◯市川 正
日本共産党議員団を代表して、議題となっています請願第5号すべての子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願並びに請願第6号国民健康保険料の引き下げを求める請願に対し、賛成の討論を行います。
まず、請願第5号すべての子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願についてであります。
請願趣旨は、全ての子供たちが人間として大切にされ、憲法と子どもの権利条約が生きて輝く学校をつくることが、保護者、市民の願いです。保護者の経済的負担を大幅に軽減し、教職員の拡充や施設設備の改善によって、子供たちに安心して学ぶことができる学校をつくることが求められるとしています。この請願趣旨には全く同感でございます。
要望項目は5項目19施策と多岐にわたりますけれども、そのどれもが、子供たちの豊かな情操を育み、伸び伸びと学ぶ環境をつくることに欠かせない要求となっています。それはまた、教職員をはじめ学校関係者の願いでもございます。
ロシアによるウクライナ侵略とイスラエルによるパレスチナ・ガザ攻撃は、戦争がいかに非人道的で愚かな行為か物語っております。民間人、とりわけ子供たちの命が奪われ、学校も病院も破壊されています。戦争は全てのものを破壊し、人間の憎悪を増大させます。人と人をつなぐのは、社会の安心感と信頼であり、平和のうちに暮らす権利、自由に学ぶ権利が保障される、これが自治体や学校の大切な役割ではないでしょうか。
今、日本では、異常気象や政情不安による物価上昇などで、経済的困難を抱える家庭が増えております。こうした中で、教育にかかる負担の軽減が、子育て支援、少子化対策において重要です。保護者の強い要求で学校給食費の無償化に取り組む自治体が増えていますが、本市でも取り組むべき課題と考えます。学校教育に欠かせない諸資材、中でもデジタル教育での子供のタブレット費用は引き続き公費負担とすることも求められます。
本市は、子供たちの学びの充実のために、国に先駆けて35人学級を実現してきた実績を生かし、先生を増やして当面30人の少人数学級を実現すべきとも考えております。
授業を準備する時間が足りない、子供と接する時間がないなど、長時間で過密な勤務に多くの教師が悩んでいます。全教の調査によりますと、教職員の時間外労働は平均で月69時間32分、3人に1人が、厚生労働省の示す過労死ラインの月80時間を超え、5人に1人が月100時間以上の時間外勤務をしているというふうに言われております。さらに、家に持ち帰ってする仕事の時間が平均月21時間41分もあるというふうに言われています。このような先生の負担を改善し、行き届いた教育の実現を保障するため、教職員の増員を求めるものです。
また、ジェンダー平等の観点から、学校トイレに生理用品を常備し、校内トイレの洋式化と便器を増設すること、特別教室や体育館へのエアコン設置など、教育環境、施設を整えるのも喫緊の課題であります。
さらに、全ての学校に特別支援学級を設置し、学級定数8人を6人にすること、小中一貫教育を一律に進めないこと、学童保育の支援員の2人体制を維持し、さらに増員を進めて支援員の労働条件改善に努めるなど、子供たちに豊かな放課後を保障する施策を積極的に行ってほしい、これが請願の趣旨であります。
以上のことから、私どももそれに全面的に賛同し、請願第5号に賛成をいたします。
次に、請願第6号国民健康保険料の引き下げを求める請願についてであります。
静岡県社会保障推進協議会の資料によりますと、令和3年6月時点に、ちょっと前になりますけれども、静岡市民の約13万8,800人、約9万3,600世帯が国民健康保険に加入していますが、2,750世帯が滞納を余儀なくされ、そのうち2,500世帯が短期保険証の交付を受けております。加入者は、年金生活者、非正規労働者、中小零細自営業者等で構成され、比較的高齢で、かつ、年間所得が少ない世帯でもあります。年所得200万円以下の方が全体の7割、100万円以下は全体の5割とも言われております。静岡市国保の所得に対する負担割合は、他の保険に比べて高いことが特徴です。
これは静岡市に限ったことではありません。今定例会で杉本 護議員から、40歳代の夫婦と小学生3人の5人家族、収入年450万円のモデルとして比較した場合の資料が示されていますが、その資料によりますと、協会けんぽの場合は年収比で6.0%、所得比で8.5%。国民健康保険では年収比で11.8%、所得比で16.8%となっていて、所得比では国保加入者は協会けんぽ加入者のおよそ2倍の負担感がある、負担をしているということが分かります。
全国知事会、全国市長会、全国町村会など地方団体は、今の国保制度には、被保険者の所得水準が低く、保険料の負担率が高い、こういう構造的問題があることを強調し、その解決のために、抜本的な公費投入増による保険料引下げを国に求めてまいりました。国保料が構造的に高いのは、世帯の人数に応じてかかる均等割、各世帯に定額でかかる平等割が大きな要因となっており、厚労省は2022年度から、就学前の子供に限って均等割の50%を軽減しております。しかし、まだ負担感の解消にはほど遠いものではあります。
先日の厚生委員会で、子育て世代の負担軽減のため、子供に係る均等割を全額免除した場合に必要な金額は幾らか確認をしたところ、小学生以下なら2億400万円、中学生以下2億6,800万円、高校生以下までだと3億3,500万円が今後必要になるとのことでございました。
請願は、家族人数によって負担が増える均等割の減免をしてほしいとの訴えでした。予算をどうするんだとの声も聞きますが、静岡市の国保会計決算を見てみますと、令和4年度の会計決算、繰越金約13億円、基金残高は34億円、合計で47億円の活用可能な金額があり、高校生までの均等割減免は十分可能であります。
