市民のいのちとくらしを守る行政に 2月議会代表質問

◯市川 正
 最後になりましたけれども、皆さん、お疲れと思いますが、私も50分の時間をいただいていますので、精いっぱい頑張らせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 初めに、日本共産党静岡市議団として、能登半島地震で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興に全力を尽くしてまいります。
 それでは、日本共産党静岡市議団を代表しまして質問いたします。
 まず、市政運営について伺います。
 日本共産党市議団は、市民の命と暮らしを守ることが地方行政の第一の課題、責務であるということから、平和で暮らせる環境づくりが、市民の安心した生活をつくる上での大前提だとして、これまでも議会のたびに、こうした観点から市長の見解をお聞きしてきたところであります。
 難波市長は、安心感のある温かい市政の構築に向け、根拠と共感に基づく政策執行を進めるとして、初の当初予算編成案を2月議会に提出いたしました。
 当議員団として、昨年11月21日に2024年度予算編成と行財政運営についての申入れを行いました。その中で、命と暮らしを守る施策を優先課題として進めることを提案してまいったところであります。
 代表質問では、これらのことを踏まえ、市長の公約や施政方針、市民の声に基づく施策が来年度予算案にどう反映されているのかを中心に、市長の市政運営についての基本姿勢をお聞きしたいと思います。
 中項目1、国の施策と市政運営について伺います。
 国の予算は、地方行政に大きく影響してまいります。今、開かれています第213回通常国会に示された2024年度予算案を見ますと、防衛費が約8兆円にまで膨らむ反面、社会保障費は、高齢化などで増える自然増5,200億円が1,400億円も圧縮されているという状況にあります。
 そして、国の借金の返済に充てる国債費、これは約1兆7,000億円増えまして、27兆円余と過去最大となっております。市場金利の動向は地方債の償還にも大きく影響してきます。
 先日は、株価がバブル期以来の最高値を更新したというふうな報道がありました。かつて世界2位だったGDPは、今年、ドイツに抜かれて、世界4位に転落したとの報道もあります。物価高による個人消費の落ち込みで、内需が低迷していることによると言えます。大企業の利益と株価が急回復する一方で、国民の実質賃金は1996年のピーク時からおよそ74万円も減り、日本経済全体は低迷を続けております。
 本市でも、最近はコロナ禍の影響もあって、まちにシャッターが目立ち、農林業や漁業も停滞と衰退が顕著で、後継者不足も深刻だといいます。
 国民の命と暮らしを守る社会保障は、年金の実質削減、介護保険の利用者負担2割化や診療報酬の引下げなど改悪がされてきましたし、これからも改悪されようとしております。
 来年度は所得税、住民税の定額減税も実施されますけれども、1回だけの減税で、その後には軍備拡大のための増税が待っているとの報道もございます。
 以上のようなことから、市民の命と暮らしを守る責務を負う自治体の長として、2024年度の政府予算に見られる防衛費の拡大や社会保障費の抑制の動きについて、どのように受け止めているのか、お伺いしたいと思います。
 予算案編成についてお聞きいたします。
 就任当初から、難波市長は、目指す社会は安心感がある温かい社会だとして、その実現のため、根拠と共感に基づく政策執行をしていくと表明されました。
 田辺前市長は、SDGsの取組を推進し、世界に輝く静岡を実現していくとして、第4次総合計画を策定し、難波市長は、基本的にその4次総を発展的に継承していくと述べておられます。ただし、そこには継承すべきもの、改めて見直したほうがいいもの、そういった課題などがあるとの認識を示していらっしゃいます。
 そこでお伺いしますが、新年度予算では、市民に安心感を持っていただくために、どのような考えで予算編成を行ったのか、お聞きいたします。
 次に、市政変革研究会についてお伺いいたします。
 安心感のある温かい社会の構築とは、このまちがどの世代にとっても住みやすく、生き生きと暮らせる地域社会だと考えます。その前提となるのが、子供・子育て世代、学生、働く現役世代、高齢者まで、それぞれの世代の要求に、行政がいかに応えられるか、切れ目のない支援がどれだけできるかにかかっているのではないでしょうか。
 市長が言う温かい社会の実現のためには、私ども議員団が予算編成に向けて申入れましたように、定住人口の維持・回復を柱に、大型箱物ではなく、災害対策、物価高騰対策、子育て支援策、命と暮らしを守る施策を優先的に進めることが重要と考えております。
 そこで伺いますが、市政変革研究会を発足させ取り組んできましたが、これまでの成果と今後の研究会の進め方はどのようか、お聞きしたいと思います。
 続いて、大項目2、災害対策、防災対策についてであります。
 まず、防災対策ですが、能登半島を震源とするマグニチュード7.6の大地震が発生してから、今日でちょうど2か月になります。最大震度7を記録した志賀原発の立地する志賀町をはじめ、能登半島に位置する自治体では未曽有の被害が発生しております。2か月たった現在も、避難生活を余儀なくされている被災者は1万人を超えているといいます。そして、断水している家屋が1万8,000棟以上とも言われております。ビニールハウスやペットとの車中避難を余儀なくされる家族もいるなど、避難生活は苛酷を極めましたが、宿泊が困難なことから、長時間の支援体制ができず、支援復旧がいまだ追いつかない状況だと言われています。
 本市でも、いち早く救援・支援体制が取られ、これまで救命救助支援、応急給水支援、被災家屋調査や支援物資の荷さばきなど、数次にわたる支援隊を現地に派遣してまいりました。派遣された隊員も苛酷な状況の中で、懸命な救助、支援に当たってこられましたが、派遣先では幾つかの課題が見えたものと思います。これまで見聞きし、体験されたことなどを含め、災害救助により得られた、こうした貴重な知見を、今後の本市の災害対策に生かしていくことが求められております。
 お聞きします。
 能登半島地震における被災地への市職員の災害派遣状況はどのようか。また、災害派遣の経験を今後、どのように生かしていこうとしているのか、お伺いします。
 水の問題は深刻でした。液状化により水道インフラが壊滅的な被害を受け、生活水の確保ができないことから、被災者支援に大変な困難を生み出しております。今も水の確保ができない地区があるといいます。こうしたことから、避難所のトイレをはじめ、被災地の衛生環境の悪化が著しいことを見ても、改めて命の水の確保が、日常生活にとって何より優先されるべき重要な課題と言えるのではないでしょうか。本市にとっても、水道インフラの整備が喫緊の課題だと言えると思います。
 そこで、お聞きします。
 老朽化による水道管の更新及び耐震化事業について、静岡市は今後、どのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いいたします。
 中項目2、浜岡原発についてお伺いします。
 能登半島に立地する志賀原発は、能登半島地震により、核燃料を冷却する外部電源の喪失という重大なトラブルが発生しました。地震被害の復旧の遅れで、いまだ電源系統の一部が使用できない、2系統あるうちの1系統しか使用できないという状態になっているほか、柏崎刈羽原発も燃料プールから大量の冷却水があふれ出ました。原子炉は幸運にも停止していたものの、稼働中だったらどうなっていたかと考えますとぞっとします。志賀原発の避難計画は絵に描いた餅だったと言っても過言ではないでしょう。
 なぜかといいますと、避難計画にある道路は寸断され、土砂崩れが多発して避難路が塞がれ、集落は孤立状態、逃げるに逃げられないという状況です。また、そういう場合、屋内退避してくださいというふうなことが言われていますけれども、屋内退避しようにも、退避する建物が全壊では、そもそも命が守れません。今回の能登半島地震では、原発再稼働の前提となる避難計画は、地震、津波災害に対応できないことがはっきりしました。
 既に2011年、福島第一原発の事故で明らかなように、地震、津波で安全な原発などないことがはっきりしているのではないでしょうか。それでも、政府は、これまで最長60年と定められた原発の運転期間について、原発を最大限活用することを政策の柱の1つとして、あの福島第一原発事故以来、審査などで停止した期間を算定しないことで、実質的に60年を超えて運転できるように変更すると言っていますけれども、今回はさらにそれを延長しようという計画も出されています。さらに、新増設まで検討しています。
 本市は、浜岡原発のUPZ──緊急防護措置を準備する区域、これはおおむね半径30キロメートルと言われていますけれども、そのUPZ外ですが、風向き等によっては放射性物質が到達するであろうことは容易に想定できます。この東海地域が南海トラフ大地震に襲われ、浜岡原発で重大事故が発生した場合、市民の安全を守ることができるのか、改めて検証が求められます。UPZ外であることから、避難計画も策定されていません。UPZ内からの避難者の受入れの方向性が示されているだけというのが現実です。こうした状況を見れば、進められている浜岡原発の再稼働はすべきでないものと考えます。
 そこで、伺います。
