5月臨時会 補正予算 質疑

◯杉本 護
 それでは、日本共産党静岡市議団を代表して、議案第118号令和5年度静岡市一般会計補正予算(第2号)の質疑を行います。
 この5月臨時会の補正予算案は、総額で36億4,090万円、そして財源は全て国からの臨時交付金となっています。内容は低所得世帯への支援に24億9,500万円、子育て世帯への支援に2億7,590万円、そして消費活動の維持への支援に8億8,000万円となっていますが、その中で、経済局が所管する消費活動の維持への支援について今回はお聞きしていきます。
 今回の財源となった臨時交付金は、政府が2022年度予算の予備費から物価高騰対策への支出を閣議決定し、地方創生臨時交付金の重点交付金を1.2兆円増額したもので、正式には電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金といって、低所得世帯支援枠で5,000億円、推奨事業メニュー枠として7,000億円を確保し、この推奨事業メニュー枠では、本市には約20億円が配分されると聞いています。
 この推奨事業メニューですが、生活者支援に4項目、事業者支援に4項目、合計で8項目がメニューとして示されています。本市はその中で、生活者支援メニューの中のエネルギー・食料品価格等の物価高騰に伴う子育て支援として、市立の小中学校とこども園の給食費負担軽減事業、そして消費下支え等を通じた生活者支援として、モバイル決済サービスポイント還元事業やお買い物クーポン発行事業費助成を、この5月補正で提案しているわけです。
 さて、この臨時交付金の使い方なんですが、政府は、推奨事業メニューではなくても、自治体が物価高騰の支援として効果があると考えるものには活用可能というふうにしています。そして、国が2月から電気代と都市ガス代への補助を実施している下で、全国知事会がLPガスへの支援も要望したことによって、1,000億円上乗せして総額7,000億円にしたという経緯もあります。こうした中で、LPガス使用世帯への給付などの支援も国は認めているわけです。さらに、国は、私立の学校の光熱費の高騰分の助成や、子ども食堂を運営するNPO法人などへの支援も可能ということを内閣府のQ&Aで紹介しています。
 つまり、言いたいのは、かなり自由度の高い臨時交付金となっていて、国が示した8項目の推奨メニューから選んでもいいし、本市が独自に考えた事業に使うこともできるようになっているわけです。
 ここでお聞きしたいのですが、こうした数多くのメニューがある中で、国から提示されている推奨メニューの中で、今回、モバイル決済サービスポイント還元事業とお買い物クーポン発行事業費助成を選択した理由はどこにあるのかお聞きして、1回目とします。

◯経済局長(稲葉 光君)
 モバイル決済サービスポイント還元事業及びお買い物クーポン発行事業費助成を選択した理由についてですが、本市の支援策としては、国の推奨メニューにとどまらず、市内経済の状況や関係機関等への聞き取り結果、国、県の支援策などを踏まえ、実態に即した効果的な内容とすることが肝要であると考えております。
 5月補正では、市民生活への支援として、物価高騰下にある市民の皆さんの日々の生活を支えるべきとの考えに立ち、広く行き届く支援であることと、これまでの実績から高い効果が見込まれることといった観点から、2つの支援策を行うこととしました。
 このほか、県の物価高騰対策事業との調整を要する事業者支援については、6月議会に上程できるよう検討を進めてまいります。


◯杉本 護
 それでは2回目です。
 今、御答弁いただいて、この時期、最も効果が高いものを選んだというふうに言っていますから、その中身について、今日、聞いていきたいと思っています。
 まず、モバイル決済サービスポイント還元事業についてお聞きしていきます。
 本市はこの事業を過去3回やっています。当初は、新型コロナが猛威を振るう中で、要するに非接触型の決済として進めてきました。そして、モバイル決済事業者は何社もあるわけなんですが、過去3回ともPayPayを使っています。1社に絞った経緯について当局は、複数事業者と事業を実施した場合、事業費や手間が非常に増える割に、それに見合う経済効果が見られないとのことで単独事業者と契約することにした。さらに、主要3者で想定される経済効果、実施体制、市民や事業者の利便性など総合的に比較し、最も効率的かつ効果的な事業が可能な1者を選定した、このように過去、説明しています。
