国民健康保険の一部負担金、窓口で払う医療費の減免について質問

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57◯4番(鈴木節子君) 私は、建設的野党として積極的提案をさせていただきます。

まず、通告に従い、国民健康保険の一部負担金、患者さんが受診した際に窓口で支払う医療費の減免について質問します。(「あんた国保運協の委員じゃないか」)あなたもそうでしたね。

平成20年度の国保料の滞納世帯は2万1,800世帯、過年度分を合わせると2万9,700世帯にもなります。これは加入世帯の25%、まさに4世帯に1世帯が払いたくても払えないと、もう限界だと悲鳴を上げています。国保料滞納世帯は他の公共料金も払えず、医療機関を受診して医療費を払うことも困難です。受診をためらううちに、病状悪化という事例も後を絶ちません。我が国は、傷病にかかったときは一部負担金だけで医療が受けられる国民皆保険制度を確立していますが、この国保制度が崩壊寸前まできていると言っても過言ではありません。

国も生活困難が原因で一部負担金の未収金に関して、減免制度をもっと積極的に活用させ、医療機関と国保、生活保護、この部局間の連携できめ細やかな対応を促すことで未収金の未然防止に乗り出し、モデル事業が9月から来年の3月までの間実施で、本市が選定されています。市民にとっては医療費の負担なく安心して受診できる制度です。

本市もこの制度は既にありますが、実績はゼロです。制度がありながら活用されていない、ここに問題があり、むしろ積極的に活用を促す立場で質問します。

1点目に、本市の保険料収納率はこれまで90%ぎりぎりを保っていましたが、どのように推移し、低下しているその原因をどう分析をしているのか、伺います。

2点目に、モデル事業に際し、厚労省は生活に困窮した国保加入者に福祉施策を紹介したり、生活保護の相談、開始につながるよう、福祉部門との連携強化のための協議会を設置せよと通知しました。どのように連携強化策を考えているのかを伺います。

また、モデル事業の後も継続してこの連携強化の体制をさらに充実させることが必要です。生活保護世帯が自立した後の相談体制など、部局間の連携強化について、その必要性をどうお考えか、伺います。

次に、新型インフルエンザ対策についてです。

新型インフルエンザの本格的な流行期を迎え、感染者が急速にふえています。新型インフルエンザは季節性インフルエンザと比べ、ぜんそくや糖尿病など基礎疾患のある場合は重症化しやすいと言われていますが、基礎疾患のない人からも死亡例があり、予想できない事態が起きています。

どんな症状がどう起きるのか、すべてわかっているわけではなく、いわば未知の病気です。また、免疫がないので急速に広がるおそれもあります。本市では、保育園や小中学校などで集団発生していますが、感染の広がりを抑え、必要な治療を行えるよう、十分な手だてや重症化を防ぐ対策が求められています。

質問の1点目に、本格的な流行期を迎え、重症化を防ぐためにも、すべての医療機関が重症化事例や入院事例など、情報を共有した上で的確な対応が迅速にできるよう、医療機関への情報提供をどのように行うのかを伺います。

2点目に、必要な医療を迅速に受診できるための問題です。

国保料を滞納している世帯は、15歳以下の子供を除き、正規の保険証にかわり資格証明書が発行され、受診時の医療費は10割負担です。大変負担が重いのが問題です。感染の疑いがあっても、経済的負担が重いために受診をためらううちに、重症化ということがあってはなりません。また、感染拡大を防ぐためにも、正規証の発行で保険適用とすべきですが、その対策を伺います。

厚労省は9月25日、この事態に対し、資格証を発行された世帯が医療の必要が生じ、医療費の全額支払いが困難だと市町村に申し出た場合は、短期証を交付するよう、保険適用するよう通知を出しています。本市はこれを受けて、具体的にはどのように対応するのかを伺います。

以上、1回目です。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 国保行政とインフルエンザ対策についてお答えいたします。

最初に、国保行政についてでございますが、保険料収納率はどう推移し、低下の原因をどういうふうに分析しているかということでございますが、現年度分の国民健康保険料の収納率は、平成18年度が90.80%、平成19年度が90.33%、平成20年度の決算見込みは88.47%でございます。

平成20年度の収納率の低下につきましては、収納率の高い75歳以上の被保険者が後期高齢者医療制度へ移行したことや、昨年秋からの経済状況の急激な悪化が主な原因と考えております。

次に、本市が一部負担金の減免のモデル事業に選定されているけれども、それについての福祉との連携、それからその必要性ということでございます。

福祉との連携につきましては、これまでも生活保護が廃止となった場合には、対象者に対しまして国民健康保険への加入手続を周知するとともに、国保担当課や医療機関へ通知を行い、連携をとってきております。また、生活困窮により保険料や一部負担金が納付できない被保険者につきましては、窓口での相談の際に生活保護についての案内などの対応をしております。

