住宅政策について①市営住宅の整備②民間賃貸住宅の活用について③市営住宅の共益費について④安倍口団地の入居について

◯杉本 護
 それでは、本日最後の登壇となりました。26分で終わりますから、よろしくお願いします。
 また、休憩中に新総裁が決まったそうで、石破さんになりました。共産党も新たな論戦相手が決まったということで、新しい政治をまた前向きに動かしたいというふうに思っています。
 それでは、通告に従って質問します。
 今回は、住宅政策の中の市営住宅についてお聞きします。実は、これは昨年6月定例会で、市営住宅の役割、連帯保証人の問題や家賃の減免制度など質問しました。今年度から連帯保証人を求めないことにするなど、前に進めていただきました。今回もこの質問を通じて、市営住宅の運営改善につながることを大変期待するものです。
 まずは、市営住宅の整備手法についてです。
 市は、上土団地の整備計画でPFIによる整備手法の導入を取りやめました。市長は、記者会見で、PFIは民間の資金とノウハウを活用するというところが一番のポイント、市営住宅には運営ノウハウはない、こう述べています。この考えから、今後、市営団地の建替えにPFIは導入しないと断言しているように、私は受け止めています。
 我が日本共産党は、公でやるべき仕事を民間任せにするPFIには反対の立場ですので、市営住宅にPFIを使わない点では、市長と意見が一致しております。
 特に市営住宅は市民の暮らしの根幹である住居を提供しているわけですから、一般的な公営施設とは訳が違います。民間は運営する上で利益を上げることを最優先せざるを得ない面があり、そうした面からもPFIはふさわしくはありません。
 改めて確認します。
 今後の市営住宅の建替えについて、PFIの導入をどのように考えているのか、お願いをします。

◯都市局長(安本弘樹)
 市営住宅の建替えについて、PFIの導入をどのように考えているのかについてですが、令和6年2月定例会にて答弁したとおり、本市の今後のPFI導入に当たっては、建設費が抑えられるという点に重きを置くのではなく、PFI導入のメリットである民間事業者の運営ノウハウを建設段階でどう生かせるかという点を考慮した上で、個々の施設の特性に応じてPFI導入の適否を判断していくこととしております。
 これまでと同様な機能の確保を目的とした市営住宅の建替事業は、その特性上、事業者の自由な運営には適さず、民間ノウハウの活用による施設運営の向上が見込まれないことから、PFIには適さないと考えてございます。


◯杉本 護
 そのようによろしくお願いします。
 次に、市営住宅の供給量についてです。
 本市は、2023年3月に改定した静岡市住生活基本計画において、低廉な住宅の供給が必要な要支援世帯数を2030年度末で4,485世帯と推計し、県営住宅と連携して本市の市営住宅の供給目標量を2,750戸としています。
 基本計画では2022年4月1日現在で管理戸数は6,904戸あり、入居率は67.1%となっていますから、ここから推計すると、市営住宅だけでも約4,600世帯以上が入居していることになります。収入が少なく、市営住宅に入居できる条件があっても、立地や間取りなどの条件が合わずに、高い家賃の民間住宅で我慢している市民もいますから、潜在的にはもっといることになります。そうすると、市が示す要支援世帯数2,750世帯とは何を基に示しているのか、よく分かりません。
 今、物価高騰が暮らしを脅かしています。実質賃金は、安倍政権が発足した2012年から2023年までの11年間で33万円も目減りしています。人口は減少していますが、収入の少ない高齢者世帯や子育て世帯など、市営住宅の必要性は増大していると思います。
 そこでお聞きします。
 今後の市営住宅の必要戸数はどのように算出していくのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 現在、改定作業を行っている静岡市市営住宅の配置適正化方針を見直す中で、将来人口の推計値や国勢調査などから、家族構成や世帯の年間収入など入居に必要な要素について、国土交通省が提供している住宅確保要配慮者世帯数推計支援プログラムを利用して必要戸数を算出していきます。



