◯31番(山本明久君) 議題となっております議案第116号静岡市職員の給与に関する条例の一部改正について質疑を行います。
当局説明にありましたように、本議案の内容は、一般職員の夏期一時金の期末手当と勤勉手当を6月期において合計0.2カ月分を臨時的、暫定的に凍結する措置をとるというものです。これによって職員1人当たり平均7万6,000円もの大幅な支給が減らされるということになります。なぜ6月期にこのような内容の提案がされるに至ったかについて幾つかお聞きしていきます。
この提案のもとになった5月1日に出された国の人事院勧告自体、例年どおりに5月から行う調査とは別に例年にはない急な特別調査を4月に2週間程度行って、その対象企業約2,700社に対して調査完了率で75%と調査途上であり、夏期一時金を決めている企業数で判明した中でわずか13%、従業員数で20%しかないという極めて不十分な調査結果のデータに基づいて異例に出されたものです。ですからこの0.2カ月凍結という内容も、根拠としてのデータですっきり裏打ちされているものとはいえないんじゃないかという疑問が出てきます。ですから、まずこのような例年にない人事院勧告について、本市の人事委員会では適正なものと考えているのかどうかについて、認識をお聞かせいただきたいと思います。
次いで、そういうやり方で出された人事院勧告に倣って、つまり準じて本市の人事委員会は間を置かず5月11日には同じ内容の凍結の特例措置をとるように静岡市に対して意見を申し出ていますが、この対応についてです。
全国の県、政令市の人事委員会の中には、今回のやり方に追随せずに5月半ばの時点で9県1市が見送っていて、態度未定というところも幾つかありますし、独自調査をやっているという自治体もあります。本市人事委員会は、市内地域の民間夏期一時金の実情をどの程度調査し把握しているのか、また通常、例年はどのような実態調査を行っているのかお聞かせいただきたいと思います。
3点目は、この国に倣った本市人事委員会の意見の申し出を尊重するとして、国と同様0.2カ月凍結の特例措置をとるための議案を出した市長に対してお聞きをしておきます。
例年と違って公務員が5月の時点で0.2カ月という支給が大きく減らされるということが決まってくると、まだ支給額が決まっておらない、多くの市内の、民間企業の夏期一時金の決定に対して、マイナスの影響を与えるかどうかという考慮をして議案提案がされたのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
また、今回の提案では、職員全体で4億円もの支給減になっていますが、今、市も政府も職員も含めて市民に対して給付金を支給してまで消費を上向かせる取り組みをしている中で、今回の凍結措置を実施した場合、職員の消費動向への影響も考慮をされたのかどうかについて、その影響をどう考えているのかについて、行政の立場として考えを述べていただきたいと思います。
以上、1回目です。
◯人事委員会事務局長(川口晴郷君) 今回の人事院勧告について、市人事委員会ではどう認識しているかというお尋ねですけれども、今回の人事院勧告は、人事院の特別調査の結果に基づいてなされたものであり、民間の状況を踏まえたものと考えております。
また、12月期の特別給で1年分を精算しようとすると大きな減額となる可能性があることを考慮した暫定的な措置として適切なものと考えております。
2つ目のお尋ねですけども、市人事委員会では市内の夏期一時金の調査を実施しているのか、また例年夏期一時金の調査をどのように行っているのかというお尋ねですけども、今回の意見の申し出に当たり、市独自の特別な調査は実施しておりません。
なお、例年行う職種別民間給与実態調査においては、市内の対象事業所約300社のうちから115社を無作為に抽出し、7月までに支払われた夏期一時金の実績を正確に把握しております。
以上でございます。
◯総務局長(村松 眞君) まず、第1点目でございますが、市内の民間企業に対する影響を考慮したかという御質問でございます。今回の特例措置につきましては、人事委員会の意見の申し入れの趣旨を尊重いたしまして、経済状況の悪化によります民間企業の厳しい状況を勘案した上で実施しようとするものでございます。したがいまして、今回の提案は、職員給与の均衡の原則、情勢適用の原則に基づき行うものでございまして、市が民間企業に与える影響につきましては、考慮しておりません。
