令和6年度予算案反対討論 

内田隆典
 日本共産党静岡市議会議員団を代表して、ただいま議題となっています議案第32号令和6年度静岡市一般会計予算、議案第39号令和6年度静岡市国民健康保険事業会計予算、議案第50号令和6年度静岡市下水道事業会計予算、議案第58号静岡市国民健康保険条例の一部改正について反対し、国民健康保険関連3議案の修正案に賛成する立場で討論を行います。
 国の2024年度予算が衆議院で3月2日に採決され、与党の賛成多数で可決されました。これにより、憲法の規定により年度内成立が決まったことになります。予算案は、2023年12月22日に閣議決定されましたが、その後、1月1日に発生した能登半島地震の被害を受け、1月16日、予備費を追加決定する予算となっています。
 暮らしと平和、そして政治の在り方そのものが問われるような激動する内外情勢の下での予算案となります。
 暮らしの問題では、2023年の消費者物価指数は、1982年以来、41年ぶりの上昇率、実質賃金は21か月連続で前年割れ、暮らしが悲鳴を上げている状況です。
 平和の問題では、ウクライナへのロシア侵攻に加えて、2023年10月にはイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への武力攻撃が開始され、多くの死傷者が出ています。こうした中での大軍拡に突き進む岸田内閣の姿勢が厳しく問われています。
 また、中小業者はインボイスが導入されて初めての確定申告を迎え、1枚でも領収書がないと税務署に調査されるのに、自民党派閥の政治資金パーティー、裏金事件への調査はうやむやになりかねない状況に、国民の怒りは頂点に達しようとしています。
 こうした激動する内外情勢の中での難波市政の初めての予算編成となりました。一般会計3,534億6,000万円、特別会計2,523億5,380万円、企業会計799億2,540万円、全会計で6,857億3,920万円、前年比1.5%の増額予算となっています。
 予算編成のポイントでは、子育て支援・教育の充実と健康長寿の推進、災害対応力の強化等に重点配分したとしています。今後の財政見通しでは、歳入については、ほぼ横ばいで推移すると見込み、歳出については、扶助費や公債費の増による増加傾向を見込んでいます。令和7年度、8年度は、第4次総合計画前期実施計画に基づく投資的経費の増により高い水準となると見込んでいます。経常収支比率の推移は、令和6年度94.9%、令和13年度は97.6%と財政の硬直化が見られます。
 こうした状況の中、今後、海洋・地球総合ミュージアム建設に240億円、アリーナ建設に266億円、市民文化会館改修事業に123億円、サッカー場建設、最終処分場整備事業など大型事業がめじろ押しであります。子育て支援をはじめ、教育、福祉など市民生活に影響を及ぼさないか危惧するところであります。
 以上の点を踏まえ、議案に対する反対理由を述べます。
 最初に、議案第32号一般会計予算についてであります。
 アリーナ建設事業についてであります。市長は、1月28日、長沼地区の5つの自治会に対し、アリーナ整備の必要性に理解を求めました。その際、最大1万人収容のアリーナを総事業費266億円で建設した場合、運営30年までに経済波及効果は5,248億円、雇用者所得誘発額は1,439億円と試算し、若者流出防止やまちづくりの効果が高い収益施設として説明してきています。しかし、現状では全て税金で賄うのか、民間資本がどれだけ導入されるのか全くはっきりしていません。交通渋滞や騒音対策も説明し一定の理解を得たということで、今年度中に建設の是非を判断するというのは、あまりにも拙速ではないでしょうか。総事業費266億円の大規模事業であり、パブリックコメントのみを行って市民の意見は聴いたといったこれまでの事業の進め方は、根本的に改めるべきであります。
 マイナンバーカードについてです。総務省は、2023年12月時点でマイナンバーカード保有数は9,154万人で、人口に対する割合が73%と公表しています。政府は、着実に交付が進んでいると言いますが、高齢者や障がい者を持つ国民にとっては、マイナンバーカード取得は極めて困難である事実が明らかになり、マイナ保険証によるオンライン資格確認は、僅か4%にとどまっています。マイナンバー制度は、国民の財産を国が管理し、資産、社会保障給付を把握し、国民への課税強化を目的としています。個人情報の漏えいが危惧されていることは、数字上からも明らかであります。
 海洋文化施設についてであります。この間、報道で事業者と東海大学との調整、建物杭の対応等で当初の計画より大幅に遅れることが明らかになりました。また、現段階でも取水方法も決まっておらず、諸物価の高騰で建設費への影響は避けられない状況であります。市民合意が得られていないところに問題の根本があります。今からでも事業の撤退を含め、見直しを求めます。
 自衛官募集業務についてであります。募集事務が自衛隊法に基づく法定受託事務であるとし、義務でもない宛名シールまで準備し、自衛隊へ提供しています。国の防衛予算は天井知らずで、2022年12月の安保三文書の閣議決定から1年余り、2年連続で前年度から1兆円以上を増額しています。防衛省は、全国283の基地・駐屯地で2万1,806棟の建物を核・生物・化学攻撃などに耐えられるような構造にするなど強靱化を進める計画です。まさに戦争準備かと思わせるような内容です。今、取り組むことは軍拡ではなく、国連憲章と憲法9条を生かした平和の構築ではないでしょうか。募集事務や自衛隊への名簿提供はやめるべきであります。
 国民保護計画は、緊急事態に国民の行動を強制的に制限するなど人権侵害であり、憲法違反の疑いがあります。
 議案第50号は静岡市下水道事業会計予算でありますが、受益者負担金は都市計画税との二重徴収であり問題であります。
 議案第39号令和6年度静岡市国民健康保険事業会計予算及び第58号静岡市国民健康保険条例の一部改正についてであります。今回の予算及び条例改正は、コロナ禍で3年据え置いてきた国保料を加入者1人当たり平均2,000円引き上げるという内容です。しかし、市民は引き続く物価高騰で悲鳴を上げています。国保加入者は、中小零細企業者も多く加入しています。昨年10月から始まったインボイス導入は、今年の確定申告から影響を与え、二重の負担増となっています。こうした状況下での保険料の引上げはやめるべきです。
 あわせて、以上申し上げた理由と同趣旨で我が党議員団4名が提出した議案第32号、第39号及び第58号に対する修正案に賛成するものです。
 以上が各議案に対する賛成及び反対の討論です。私たち日本共産党市議団は、憲法を遵守し、地方自治体の目的である福祉の増進を図るため全力を挙げることを表明し、討論とします。