◯寺尾 昭
発議第13号有機フッ素化合物(PFAS)対策の推進を求める意見書について、提案者であります日本共産党市議団4人を代表いたしまして提案理由の説明を行います。
この間、環境局を中心に、市長も非常に熱心にこのPFAS対策を進めてこられていることに敬意を表したいと思います。
また、昨日は、市長が記者会見を行って、その資料も公表されております。この資料も踏まえて発言をしたいと思います。
国におけるPFASに関する問題点として明らかになっていること、これは大きく言うと2つになるんじゃないかと私は思っております。その1つは、調査・研究の遅れ、そして、それに伴う科学的知見の我が国における不十分さ、もう1つは、いわゆる法整備の問題ということになるのではないかと思います。
11月30日に世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)は、PFOAについて、これまでの発がん性の可能性があるから2段階引上げ、発がん性があるに認定いたしました。また、PFOSについては、分類不可から発がん性の可能性があるの分類に追加いたしました。動物実験などを証拠にした確実性を評価し、新たに分類したものであると報道されております。もちろんいたずらに不安をあおることは慎むべきでありますけれども、その内容はやはり市民にしっかりと周知させていくことが必要だというふうに考えます。
アメリカではこの間、PFAS使用の企業の周辺住民から損害賠償請求が出されて、実際には多額の賠償金が支払われていること、この件については私も代表質問で発言をしたわけでありますけれども、大変、調査・研究も進んでおり、科学的知見も蓄積されているという状況にあります。
我が国ではこれまで、人の健康への影響や環境汚染など、PFASに対する調査・研究は遅れていると言わざるを得なく、科学的知見の集積も、言ってみれば乏しい状況ということが言えると思います。
水質基準についても、環境基本法の水質に関する要監視項目に指定されておりますけれども、暫定目標値が50ナノグラムパーリットルというもので、これには法的な規制はありません。
PFOS、PFOAは、水質汚濁防止法では指定物質となっておりますが、排水基準は定めていないことや、報告徴収や立入検査も行うことができない、こういう実態があるわけであります。市は、河川、水路、井戸などの水質検査を進めてまいりました。取組をしてきておりますけれども、現行法の枠内ではやはり様々な制限を受けていると言わざるを得ない、こういう状況にあります。したがって、やはり早急な法整備が必要だと、求められていると思います。
現在、市民、とりわけ清水区民は、PFOAに対する不安を拡大しております。安心・安全を確保することが何よりも肝要であります。
国が、WHOの新たな認定も指針に、本意見書案で3項目の要請項目を述べておりますけれども、この内容を実行していただくことを強く要望したいと思います。議員諸氏の御賛同をぜひお願いいたしまして、提案理由説明といたします。
●発議第13号 有機フッ素化合物(PFAS)対策の推進を求める意見書
発がん性の疑われるPFASについて、河川や井戸水から検出される事例が全国的に多く報じられ、国民からは
不安の声が上がっている。
厚生労働省は、水道水などについてPFASの暫定目標値を、発がん性があるPFOA及び発がん性の可能性が
あるPFOSの合算値で50ng/L以下としている一方、血中濃度の指標値は示していない。
しかしながら、米国の環境保護庁は、飲料水に含まれるPFASの生涯健康勧告値を厳格に見直し、現在の70
ng/LからPFOAとPFOS各々で4ng/Lへと大幅に引き下げる案を発表している。さらに、米国の学術会
議「全米アカデミーズ」は7種類のPFAS合算値で血中濃度が20ng/mLを超えると特別な健康観察を勧める
との指標値を示すなど、その有害性の認識は増大している。
その上で、国民の不安を払拭するためには、国において、科学的根拠に基づく確固たる安全基準を早期に確立す
るとともに、健康影響及び環境に関する適切な評価手法の構築が早急に必要である。
よって、政府に対し、下記事項について強く要望する。
記
1 PFASに対する最新の科学的知見等を踏まえ、健康影響及び環境に関する評価手法を明確にして、国民に分
かりやすく示すとともに対策等も検討し、自治体への速やかな情報提供と必要な支援を行うこと。
2 水質及び血液中のPFASについては、国が水質及び血中濃度の法定基準値の設定や地下水の濃度低減に向け
た対策等を示し、必要な支援を行うこと。
3 PFASの汚染原因を調査・究明し、今後、さらなる汚染の拡大が生じないよう適切な対策を速やかに講じる
こと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
[提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣、環境大臣]