次に、職員の消費動向への影響についての御質問でございます。夏期一時金の一部を凍結することで、職員の可処分所得にある程度は影響を与えることは認識しております。しかしながら、職員の夏期一時金を初めといたします職員給与につきましては、現下の経済情勢を勘案いたしまして、市民の理解を得た上で決定されるべきものであるとの考えに従いまして、今回の提案に至ったものでございます。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) 2回目です。答弁をいただきました。市も人事院も通常どおりの5月から7月にかけての調査はやって、それに基づいた勧告を出して、12月に当然通常どおり調整していくというそのこと自身はそれは当然の取り組みです。しかし、今、問題にしているのは、特別にその調査をやって、データ自身調査も不十分な途中なのに、それに基づいて0.2というのを出して凍結するという流れになっているわけですから、そこで、なぜ6月1日に合わせなければいけないのか、そこに持っていくための特別調査が不十分な調査になっているんじゃないかという、非常に従来にない異常なやり方になっているんじゃないかという問いかけだったわけです。しかし、答弁では適切だという話です。12月だけだと大きく落ち込むからと、これは人事院もそういう立場で今回出したようですが、そういう今回のような異常と言いましたけれども、当局に聞きますと、昭和49年の狂乱物価のときに同じようなやり方が1回だけあるということで、他に例がないやり方です。
調査はそういう意味では今回特別調査は4月に短期間で慌ててやったということから、今回の人事院が出した勧告の概要にはこんなふうな中身で記載されています。先ほど述べましたように、調査したうち8割が決まっていないと、民間の夏期一時金が前年より大きく減少することが傾向としてうかがえる。しかし、現時点において夏期一時金の全体状況を「精確」に把握できないことから─精確のセイは精密の精ですね。暫定的な措置として一部を凍結することが適当だと、こう記載されているわけです。確かにその調査の中では対前年比で非製造業でマイナス6%、製造業でマイナス22%と勧告の概要でも言っているんですが、産業間で大きなばらつきがあるから、ですから0.2を出すときにいろいろ計算して、いじって計算して出したというような言い訳がされています。
通常の調査による結果が出たら勧告を出してという先ほど言ったルートに乗るようなんですが、ただ全体が大きく落ち込んでいるからという理由だけでなぜ6月1日に合わせなければいけないのか、合理的な説明にはなっていないんじゃないかと、そのような人事院の勧告どおり本市人事委員会は、同じ特例措置を求めて、6月期の一時金の支給に間に合わせるように、市に対して意見の申し出を行ったわけですけれど、答弁にありましたように、市自身は人事院の勧告を受けて、市内地域の夏期一時金の妥結状況、決定がどうなっているかは調査は一切していないと、なのになぜ人事院の言うとおりのやり方で意見の申し出を行ったのか、この疑問点にはお答えいただきたいし、なぜ勧告にしなかったのか、意見の申し出と勧告の違いなども説明していただきたいと思います。
そしてまた、今述べたような今回の異例なやり方については、市の人事委員会みずからが掲げているより的確な情報発信とはいえないのではないか、さらにまた、同様に掲げている市民への説明責任を果たすという課題に照らしても、果たされているとはいえないのではないか、明確に説明をしていただきたいと思います。
以上、2回目です。
◯人事委員会事務局長(川口晴郷君) なぜ人事委員会では6月の期末勤勉手当の支給に間に合うよう意見の申し出を行ったか、また、勧告ではなく意見の申し出を行ったかということなんですけれども、人事院が今回行った可能な限り民間の状況を公務に反映することが望ましいといった勧告の趣旨を勘案し、本市人事委員会は職員の6月に支給する期末勤勉手当についても、国家公務員の特例措置に準じて措置を講ずるよう意見の申し出を行ったものであります。
また、民間企業において、本年の夏期一時金が支給されていない現在、その決定状況を正確に把握することは困難であるが、情勢適応の原則、均衡の原則をもとに総合的に判断し、勧告ではなく、意見の申し出を行ったものであります。