 能登半島地震を踏まえ、改めて浜岡原発の再稼働について、どのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
 次に、大項目3、人口減少対策についてお伺いします。
 中項目1、子育て支援について伺います。
 日本共産党は、人間らしい生活を保障する経済的、社会的施策への転換こそ、国民の暮らしを支え、少子化を克服する道だと考えています。少子化傾向の克服には、人間としてのまともな労働と生活の環境を整備する、あらゆる分野で女性差別をなくしてジェンダー平等の社会に変える、生活不安、将来不安を解消する、地域社会の安定を実現するなど、日本社会の様々な分野でのゆがみを正し、真に持続可能な経済、社会にしていくことが必要と考えます。
 特に今、日本の労働環境について考えますと、非正規雇用が増加し、若い世代の収入が大変低く抑えられております。派遣・契約社員には、常に雇い止めの不安も付きまといます。これでは、結婚と子育てへの希望を見いだすことはできないのではないでしょうか。
 日本は、1990年代以来の30年間、賃金が上がっていません。消費税は、今や法人税収入を大きく上回って、国税収入の稼ぎ頭になっております。国に求められるのは、賃金が上がる国にするための改革とともに、労働法制の規制緩和を根本的に改め、非正規から正社員への流れをつくることです。
 社人研の報告によりますと、静岡市の人口推計は、2020年を100とした場合、2050年には78.8と推計され、実に14万7,000余の人が減って、54万6,205人となると言われております。20の政令市の中でも、ただ1つ50万人台になるとしています。
 難波市長は、これまでの4次総の取組で、定住人口の減少の流れを変える取組が必要と考えていると述べております。直接的には、出生率が低いこと、生涯未婚率が高いことがありますが、その背景にある阻害要因を探ることも大事です。
 都市の活力は、そこに住み、暮らす人が住んでよかったと思える場所、お互いに助け合える風土を持った地域に生まれてくるものではないでしょうか。
 そこで、子育て支援策として何点かお聞きします。
 日本共産党市議団は、憲法に規定される、義務教育はこれを無償とするとの立場で、学校給食費の無償化を毎議会のように取上げてまいりました。また、今日では経済的支援の面からも無償化は全国的に進んでいると考えています。そういうふうに見ています。
 難波市長は、学校給食費の無償化について、賛否両論があり、軽々に結論を出せるものではないとして、実施の可否を庁内研究会で慎重に検討する考えを示されました。
 子供にとってかけがえのない学校給食ですが、昨年8月時点の我が党の調査では、小中学校とも今年度、何らかの形で無償にしている自治体は491にまで広がっています。さらに、来年度は東京都下の多くの自治体でも無償化が実現します。本年度、食材費高騰分の支援を行い、保護者負担を回避したことは評価できます。しかし、家計には全てのものの物価高騰分がかかってきます。経済的に困窮する家庭が急増している下で、命と暮らしを守るとの原点に立てば、家庭の負担を減らしていくというのは非常に大事なことです。
 政府も昨年6月、閣議決定したこども未来戦略方針で、学校給食費の無償化の実現に向けて、1年以内に成果や課題を調査し、その上で具体的方策を検討するとしています。
 学校給食費の無償化について、本市研究会での議論はどのように展開されているのでしょうか。学校給食費の無償化について、どのように考えているのか、お伺いいたします。
 次に、子供の医療費窓口負担ゼロについてです。
 子供の医療費窓口負担ゼロの自治体が広がっています。厚労省は令和5年9月7日、第167回社会保障審議会医療保険部会において、令和5年6月13日に閣議決定したこども未来戦略方針に基づき、子ども医療費助成について、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止する方針を明らかにしました。
 これにより、限られた財源を公平に配分する観点から設けられたペナルティーの仕組みがなくなる以上、子供の医療費を自治体が独自に無償化するための障害は取り除かれたと言えます。
 問題は、自治体ごとの負担の違いが残されていることです。通院助成で所得制限のある自治体は12.6%、一部自己負担がある自治体は34.8%です。全国どこに住んでも同じ制度の下で医療が受けられるよう、全国一律の子ども医療費助成制度が求められます。全国知事会も、令和5年3月に行った子供政策に関する緊急要請で、子ども医療費助成について、全国一律の制度の早期創設をと訴えています。
 本市では、入院は18歳まで無償ですが、通院は1回500円の負担です。窓口負担ゼロは、多くの保護者の願いでもあります。子供の医療費窓口負担をゼロにするのに追加で必要な金額は、静岡市の場合、未就学児まで約2億300万円、小学生まで約3億6,800万円、中学生まで約4億4,100万円、高校生までになりますと約5億100万円です。最大でも約5億円あれば、本市の子ども医療費の窓口負担をゼロにできるのです。ゼロにすると必要のない受診が多くなり、医療費の増加につながるおそれがあるなどの批判もありますが、何もないのに受診するほど楽な親は、今はほとんどいないのではないでしょうか。5億円で子育て世代の親の願いがかなうのなら、今すぐ実施すべきではないでしょうか。少なくとも段階的実施は可能ではないかと考えます。
 そこで、子ども医療費の窓口負担をゼロにすることについてどのように考えておられるのか、お聞きします。
 次に、保育料をゼロにということについてお聞きします。
 保育料は、令和5年4月から、静岡市に住むゼロから2歳の園児の保育料が、兄弟の就学にかかわらず、所得制限なく、第2子以降が無料となりました。喜ばしいことです。しかし、子育て世代への支援は、少子化対策の重要な側面であり、本市の子育てしやすいまちづくりの根幹でもあります。今後、全ての保育料を無償化することについて研究したことはないのでしょうか。
 ぜひ、これを実現したいと考えているのですが、本市において、これまで保育料の軽減にどのように取り組んできたのか。また、全ての子供の保育料を無償化することについてどのように考えているか、お伺いします。
 以上、3つのゼロということでお伺いいたしました。
 続いて、中項目2、子育て世代向けの住宅政策についてであります。
 全国的に人口減少が進んでいます。地域活性化を図るためにも、子育て世代も住みたいと思えるような低廉な団地整備が必要と考えます。本市の取組としても、子育て世代向け宅地分譲や、市営住宅の改修などをやっているところですが、収入基準など、市営住宅の入居条件に合わず断念する世帯も多くいらっしゃいます。
 また、コミュニティ形成にとっても、同じ団地内に子育て世代が多く住むことは心強いものと考えます。公園や遊び場など、周囲の環境にも配慮しつつ、低廉で子育てしやすい団地が必要ではないでしょうか。
 そこで、伺います。
 子育て世代に対応した市営住宅の改修及び建て替え計画は、今、どうなっているのか、お伺いいたします。
 大項目4、教育問題についてです。
 中項目1、教職員の体制についてお伺いします。
 先生が足りない、これは全国的な課題であります。本市では、年度当初から学級担任が配置できないなど、教職員の欠員という全く不正常な状態が続いて、定数条例に基づいた教職員配置が求められているところであります。
 また、教員の多忙化が言われている中、次の授業の準備も十分にできないほど多忙なゆえに体調を壊してしまう。そして、長期の病気休暇を取得せざるを得ない、こうした事態が当たり前のように起きています。産休の教職員も生じてきます。年度途中の病休などで欠員が生じることもあるでしょう。ここで一番の被害者は子供たちです。元気にたくましく生きる子供を育てる先生の力は絶大です。
 ここでお聞きしますが、年度当初に安定した学校運営を図るための教職員の配置についてはどのようか。また、年度途中に欠員が生じないための取組はどのようか、お伺いします。
 中項目2、不祥事防止についてです。
 忙しくて子供にじっくり向き合うゆとりがない。教員自身がそういうところに追い込まれていってしまうようなケースも多く見られます。こうしたことが教職員のモチベーションの低下、あるいは問題行動につながってしまっているようにも感じられます。この1年でも、子供に対する不適切な対応や、社会的規範に反する行動が何件か報道されています。
 お聞きします。
 教職員が不祥事を起こさないための取組は大変大事なことだと思いますが、取組はどのようか、お伺いいたします。
 中項目3、小中一貫教育について伺います。
 静岡型小中一貫教育とは、小学校と中学校の縦のつながり、学校と地域の横のつながりを大切にし、子供たちの9年間の一貫した学びを通して、つながる力を育てるとともに、地域ならではの特色ある学習に取り組むことなどにより、視野を広げ、地域社会や世界で活躍する子供を育成するとうたわれています。静岡型小中一貫教育は、令和4年度から全市一斉スタートしたわけですが、教職員が足りない、忙し過ぎるなどの課題は解決していません。生き生きとした子供を育てようとして取り組んできた成果や課題は、どうだったのでしょうか。
 令和5年度の小中一貫教育の取組状況及び成果と課題はどのようであるか、お聞きいたします。
 以上、1回目といたします。