モデル事業におきましては、協力医療機関や生活保護部門を含めた協議会を設け、連携強化策を実施することとなっており、このような取り組みにつきましては、市民サービスの観点から必要なものでありますので、適切に対応していきたいと考えております。

次に、新型インフルエンザについてでございますが、すべての医療機関が重症化事例、入院事例などの情報を共有できるような的確な情報提供ということでございます。

現在、新型インフルエンザの患者が入院した場合、医療機関から保健所に報告されることになっております。保健所では、脳症や集中治療を要したか、人工呼吸器を使用したかといった情報も把握しております。重症の入院事例は医師会と公的病院に提供しており、市のホームページにも掲載することにしております。また、地域において重症事例が増加した場合やこれまでにない特徴を持った症例が出た場合は、随時、医療機関に周知してまいります。

次に、罹患の疑いがある国保資格証明書世帯が経済的負担なく受診できるよう、正規保険証の発行や一部負担金での受診の手だてをとるべきだがどうかということでございますが、国では感染拡大期間が過ぎ、流行期を迎えた現在、基本的に一般のインフルエンザで受診する場合と同様の扱いでよいとの見解を示していることから、本市においても特別な取り扱いをすることは考えておりません。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) では、2回目、質問します。

先に、国保の一部負担金の減免についてですが、本市の減免実績はゼロ件です。静岡県も38自治体に制度がありますが、県全体でも実績はゼロ。他の自治体では、大阪府が実施件数6,175件、減免総額は1億9,000万円、広島県、実施件数2,002件、総額1億1,000万円など、制度を生かし、積極的に受診を促しています。本市はモデル事業に選定され、実施件数をどの程度見込んでいるのか、その意気込みを伺います。

2点目に、この制度の必要性についてです。

制度がありながら、なぜ実施につながらないのか。この制度の目的は、窓口負担が払えない理由で医療にかかれない人をなくし、救済し、受診の権利を保障することです。国保法第44条は、保険者は特別の理由がある住民に対し、医療費の一部負担金を減額、免除、猶予することができると定め、全国の自治体の55%がこの制度を設けています。しかし、この制度がありながら実施されていないところに問題があるために、国も踏み出しています。

厚労省は、病院の未収金の理由は、患者が医療費を払うだけの資力がないほど生活が困窮していると分析し、病院や診療所からも雇用破壊や所得の低下による生活悪化の中、医療費負担が重く、受診が必要にもかかわらず医療を受けられない人がふえ、受診率の低下を嘆く声も寄せられています。

昨年秋以降の急激な経済状況により、不況により所得が低下する中、だれもが安心して医療を受けられるよう、医療保障の充実が求められています。国もようやく制度の積極的活用に足を踏み出したところです。今後、この制度をより活用させる姿勢について、またこの制度の必要性について、お考えを伺います。

次に、新型インフルエンザ対応についてです。

国はワクチン接種について基本方針を発表し、妊婦、基礎疾患のある人など、優先度の高い順から希望者に接種する方針を示しました。ワクチンは感染自体を防ぐことはできませんが、目的は重症化の防止です。妊婦や透析患者さんからは、優先されてよかったと安堵の声も聞かれています。

接種費用は2回で6,150円、国は生活保護世帯を無料にするほか、自治体の判断で住民税非課税世帯を減免したり対象世帯を拡大できるよう、財源措置を示しています。予防接種法にある経済的困窮者からは実費を徴収できない措置に準じています。低所得者も経済的不安なく接種できるよう、低所得者への公費補助はどのように対応するのかを伺います。

2点目に、インフルエンザの感染のある場合の国保の資格証明書の対応について。

先ほど局長がお答えになりましたが、国の通知がしっかりと出ています。中身を紹介しますと、9月25日の通知の中で、国は医療機関での支払いが困難な世帯に資格証明書を発行したこと自体が不適切だった可能性があると通知を出しました。窓口での支払いが困難な場合は、保険証を取り上げることができない特別な事情に当たると見解を示しています。そして、自治体に対して、資格証発行の際に被保険者の実情をよく把握すること、新型インフルエンザの大流行の前に、資格証明書発行世帯全体に対し、再度特別の事情の把握、いわゆる窓口負担が高過ぎて払えないという実態を把握、これを徹底せよと。そして、医療の確保に遺憾なきよう適切な運用をせよと求めています。

先ほどの答弁では、そうしたことは紹介がありませんでしたが、厚生労働省から各国保担当のところにあてた事務連絡がございます。これがその写しですけども、これを当局の方はもう一度よく読んでいただきたいと思います。新型インフルエンザの流行に関するQ&Aで、しっかりと文書が出ておりますので、もう一度確認をしていただきたいと思います。

国の方針を見れば、低所得者も経済的不安なく接種できるよう低所得者世帯に資格証を発行すること自体が、これは間違っています。医療費を払えないという方には正規証を発行して、受診の権利を保障すべきです。当局の見解を伺います。

以上、2回目です。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 国保行政と新型インフルエンザについてお答えいたします。