市内の民間企業の調査もなしに意見の申し出をしたことは的確な情報発信とはいえないのではないか、また、市民への説明責任を果たすことにならないのではないかという御質問ですけども、民間における夏期一時金についての人事院の特別調査の結果や、各種の統計、調査結果を総合的に勘案して人事委員会として判断したものであり、今回の意見の申し出は的確な情報発信であり、市民への説明責任は果たしているものと考えております。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) それでは、最後の3回目です。
なぜ調査もせずに意見を出したのかということなんですが、答弁では民間の今の状況で把握は困難だと、しかし、できるだけ民間の状況を反映させないかんと、つかんでないけれどどう反映させるかというのはこれはなかなか論理的には難しい話で、だから答弁にもありましたように、総合的にと、総合的に果たして的確な中身になるかという評価については、十分適切に行っているという、そういう答弁しかできないかもしれませんが、しかし、その6月1日にやらなくても通常どおりでも時差はあっても12月に調整できると、もっと下がるかどうかはそれは調査をして通常どおりやるわけですから、仮にそれにしても、なぜ1日に強引に合わせなければいけないのかという合理的な説明には十分なり得てないんじゃないかと、その点で少し検討できるのは、今申しましたようになぜ勧告にしなくて意見の申し出にしたかということなんですね。十分総合的にということで説明されたようですが、しかし、申し出の場合は当局に聞くと、的確な情報がないもとで市に意見の申し出をした場合、受けた市は参考程度にその意見を扱えると、だから市民に対して十分な情報に基づく説明責任は義務としては課されないというのが意見の申し出だそうですね。だから勧告のほうが少しちょっと枠の縛りがきついわけですね。だから申し出という形にせざるを得なかったんだと考えるしかないわけです。
そういうことで、今回そういうやり方をされて、従来のルールにないようなやり方で極めて不十分なデータでやられたわけですが、市の職員にとってはこの6月期は実質0.2カ月7万数千円もらえなくなるわけですから、非常に大きな不利益を受ける提案が今回されている。こういうふうにしてみると、正確に把握できないと自覚しているほど不十分な調査結果でしかないその人勧に準ずるということで、市の人事委員会が意見の申し出という、いわば参考程度ということで行ったこと自身、自主的、中立的な第三者機関としての人事委員会の役割をそれで果たしているのかどうか、この人事院、人事委員会そのものは公務員の労働基本権がないという中で、代償措置としてその機関としてつくられたわけですから、みずからその責務を果たせていると考えているかどうか、これはお聞かせいただきたい。
そして、最後にその提案をした市長に対してお聞きしておきますけど、今言ったように市の人事委員会の意見の申し出そのものはそういう中身とやり方になっていて、6月1日に無理やり合わせるというような中身なんですが、それで受けた市としてはそれでいいのかという問題意識を持たなかったのかどうか、つまり申し出ですから参考程度でいいということであれば、問題意識を持っていれば、今回国に準じるようなやり方ではなくて、従来のルールで今回は見送って凍結もしないというような判断、選択肢をとれなかったのかどうか、検討しなかったのかどうか、これは市長、行政当局にお聞きして、私の質疑を終わります。
以上です。
◯人事委員会事務局長(川口晴郷君) 人事院における不十分な調査結果をもとに国に準じるような意見の申し出を行ったことは、中立的な第三者機関としての人事委員会の役割を果たしているのかという御質問ですけども、職員の給与につきましては、地方公務員法に定められている給与決定の原則である国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与、その他の事情を考慮して決定されるべきものと考えております。
今回の意見の申し出は、この基本原則に基づいたものであり、第三者機関としての人事委員会の役割を十分果たしているものと考えております。
以上でございます。
◯総務局長(村松 眞君) 市として凍結をしないで見送るという選択肢があったのではないかという御質問でございます。職員の夏期一時金に関しましては、民間の支給状況等の情勢をよく勘案した上で、市民の理解が得られるものとする必要があると考えております。その観点から検討した結果、人事委員会の申し入れのとおり、一部凍結することが現在の民間の情勢に適応し、市民の理解を得られるものであるとの結論に至ったものであります。
以上でございます。