◯市長(難波喬司)
 私からは、大項目1、市政運営についてに関する2点の質問にお答えいたします。
 1点目の国の防衛費の拡大や社会保障費の抑制に対する受け止めについてですが、市長として、山積している地域社会の諸課題に対し、正面から取り組んでいくことが重要であると考えています。
 国の防衛費の予算の動向については、様々な考え方があり、私も個人として、もちろん考えがあります。しかし、市政の場では市長としての認識はあえて述べず、この問題に特に時間を割くことなく、地域社会の課題に注力するというのが、私の考えです。
 一方、市民生活に直接の影響を及ぼす国の社会保障費の予算の動向については、児童手当をはじめとする子ども・子育て関係予算が拡充されているほか、医療、福祉分野における賃上げを目的とした診療報酬や介護報酬の改定がなされるなど、現在の社会情勢を踏まえた必要な予算の拡充が検討されているものと認識しています。
 2点目の、市民の安心感を高めるため、どのような考えで予算編成を行ったかについてですが、社会が大きな変革期にある中、住む人が将来に安心と幸せを感じ、夢を抱き、希望が持てる安心感がある温かい社会を実現するためには、本市における暮らしの安心感、経済的な安心感、災害への安心感の3つの安心感をもっと高める必要があると考えています。
 このため、令和6年度当初予算は、子育て・教育の充実と健康長寿の推進、地域の文化力の向上、地域経済の活性化、災害対応力の強化の4つの分野に予算を重点配分し、積極的な財政出動を行いました。
 このうち、3つを御紹介いたします。
 最初に、子育て・教育の充実と健康長寿の推進では、結婚、出産、子育て、教育など、ライフステージに応じた行政の支援、下支えを充実させることで、暮らしの安心感を高めていきます。
 具体的には、経済的な不安を抱える若者の結婚を後押しするため、結婚後の住まいの費用に対する助成を拡充します。出産に関する経済的負担を軽減するため、不妊治療のうちで保険診療適用外となっている先進治療の自己負担分の助成を行います。仕事と子育ての両立を支援するため、これまで実施してこなかった清水区の放課後児童クラブでの土曜日の開所を行います。教育の充実に関する取組では、近年、増加傾向にある不登校への対策を強化するため、個々の児童生徒の状況に応じた支援の充実に取組ます。
 次に、地域経済の活性化では、働きやすく、働きがいのある仕事を確保し、所得水準を向上させるための取組を強化することで、経済的な安心感を高めていきます。
 具体的には、新たな価値を創造する力を持つスタートアップとの連携を強化し、行政や地域、中小企業が抱える課題の解決を図るとともに、市内への進出の支援を行います。また、企業立地用地の積極的かつ短期間での創出や、工場等建設に対する助成制度の拡充を行うことで、企業の市内進出や定着、生産性の向上を促進していきます。さらに、持続可能な農業経営に向けて、環境負荷低減と収益性の向上が両立した有機農業推進のための取組を進めます。このように、これまで不十分だった経済活性化のための投資を大幅に強化します。
 最後に、災害対応力の強化です。
 激甚化、頻発化する自然災害から、市民の生命や財産を守るための災害対応力の強化を図ることで、災害への安心感を高めます。
 能登半島地震の被害状況を踏まえ、大規模地震時の建物の倒壊などの被害を抑制するため、木造住宅の耐震診断や耐震補強の予算規模を拡充し、住宅の耐震化を促進します。能登半島地震では、液状化による水道管への被害が甚大だったことから、本市においても液状化発生時の影響などを検証し、これまでの耐震化事業の評価を行った上で、引き続き、水道管や水道施設の耐震化を進めます。
 また、令和4年台風15号により深刻な浸水被害を受けた巴川流域の治水対策を強化するため、大内新田地区に雨水貯留施設の整備を進めていきます。
 こうした取組を進めることにより、市民の皆さんがこの3つの安心感を感じ、このまちに住み続けたい、住んでよかったと思える静岡市を実現していきたいと考えています。
 その他の質問については、教育長及び局長より答弁いたします。

◯企画局長(松浦高之)
 市政変革研究会のこれまでの成果と今後の進め方についてお答えします。
 まず、これまでの成果についてですが、研究会では、DX、GXなど10の分科会を設け、各局の若手、中堅職員が主体となって、各分野の外部有識者である委員の知見をいただきながら、根拠に基づく政策形成に向けた議論を進めてきました。
 その結果、海洋DXの研究拠点となる連合大学院の創設に向けた取組、環境負荷軽減と収益性向上が両立した有機農業の推進、JR静岡駅北口における国道横断の検討といった、これまでの市政になかった視点による事業を練り上げ、令和6年度予算案として計上したところです。
 このように、世界の大きな知を得て、縦割りではない部局横断的な体制によって、現場の実態や課題を踏まえた政策研究・立案が進み、形になり始めていることは大きな成果だと認識しております。
 次に、今後の研究会の進め方についてですが、研究会で取り扱うテーマは、いずれも本市がこれまで十分に取り組めてこなかったものであり、中長期的な視点での政策研究と政策形成が必要です。このため、引き続き、既存の各分科会において、継続的に議論を進めてまいります。
 また、令和6年度は、本市の最大の課題である人口減少対策に関する研究を進めるための分科会を新たに設置します。このように、今後も政策研究を行うべきテーマが生じた場合は、随時、分科会の再編を行うなど、研究会を有効に活用し、新たな視点での事業立案に取り組んでまいります。