◯杉本 護
 今、答弁していただきましたけれども、私が聞いているのはどういう計算式かと聞いているわけではなくて、2,750戸というのが本当に、必要な方の要求に沿った数かということを確認したかったんですけれども、なかなか質問の意図が伝わっていなかったみたいです。ぜひどこかでまたそのことについてはお聞きしたいと思います。
 次に、民間賃貸住宅の空き室の活用についてです。
 繰り返しになりますが、市営住宅は経済的な支援が必要な市民に対して低廉な家賃の住宅を供給する役割を担っています。さらに、様々な身体的な困難を抱えている市民に暮らしやすい住宅を提供することも、市の住宅政策としては欠かせません。そうした市民のニーズに合わせた必要な戸数を確保することが必要です。
 そうしたことからすれば、エレベーターの設置や、あるいは車椅子などのバリアフリーの住宅など、まだまだ十分とは言えない状況であり、ニーズに応えた市営住宅の増築や改築が今、求められていると思います。
 一方、民間のアパートや戸建ての住宅の空き家の増加が大きな問題となっています。この民間の賃貸住宅を活用して市営住宅の役割を担わせることは、社会資源を活用する上では一定理解をするところです。
 そこでお聞きしますが、高齢者など住宅の確保に配慮が必要な方々、民間賃貸住宅の空き室の活用をどのように考えているのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 高齢者や低額所得者、外国人など住宅の確保に配慮が必要な方については、今後も増加する見込みであることから、市営住宅を補完するため、民間賃貸住宅の空き室の活用を考えています。
 活用に当たっては、このような住宅の確保にお困りの方が入居可能な賃貸住宅、いわゆるセーフティーネット住宅として登録した大家に対し、家賃補助などの助成を検討していきます。



◯杉本 護 そうした住宅ですが、民間賃貸住宅の中にも築年数が数十年という古い建物もあります。そうすると、市が提供する住宅ですから、その建物の安全性なども考慮すべきと考えます。
 そこでお聞きしますが、民間賃貸住宅の空き室を活用する場合、その建物の耐震性についてはどのように考えているでしょうか。

◯都市局長(安本弘樹)
 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づくセーフティーネット住宅の登録基準の1つとして、耐震性を有することが定められていることから、耐震性がある空き室を活用していきます。


◯杉本 護
 民間の賃貸住宅を市営住宅の代わりとして活用するということなんですが、条件は基本的に同じでなければいけないというふうに私は考えます。ですから、民間の場合は入居する際に連帯保証人をつける、もしくは保証会社を使います。
しかし、市営住宅は連帯保証人は不要となっています。
 そこでお聞きします。
 民間賃貸住宅を借りる際、連帯保証人が見つからない場合の対応を市はどう考えていますか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 連帯保証人が見つからない方は家賃債務保証会社との契約が要件となりますが、保証料が支払えない方については、家賃債務保証料の補助も検討していきます。


◯杉本 護
 今、空き室の活用についてお聞きしましたが、私のイメージと市の考えはちょっと乖離があるかなと感じています。
 先ほども述べましたが、民間の賃貸住宅を活用するにしても、基本は市営住宅と同じ条件にすべきと考えています。保証料の補助では、市営住宅よりも負担増となります。家賃については具体的には聞いていませんけれども、これも入居者の収入や賃貸住宅の築年数、間取り、こういったものが既存の市営住宅と同じ条件で家賃を設定すべきと考えます。
 そして、保証料は市が全額負担して同じにしていくべきと考えています。市営住宅並みの負担とすべきであり、ぜひそういったことも検討していただきたいと思います。
 次に、共益費についてお聞きします。
 市営住宅に入居する場合、家賃とは別に共有部分に対する費用の負担として共益費というものがあります。
 まず、お聞きしたいのが、この共益費は同じ団地でも建物ごとに違いがあって、入居者が負担すると聞いていますが、まずは何に基づいて決められているのか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 市営住宅の集会所など共同施設、階段の照明、エレベーターの電気代、共同水栓の水道料などに要する費用、いわゆる共益費については、市営住宅条例第17条入居者の費用負担に「共同施設及び市営住宅の供用部分の利用や、維持又は運営に要する費用」と定められております。


◯杉本 護
 今、言われた、そういった費用が団地では建物ごと、そこに住んでいる方から選ばれた、組長さんと呼ばれる方が共益費を集めています。そして、その費用を賄っているわけなんですが、そうした場合、入居者がそこの建物に多くても少なくても、その建物に対する共通部分の費用はほとんど変わりません。そう考えると、同じ造りの建物でも、入居者の多い少ないで共益費の負担が変わってくるように思うんですが、お聞きします。
 各建物で必要な共益費を確保する場合、入居者が少なければ1人当たりの共益費は増えていくんでしょうか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 団地の建物ごとに共益費の算出方法は異なりますが、「共益費は供用部分の維持又は運営に要する費用」となるため、実費負担を入居戸数で案分することになり、1人当たりの負担が増えることになります。



