◯市川 正
おはようございます。
通告に従いまして、質問を始めます。
初めに、台風10号により被災された皆さんに改めてお見舞い申し上げます。
さて、台風10号は8月22日に発生し、非常に強い勢力を保ちながら、9月1日正午に東海道沖で熱帯低気圧となるまでの長期戦となりました。日本近海では海面水温が平年よりも高く、台風本体から離れた静岡県でも豪雨による災害に見舞われたという状況です。
本市発表の大雨に係る被害状況等(第10報)によりますと、8月29日15時40分に静岡市に大雨警報、そして、17時過ぎには洪水警報が発令され、31日14時過ぎには洪水の再警報を出すなど、複雑な対応を迫られたというふうなことが書かれております。そのほか、浸水や土砂崩れ、河道閉塞、氾濫、道路損壊など多方面の災害となっております。
8月29日には、県道山脇大谷線、鯨ヶ池付近で、道路冠水により車が動けなくなりました。特に水害常襲地域では、短時間大雨の際の迅速な交通規制が必要ですけれども、2022年9月の台風15号に比べて被害そのものは小さかったのかもしれませんが、その台風15号で得られた知見が今回の短時間大雨対応にどう生かされたのか、そして、今後の課題についてどうだったのか、伺いたいと思います。
まず1つ目が、長期となった台風への対応について、どのように災害対策本部を運営し、市民に対してはどのように対応してきたのか、伺いたいと思います。
2つ目に、市内の道路冠水状況はどうだったのか。また、それに対して市はどう対応したのか、伺いたいと思います。
次に、秋山川の河川改修の進捗状況について伺います。
台風10号の影響による大雨で、本市の北部に位置する秋山川は、8月29日、31日と続けて氾濫し、下流域では床上や床下浸水に見舞われました。並行している県道大川静岡線の伊呂波町付近では、30センチほどの冠水により、美和方面への交通が一時遮断されることになりました。こうした大雨のたびに同じ現象を繰り返す地域で、自治会や住民から早急な改修要望が出されております。
秋山川は、もともと農業用水路として整備された河川であり、葵区昭府町の北側にある賤機山西麓に源を発しています。県道梅ヶ島温泉昭和線の松富地先に昭府樋管という水門がありますけれども、ここで安東用水を分流し、井宮北小南側にある秋山川水位観測点を通過してから、与一樋管下流にて静岡用水と合流し、県道大川静岡線、いわゆる美和街道と並走して、伊呂波町地先の伝馬町樋管で農業用水を確保しつつ、分流して安倍川へ流下する構造になっております。
昭和45年に流域のほとんどが市街化区域に指定されて以来、平地部に広がっていた水田や農地は急速に宅地化され、秋山川流域の保水・遊水機能が失われて、中・下流部では度々、水害が発生するようになったということであります。
地域自治会などからの改修要望を受けて、昭和54年に下流部の改修が実施されたものの、中流部については、県道大川静岡線の4車線化改修工事に併せて整備することになりましたことから、現在、工事設計は完了しているけれども、改修工事は行われていない状況であります。このため、いまだに中流部では度々、浸水被害が発生している状況であって、早期解消が地域住民の最も強い願いでもあります。
秋山川は、農業用水としての性格上、農水省との協定により、平常時は、伝馬町新田方面の農業用水確保のため、安倍川への放流路は閉塞されています。大雨の際には人の手により、起点の昭府樋管で賤機山を越える安東用水を閉塞、下流部の伝馬町樋管で伊呂波町切り通しを貫通する伝馬町新田方面、いわゆる平和町方面への水門を閉塞し、安倍川放流路を全開にする水門操作が行われるということであります。
中流域で浸水被害が常襲化している状況は、水門の管理に起因するのではないかとの住民の声も聞きます。私は、秋山川流域の浸水被害防止には、県道大川静岡線が改修されるまでの間、流域住民の安心・安全を図る上でも、建設部局や農水部局の垣根を越えて、取水から安倍川放流までの水門運用を含む流域治水について再検討すべき時期に来ているのではないかと考えます。このことについては、また意見・要望の中で提言していきたいと思います。