◯危機管理監(増田浩一)
 被災地への職員の派遣状況と、災害派遣の経験を今後、どのように生かしていくのかについてですが、まず、派遣状況については、能登半島地震が発生した本年1月1日から2月26日現在までに、実人数で698人、延べ人数で4,038人を派遣しています。
 議員にも触れていただきましたが、これらの職員は、被災地において、救命救助や応急給水、避難者の健康管理、支援物資の荷さばき、住家被害認定調査など、多岐にわたる支援を行っています。
 次に、災害派遣の経験を今後、どのように生かしていくのかについてですが、今回の能登半島地震では、家屋の倒壊、火災、道路・水道等のインフラ損壊など、様々な被害が同時発生し、また、国や他の自治体などによる人的支援や物的支援が遅れるなどの事態が発生しました。
 本市においても南海トラフ地震の発生が想定されていることから、今回の地震で明らかになった課題などを洗い出し、本市の災害対応の見直し、改善につなげるため、今後、全庁体制で検証作業を速やかに進めていきます。
 特に被災地に派遣した職員が、現地において実際に見聞きしてきた経験は、今後の災害対応を進める上で非常に有用であります。
 このことから派遣職員による報告会を実施するほか、派遣した全職員に支援先での課題や本市の災害対応の改善の在り方などの調査を実施し、全体の検証作業に反映、活用してまいります。

◯上下水道局長(渡辺裕一)
 老朽化による水道管の更新及び耐震化事業の取組についてですが、市内には約2,700キロメートルの水道管があり、計画的に老朽化した管の更新及び重要な管の耐震化に取り組んでおります。
 水道管の更新については、管の種類や土壌等から、老朽化の度合いを調査・診断し、想定使用年数を定め、この年数を基準として老朽化した管から更新を行っております。
 加えて、重要な管については、水源から配水池までをつなぐ導水管・送水管等の基幹管路を水道システムの中でも優先的に耐震化事業として進めており、全延長約320キロメートルのうち41.5%が完了しております。しかし、58.5%が完了していない状況です。
 こうした耐震化を進める中で、今回、発生した能登半島地震では、上下水道等のインフラ施設に液状化の影響と思われる被害が発生しました。本市においても、災害時に拠点となる避難所・医療機関への供給ルートが確保できるよう、水道管や施設を含む水道システムを対象に、これまでの老朽度、重要度に基づいた評価に、市長答弁のとおり液状化の影響も加味し、耐震性を検証していきます。その上で、施工箇所及び優先順位の整理など、全体計画をさらに精査し、耐震化事業を加速していきます。

◯危機管理監(増田浩一)
 浜岡原発の再稼働についてですが、国のグリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針では、原子力の活用について、いかなる事情より安全性を優先し、原子力規制委員会による安全審査に合格し、かつ、地元の理解を得た原子炉の再稼働を進めるとしています。
 本市として、能登半島地震発生後の現時点においても、浜岡原発の再稼働については、国の基本方針を踏まえ、いかなる事情より安全性を優先し、原子力規制委員会による安全審査に合格し、かつ、地元の理解を得ることが不可欠であると考えています。

◯教育局長(青嶋浩義)
 学校給食費の無償化についてですが、本市においても無償化について必要性は認識していますが、その実施は国の支援の下、全国一律に取り組むべきものと考え、昨年11月に無償化に向けた財政支援を文部科学省に要望したところです。
 一方で、今後のさらなる物価高騰に対応するため、令和6年度は2月補正予算の2億4,000万円を充当し、食料費の値上げ分を公費負担することといたします。
 今後も子供たちの心身の健全な発達に資する良質な学校給食の提供を維持するとともに、学校給食費の無償化についても、引き続き、国の動向を注視していきます。

◯子ども未来局長(橋本隆夫)
 最初に、子ども医療費の窓口負担をゼロにすることについて、どのように考えているかについてですが、子ども医療費助成制度は、既に多くの自治体で独自に実施され、自治体により助成内容に差が生じています。
 本市の子ども医療費助成については、ゼロ歳から高校3年生までの子供を対象としており、費用負担が大きい入院費は全員、通院費についてはゼロ歳児を無料とし、1歳以上の通院費は、1回500円までを保護者に負担していただいています。
 1歳以上の通院費についても、高校3年生まで無料にする場合には、現在の予算額約25億円に加えて、議員御指摘のとおり年間約5億円が必要となります。子ども医療費助成制度は、日本のどこに住んでも安心して医療が受けられるよう、国による統一的な助成制度の創設について、指定都市市長会等を通じて国に要望しております。
 次に、本市におけるこれまでの保育料軽減の取組についてですが、本市の保育料は国の水準よりも低い金額に設定しているほか、減免措置を受けられる低所得世帯の範囲を拡大するなど、本市独自の負担軽減に取り組んできました。
 また、令和5年4月からは、多子世帯への負担軽減策として、本市独自でゼロ歳児から2歳児までの第2子以降の保育料について、所得制限なく無償化を実施しました。
 令和6年度からは、さらに認可外保育施設についても、第2子以降の保育料の負担軽減をすることとし、予算計上しています。
 次に、全ての子供の保育料を無償化することの考え方についてですが、本市において、第1子も含めた無償化を実施する場合、さらに年間約10億円の予算が毎年、必要となります。また、3歳児以上の保育料については、全国一律の取扱いとして、既に国において無償化していますが、ゼロ歳児から2歳児までの保育料は、国の無償化の対象となっていません。
 保育料を無償化することは、少子化対策に寄与すると考えられることから、令和5年11月に、第1子も含めた全ての子供の保育料無償化を国の制度として実施するよう、こども家庭庁宛てに要望しています。

◯都市局長(安本弘樹)
 子育て世代に対応した市営住宅の改修及び建て替え計画についてですが、市営住宅の整備については、配置適正化方針に基づき、予防保全の観点から、計画的に改修し長寿命化を図る建物と、老朽化により解体または建て替えする建物に分類し、市営住宅の改修及び建て替えを進めてきました。
 改修する建物については、現在の生活スタイルに合うよう、ユニットバスやトイレ、キッチンなどを改修し、今後、建て替えする建物については、バリアフリー化や間取りの種類を増やすなど、子育て世帯も含め、誰もが安心かつ快適に暮らせるよう整備を進めています。
 また、その中で一部住戸に優先入居枠を設け、子育て世帯に提供しております。
 今後の市営住宅の整備については、将来の人口推計及び民間賃貸住宅ストック数を検証し、市営住宅の供給戸数を整理した上で、配置適正化方針を見直していきます。
 また、見直しに当たっては、子育て世帯や単身高齢者が入居しやすく、幅広い世代が交流できるような整備を検討していきます。

◯教育局長(青嶋浩義)
 年度当初や年度途中に欠員が生じないための取組についてですが、まず、年度当初には、市内小中学校全ての学級において、担任が不在とならないよう教員を配置し、経験や年齢構成、中学校においては教科のバランスに考慮しながら、学校経営や指導体制が整うよう、人事配置に努めております。
 令和3年度までは欠員が生じることはありませんでしたが、令和4年度は19人、令和5年度に8人の欠員が生じたため、授業を担える非常勤講師を任用し、学校運営に支障を来すことのないよう対応しました。
 次に、年度途中の補充については、産・育休取得者等の増加に対し、代替教員の配置ができない状況が続いており、その人材確保については喫緊の課題であると考えます。
 その対策として、これまでも学生を対象としたガイダンスの実施、ハローワークや市ホームページでの募集、教職経験者への働きかけ等を行ってまいりました。
 さらに、令和5年度は、教員免許を有しながら、現在は教職に就いていない方を対象とする静岡市教職説明会を開催し、新たな任用及び講師登録者を確保するなど、人材の掘り起こしにつなげているところです。
 今後も、これらの取組を継続するとともに、教員の成り手不足を解消するために、教員の仕事の魅力、働き方改革の状況を効果的に発信することで、より多くの人材確保に努めていきます。