◯杉本 護
 答弁のとおり、入居者が少なければ共益費の負担が増える、こういう仕組みであることが分かりました。
 そこで、市営住宅の場合は、災害時などに一時的に避難する住宅を確保する役割があります。そして、政策的に空き室をつくっています。もう1つは、上土団地のように建替えを予定しているところは、団地の空き室があっても募集をしていません。そうなると、市の施策で空き室をつくられている建物に住んでいる住民は、同じ団地で同じ構造の建物で、同じ間取りに住んでいても、市の施策によって共益費の負担が重くなることになるのではないのでしょうか。
 そこで聞きますが、市の施策によって入居を募集していない建物の共益費について、負担を市はどのように考えているでしょうか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 解体予定や被災者への提供用の住宅のために募集していない建物や、募集しても入居のない建物については入居率が低くなることから、1世帯当たりの共益費が大きく増加しないよう配慮が必要になります。
 共益費削減のため、入居率の低い建物に住んでいる方については、入居者の多い建物に移転してもらうなどのほか、共用部分の照明の点灯を必要最低限とすることや共同水栓の利用停止など入居者の負担軽減に努めています。


◯杉本 護
 あきれちゃうんですけれども、多いところに移っていくということは、少ないところはさらに少なくなっていって、残された人はさらに負担が重くなるんじゃないですかね。それが配慮になるんですかね。考えられない答弁です。
 今、言ったとおりに、今の共益費の仕組みというのは、同じ団地でも人気がある、ない、そして、市の施策で空き室のある、ない、それによって建物の入居世帯数に違いができて負担も違ってくる。これを市は知っているわけですよね。やはり、今みたいな形の、多いところに移す程度のことしかやっていない。こういうことを私は関与していないというふうに思うんです。全く自治会任せにしている。これは市の責任を放棄しているのではないかと私は感じています。
 ある市営団地にお住いの方にお聞きしたんですけれども、その方の住んでいる建物は排水管の高圧洗浄を10年以上やっていない、庭の草も生え放題と言っています。
 一方、市にお話しを聞いたら、配水管は2~3年ごとに洗浄することが望ましいと言っています。その方の推測ですが、その建物は入居者が少なく、定期的に洗浄や剪定をするとそれなりに費用がかかるので、やってくれないのではないか、こんなふうに話していました。私もそうした面があるかと思います。
 そもそも、団地の排水管などは市が所有する建物の一部です。それを定期的に洗浄して管理することを入居者の自主性に任せること自体がおかしいんではないかと思います。市の建物として長く安全に清潔に使える、このことは本来、市やまちづくり公社の責任において管理すべきであり、制度を変えていくべきだと私は思います。
 そこで、そうした制度を変えていくことを検討してほしいんですが、それまでの当面のことをお聞きします。
 適正な管理のために定期的に行う排水管の洗浄などについて、まずは市が業者の手配や日程調整のサポートをすべきというふうに考えますが、どうでしょうか。

◯都市局長(安本弘樹)
 施設管理において、定期的な排水管の洗浄は必要なことであり、現在も入居者をサポートしております。
 今後は、さらに入居者ニーズに対応するよう、各団地の自治会や建物ごとの管理人にヒアリングを行い、管理の実態を把握した上で、状況に応じて必要なサポートをしていきます。



◯杉本 護 サポートしていたら、10年も洗浄しないという団地は出てこないんじゃないでしょうか。
 この共益費の問題については、ほかの自治体でも問題になっています。団地の住民が高齢化して共益費の管理、集金も大変になっているということです。確かに本市もそういった傾向があるのではないかなと思っています。
 そうした下で、共益費の管理、運営を自治会から市に移管している自治体も増えてきていまして、石巻市は来年4月から徴収を始めると聞いています。
 私は、そうした自治会の負担の問題以前に、そもそもこれは家賃のように自治体が管理すべきものと思っています。そして、入居者の人数で負担が変わる仕組みから団地全体で共益費を負担する仕組みにすべきではないかと思います。ぜひ根本的な問題に立ち入って検討していただきたいと思います。
 次に、市営住宅空家募集案内書について。
 これは入居を検討するに当たって情報が盛り込まれたものです。できるだけ市民に分かりやすく、そして、寄り添ったものにしてほしいと思います。
 今、通知しましたが、まず、入居に当たっての注意点ですが、資料1の2ページのとおり、赤字で強調して、「入居する前に、「緊急連絡先」を提供していただきます。」とあります。昨年の6月定例会で緊急連絡先の扱いについて質問したとき、市は、身寄りのない単身世帯も増えていることに鑑み、緊急連絡先も連帯保証人の扱いと併せて検討すると答弁していました。
 そこでお聞きします。
 緊急連絡先の提出は入居の条件となっているんでしょうか。

◯都市局長(安本弘樹)
 入居の必須条件とはしておりませんが、安否確認や緊急時の連絡先として提出をお願いしております。
 緊急連絡先となる方がいない場合は、きっちり事情を伺った上で、入居の手続を進めています。