そこで伺いますが、秋山川の溢水状況と街路事業に併せた河川改修の進捗状況はどのようか、伺います。
次に、8月31日夕方に発生した久能地域の土砂災害について伺います。
この場所は、急傾斜地を利用した久能石垣いちごの特産地で、地域農業の主要な収入源となっております。農業者の高齢化や後継者不足など、農業を続ける環境は大変厳しいと聞いていますけれども、被災者の要望を踏まえた迅速な復旧が待たれるわけであります。
そこで、被害があった久能根古屋の土砂災害について、今後の対応はどのようになっていくのか、伺いたいと思います。
以上、1回目といたします。
◯副市長(吉田信博)
私からは、秋山川の溢水状況と、街路事業に併せた河川改修の進捗状況についてお答えいたします。
まず、溢水状況については、秋山川に設置した水位計の監視や現地調査により、8月29日17時から23時頃までに2回、8月31日14時から15時頃までに1回の溢水を確認し、通行止めを行っています。31日には、国土交通省に排水ポンプ車出動を要請し、現場に配置することで、さらなる水害の発生に備えました。
次に、河川改修の進捗状況については、伊呂波町から与一一丁目の約300メートルにおいて、街路事業による道路の拡幅と一体的に秋山川の改修を計画しています。これまでの街路事業で、件数ベースで約8割の事業用地を取得し、施工できる部分については、側溝整備など一部を工事着手し、少しでも工事期間が短縮できるように努めています。
溢水の主な原因は、道路沿いを流れる秋山川の断面不足と、伊呂波町の交差点近くで直角に曲がり、道路の下を横断するとともに、農業用水へ分流する地点において水の流れが滞り、弱点となっていることが分かりました。
しかし、道路と一体的に行う秋山川の河川改修工事は、完成まで相当な時間がかかることから、暫定的な浸水対策として、道路を横断する部分の断面積を増やし、下流に流れやすくすることなど、地域の皆さんの理解を得ながら、速効性のある対策を講じていきます。
◯危機管理局長(増田浩一)
どのように災害対策本部を運営し、市民に対して対応したのかについてお答えします。
まず、どのように災害対策本部を運営したかについてですが、台風第10号の影響による降雨の特徴としては、長期にわたり断続的に大雨を降らせたことが挙げられ、特に、8月27日から31日にかけては非常に激しい雨が降り、市内で土砂崩れや浸水被害が発生しました。本市では、この特徴的な天候に備え、雨が強くなる前の8月23日の早朝4時に最初の災害対策本部を設置し、体制を整え、9月2日の災害対策本部廃止までに計6回、災害対策本部会を開催しました。
このように、あらかじめ長期の対応が予測できたため、職員の負担を考慮しつつ、状況の変化に応じた柔軟な対応ができるよう、効果的なシフト体制を組むことで、職員に過度な負担がかからないよう、効率的な災害対策本部の運営を実施することができました。
あわせて、災害の危険度が急激に高まった8月27日以降、刻々と変化する雨雲の状況や河川の水位などを災害対策本部において24時間体制で監視し、情報収集を適時適切に行ったことで、市民への避難指示等の対処方針を迅速かつ的確に決定することができました。
次に、市民への対応についてですが、今、述べた災害対策本部の対処方針に基づき、的確な避難指示を市民に対して行ったほか、車両の水没被害を防止するため、民間との協定による車両の避難場所を本市として初めて開設しました。
また、土砂崩れや河川氾濫等の被害が発生した現場においては、市長自らが災害現場の調査を行い、市民へのさらなる被害の拡大を防ぐため、必要な対応を指示しました。
加えて、大雨で被害を受けた市民の皆さんが速やかに適切な支援を受けられるよう、閉庁日である9月1日の日曜日、朝8時30分から罹災証明書及び被災届出証明書の申請受付を開始しました。
◯建設局長(塚田俊明)
市内の道路冠水状況と市の対応についてですが、今回の台風10号の影響により、8月26日から9月1日にかけての大雨で、市民や警察などから約80件の道路冠水情報が寄せられ、葵区伊呂波町の県道大川静岡線をはじめ、13か所で通行止めを行いました。
