7,880億円で、政府が5年以内に防衛力の抜本的強化を目指す中、令和4年度の当初予算より1兆4,192億円増えて過去最大となっております。物価高騰が国民を苦しめているさなかですが、国立病院などの積立金やコロナ対策資金の一部まで、防衛力強化資金の財源に充当されるという異常な事態となっております。
一方、令和4年9月13日付通知の「静岡市令和5年度当初予算編成方針について」では、令和4年度以降、経常収支比率は93%から94%で推移すると見込んでおり、今後の新たな財政需要への対応が困難になるおそれがあること、一般会計の市債残高は総額で約4,830億円と、直近5年間で約264億円増加していること、令和4年度は経費の節減と事業の優先化を徹底しましたが、なお50億円の財源不足が生じ、財政調整基金をはじめ各種基金の大幅な取り崩しにより対処した、このように静岡市の財政状況を述べております。
また、財政の中期見通しでは、令和5年度以降は62億円から73億円の大幅な財源不足が生じ、厳しい財政状況が続く見込みで、今まで以上に歳入の確保と歳出の見直しを図る必要があるとしております。
以上の点を踏まえ、議案に対する反対の理由を述べてまいります。
議案第35号一般会計予算についてであります。
推進すべき施策も幾つかありますけれども、以下の施策について改めて検討すべきであります。
まず、アリーナ整備促進事業は、東静岡駅北側の市有地に、プロスポーツやコンサート等の大型イベントを開催するためアリーナを建設しようとするものでありますが、市民が本当に望んでいるのか、また、莫大な事業費に見合う需要があるかなど、疑問でもあります。厳しい財政状況が続くというふうにおっしゃっている中、こうした下で今、拙速に進めるべき事業ではありません。
登録、証明書交付事業ですが、マイナンバーカードは国民の所得、資産、社会保障給付などを把握し、国民への課税強化、給付削減の押しつけを目的としているものであります。例えば年金振込口座へのナンバー登録拒否の意思表示がなかった場合には、自動的に登録されてしまう、こういうおそれもあります。
また、登録促進の主段として、例えば岡山県備前市に例を取れば、保育料、給食費、学用品費の無償化を実現するために、世帯全員のマイナンバーカード取得を要件とする、これを取得しなかった場合は、こうした施策から外されてしまうということになります。こうした本来目的から逸脱して、公平であるべき教育や行政サービスがゆがめられていくことになってしまう、このことが大変危惧されるわけであります。こうしたことから、マイナンバーカード交付率向上のための取組推進には反対をしてまいります。
海洋文化施設建設事業についてであります。
政令市となって以来、最大の大型事業、これは前から言われていることでもありますけれども、さきの委員会でも、住民説明が不十分で住民の合意、理解が得られたとは言えない状況でもあります。また、入場者数の見込みも不確定な上、建設資材や燃料価格が高騰している下で、当初計画どおりに事業が進むのか疑問でもあります。何よりコロナや台風15号災害からの復興も、今、まだ道半ばであります。商店街を含む周辺地域が活性化するとの見通しを持った事業が進められるべきで、今、性急に進めなければならない事業ではないと考えます。将来にツケを回さないため、ここで一旦立ち止まって冷静に検証すべきことから反対をいたします。
関連して、第5表市債のうち、海洋文化施設建設事業債25億9,690万円は認められません。
次に、公営住宅等整備事業ですが、公営住宅の建設はPFIで行うことには反対をいたします。
次に、国直轄道路事業負担金ですが、国直轄道路事業はやはり国の責任として行うというのが筋であり、地方に負担を求めるということには反対をしてまいります。
そのほか自衛官募集業務は、静岡市が請け負うべきものではありません。アメリカとの軍事同盟の下、防衛費は過去最大となっております。先ほども申し上げました。敵基地攻撃能力の強化は日本に戦火を招く危険が増大します。国民保護計画は、緊急事態に国民の行動を強制的に制限するなど人権侵害に当たりますので、憲法違反の疑いがございます。
次に、議案第52号令和5年度静岡市下水道事業会計予算ですが、受益者負担金は都市計画税との二重徴収であり、認められません。
議案第53号静岡市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定についてであります。
令和3年5月に成立したデジタル関連法の一環である個人情報の保護に関する法律が改定され、これまで各自治体が策定し、先行して運用してきた個人情報保護条例を廃止し、国基準で統一しようとするものであります。国の個人情報保護法では、国や地方自治体が持つ膨大な個人情報データを国の成長戦略に位置づけ、民間企業に提供、活用する仕組みになっております。匿名加工するので個人情報は守られるという理屈でありますけれども、市として対応できる部分は極めて限定されております。市民の個人情報を守るどころか、匿名加工をして個人情報を企業に売り渡すものであり、重大な人権侵害を含む本議案には反対をいたします。
以上、日本共産党市議団は、憲法を遵守し、そして、ジェンダー平等の立場で差別のない市政運営に全力を挙げることを表明いたしまして、反対討論といたします。