◯内田隆典
日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっています認定第1号令和4年度静岡市一般会計歳入歳出決算、認定第18号令和4年度静岡市下水道事業会計決算の認定について、反対の討論を行います。
2022年度─令和4年度は、新型コロナウイルス3年目を迎え、感染拡大が収まるどころか、オミクロン株の猛威、急激な感染拡大を引起しました。これまでのデルタ株では、最初の感染者から1,000人目まで約200日かかりましたが、オミクロン株ではわずか37日でした。
こうした新型コロナに対する国の対応は、ワクチンなどの感染防止対策、検査や医療などの感染者の命を守る対策、コロナの影響で困窮する家計への支援策でも全く不十分な内容でした。
こうした中、静岡市の感染状況は、2023年3月末段階で感染者数14万8,712人、死亡者は261人に達しています。市内においても、関係者の昼夜を分たぬ奮闘にもかかわらず、コロナの収束のめどが立たない状況が続きました。その原因の1つに全国的な保健所の統廃合、病床の大幅削減が指摘されています。
コロナの感染拡大に追い打ちをかけるように、静岡市では9月23日の夜から24日の未明にかけて県内各地を襲った台風15号により、記録的な雨量を記録しました。浸水被害、道路崩壊での集落孤立、清水地域での13日にも及ぶ断水など、市民生活が麻痺する状況となりました。改めて初動体制の問題を含め、検証が求められた年となりました。
2022年度は、第3次総合計画の最終年度でありました。3次総の最大目標は、2025年に総人口70万人維持でした。しかし、この目標は、定住人口から交流・関係人口に置き換えられてきました。子育て支援策の充実が求められています。
2022年度は、コロナ禍の中、静岡市も10回の補正予算を組み、コロナ対策、市民生活を守る予算が進められました。こうした経過の中で、経常収支比率も前年より3.1%悪化してきています。今後の財政見通しでも毎年67億円から80億円の財源不足が指摘され、7年後には経常収支比率は97.5%となる見通しであり、大型箱物事業計画がめじろ押しの中、財政の健全化が求められる時期を迎えているのではないでしょうか。
以上の点を踏まえ、認定第1号令和4年度静岡市一般会計歳入歳出決算認定に反対する理由を述べます。
最初に、マイナンバーカードを普及させるため、マイキーID設定支援事業、戸籍・住民基本台帳等事務としてのマイナンバーカード交付事業についてであります。
総務省は、今月3日、マイナンバーカード取得者に最大2万円分のポイントを付与するマイナポイント事業に7,556万人が申請したと発表しました。当初期限の2月末までにカード取得を申し込んだ9,299万人の81%に当たります。一連のトラブルを受け、マイナ保険証や公金受け取り口座の登録を条件としたポイント付与は伸び悩んだとしています。
こうした状況は、市民にとってマイナンバーカードのメリットを感じられず、メリットより個人情報の漏えいで悪用されることへの危機感の表れであります。
マイナンバーカードは、当初より市民への利便性を強調し続けてきましたが、本来の目的は国民の所得、資産、社会保障の給付を掌握し、国民への徴税強化、給付の削減が目的である。このような制度を推進、普及させることは認められません。
静岡市民文化会館建設事業、大浜公園再整備事業について、事業そのものというより、PFI手法での導入を進めるということで認められません。
自衛官募集と国民保護計画についてであります。
自衛官募集について、静岡市は一昨年から自衛隊の要請に基づき、18歳になった入隊要件にかなった人の名簿を自衛隊に提供しています。自衛隊のこの要請は、応募しても目標を達成しないことや敵基地攻撃能力の保有、5年間で43兆円の防衛費の確保など、憲法改正の布石と言わざるを得ません。国民保護計画は、緊急事態を想定し、国民に様々な強制を行うものです。人権侵害とも結びつく国民保護計画は、憲法違反であり、認められません。
アリーナ誘致事業についてであります。
市長の沖縄視察後、この事業について前のめりになっているのではないかとの印象を受けます。大規模公共事業が今後計画される中、財政負担についての慎重な検討、事業についての関係者の理解、騒音、交通渋滞等への対策の検討を最優先すべきであります。
海洋文化施設についてであります。
予算が成立し業者も決まっていますが、市民の間では何かを要望しても金がないと断られているのに、今なぜ水族館建設かという意見が今でも寄せられています。入場予測に関連し赤字対策まで組み込んで進めるべき事業ではありません。
市立こども園配置適正化事業についてであります。
少子高齢化問題の解決は、今や国・地方自治体での最大の課題となっています。市立こども園の統合・民営化は、公的責任の後退であります。今、国・自治体に求められているのは、保育士の処遇改善を含め、保育環境の抜本的改善であります。統合・民営化は認められません。
国直轄道路事業負担金は、当然、国の予算で進めるべき事業であり、地方に負わせる性格のものではありません。早急な改善を求めます。
下水道事業会計についてであります。
毎回指摘しておりますが、市街化区域には固定資産税に加え、都市計画税が課されています。また、下水道整備地域には、受益者負担金が課せられています。二重課税と言わざるを得ません。早急な改善を求めます。
以上、反対討論を申し上げました。
私たち日本共産党市議団は、今後も憲法の全条項を遵守し、地方自治体の目的であります福祉の増進を図るため、全力を挙げることを表明し、反対討論とします。