静岡市職員の給与に関する条例の一部改正、静岡市教育職員の給与に関する条例の一部改正反対討論

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64◯31番(山本明久君) 私は、ただいま議題となっています給与関連5議案のうち、第169号静岡市職員の給与に関する条例の一部改正について及び第170号静岡市教育職員の給与に関する条例の一部改正についての2本の議案に対して、日本共産党市議団を代表して反対の討論を行います。

これら2本の議案は、民間賃金との比較を根拠にした人事委員会勧告に基づき、一時金0.35月の減額や、給与表改定や自宅の住居手当の廃止等によって、職員1人当たり平均年額にして20万円のカット、そして総額にすれば全会計で12億3,000万円という大幅な減額という内容です。議員や特別職などの一時金の減額については、仕方がないとして反対はいたしません。一般市職員については、組合との妥協がされているということや、人事委員会勧告に基づいているという基本的なルールは尊重すべきだという考えを私たちも持ってはいます。しかし、一般職員の大幅な給与の減額は、以下の主な理由によって容認することはできません。

まず第1に、今回の引き下げは民間賃金のさらなる引き下げを呼び込み、また消費を冷え込ませるなど、地域経済に悪循環をもたらすおそれがあるという点です。また、市当局も認めているように、職員の士気にも大きな影響を及ぼすものとなります。引き下げは、民間が下がっているから公務員も同じように下げて当然という論立てですけれど、それが妥当で適切なのかという点では、簡単にそうは言えないというふうに考えています。この点は、今、開かれている臨時国会においても、総務大臣が人事院勧告による国家公務員の給与引き下げについて、民間で働く人たちが苦しいから公務員も同じように減らすべきだという単純な議論は危険だというふうに述べていることは、一つの見識だと思います。

現在の経済局面が、デフレスパイラルに陥っているという判断を政府も示していますけれど、静岡市の地域経済において、市職員の12億円以上もの、これがさらに広がる大幅なカットが進められるということになると、消費の落ち込みは一層進みますし、さらに販売と生産へのマイナス影響、それがさらに雇用の悪化や民間賃金への引き下げ圧力になって、それがさらに市職員の引き下げ要因になっていくという悪循環に、引き金になっていくというおそれがあります。また、より直接的に、先ほどの議案の質疑の議論でもありましたように、非常勤職員や臨時、嘱託職員にも連動していきますし、本市の外郭団体や公的サービスを担う部署にまで賃金引き下げの要因圧力にもなっていくということが明らかになっています。例えば、既に民間保育園でも、市が下げるなら下げようかという声も聞こえてきています。従業員規模でいえば、静岡市内において、自治体である静岡市と静岡県というのは、最大の事業所です。この影響は、今申しました直接、間接を含めて、極めて大きなものがあります。この点では、県内の自治体労働者の組合員が集まった静岡自治労連が、県の産業連関表をもとに、今回の静岡県職員の人勧に基づく給与カットの影響について試算を出していますけれど、それによると、県内の経済と消費への影響は、マイナス120億円に上るというふうに算出されています。こうした景気悪化の悪循環を断ち切るためにも、民間が下がったから同じように公務員も下げるという、こういう考えは、今の局面では改めるべきだと私たちは考えています。今こそ民間も公務員も、賃上げの方向で努力をすべき局面です。ですから、民間大手は内部留保を吐き出すし、中小には政府が融資や直接支援などの、支援はやっぱり拡大していく局面だと思います。

そして第2に、特にことしの勧告で問題なのは、人事院勧告と、それに実質倣っている人事委員会勧告が、本当に公平・中立になっているのか、そしてまた公務員の労働基本権である争議権を奪っていることの代償措置にふさわしい中身になっているのかどうかを見た場合に、疑念があるということです。

それは、8月の総選挙の前に、当時の政権が、選挙で公務員をたたくというために、その圧力と介入を受けて人事院勧告が出されたのではないかということで、今開かれている臨時国会においても、総務大臣が、これは検証したいという答弁をしていることにもあらわれています。私も5月からの凍結の際の臨時議会で、今回の実態調査が極めて不十分な中で、人事委員会の意見の具申が出されて、それは人勧に沿ったわけですが、そういう非常に疑念を持たざるを得ないやり方、中身で進められていると。それが実際今の国会においても、時の政権の圧力や選挙のために利用されているんじゃないかという疑念が出されている問題は、非常に大きな、この人事院勧告というあり方そのものを問いかける問題だと思います。そしてまたこうしたことは、もう一つの側面から見ると、本来、公務員にもあるべき争議権を奪ったのですから、争議権で闘うかわりに労働者としての利益を守る代償という勧告が、この間マイナス、マイナスということで、実際逆に利益を損なっているという現状は、本来の公平・中立という立場になっているのかという疑念も、やっぱり出てくるほどです。民間が下がったからというだけでは、本来設置された代償措置という役割を果たせていないことになるのではないでしょうか。こうした問題がある人事院勧告、そして人事委員会の勧告というものを、検証もないまま実施する引き下げは容認することはできません。

私たちは、このように市職員が憲法を遵守し、市民の利益を守る全体の奉仕者として働きがいが持てるように、労働条件と職場環境の整備や改善をしていくということが、市民本位の市政につながっていくことだと確信を持っています。その方向で私たちも取り組んでいく決意を述べて、今回の市職員の給与関連引き下げの議案に反対の討論を終わります。