 確かに理にかなっているとは言えますが、市民の大切な税金を投入するわけですから、同じ事業者を常に使うということについて、公平性の観点から疑問の声もないわけではありません。
 そこでお聞きしたいのは、今回、事業者はどのように選定していくのか。
 次に、今回、実施期間を8月から10月までの3か月として、還元率は1回当たり支払額の10%、1か月当たりの還元上限額を5,000ポイントとして、期間合計で1万5,000ポイントを上限としています。1か月の上限が5,000ポイントだと、要するに月5万円の消費というふうになっていきます。4人家族、普通の家族であれば、毎月5万円ぐらいは生活費として優に消費すると考えますが、低所得者や、あるいは単身者や高齢者の夫婦など、こういった方々は、必要な買物をする中で1か月5万円は消費し切れない、こういった家庭もあるのではないかと思います。これでは金銭的に余裕のある人が有利になってしまうような、そんな気もするわけであります。
 例えば期間を5か月に延ばして、1か月の上限を3,000ポイントまで下げていけば、そういった低所得の市民も、10%還元で1万5,000ポイント全てを得ることができるのではないかとも考えます。
 そこで聞きたいのは、1か月のポイント還元上限額を5,000ポイント、そして実施期間を3か月としたこの理由は何なのかお願いします。
 この事業は過去に3回実施しているわけですが、実施期間もポイントの還元率も違いますし、何よりも、そのときの経済情勢も違っています。そういった下で全く同じ効果が得られるとは限りません。しかし、それなりの効果があったからこそ、今回も同じ事業を選択したと思いますし、実施することにしたものと思っています。
 そこでお聞きしたいのは、過去の同様の事業の経済効果はどうだったのか、お願いします。
 この事業については最後の質問ですが、こうしたモバイル決済事業は、どうしてもスマホを持っていない、あるいは持っていても電話連絡ぐらいにしか使っていない、こういった、いわゆる高齢者世帯の方の利用が少ないことが指摘されています。私の周りにいる高齢の方も、こういう事業のことをお話しすると、私たちには関係のない世界、もっと私たちの暮らしに寄り添った支援をしてほしい、こんなような声も上がっているわけであります。
 本市もそうした状況は知っていると思いますし、そういった状況に対応するために、これまでもこういった事業を行うたびに、事業者によるアプリ登録の支援や、あるいは自治体としての支援も行ってきたということも承知はしています。
 そこでお聞きするのは、今回、こうした高齢者層に対する利用促進策はどのようなことを考えているのか。
 次に、お買い物クーポン発行事業費助成についてお聞きします。
 この事業も過去に何度か行った事業です。商店街団体や商業者10者以上で構成する団体が対象となっていて、クーポン発行による値引きによって集客を見込むものと理解しています。お買い物クーポンとの名称から、卸や小売業に限られているようなイメージもありますが、この間の実績で理美容店や飲食店などのサービス業も参加し、かなり幅広い事業者が参加できる事業となっています。そして、モバイル決済の対象店舗数は、市のほうでいいますと約1万店舗を想定していますが、この1万店舗をはるかに上回る事業者が団体登録すれば参加できる仕組みではないかと思います。
 そこでお聞きしたいのは、これまでの実績として、何団体、何店舗が参加したのか。また、どういった団体が参加し、どのような業種の店舗が参加しているのかお願いします。
 この事業を行うには、募集をかけて参加団体を募らなければならず、モバイル決済事業と比べれば、一定の準備期間を要することが容易に想像できますが、10月からのスタートはいささか遅いような気がしています。また、実施期間を10月から12月の3か月間とした、ここにもどんな意図があるのか疑問なところがあります。
 そこでお聞きしたいのは、事業の開始を10月にし、実施期間を3か月とした、この根拠ですね、理由は何なのか、お答えください。