道路冠水は、歩行者が水路へ転落する事故や車両の立ち往生などで通行に多大な影響を及ぼすため、市職員や委託業者による現地確認を行い、今後の降雨や周辺状況から通行の可否を判断し、通行止めとする場合には、バリケードを設置するとともに、誘導を行いました。
また、通報以外の対応として、市内20か所にあるアンダーパスのうち8か所で、排水ポンプなどの処理能力を超え冠水したことが水位計及び監視カメラにより確認されたため、通行止めを行いました。
今後は、道路、河川、上下水道局が連携し、水位計、浸水センサーの設置を行い、ピンポイント、リアルタイムでの冠水・浸水状況の把握を可能とするとともに、効果的な対策を検討し、実行に移していきたいと考えております。
◯農林水産統括監(大村 博)
根古屋地区の土砂災害の対応についてですが、台風10号の影響で8月26日から9月1日の間に降雨が続き、72時間雨量が観測史上最大となる515.5ミリの大雨を記録しました。今回の被害は、8月31日の夕方に、幅20メートル、斜面延長80メートルにわたり、既設土留め壁の一部を含む斜面が崩落するとともに、農地・農道に土砂が流入し、約600平方メートルのイチゴのビニールハウスが倒壊しました。
被災後、2次被害を防ぐための応急対策として、崩壊斜面の湧水処理、農地・農道の土砂撤去、大型土のうによる土砂流出防止対策を行いました。
今後は、農地地権者の意向を確認しながら、崩壊した斜面の詳細な地質調査や測量、設計を行い、擁壁やのり面保護等の恒久的な対策を早期に決定し、安心・安全の確保と復旧を迅速に進めていきます。
◯市川 正
それでは、2回目に移りたいと思います。
初めに、先ほどの農地の土砂災害復旧の件ですけれども、この復旧に当たっては、第1に、地元農業者の要望に沿った速やかな対応を要望しておきたいと思います。
それでは、交通安全について伺います。
平成20年6月の道路交通法改正で、児童または幼児を保護する責任のある者は、児童または幼児が自転車を運転するときは当該児童または幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないとされました。
それから15年が経過し、令和5年4月1日、2023年に施行された道路交通法の改正で、全ての自転車利用者に対して乗車用ヘルメットの着用が努力義務とされています。
警察庁の調査によれば、令和4年度の全交通事故に占める自転車事故の割合は23.3%となっております。静岡県警察本部の交通安全情報によれば、自転車死亡事故の65.3%が頭部に致命傷を負っているということであります。また、ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用している場合と比較しておよそ2.4倍と高くなっている。こうしたことから、自転車用ヘルメットを着用して頭部を守ることが重要だと考えます。
こうしたことから、自転車用ヘルメットの購入費補助を行う自治体が増えておりますけれども、本年11月1日からは、自転車のながらスマホ、あるいは酒気帯び運転の罰則等が強化され、それぞれ、1年または3年の懲役、30万円または50万円の罰金が科されるというふうに道路交通法が改正されるということです。
バイクのヘルメット着用も、1965年に高速道路での着用が努力義務化されて以来、1986年からは原付を含む全てのバイクが罰則つきの着用義務化されたように、自転車乗車に対しても、いずれ法で規制する動きとなっていくのではないかと推察されます。
世界水準の自転車のまちを目指す静岡市として、自転車の交通事故を防止し、死亡事故を軽減する自転車用ヘルメットの着用推進について、購入費助成で後押しすることが大変有効と考えますが、市の取組を伺います。
1つは、自転車用ヘルメットの着用を推進するためにどのような取組を行っているか。
2つ目は、自転車用ヘルメットの購入費助成についてどのように考えているのか伺って、2回目といたします。
◯市民局長(市川靖剛)
自転車用ヘルメットの着用推進についての2つの質問にお答えします。