最初に、モデル事業についてどの程度見込んでいるかということですが、対象者につきましては、世帯の収入が一定基準以下であることや保険料を完納していることなど、規則等に定める基準に該当することが必要であり、個別具体的に判断を要することから、対象者数等を前もって見込むことは困難でございます。

次に、低所得者の医療を受ける権利を保障するため、一部負担金の減免制度を積極的に活用すべきじゃないかということですが、一部負担金減免制度は低所得者に配慮した制度であり、これを活用することによりまして、医療機関における未収金の発生を一定程度未然に防止することが可能であると考えております。本市では、今後、モデル事業の結果に基づき、国が示す基準に沿って、一部負担金の減免制度を適切に運用していきたいと考えております。

次に、インフルエンザの御質問ですが、ワクチン接種者の低所得者への公費負担、公費補助を行うべきではないかということですが、新型インフルエンザワクチンの接種費用は、重症化防止という個人防衛を目的とした任意接種であるため、国は実費相当額の全額自己負担を想定しております。低所得者の負担軽減につきましては、予防接種法の定期接種に準じて、市町村民税非課税世帯を念頭に、市町村がその費用を助成する措置を講じた場合には、国が2分の1、都道府県が4分の1を補助することが示されたので、それをもとに今後、検討してまいります。

次に、新型インフルエンザの疑いのある被保険者世帯には正規保険証を交付すべきだがということですが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、資格証明書世帯に対して特別な取り扱いをすることは考えておりません。

なお、医療機関に対する医療費の一時払いが困難であるとの申し出があった場合には、短期保険証を交付しております。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) では、3回目の質問です。

国保の窓口での医療費の減免制度についてですが、国の方針では、来年度から全市町村に運用を広げる方針です。そこで、本市の姿勢が問われるのですが、現状では実績はゼロ。その理由は、対象者の実情を判断した結果、条件に当てはまらなかったということです。対象になるのは、災害による損害、天災による収入減、事業の休廃止、失業、その他これらに類する理由があるときですが、要綱でさらに細かい規定を設け、適用させていないのが現状です。適用できるのは、保険料を完納している者または完納を約束、確約した者となっています。

本市の滞納世帯は約3万世帯、およそ4世帯に1世帯が滞納せざるを得ない状況に追い詰められています。保険料を完納していないから窓口減免はしないというのは、生活困窮に陥っている人に、金を払えば助けてやると無理難題を押しつけているようなものです。

また、災害などの事情がなくとも、もともと低所得者は対象とすべきですし、休廃業や失業の定義が厳格過ぎます。失業も自己都合による失業ではだめ、休業の場合もシャッターを閉めて完全に休業しなければだめだと、かなり制度が厳格過ぎています。

当局は、低所得世帯には生活保護を受けるように勧めていますが、保護を受けた後、その対象者がどの施策にたどり着いたのかを見届けてこそ、福祉と国保の部局間の連携と言えます。本当に困っている人がどの施策なら使えるのか、しっかりとその施策に結びつくまで指導することこそ必要だと思います。

厚労省も相互の部署の連携の必要性を認めたからこそ、モデル事業に踏み出しています。制度を活用できるように、保険料完納の条件緩和やもともと低所得の人の救済、失業の定義の緩和などで、利用しやすい制度に改善すべきですが、そのお考えを伺います。

2点目に、この制度の周知をどう徹底するかです。制度の存在を市民が知らなければ、活用はできません。医療機関や担当部署の窓口に申請書を置いて、気軽に申請できる雰囲気をつくる、医療機関から市民の皆さんにこの制度が……

 

 

◯副議長(石上顕太郎君) 質問はあと1分で終了してください。

 

 

◯4番(鈴木節子君)(続) あることを勧め、活用をしっかりと促すように、市のほうからお願いの文書を出して医療機関に依頼する、またポスター張り出し、広報の掲載、保険証を発行したときの通知など工夫をして、市民に制度を活用させる広報をどう行うのかを伺います。

最後に、インフルエンザの対応ですが、資格証明書を持っている方が窓口に行って、そこで大変ハードルが高いために行きにくいというのが実情です。国の通知では、即、短期保険証に切りかえるという、こういう通知を出していますので、本市のほうも柔軟な対応をしていただきたい、これを求めまして、質問を終わります。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 国保についての2点の御質問にお答えします。

この負担金減免制度の条件を緩和すべきだがどうかということですが、窓口負担の減額、免除は、個別具体的な事情により判断される例外的な取り扱いであるため、適用対象者の基準緩和については、公平性の観点から慎重に対応していく必要があると考えております。

次に、制度の周知についての広報でございますが、窓口負担の減額、免除は、その世帯の生活状況など、個別具体的な事情により判断される例外的なケースであるため、周知については難しい面がございます。今後、モデル事業の結果に基づき、国が示す基準に沿って、パンフレット等にどのような掲載が可能かを検討してまいります。

以上でございます。