◯4番(鈴木節子君) 私は、日本共産党市議団を代表して、提案されております29議案のうち、第120号、124号、131号、133号、138号、141号の6議案について反対討論を行います。
まず第1に、第141号一般会計補正予算について述べさせていただきます。
この予算は、国の14兆円の経済対策を受け、64億円を地域活性化・経済危機対策として本市に充てられたものです。
今、急激な景気の落ち込みは大量の失業と倒産を発生させ、日本経済に深刻な衝撃をもたらし、国民は不安な毎日を送っています。
国は、経済対策と言うのなら、緊急の雇用対策、中小下請企業に対する支援で営業と暮らしを守り、社会保障、医療、福祉の抜本的改善で国民生活を守るべきです。しかし、生活対策は一時的措置、限定的なばらまきです。
例えば、不況下の子育て世帯支援、子供版給付金は1回限り、しかも年齢限定です。女性特有のがん対策もことし限り、来年はありません。そして、このばらまきのツケを消費税増税で国民に押しつけ、ますます暮らしを脅かし、景気回復に逆行するものとなっています。
こうした国の姿勢のもと、本市の141号補正予算は、雇用対策に4,000万円、低炭素革命に16億、健康長寿、子育てに10億、底力発揮21世紀型インフラ整備に7億、安全・安心確保に29億と、暮らし応援に活用できる事業もありますが、2つの理由で反対です。
その1つは、要保護世帯向け長期生活支援資金貸付事業、いわゆるリバースモーゲージです。
これは生活保護受給者または生活に困窮している高齢者が評価額500万円以上の土地家屋など不動産を有している場合、これを担保に7割まで貸し付け、高齢者が死亡時に財産処分によって返済する仕組みです。本市は対象7世帯中3世帯が適用されようとしています。問題は、この制度と保護、どちらが優先されるかということです。
保護受給者は保護が停止となり、申請中の人は却下される。つまり、申請もできない、保護を受けている人は打ち切りになる問答無用の制度です。医療費扶助のみを受けている人でも、資産活用の名目で、個々の事情を考慮することなく一律に保護が打ち切りとなる、自立より借金を背負い込む制度が優先されます。
現行の保護制度は、宅地、土地、家屋の所有を認めているのに対し、高齢者のみが長年住みなれた家を手放すことを強制する無慈悲な制度です。また、高齢者には不動産融資の契約は難解で理解しづらく、本人の意思が無視されるおそれもあります。衣食住の基本である住まいまで手放させることは権利侵害に当たり、貧困者への差別です。
今回の貸付母体は社会福祉協議会です。自治体がセーフティーネットとして公の責任で行うべき生活保護が一部民営化される、その先導となるおそれがあります。そして、憲法25条に基づく生存権保障の実施機関である福祉事務所が事後処理機関に変質することにつながります。生活困窮者が増大し、生活保護への相談、申請、受給が急増しているときこそ、相談や生活支援を行うケースワーカー増員など保護行政を充実させるべきです。
2つ目の理由は国直轄事業負担金です。
以前から地方分権改革推進委員会で廃止・縮減など抜本的見直しが必要との認識が示され、政令市市長会でも廃止すべきとの主張がされてきました。住民の立場から見ても、事業の適正性、透明性を確保するためにも国直轄事業負担金は廃止すべきで、本市が負担すべき性格のものではありません。
第2の理由は、駅前再開発ビルの一部を取得し、美術館を移転する問題です。
現在のアートギャラリーは、駅南口から徒歩1分の位置に22億円かけて整備され、市民から移転拡張してほしいという要望は全く出ていません。しかし、市は、都市型美術館としての設備に十分対応可能な施設計画ができるという理由で、事業費をあと2億円追加し、総事業費34億円を費やして移転しようとしています。条例制定により、現アートギャラリーとの違いは教育普及が新たにつけ加えられただけです。展示をわかりやすくし、ボランティアの育成、学校教育に貢献したいということですが、現在のアートギャラリーでも十分に学校教育に活用されています。静岡文化の創造、振興と言いますが、駅の南口から北口に移転拡張するだけで、新たな所蔵もしないことを含め、新たな機能を持たないことは、明確な文化振興ビジョンがない、文化政策に乏しい姿勢のあらわれではないでしょうか。
また、税金で床を買い、駅前再開発ビルの費用を支えることが目的です。現アートギャラリーの跡地利用も決まらず、移転先ありきかのような計画です。財政難という理由で、市民サービスは削減し、負担をふやす一方で34億円も費やしてまでわざわざ美術館を移転する必要性、緊急性、そして説得力もありません。現在のアートギャラリーは築11年しか経過していません。それを廃止して34億円つぎ込む、不必要な財政支出はすべきではありません。
第3の理由は、手数料条例の一部改正、市民負担増です。
犬猫を所有者から引き取る場合、動物愛護、受益者負担の観点から有料にするという説明です。しかし、命をとうとぶことと有料化は別問題で、切り離して対応すべきで、有料化は認められません。
第4の理由は、東海道広重美術館の管理を指定管理者に移行する問題です。
その理由が教育普及ということですが、それなら、直営のままで、さらに市民に愛される美術館を目指すべきですし、地元住民で構成する運営協議会を廃止する必要もありません。
以上が反対の理由ですが、経済危機対策と言うのなら、出産一時金や女性のがん検診無料化などは、一時的、限定的でなく事業を継続し、また、発注については地元経済が潤うよう地元業者に受注機会を拡大するよう要望します。
日本共産党市議団は、国民生活が経済危機に見舞われ、疲弊しているときだからこそ、ルールある経済社会の実現を目指し全力を挙げることをお誓いして、反対討論といたします。