 最後の質問です。この事業は、参加するに当たっていろいろと準備が必要となります。例えば、取扱店舗を示すステッカーやポスター、チラシ等の作成、また、クーポン券そのものの作成などが最低限必要ですが、これは参加した団体が作るというふうになっています。そうなると、参加したい気持ちがあっても、そうした事務的なことに不慣れで、なかなか参加しづらくなる、そういった参加をちゅうちょしたり、はなから諦めてしまう、そんな事業者もいるのではないかと考えています。
 そんなときに、チラシやクーポン券のひな形があれば、参加する意欲を上げることができるのではないでしょうか。また、お買い物クーポン取扱店など汎用性のあるポスターなどを用意すれば、参加団体からの注文で印刷する、大量に印刷するという中で、参加団体の事務経費の削減につながっていくのではないかと考えます。
 そこでお聞きしたいのは、各団体が作成するチラシやクーポン券について、市はどのような支援を行うのか。
 以上、お聞きして質疑を終わります。

◯経済局長(稲葉 光君)
 初めに、モバイル決済サービスポイント還元事業に関する4つの質問についてですが、まず事業者の選定方法については、当事業はモバイル決済サービス事業者のシステムを活用して行うものであり、市が示した条件に基づき、各事業者から提示された内容を精査し、市民の皆さんの消費活動や市内中小店舗の事業活動の支援などの事業効果を最大化できる事業者を選定します。
 次に、1か月のポイント還元上限額と実施期間についてですが、総務省発表の令和5年3月分消費者物価指数においては、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数が前年同月比3.8%、前月比0.5%上昇しており、また内閣府による4月の月例経済報告においては、消費者物価は当面上昇していくことが見込まれています。このため実施期間については、過去に行ったキャンペーンでは、1か月または2か月でしたが、今回、より長期的に支援するため、これまでで最長の3か月と設定し、上限額については、これまでのキャンペーン同様、1か月5,000ポイントとして据え置くこととしました。
 続いて、過去の同様の事業の経済効果についてですが、本市では、買物などでキャンペーンを利用した決済額と次の買物での消費が想定されるポイント還元額の合計額を経済効果と考えています。
 令和2年度に実施した第1弾では、決済額が約17.6億円、ポイント還元額が約2.3億円であったことから、合計約20億円。3年度に実施した第2弾では、決済額が約30.9億円、ポイント還元額が約4.2億円の合計約35億円。4年度に実施した第3弾では、決済額が約74億円、ポイント還元額が約12.3億円、合計約86億円の経済効果があったと捉えています。
 次に、高齢者層に対しては、新聞折り込みや電車、バスへの中づり広告など広く市民の皆さんにPRすることに加え、老人福祉センターや老人憩いの家、各区高齢介護課などにポスター、チラシを配架して周知するほか、生涯学習センターで行うスマホ教室において、モバイル決済サービスのアプリの登録や利用方法について説明を行うなどして、利用促進を図ってまいります。
 続きまして、お買い物クーポン発行事業費助成に関する3つの質問についてですが、まず、これまでの実績については、令和2年度は28団体、約1,100店舗、令和3年度は49団体、約2,000店舗、令和4年度は51団体、約2,100店舗が参加しています。参加団体は、商店街や大型店のテナント会、地域の商業者のグループなどで、業種については、小売や飲食業以外にも、理美容などの生活関連サービス業といった幅広い業種の店舗が参加しています。
 次に、事業の開始時期を10月、実施期間を3か月とした理由についてですが、開始時期については、参加団体のクーポン事業に係る準備期間と、新たな参加団体の掘り起こしに必要な期間を確保するとともに、8月から10月まで実施予定のモバイル決済サービスポイント還元事業と併せて、切れ目のない支援とするために10月としました。
 また、実施期間については、お買物で使用されるクーポンの利用期間を確保しつつ、年末商戦に合わせてクーポン事業を実施してもらえるよう12月までの3か月としました。
 最後に、チラシやクーポン作成に対する市の支援についてですが、費用面では、本助成においてクーポン等の印刷経費などの事務経費に対して3分の2、1団体100万円を上限に補助するとともに、これまで実施した事業を通じて得たノウハウを生かし、新たに参加を検討する団体も含め、クーポン作成のアドバイスを行うなどして、事業実施をサポートしてまいります。