◯教育長(赤堀文宣)
 教職員が不祥事を起こさないための取組についてお答えさせていただきます。
 令和5年度は、本市教職員による不適切な指導や言動など、市民の皆さんの信用を失墜するような行為が複数あったことを重く受け止めるとともに、子供や保護者、地域の方々に多大な御心配、御迷惑をおかけいたしましたこと、心からおわび申し上げます。
 本市では、これまでも不祥事の発生を未然に防ぐため、市立の全小中高等学校において、教職員と保護者や地域の代表者で構成する校内コンプライアンス委員会を設置し、様々な取組を行ってまいりました。
 具体的には、保護者や地域の方々の意見も取り入れながら、過去の不祥事事例の問題点を話し合ったり、不祥事根絶リーフレットを活用したりすることで、教職員の危機管理意識や倫理観の向上につながるよう努めてきました。
 不祥事の重なりました令和5年度は、校長等の管理職に対し、再発防止に向けた校内指導を繰り返し行うよう指示いたしました。
 また、全教職員に対して、保護者と十分なコミュニケーションが取れているかなどの調査を実施し、問題行動を起こす可能性が高い教職員の早期発見に努め、該当教職員に対して管理職による適切な指導を行いました。
 令和6年度は、チーム担任制の導入など、教職員の負担軽減を図りつつ、教職員がお互いに協力し合える仕組みを整えることで、組織として不祥事の未然防止の徹底を図ってまいります。
 今後も子供の命と人権を守ることを最優先に、保護者や地域の方々との信頼関係を構築するとともに、教職員一人一人の規範意識に加え、組織としての対応力を高めることで、不祥事の根絶に取り組んでまいります。

◯教育局長(青嶋浩義)
 静岡型小中一貫教育についてですが、静岡型小中一貫教育は、小学校と中学校の縦のつながりと、学校と地域の横のつながりを強化し、地域ならではの特色ある取組を、9年間を通して行うことにより、子供の学びの質を高めることを目的とし、市内全43中学校区グループにおいて取組を進めています。
 全市一斉スタートから2年目となる本年度は、全てのグループにおいて、昨年度の成果と課題の検証を生かした取組が進行するとともに、教育委員会が指定した2つのグループが研究発表会を行い、好事例として、全てのグループへの周知を図りました。
 これまでの成果として、縦のつながりにおいては、小学校、中学校の校種を超えた教職員の相互理解や連携が進んだことで、小6と中1の円滑な接続だけでなく、9年間のつながりのある取組が充実しました。例えば、あるグループでは、主体的に学習に取り組む子供を9年間で育成することを目標とし、自ら課題設定する学びに取り組んだ結果、どの学年の子供からも、自分が決めた学習に主体的に取り組むことができたなど、目標の達成を示す声がありました。
 また、横のつながりにおいては、各中学校区グループで、目指す子供像について、学校と地域の共通理解が進みました。例えば、あるグループでは、9年間で目指す子供像や学校と地域が協働して行う取組について、地域住民と全教職員による協議を行ったことにより、地域の方々から小中一貫教育で取り組むことが分かりやすくなって、地域総がかりで子供を育てていく意識が高まったといった声が上がるなど、グループならではの取組について共通理解を深めることができました。
 一方、課題としては、グループ内の各学校で、様々な共通した取組を実施しているものの、実際に取り組んでいる内容と子供たちに身につけさせたい資質、能力の関係が十分に整理されておらず、教職員の理解にばらつきが見られることです。
 今後は、教育委員会が各中学校区グループで実践されている先進事例を取りまとめ、周知するとともに、適切な指導・助言に努めることで、小中一貫教育の一層の充実を目指していきます。

◯議長(井上恒弥) 本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長します。
  〔市川 正議員登壇〕