◯杉本 護
 入居の要件でなければ、募集案内書に赤字で記載すべきではないのではないでしょうか。これでは、入居しようと思った方がこれを見たときに、ハードルを上げていることになっていると私は思います。
 緊急連絡先が必要なことは私も分かりますから、入居時にしっかり説明して登録を促せばよいことだと思いますので、ぜひここは削除するなり、改善をお願いしたいと思います。
 もう1点、共益費の負担についてです。
 資料1の3ページ、ここに自治会活動への協力の欄に、共益費があることが記されています。4ページには市営住宅の一覧表がありますが、そこに必ず徴収される共益費が記載されていません。
 一方、資料が変わって2のほうですが、これは入居するときに渡される入居のしおりです。ここで初めて、共益費が1,500円から3,000円ぐらいかかりますと書いてあるんです。しかし、この記載の仕方は1か月分なのか1年分なのかが分からないような書き方になっています。
 共益費は入居者にとっては毎月払う家賃のようなもので、どの程度の負担があるか、募集時に知らせるべきではないかと思います。民間のアパートでは、家賃と同様、共益費も情報として当たり前のように記載されています。現状は団地ごと、建物ごとに違いがあるのは承知していますが、家賃のように幅を持たせて掲載することは可能と考えます。
 そこでお聞きします。
 市営住宅一覧表に共益費の負担額を団地ごとに記載すべきと考えますが、どうでしょうか。

◯都市局長(安本弘樹)
 募集案内書の入居にあたっての注意点には、共益費を負担していただく旨の記載はありますが、今後はおおむねの負担額の記載もしていきます。


◯杉本 護
 前向きな答弁、ありがとうございます。ぜひ記載してください。
 最後に、安部口団地の入居者の募集についてお聞きします。
 安部口団地はかつて先進的な大規模団地として多くの方が入居し、公設市場も繁盛していた時代がありました。私の知り合いも、そこの市場で長年床屋さんを営んでいました。今はなくなりましたけれども。その市場も今はなく、団地の住民も高齢者が多くなり、空き室が増えています。若い世帯、子育て世帯が安部口団地に入ってくれたら美和地域の活性化につながると、地元からは期待の声が挙がっています。
 そこでお聞きします。
 子育て世帯や多人数世帯に向けて、1世帯で2戸借りられるようにすることはできないんでしょうか、お願いします。

◯都市局長(安本弘樹)
 公営住宅法の趣旨により、1世帯で2戸を貸し出すことはできませんが、安部口団地には2戸を1戸に改修した上下階でつながる、いわゆるメゾネットタイプや隣り合う部屋でつながるタイプなど、子育て世帯や多人数世帯向けの住宅があるため、継続して市営住宅空家募集案内書による周知や、静岡市子育てハンドブックへ掲載していきます。


◯杉本 護
 法律が禁止しているのならしようがないんですが、ただ、今、お話し聞いたんですけれども、そういった形で工夫されて多人数世帯に対しても対応するように頑張ってほしいなと思っています。ただ、このことはあまり知らされていないのではないでしょうか。もっとこの辺を周知したほうがいいんじゃないかと思います。
 最後に、意見・要望です。
 市営住宅について、幾つかの角度から質問させていただきました。その都度、要望もさせていただきました。
 今日は質問していませんけれども、気になっているのが上土団地の建て替え計画です。市の計画によりますと、現在234戸あるものを64戸、実に170戸、73%も減らすという計画です。しかも、戸数を減らすことによって空き地となっている部分が約1万平米あるんですが、利用計画が定かでなく、活用検討となっています。今、住んでいる方が既存の空き室やあるいは新築する64戸、合わせれば住み替えが可能と言っているんですけれども、それでいいのかという問題です。
 巴川の浸水想定区域にも一部含まれていますけれども、地域としては周辺に商業施設、体育館、医療機関などもあり、住んでいる方からは住みやすいところと言われて、居住ニーズがある地域だと思います。
 私は、新たに市営団地を整備するなら、今市の資産──アセットを減らすこと一辺倒ですが、減らすことありきではなく、市民のニーズをしっかりと捉えて必要な戸数を確保しながら、まちづくりとして必要な福祉施設などを同時に整備するなど全体像を描くべきだと思います。
 民間資産を活用するならば、そうした賃貸住宅が周辺にあるのかどうなのか、それも明らかにすべきではないでしょうか。
 今の計画を基本にしながらも、必要な戸数の再検討、そして、空き地の活用など、団地として周辺のまちづくりの姿を描いていただきたいと思います。
 衣食住の中の住まいは、欠かせない要素の1つです。憲法では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあります。この精神にのっとって、住宅政策を進めていただきたいと思います。