全国では、仙台市など既に減免を実施している自治体もあります。国庫負担割合の引上げ要望が実現するまでの当面の間、本市独自の予算措置で減免に取り組むべきではないかと考えます。
また、今議会では、妊産婦の産前1か月、産後3か月分の保険料納付免除が実現します。これは市民への大きな支援になります。市民負担軽減のために実現可能なこうした措置は何かないか、ぜひ前向きに検討されたい、このように考えております。
以上のことから、請願第6号に賛成いたします。
請願第5号、請願第6号に対する議員各位の賛同をお願いいたしまして、賛成討論といたします。よろしくお願いします。
(請願第5号)
市民環境教育委員会
( 令和5年11月17日受付)
すべての子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願
請 願 者 静岡市葵区
子どもと教育を考える静岡市民会議 代表 大多和 暁
紹介議員 市川 正 杉本 護 内田隆典
署名者数 5,133名
180名追加(令和5年12月1日)計5,313名
【請願趣旨】
すべての子どもたちが人間として大切にされ、憲法と子どもの権利条約が生きて輝く学校
をつくることが保護者・市民の願いです。しかし、近年の世界情勢の悪化や急激な円安、物
価急騰により保護者や市民の生活が圧迫されています。その中で、不登校や自殺の増加など、
子どもたちの心の中に大きな不安が広がっています。今必要なのは、保護者の経済的負担を
大幅に軽減し、教職員の拡充や施設設備の改善によって子どもたちに安心して学ぶことがで
きる学校をつくることです。そのために、以下のことを請願します。
【請願項目】
1.物価高で経済的に大変な家庭が増えているため、保護者負担を減らしてください。
(1)子育て支援の観点から、給食費を無償にしてください。
(2)学校で備え、共有できる教具を増やし、個人購入物品を減らすと共に、子どもの通学
の荷物を少なくしてください。
(3)小・中学生の保護者への就学援助をより丁寧に周知し、さらに認定基準の緩和、支給
費目の拡大をしてください。
(4)子ども用タブレットの利用にかかる費用は、今後もすべて公費で賄ってください。
2.子どもたちの学びの充実のために、教職員を増やしてください。
(1)小・中・高等学校の全学年で「20人学級」を実現してください。当面、小・中学校の
「30人学級」と高等学校の「35人学級」を実現してください。
(2)教職員の新規採用人数を増やし、学校で必要な教職員の正規化をはかってください。
3.教育環境・施設を整えてください。
(1)避難所となる体育館のバリアフリー化とエアコン設置及びトイレの洋式化を進めてく
ださい。
(2)すべての学校建物の100%耐震化と安全対策を進め、老朽化の進んだ学校施設等の建
て替えを計画的に進めてください。
(3)小・中学校プール施設を再点検し、安全にプールでの授業ができるようにしてくださ
い。
(4)特別教室(音楽室や理科室等)へのエアコン設置を早急に実現してください。
(5)トイレの100%洋式化を早急に実現すると共に、便器の数を増やしてください。
(6)すべての小中学校に専任・専門の学校司書を配置すると共に、新しい本を増やし通い
たくなる学校図書館にしてください。そのために第6次学校図書館図書整備等5か年計
画による地方交付税措置を予算化してください。
(7)ジェンダー平等の観点から、学校のトイレに生理用品を常備してください。
4.特別な支援を必要とするすべての子どもたちに、ゆきとどいた教育を保障してください。
(1)すべての学校に特別支援学級を設置し、さらに増やしてください。
(2)特別支援学級の定員を現在の8人から6人に縮小してください。
(3)中学校区ごとに通級指導教室を設けてください。
(4)現在の特別支援教育支援員の勤務時間を、せめて子どもたちの在校時間まで延長し、
さらに増員をしてください。
5.小中一貫教育を一律に進めないでください。
(1)小中一貫教育では、各学校・地域の自主性を尊重し、子どもたちや教職員に過度な負
担を増やさないようにしてください。
(2)小さな学校の良さや地域での伝統を大事にする取組を広げ、中山間地の小学校が存続
できるように子育て世代が居住できる環境整備を進めてください。
以上
(請願第6号)
厚生委員会
(令和5年11月20日受付)
国民健康保険料の引き下げを求める請願
請 願 者 静岡市葵区
静岡市医療と福祉をよくする会 山田美香
静岡市清水区
国保料を値下げさせる清水の会 平塚倫豊
紹介議員 杉本 護 寺尾 昭 内田隆典
署名者数 3,700名
856名追加(令和5年12月1日)計4,556名
【請願趣旨】
新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月8日から感染症法上の位置づけが「2類相当」
から「5類」に移行しました。これに伴い、これまで公費負担により無償だった検査費や医
療費が自己負担になりました。さらに高齢者の医療費窓口負担の2割化が私たちのいのちと
くらしを脅かしています。
国民健康保険は、無職者、年金生活者、非正規雇用労働者など低所得者が多数加入してい
ますが、その保険料は他の医療保険と比べ、所得に対する負担割合が高く、保険料の負担軽
減などが必要です。とくに家族人数によって負担が増える「均等割」の廃止や減免などが必
要です。また窓口一部負担金(国保法第44条)減免によってお金の心配なく医療にかかれる
制度の拡充が大事になっています。
いま静岡市が行うべきは「国保は社会保障」(国保法第1条)の原点に立ち、国と県に公費
負担の増額を求めることや、市民が高い負担に悩まず暮らしていける国保料にすることです。
つきましては以下の項目について請願いたします。
【請願項目】
高すぎる国民健康保険料を引き下げてください。