◯市川 正
 それでは、2回目の質問に移ります。
 大項目5、社会保障制度について伺います。
 まず、国民健康保険についてですが、政府は、今年12月2日をもって、従来の健康保険証を廃止し、マイナンバー保険証に一本化するとしています。医療機関の窓口では、保険資格が確認できない、医療費の負担割合の間違いがあったなどのトラブルが報告されています。
 全国保険医団体連合会によれば、2023年10月1日以降のマイナ保険証関連のトラブル調査の結果、今年、2024年1月31日時点で、このアンケートに回答した8,672医療機関のうち59.8%、実に6割ほどが名前や住所で、その欄に黒丸が表示される、あるいは資格情報の無効がある、カードリーダーでエラーが出るなど、何らかのトラブルが発生していたとして、医療機関も深刻な懸念を表明しています。
 厚生労働省は、今年1月のマイナ保険証の利用率は4.6%だったと公表しています。12月の4.29%から微増したということですけれども、依然、低迷しています。
 市長は、昨年9月議会で、国民のマイナ保険証への不安を解消する取組が必要であって、マイナ保険証への切替えについては、実施時期にこだわることなく、国民の理解を十分得た上で実施することが必要と答弁されております。全く同感です。
 そこで、伺います。
 静岡市国民健康保険の被保険者のうち、マイナ保険証を持っている被保険者の数と、全被保険者に対する割合はどのくらいでしょうか。また、マイナ保険証の利用率はどのくらいか、お伺いいたします。
 厚労省は、マイナ保険証を持たない保険資格者が医療にかかれなくなることを回避する策として、マイナ保険証を持たない人に、本人の申請なしでも資格確認書を送って、有効期間を最長5年に延ばすというふうに言っております。しかし、実施段階では様々な対応が求められ、地方行政には新たな混乱を生み出します。必要となる資格確認書は、全国では数千万枚の規模に上ると見られ、有効期限ごとに更新が必要となるなど、業務を担う保険組合や自治体の負担は相当膨大になってしまうのではないでしょうか。
 そこで伺いますけれども、これは発表されていることもありますので簡単で結構ですが、令和6年12月2日の健康保険証の廃止後、どのようにしてマイナ保険証を持たない被保険者が、これまでどおり医療機関を受診できるようにしていくのか、市としての考えをお伺いします。
 国民健康保険の加入者は年金生活者、フリーランス、あるいは小規模自営業者や派遣、アルバイトなど、低所得者の加入が多くなっています。その上、他の健康保険との大きな違いは、全額自己負担になってくるという問題があります。そのため、他の健康保険に比べて、国保加入者の所得に対する負担割合は2倍ほどにもなり、国庫負担を拡充しない限り、国民健康保険の構造的な問題は解決いたしません。
 国民健康保険は、被保険者に高齢者や低所得者が多いという構造的課題がありますが、本市は国に対し、国庫負担の拡大による財源強化について、どのような機会を通じて要望しているのか、お伺いしたいと思います。
 大項目6、大規模事業計画についてであります。
 アリーナ建設計画について伺います。
 日本共産党市議団は、これまでも大型箱物施策については、建設費はもとより、将来の維持管理費が多額になり、市の財政を圧迫するおそれなどの点から、慎重な検討を求めてまいりました。
 令和5年6月議会の内田議員の質問で、アリーナ建設計画は、駅前立地等の優位性はあるにしても、愛知や神奈川など、近隣自治体での建設ラッシュもあり、1万席規模の集客性、採算性などに触れ、市の財政状況や景気動向を見たときどうなのか、当局の見解をお聞きしました。答弁では、アリーナの整備に関し検討して、改めて事業手法やリスクについて精査するとしておりました。
 アリーナ整備については、これまで市長定例記者会見をはじめ、市長自らの沖縄アリーナ視察、東静岡周辺地元での説明会、今定例会での当局答弁などで、前に進めるとの姿勢が示されてきました。アリーナの規模は、最大収容人員1万人、建設費266億円と想定し、30年間で約5,000億円の経済波及効果を見込んでいると説明されております。市は費用負担を抑える観点から、運営権売却──コンセッション方式といいますが、これが効果的との認識を示しています。事業費は多額であり、市議会をはじめ、市民に丁寧な説明が必要だと考えます。
 今定例会で示された財政状況によりますと、令和13年度までの各年度で、市予算に最大81億円の財源不足が見込まれるとされており、こうした状況に危惧を抱くところでもあります。
 アリーナ建設決定に当たり、前提となる検討課題は何かといえば、1つは事業手法、そして事業費と市の財政規律、経済波及効果、地元及び市民合意です。また、合意を得るためには、従来のパブリックコメントだけでなく、公聴会や市民アンケートなどがあると考えます。
 アリーナ建設は、いまだ市民の理解が十分とは言えない状況ではないでしょうか。市が言うように、アリーナ建設は一定の経済波及効果が見込まれるものであったとしても、市民の合意や共感を得て実施すべきものと考えます。
 そこで伺いますが、市民の共感や合意を得ることに必要な取組は何と考えておられるのか、お伺いいたします。
 次に、PFAS問題について伺います。
 現状の課題と今後の対応について伺います。
 PFASについては、全国各地で問題がクローズアップされています。本市でも清水区において三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社の排出する排水から、暫定目標値50ナノグラム/リットルを大きく超え、26倍ほどの1,300ナノグラム/リットルのPFASが本市調査でも検出され、その報道に周辺住民は不安を抱えた状態ではないでしょうか。
 市長は、飲用でなければ健康被害は出ないとの見解を示しているところですが、今後の対応についての住民の不安の払拭が必要です。問題発覚後、地元自治会、会社、静岡市の三者連絡会がつくられ、ここでは現状把握等について情報共有されているといいます。しかし、市民への情報提供や丁寧な説明が、まだまだ尽くされているとは言えない状況ではないでしょうか。
 また、PFASの環境基準が法で定められていないことをもって、事業者への要請や指導にも制限がかかります。国に対して水質及び血中濃度の法定基準値を定めるよう国に要望すべきではないでしょうか。
 これまで行ってきた三者連絡会の内容について、関係住民、市民への丁寧な説明が必要と考えますが、どうでしょうか。
 もう1つ、当該企業では、従業員にPFASの血中濃度検査を実施したと聞いていますが、市では住民の検査を実施する考えはありますか。また、水質及び血中濃度の法定基準値の設定を国に要望すべきと考えますが、どうでしょうか。
 大項目8、経済対策について伺います。
 中小事業者支援についてですが、昨年10月から、インボイス制度が始まり、中小事業者は窮地に立たされています。借入金の償還が始まり、相変わらずの物価高騰が襲いかかって、そこにインボイスが実施される。これを機会に仕事をたたんだ事業者が多くみられます。
 知り合いの木工所もそうでしたけれども、まだまだ頑張れると思っていたところ、昨年の11月にとうとう廃業してしまいました。
 その人いわく、年だしなあ、それほどもうかっていたわけでもないし、問屋に頼まれて、しばらくは後継者のいそうな同業者にノウハウを教えるために、あっちこっち行っているんだよというふうに話しておりました。
 物価高騰とインボイスで中小事業者の支援は待ったなしの状態であります。
 そこで、伺います。
 物価高騰支援について、引き続きの支援が必要と考えますが、市の対応はどのようでしょうか。
 大項目9、リニア中央新幹線についてです。
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事をめぐっては、様々な報道がありますが、注目したいのは、南アルプストンネル工事で出る静岡工区の360万立方メートルもの残土と生態系への影響です。発生する残土は、大井川最上流に位置するツバクロ沢に、高さ65メートル、幅50メートル、長さ100メートルの置場になると想定されています。
 12月5日に市長から記者説明がありましたが、そこに示された資料において、盛土が安定していれば災害危険度は高まらないこと、盛土の量は周辺の大規模深層崩壊量に比べて小さく、災害危険度を高めることにはならないとの説明だったように思います。
 そこで、お伺いします。
 なぜ、盛土は災害危険度を高めないと言えるのか。
 2つ目に、南アルプスの植生の保護について、どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
 大項目10、働きやすい環境づくりについて伺います。
 市のハラスメント対策についてです。
 12月23日、静岡市危機管理総室で、2023年度中に退職や業務を理由とした病気休暇の取得が相次いでいて、複数の職員がハラスメント行為を訴えているとのマスコミ報道がありました。
 これを受け、日本共産党市議団は、12月26日、危機管理総室職員の退休職に係る実態調査と、原因を明らかにし公表することについて申入れしてきたところであります。
 本市の職員の給与等に関する報告及び勧告では、ハラスメント対策の推進に関して、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、妊娠・出産、育児または介護等、様々な場面における各種ハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力発揮を妨げるだけでなく、職場における信頼関係の悪化や、職員の士気の低下を引き起こす要因となる。任命権者においては、引き続き、ハラスメント防止対策が適切に実施されるよう、職員に対し制度や相談、調査機関についての継続的な周知や、各種研修等による意識向上を図るとともに、各所属においては、声を上げやすい環境づくりや職場風土の醸成に努められたいと当局に改善を求めております。
 ハラスメントは、職員の人権に直結する問題であり、まさに組織パフォーマンスの低下を引き起こします。その意味で、危機管理総室の事例を受け、ハラスメントの全庁調査や、ハラスメント対策をしっかり実行することが必要と考えております。
 3点、伺います。
 ハラスメントについて、市長はどのような認識を持っているのか。
 2点目、ハラスメント調査は、現状、どのように行っているのか。また、今後、どう取り組んでいくのか。
 3点目、ハラスメント撲滅宣言を行う考えはないか。
 以上、3点をお伺いして2回目の質問といたします。