まず、自転車用ヘルメットの着用を推進するための取組についてですが、広報紙やSNS、コミュニティラジオによる啓発及び交通安全協会を通じた街頭活動などを実施しています。
特に、自転車事故の割合が高い高校生に対しては、毎年5月、10月、1月に、自転車マナー向上キャンペーン指導強化の日として、警察、交通安全協会、教育委員会等と連携し、自転車通学の高校生などに対し、リーフレットや啓発品を手渡しながら、ヘルメットの着用を呼びかけているところです。
また、市職員に対しては、ヘルメット着用について、文書依頼や庁内システムなど様々な手段により、周知に努めています。
さらに、今月21日から始まった秋の全国交通安全運動でも、自転車用ヘルメットの着用推進を重点項目に掲げ、取り組んでいます。
また、新たな試みとして、自転車マナー向上キャンペーンのモデル高校において実施したヘルメット着用の意識調査結果を基に、市、警察、交通安全協会が高校生と直接意見を交わす座談会を行い、ヘルメット着用の意識醸成に努め、今後の対策に生かしてまいります。
次に、自転車用ヘルメットの購入費助成についてですが、警察庁が令和5年8月に実施した調査において、ヘルメットを着用しない理由は、ヘルメット着用はあくまでも努力義務だからが54%で最も高く、自転車に乗る前、乗った後のヘルメット置場に困るからが33%、自転車に乗る時間や距離が短いからが27%であり、ヘルメットを買うお金や時間がないからは19%となっています。この結果は、頭部保護に対する重要性の理解が低いことの表れだと思われます。
そのため、ヘルメットの着用を推進する取組としては、購入費助成よりも、頭部保護に対する重要性の認識を広く浸透させることが有効であると考えます。
そこで、まずは市職員に対し、庁内システムを用いて、頭部保護に対する重要性の認識を高めるとともに、駐輪場前で定期的にヘルメット着用の声かけを行います。また、静岡市交通安全推進協議会の関係団体や商工会議所と連携し、事業所等を通じて従業員等のヘルメット着用を働きかけます。
このような取組により、交通ルール遵守を徹底させ、ヘルメット着用が自分自身を守るために重要であることを引き続き周知、啓発してまいります。
◯市川 正
では、意見・要望といたします。
今、お答えいただきましたけれども、自転車のヘルメットの着用義務については、乗る人の意識が弱いということがあって、そこをもう少し強化できるような対策にしていきたい、検討していきたいということでしたが、努力義務ではあっても、ヘルメット着用が自身の頭部を守るために大きな助けになるということから、ぜひ購入費を助成しながらこうした意識を醸成することも、後押ししながら醸成することも必要ではないかと思いますので、いま一度検討し、実施されるよう要望しておきたいと思います。
さて、今般の台風10号に伴う被害調査で、市長の初動がどこでも評価されております。私の住む近くの秋山川流域の自治会からも、早期改修への大きな期待と適切な対応、例えば、排水ポンプ車の配置だとか、改修の余地があるという市長の言葉に感謝を述べられておりました。
災害発生直後の初動調査により、事後調査では見えない有効な対策が見えるのではないかと思います。秋山川の氾濫でいえば、過去にも大雨による伝馬町新田方面への流下抑制を目的にして、さきに触れた伝馬町樋管でのオーバーフロー管を改良設置しておりますけれども、これが生かされていないのではないかと思います。オーバーフローの天端までは水が来ても大丈夫だから、伝馬町新田方面への水門を全閉にしなくてもよいはずであります。農業用水の全閉の考え方についても、農水省など関係方面との協定見直しが必要ではないでしょうか。
また、安倍川へ放流する水門が流下方向に直角に切られている、これは市の認識と一致しておりますけれども、有効な流下ができないという弱点もございます。この点で言えば、計画されている県道大川静岡線の4車線化改修工事と併せた秋山川改修工事を県とともに何としても早く進めていく以外にはないのではないでしょうか。改修工事の早期着工を強く強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。