◯市長(難波喬司)
 私からは、大項目9、リニア中央新幹線について。10、働きやすい環境づくりについてのうち、4つの質問についてお答えいたします。
 市は、これまでJR東海の環境影響評価について、発生土置場に関しては、盛土の安定性、河川災害、生物多様性への影響の観点から意見を提出し、計画変更の検討を要請し、JR東海がそれを反映した計画に変更するなど、JR東海と協議を進めてまいりました。
 盛土に関する環境影響評価においては、事業、すなわち盛土のあるなしで状態がどう変わるかを比較します。
 これには3つの観点があります。
 1つ目は、盛土の存在自体が直接、環境に影響を与える場合です。盛土をすることで、植物の生息場が減るのがその例です。
 2つ目は、盛土に外力が加わることにより、盛土が変化し、環境への影響が生じる場合です。降雨や地震の影響により、盛土が崩壊し、環境へ影響を与えるのがその例です。
 3つ目は、盛土に外力が加わっても、盛土自体は変化しないものの、周辺の状況が変化したことによる環境影響を盛土の存在が助長する場合です。
 御質問の盛土の災害危険度への影響評価の適否を理解するためには、この影響評価の基本的な考え方をまず理解する必要があります。
 とりわけ3つ目の問題、すなわち周辺で大規模深層崩壊が発生し、天然ダムが形成され、それにより災害危険度が高まる。そのときに盛土の存在が下流部の災害への影響を助長する場合があるという特殊なケースを想定した環境影響評価について、その特殊性を含めて考え方を理解する必要があります。
 この3つ目の観点は、環境影響評価で行われることはまれです。この特殊とも言うべき影響評価の方法については、大規模深層崩壊により、どのような現象が発生するのかを想定した上で、深層崩壊の規模や天然ダムの形成形態と、その崩壊形態を設定し、盛土なしと比べて、盛土ありはどのような現象により災害危険度が変化するのかなどについて分析することが必要です。この考え方について、直感的に御理解いただけるような説明は、大変困難性が高いものです。
 昨年12月4日に3時間かけて、市協議会で御議論いただき、翌日、1時間半かけて記者説明という形で詳しく説明しました。詳しくは動画配信しておりますので、ぜひ御覧いただきたいと思います。
 その上で、ここでは盛土が災害危険度を高めないと言えるのかについて、簡潔にお答えいたします。
 安倍川源流部の大谷崩が、これまでの長年にわたり崩れた量は1億2,000万立方メートルと推定されていますが、その長年の崩壊量に匹敵する最大約9,000万立方メートルの土石が深層崩壊により一度に崩壊し、その全てが天然ダムを形成するとした場合では、天然ダムの堤体がツバクロ盛土の下流に伸びるだけであり、水害の危険度を上げることになる、天然ダムの堤体高を高くするという現象にはほとんど寄与しないということを示しました。
 よって、ツバクロ盛土の体積360万立方メートルが、ツバクロ盛土なしに比べて災害危険度の最大値を高めることになるとは言えないとしました。
 また、さきに述べた3つの観点のうち、2つの観点については、降雨や地震に対する盛土の安定性、あるいは地形改変による動植物の生息環境への影響を、市協議会の委員がJR東海と意見交換やデータの確認など、詳細な検討を行っているところです。
 市としても専門家の意見を参考にし、盛土設置による環境への負荷をできる限り回避し、または低減すること、その他の環境への配慮が適切になされるよう努めてまいります。
 続きまして、働きやすい環境づくりについてに関する3つの質問にお答えいたします。
 まず、ハラスメントに関する認識についてですが、ハラスメント行為は、相手の尊厳や人格を傷つける許せない行為です。さらに、そのような行為は、それを受けた職員の能力発揮に重大な影響を及ぼすとともに、周囲の職員の仕事への意欲を低下させ、職場全体の生産性にも多大な悪影響を及ぼすものと認識しています。
 全ての職員が、個人として尊重され、お互いに信頼し合って働けるような職場環境をつくり、これを維持していくことが何より重要だと考えています。
 次に、ハラスメント調査の現状と今後の取組についてですが、現在、職員等からの相談に対して、各任命権者の人事担当課が個別に調査等の対応をしています。しかし、中には相談をためらうケースもあると考えています。
 そこで、今後の取組として、隠れている声を表に出せるようにし、速やかな調査実施に結びつける新たなハラスメント調査・申出制度の検討を進めています。この制度により、ハラスメントの早期発見、早期解決や発生抑止が期待できます。これと併せて、幹部職員や全職員に対する研修の質の向上を図ります。
 最後に、ハラスメント撲滅宣言についてですが、ハラスメントのない、安心して働ける健全な環境、職場風土を醸成するためには、職員一人一人がハラスメントに関する正しい知識、認識を持ち、ハラスメントを絶対にしない、させない、見過ごさないという意識づけが重要です。
 そこで、本市では全職員によるハラスメント撲滅宣言を早期に実施していきます。ハラスメント撲滅宣言を実施することにより、本市の本気度、断固たる決意を全職員で共有し、意識づけの徹底を図っていきます。
 その他の質問については、局長より答弁いたします。

◯保健福祉長寿局長(吉永幸生)
 静岡市国民健康保険の被保険者のうち、マイナ保険証を持っている被保険者の数とその割合はどのくらいかについてですが、四半期に一度、国保連合会から提供されるマイナ保険証利用登録者の直近、1月10日時点の抽出データによれば、マイナ保険証を持っている被保険者は7万6,510人です。時点の違いを前提に、本市が把握できる令和6年1月末現在の被保険者数12万4,966人を基に、マイナ保険証所持割合を試算すると61.22%となります。
 また、静岡市国民健康保険の被保険者のマイナ保険証の利用率はどのくらいかについてですが、マイナ保険証の利用率は、国によれば、分子をマイナ保険証で受診した人数とし、分母を各医療機関で受付た外来のレセプト枚数として算出するものとされています。本市としては、これらのデータを持ち合わせていないため算出できませんが、先般、国から全国の市町村等に対して、各市町村等の令和5年10月分及び11月分のマイナ保険証の利用率のデータが提供されました。このデータによれば、直近である令和5年11月分の本市におけるマイナ保険証の利用率は7.7%となっています。
 次に、令和6年12月2日の健康保険証の廃止以降、どのようにして、マイナ保険証を持たない国民健康保険の被保険者が、これまでどおり医療機関を受診できるようにするのかについてですが、令和6年12月2日以降は、現行の健康保険証の新規発行が終了しますが、静岡市国民健康保険に引き続き、被保険者資格がある方であって、令和6年12月1日時点で健康保険証の交付を受けている方は、有効期限である令和7年7月31日まで健康保険証を引き続き使用することができます。
 また、令和6年12月2日以降に、静岡市国民健康保険に新たに加入される方であって、マイナ保険証を持たない被保険者も、本市から資格確認書の交付が受けられますので、これまでどおり資格確認書を提示することで医療機関を受診することができます。
 なお、令和7年8月1日以降にマイナ保険証を持たない国民健康保険の被保険者は、当分の間、本人の申請によらず、本市から職権で資格確認書が交付されることになっていますので、これまでどおり医療機関を受診することが可能となります。
 最後に、国民健康保険は、被保険者に高齢者、低所得者が多いという構造的課題があるが、市は国に対して、国庫負担の拡大による財源強化について、どのような機会を通じて要望しているのかについてですが、国庫負担の拡大による国民健康保険の財政基盤の強化は、全国共通の課題であることから、全国市長会、指定都市市長会及び政令指定都市国保・年金主管部課長会議を通じ、国に対して国民健康保険の安定的かつ持続的運営ができるよう、国庫負担割合の引上げ等、国保財政基盤の拡充・強化を図るとともに、低所得者層に対する負担軽減策を拡充・強化することを、従前より要望しています。

◯観光交流文化局長(望月哲也)
 アリーナ建設計画の市民の共感や合意を得ることに必要な取組についてですが、アリーナ事業は、人口減少、少子高齢化が急速に進む本市が、まず取り組むべき、若者に魅力的なまちづくり、若者が楽しめる文化づくりの施策であるとともに、高い経済波及効果、所得増効果が見込まれます。
 さらに、アリーナ整備と東静岡周辺のまちづくりを一体的に進めることで、アリーナ単体の効果よりも、はるかに大きい社会効果が期待できます。
 今後、市民の共感をさらに得るためには、アリーナの目的や必要性のほか、これら高い経済効果や社会効果について、根拠を持って分かりやすく説明することが重要と考えています。そのため、まずは令和5年度の検討内容について、市民の皆さんに向け、広報紙などで周知を図っていきます。また、令和6年度にアリーナの基本計画を策定する際には、パブリックコメントを実施し、様々な意見を伺いながら、市民の皆さんが納得できる実効性の高い計画としていきます。

◯環境局長(田嶋 太)
 PFASに関する住民や市民への丁寧な説明についてですが、PFASに関しては、市、事業者、地元自治会で組織する三者連絡会において、地下水等の調査結果、PFAS濃度低減に向けた取組、住民の方からの要望などの情報を共有し、今後の対応について協議を行っているところです。
 住民の皆さんには、より正確な情報をお伝えするため、随時、本市と事業者から調査結果や現在の対応状況などの情報を回覧板でお知らせしており、住民の方からは、分かりやすく安心感につながるとの声をいただいています。
 住民説明会については、これまでのところ開催してほしいとの要望はいただいておりませんが、今後、要望があった場合は、三者連絡会の中で実施の可否を検討します。
 また、広く市民の皆さんに向けては、引き続き地下水の調査結果や、PFASの最新情報などを、市のホームページなどを活用して発信していきます。
 次に、血中濃度検査の実施と規制強化に関する国への要望についてですが、当該事業所では、退職者を含め従業員の健康への不安の声に対し、本年1月から希望者に対する血液検査を実施していると聞いています。
 市としての血液検査については、現在、国において健康影響への因果関係などの検討が進められている段階であり、明確な指針値が示されていないことから、今のところ実施する予定はございません。
 また、PFASに関する国への要望については、本市と同様に全国の自治体でも対応に苦慮している状況であるため、指定都市市長会においてPFAS対策の推進に関する国への要望について、内容を含め検討しているところです。

◯経済局長(稲葉 光)
 物価高騰支援について、引き続き必要と考えるが、市の対応はどのようかについてですが、物価高騰下における経済状況については、令和5年11月に本市が実施した景況調査では、円安や物価高騰、人手不足が引き続き懸念されることから、本年1月以降、景気は下降していくと見通している事業者が多くなっています。
 また、本年1月に内閣府が発表した月例経済報告では、景気は、このところ一部に足踏みも見られるが、緩やかに回復していると判断しているものの、先行きについては、海外景気の下振れや物価上昇等の影響のほか、令和6年能登半島地震の経済に与える影響にも十分注意する必要があるとしています。このように本市の事業者を取り巻く環境は先行き不透明な状況が続くものと考えられます。
 こうした中、本市では令和5年度11月補正予算により、物価高騰による事業者の事業活動への影響を軽減するため、6月補正に引き続き、中小企業や福祉施設などの幅広い事業者に対し、電気・ガス料金、食材料費等の価格高騰分の支援を行っているところです。
 これらの経済対策事業を着実に実施し、本市事業者の事業活動を支えていくとともに、今後も経済状況や国・県の動向などを注視し、事業者に寄り添った経済対策を検討していきます。

◯環境局長(田嶋 太)
 南アルプスの植生の保護についての取組ですが、リニア建設工事による植生、生態系への影響については、大井川や上流域の沢の流量減少による影響、工事車両の騒音・振動による影響など、様々ありますが、特にトンネル掘削により、トンネル内へ湧水が流入し、地下水位が低下することで沢の流量が減少し、生態系に影響を及ぼす懸念の重要性に鑑み、まずはその環境影響評価について議論を行っています。
 昨年12月に、国の有識者会議において、生態系への影響と保全措置の方向性が報告書としてまとめられたため、これを踏まえて、市では2月16日に第15回静岡市中央新幹線建設事業影響評価協議会を開催し、市の課題認識や今後の検討の進め方についての議論を行いました。
 この問題については、シミュレーションの解析結果の不確実性を理解した上で、あらかじめ影響を推定、評価し、影響の低減措置等を検討しておくことが必要です。
 今後、これらの課題認識等について、引き続き市協議会で議論を行い、JR東海と具体的な保全措置を協議していきます。
  〔市川 正議員登壇〕

◯市川 正 
3回目は、意見・要望ということでお願いします。
 第1に、市長の市政運営の基本姿勢についてお伺いしました。
 冒頭でお伺いしましたけれども、国政との絡み、関連についてお聞きしたのですが、これは昨年来、うちの内田議員の代表質問の際にもお聞きしているように、いろいろな考え方があり、個人としての考えはあるが、市長として認識はあえて述べないと御答弁されたものと同様と考えております。
 しかし、言うまでもなく、市民の生活は市政だけで守れるものではなくて、国政の動向とも直結しています。
 例えば、浜岡原発に関する問題でも、市が南海トラフ地震への対策を万全に取ったとしても、再稼働した原発の事故が起きれば、市の努力は水泡に帰してしまう、こういう危険があります。
 あるいは、広島・長崎両市長が、国が批准しない核兵器禁止条約についても積極的に発言していることに象徴されるように、市民の命と暮らしを守る責務を負う市長として、国政の問題であっても、必要な場合には自ら情報発信する、そして、市長会にも働きかけるなど能動的な行動をするよう、ここで要望しておきたいと思います。
 第2に、今後の市政の方向についてです。
 前田辺市政が策定した4次総について、市長は発展的に継承するという基本的な考えを示す一方で、人口政策については、交流人口、関係人口に絞った対策は誤りだとして、定住人口を重視した政策に方向転換しています。
 日本共産党市議団は、2022年5月に行った4次総策定に向けての提言では、定住人口の維持・回復を目指すことを提言し、議会でも度々取上げてまいりました。その点では、難波市長と目指す方向は重なっていると思います。
 また、市長の市政運営方針である根拠と共感に基づく政策執行は、前市政に欠けていたものであり、その理念は議員団としても評価するものであります。
 来年度予算では、定住人口対策と、そのための施策が一定の根拠を基に予算化されていると受け止めています。
 今回、質問で取上げた子育て支援策、3つのゼロですね。学校給食費の無償化、子どもの医療費の窓口負担ゼロ、保育料ゼロ、これについて今回は実施するとの答弁はありませんでしたが、重要な課題として捉え、静岡市として実現に向け、かじを切るよう要望いたします。
 なお、今回は質問項目として取上げませんでしたが、国民健康保険料についてですが、来年度は1人当たり2,000円の引上げが提案されております。この間、コロナ禍や物価高等で、引下げは見送られてきましたが、その状況がほとんど変わらないにもかかわらず、値上げの提案がありました。私たち日本共産党市議団は、高過ぎる国民健康保険料の引下げを市民の皆さんと共に求めており、今回の引上げ案には反対しています。したがって、今回の2月議会に国保料据置きの予算修正案を提出するということを前もって述べておきたいと思います。
 さらに、マイナ保険証の使用率の問題も伺いましたが、静岡市で7.7%、1割にも満たないという状況です。市民の中にマイナンバー制度そのものが信頼できないとの強い不信感が大きく影響しているものと思われます。
 国は医療機関に対して、マイナ保険証の使用を促す努力を行えばポイント加算するなどとあめをぶら下げて、あの手この手で使用率を上げようと必死です。このまま推移した場合、大変な混乱を生むことは必至です。保険証廃止は一旦中止し、引き続き、紙ベースの保険証の発行を続けることを国に要望すべきではないでしょうか。
 もう1点、アリーナの問題です。
 パブリックコメントのみをもって市民合意を得たと建設を決定するならば、なかなかこれは市民の共感を得られたということにはならない。市長自ら唱える根拠と共感に基づく政策執行とはならないのではないでしょうか。アリーナ問題については、慎重かつ丁寧な検討を、いま一度求めたいと思います。
 最後ですが、ハラスメント問題についてです。
 人事委員会の報告及び勧告では、ハラスメント問題は職員の尊厳を傷つけるだけでなく、職場における信頼関係の悪化、職員の士気低下など、政策を実行する組織力の低下に直結することから、当局に対策の改善を求めています。ハラスメントの存在は、市長が目指す共創、そのための開かれた分かりやすい市政実現を内部から阻むものになりかねません。
 全職員によるハラスメント撲滅宣言を早期に実施するとの答弁がありました。市長自らハラスメント撲滅宣言をし、職員全体でハラスメントを許さない認識を共有するとともに、全庁調査や職員アンケートなど、現状を明らかにした上で抜本的な対策を取られるよう要望しておきます。
 日本共産党市議団としては、難波市長の市政の運営方針には、ある意味賛同しつつ、具体的な施策展開については、憲法や地方自治法、自治基本条例に基づいた市政運営となっているか、市民の目線から是々非々の立場で臨んでいくことを表明いたしまして、代表質問といたします。
 ありがとうございました。